Reactアプリケーションを開発する際、APIから取得したデータを扱うことは非常に一般的です。しかし、APIレスポンスが期待する形式と異なる場合、実行時エラーが発生し、ユーザー体験を損なう可能性があります。こうしたリスクを軽減し、開発効率とコード品質を向上させるために、TypeScriptによる型定義は欠かせません。本記事では、ReactでAPIレスポンスを適切に型定義する方法とその利点を解説します。TypeScriptの活用で、安全性の高いReactアプリを構築するための実践的な知識を学びましょう。
TypeScriptで型定義を行う意義
ReactアプリケーションでTypeScriptを使用し、APIレスポンスに型定義を行うことは、次のような点で重要です。
開発効率の向上
型定義を使用することで、APIレスポンスに関する情報が明確になり、開発者は何が利用可能かを簡単に把握できます。これにより、エディタの補完機能や型チェックが有効になり、コードを書く際のスピードが向上します。
バグの早期発見
実行時にエラーが発生する前に、型チェックによって誤りを検出できます。特に、APIのレスポンスが変更された場合でも、型定義があれば影響範囲を即座に把握可能です。
コードの可読性と保守性の向上
型定義により、データ構造が明示的に記述されるため、コードの読みやすさが向上します。また、後からプロジェクトに参加する開発者もデータの構造を簡単に理解できるため、保守性が大幅に高まります。
大規模プロジェクトでの必須技術
複数の開発者が関わる大規模プロジェクトでは、APIレスポンスの型定義が統一的なデータ管理を可能にし、チーム全体の生産性を向上させます。これにより、品質の高いコードベースを維持できます。
TypeScriptによる型定義は、Reactプロジェクトにおいて信頼性と効率性を向上させる必須の技術といえます。
APIレスポンスの型を設計する方法
TypeScriptでAPIレスポンスを型定義する際、まずはレスポンスのデータ構造を明確に理解し、適切な型を設計することが重要です。このセクションでは、その基本的な手順を解説します。
APIドキュメントの確認
型定義を設計する際の第一歩は、APIの仕様を理解することです。多くのAPIはSwaggerやPostmanなどのツールを使って仕様を公開しています。これらを確認し、返されるJSONデータの構造を把握しましょう。
例: REST APIが以下のようなレスポンスを返すとします。
{
"id": 1,
"name": "John Doe",
"email": "john.doe@example.com",
"isActive": true
}
TypeScriptでの型定義
上記のレスポンスに基づき、以下のように型を定義できます。
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
isActive: boolean;
};
ネストされたデータの型定義
レスポンスがネストされたオブジェクトや配列を含む場合、それらを適切に型定義します。
例: ネストされたレスポンス
{
"id": 1,
"name": "John Doe",
"email": "john.doe@example.com",
"address": {
"street": "123 Main St",
"city": "Metropolis",
"zip": "12345"
}
}
型定義:
type Address = {
street: string;
city: string;
zip: string;
};
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
address: Address;
};
型定義をDRY(Don’t Repeat Yourself)にする
コードの重複を避けるため、共通する部分は再利用可能な型に分割します。
例:
type Identifiable = {
id: number;
};
type User = Identifiable & {
name: string;
email: string;
isActive: boolean;
};
APIレスポンスの変化に対応
APIレスポンスが変更される可能性がある場合は、ユニオン型やオプション型を利用して柔軟性を持たせます。
例: オプション型
type User = {
id: number;
name: string;
email?: string; // emailはオプション
};
このように、APIレスポンスの構造を分析し、TypeScriptで適切に型を設計することで、安全でメンテナンス性の高いコードを書くことができます。
Axiosでの型指定の基本
ReactでAPIを扱う際、Axiosは非常に一般的なHTTPクライアントとして使用されます。TypeScriptを使えば、Axiosを通じて取得するレスポンスに型定義を追加し、型安全性を確保できます。このセクションでは、Axiosにおける型指定の基本的な方法を解説します。
Axiosインストールと基本セットアップ
まずはAxiosをインストールし、Reactプロジェクトで利用できるようにします。
npm install axios
プロジェクトでAxiosをインポートします。
import axios from 'axios';
Axiosリクエストに型を指定する
Axiosを使用してデータを取得する際、TypeScriptのジェネリクスを活用してレスポンスに型を指定します。
例: 基本的な型指定
import axios from 'axios';
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
isActive: boolean;
};
const fetchUser = async (userId: number): Promise<User> => {
const response = await axios.get<User>(`https://api.example.com/users/${userId}`);
return response.data;
};
このコードでは、axios.get<User>()
の部分で、User
型をレスポンスの型として指定しています。これにより、response.data
が型安全に扱えます。
POSTリクエストでの型指定
データを送信する際も、リクエストボディとレスポンスに型を指定できます。
例: POSTリクエスト
type CreateUserPayload = {
name: string;
email: string;
};
type CreateUserResponse = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
const createUser = async (userData: CreateUserPayload): Promise<CreateUserResponse> => {
const response = await axios.post<CreateUserResponse>('https://api.example.com/users', userData);
return response.data;
};
ここでは、送信するデータの型CreateUserPayload
とレスポンスの型CreateUserResponse
を指定しています。
エラーハンドリングと型指定
APIリクエストにはエラーが付き物です。Axiosのエラーハンドリングでも型を活用することで、エラー内容を安全に処理できます。
例: エラー処理
import axios, { AxiosError } from 'axios';
type ApiError = {
message: string;
};
const fetchWithErrorHandling = async () => {
try {
const response = await axios.get<User>('https://api.example.com/user');
return response.data;
} catch (error) {
if (axios.isAxiosError<ApiError>(error) && error.response) {
console.error('API Error:', error.response.data.message);
} else {
console.error('Unexpected Error:', error);
}
}
};
この例では、エラー型をAxiosError<ApiError>
と指定し、レスポンスエラーの型安全な処理を行っています。
カスタムAxiosインスタンスの作成
複数のAPIリクエストで共通の設定を使う場合、カスタムAxiosインスタンスを作成すると便利です。
例:
const apiClient = axios.create({
baseURL: 'https://api.example.com',
headers: {
'Content-Type': 'application/json',
},
});
export default apiClient;
利用時に型定義を適用できます。
const fetchUserWithClient = async (userId: number): Promise<User> => {
const response = await apiClient.get<User>(`/users/${userId}`);
return response.data;
};
このように、AxiosとTypeScriptを組み合わせることで、型安全でエラーに強いコードを簡単に実現できます。
ユニオン型やオプション型の活用
TypeScriptには、柔軟な型定義を可能にするユニオン型やオプション型といった便利な機能があります。これらを活用することで、APIレスポンスが異なる形式を取る場合や、プロパティがオプションである場合でも型安全にデータを扱うことができます。このセクションでは、その具体的な方法を解説します。
ユニオン型の活用
ユニオン型は、値が複数の型のいずれかを持つ場合に使用します。たとえば、APIレスポンスがエラーと成功のいずれかで異なる構造を持つ場合、ユニオン型で対応できます。
例: 成功とエラーのレスポンスをユニオン型で定義
type SuccessResponse = {
status: 'success';
data: {
id: number;
name: string;
};
};
type ErrorResponse = {
status: 'error';
message: string;
};
type ApiResponse = SuccessResponse | ErrorResponse;
const handleApiResponse = (response: ApiResponse) => {
if (response.status === 'success') {
console.log('User ID:', response.data.id);
} else if (response.status === 'error') {
console.error('Error:', response.message);
}
};
この例では、status
プロパティによって型が区別されるため、TypeScriptが適切な補完と型チェックを行います。
オプション型の活用
オプション型(?
を使った記法)は、プロパティが存在する場合としない場合があるデータに対応するために使います。
例: オプション型を含む型定義
type User = {
id: number;
name: string;
email?: string; // emailはオプション
};
const printUserEmail = (user: User) => {
if (user.email) {
console.log('Email:', user.email);
} else {
console.log('Email is not available.');
}
};
この例では、email
プロパティが存在しない場合でも型エラーが発生しません。関数内で存在を確認することで、安全にデータを扱えます。
ユニオン型とオプション型を組み合わせる
複雑なAPIレスポンスでは、ユニオン型とオプション型を組み合わせることが有効です。
例: 複雑なレスポンスの型定義
type BasicUser = {
id: number;
name: string;
};
type DetailedUser = BasicUser & {
email: string;
address?: {
street: string;
city: string;
};
};
type UserResponse = BasicUser | DetailedUser;
const handleUserResponse = (user: UserResponse) => {
console.log('User Name:', user.name);
if ('email' in user) {
console.log('Email:', user.email);
if (user.address) {
console.log('Address:', user.address.street, user.address.city);
}
}
};
この例では、email
プロパティが存在する場合に詳細情報を処理し、さらにオプションのaddress
を確認して適切に処理しています。
TypeScriptの型ガードを活用
型安全性を高めるために、TypeScriptの型ガードを使用して動的な型チェックを行う方法もあります。
例: 型ガード関数
const isDetailedUser = (user: UserResponse): user is DetailedUser => {
return 'email' in user;
};
const processUser = (user: UserResponse) => {
if (isDetailedUser(user)) {
console.log('Detailed User:', user.email);
} else {
console.log('Basic User:', user.name);
}
};
型ガードを使うことで、TypeScriptはコードの中で型の絞り込みを自動的に行い、安全にデータを扱えるようになります。
まとめ
ユニオン型とオプション型は、複雑で柔軟なAPIレスポンスを扱う際に非常に役立ちます。これらを正しく活用することで、Reactアプリケーションの型安全性とメンテナンス性が向上します。
APIレスポンスの型安全性を確保するユーティリティ関数
型安全性を確保するには、APIレスポンスが予期した型に一致するかどうかを検証する仕組みが必要です。TypeScriptだけでは実行時の型チェックが行えないため、ユーティリティ関数やライブラリを利用してレスポンスの型検証を行います。このセクションでは、型安全性を向上させるための実践的な方法を解説します。
型安全性の課題
TypeScriptはコンパイル時に型チェックを行いますが、実行時にAPIから受け取ったデータが型に合致しているかどうかは保証しません。これにより、予期しないデータが原因でエラーが発生するリスクがあります。
例: 型定義されたUser
型
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
APIレスポンスが意図した型と異なる場合:
{
"id": "123", // 数字のはずが文字列
"name": "John Doe"
}
このような問題を防ぐために、型検証を行うユーティリティ関数を導入します。
手動で型を検証する方法
簡単なユーティリティ関数を作成して、型をチェックします。
例: 型検証関数
const isUser = (data: any): data is User => {
return (
typeof data.id === 'number' &&
typeof data.name === 'string' &&
typeof data.email === 'string'
);
};
const fetchUser = async (): Promise<void> => {
const response = await fetch('https://api.example.com/user');
const data = await response.json();
if (isUser(data)) {
console.log('User data:', data);
} else {
console.error('Invalid User data:', data);
}
};
isUser
関数は、与えられたデータがUser
型であるかを検証します。
ライブラリを利用した型チェック
型チェックを効率的に行うには、zod
やio-ts
といったライブラリを利用する方法もあります。
例: Zodを使用した型検証
import { z } from 'zod';
const UserSchema = z.object({
id: z.number(),
name: z.string(),
email: z.string(),
});
type User = z.infer<typeof UserSchema>;
const fetchUserWithZod = async (): Promise<void> => {
const response = await fetch('https://api.example.com/user');
const data = await response.json();
const parsedData = UserSchema.safeParse(data);
if (parsedData.success) {
console.log('User data:', parsedData.data);
} else {
console.error('Validation Error:', parsedData.error);
}
};
Zodを使うと、型定義とバリデーションを統一的に扱えます。また、エラーメッセージも詳細に得られるため、デバッグが容易です。
共通ユーティリティ関数の構築
複数のエンドポイントで型検証を行う場合、共通のユーティリティ関数を作成することで、コードの重複を削減できます。
例: 汎用型検証関数
import { ZodSchema } from 'zod';
const validateResponse = <T>(schema: ZodSchema<T>, data: unknown): T | null => {
const parsedData = schema.safeParse(data);
return parsedData.success ? parsedData.data : null;
};
const fetchUserGeneric = async (): Promise<void> => {
const response = await fetch('https://api.example.com/user');
const data = await response.json();
const user = validateResponse(UserSchema, data);
if (user) {
console.log('Valid user:', user);
} else {
console.error('Invalid user data:', data);
}
};
このアプローチにより、さまざまなAPIレスポンスに対して型検証を簡潔に行えます。
型検証の導入メリット
- 実行時エラーの削減: 不正なデータによるエラーを未然に防げます。
- コードの信頼性向上: 型に基づいた堅牢なアプリケーションを構築できます。
- デバッグの効率化: データの問題点を特定しやすくなります。
まとめ
TypeScriptと型検証の組み合わせにより、Reactアプリケーションの型安全性を大幅に向上させることができます。手動での型チェックやライブラリの活用を適切に組み合わせることで、APIレスポンスの整合性を確保し、安全で効率的なコードを書くことが可能です。
型定義を利用したコンポーネントの作成
TypeScriptで型定義を行うことで、Reactコンポーネントにおけるデータの取り扱いが安全かつ効率的になります。このセクションでは、型定義を活用してデータを適切に処理し、動的なUIを構築する方法を解説します。
型定義を使用したプロパティの受け渡し
Reactコンポーネントは、プロパティ(props)を通じてデータを受け取ります。TypeScriptを用いることで、受け取るデータの型を明確に定義できます。
例: 型定義を使用した基本的なコンポーネント
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
type UserProps = {
user: User;
};
const UserCard: React.FC<UserProps> = ({ user }) => (
<div>
<h2>{user.name}</h2>
<p>Email: {user.email}</p>
</div>
);
この例では、UserProps
型を定義してUserCard
コンポーネントに渡しています。これにより、user
プロパティの型が保証され、誤ったデータを渡した場合に型エラーが発生します。
APIレスポンスとコンポーネントの連携
型定義を使用して、APIレスポンスをReactコンポーネントで安全に扱う方法を示します。
例: APIデータを表示するコンポーネント
import React, { useState, useEffect } from 'react';
import axios from 'axios';
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
const UserList: React.FC = () => {
const [users, setUsers] = useState<User[]>([]);
useEffect(() => {
const fetchUsers = async () => {
const response = await axios.get<User[]>('https://api.example.com/users');
setUsers(response.data);
};
fetchUsers();
}, []);
return (
<div>
<h1>User List</h1>
{users.map((user) => (
<UserCard key={user.id} user={user} />
))}
</div>
);
};
const UserCard: React.FC<{ user: User }> = ({ user }) => (
<div>
<h2>{user.name}</h2>
<p>Email: {user.email}</p>
</div>
);
このコードでは、axios
を使用してAPIからデータを取得し、そのデータを型安全にコンポーネントに渡しています。
型定義を活用した動的なUI
ユーザーの状態に応じて異なるUIを表示する場合にも型定義が役立ちます。
例: ユーザーの状態に応じた表示
type UserStatus = 'active' | 'inactive';
type User = {
id: number;
name: string;
status: UserStatus;
};
type UserProps = {
user: User;
};
const UserBadge: React.FC<UserProps> = ({ user }) => (
<div>
<h2>{user.name}</h2>
<p>Status: {user.status === 'active' ? '🟢 Active' : '🔴 Inactive'}</p>
</div>
);
この例では、UserStatus
をユニオン型として定義し、user.status
の値に応じて異なるUIを表示しています。
型エラーの早期発見と保守性向上
型定義を用いることで、以下の利点を享受できます:
- 型エラーの早期発見: 型チェックにより、誤ったデータの使用が防止されます。
- 保守性の向上: 型情報を参照することで、プロジェクトの他の開発者もコードの意図を簡単に理解できます。
- 再利用性の向上: 型定義を使用することで、プロジェクト内でのコンポーネントの再利用が容易になります。
まとめ
Reactで型定義を活用することで、APIレスポンスのデータを安全に扱い、信頼性の高いコンポーネントを作成できます。これにより、アプリケーションの保守性と拡張性が向上します。
型定義を用いたテストの効率化
TypeScriptで型定義を行うことで、テストの精度と効率が向上します。型定義を利用すると、期待されるデータ構造が明確になるため、テストコードをより簡潔かつ正確に記述できるようになります。このセクションでは、型定義を用いたテストのベストプラクティスを解説します。
型定義を活用したモックデータの作成
APIレスポンスやコンポーネントのテストでは、モックデータを用意することが一般的です。型定義を利用すると、モックデータの構造が保証され、不正なデータによるテストエラーを防げます。
例: 型定義を使用したモックデータ
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
const mockUser: User = {
id: 1,
name: 'John Doe',
email: 'john.doe@example.com',
};
モックデータを型安全に作成することで、型に違反したデータをテストに使用するリスクを排除できます。
型を活用したユニットテスト
Reactコンポーネントのユニットテストでは、型定義がデータの一貫性を維持するのに役立ちます。
例: Jestを用いたコンポーネントテスト
import React from 'react';
import { render, screen } from '@testing-library/react';
import '@testing-library/jest-dom';
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
type UserCardProps = {
user: User;
};
const UserCard: React.FC<UserCardProps> = ({ user }) => (
<div>
<h2>{user.name}</h2>
<p>{user.email}</p>
</div>
);
test('UserCard displays user data correctly', () => {
const mockUser: User = {
id: 1,
name: 'Jane Doe',
email: 'jane.doe@example.com',
};
render(<UserCard user={mockUser} />);
expect(screen.getByText('Jane Doe')).toBeInTheDocument();
expect(screen.getByText('jane.doe@example.com')).toBeInTheDocument();
});
この例では、UserCard
コンポーネントがUser
型のデータを受け取り、正しくレンダリングされるかをテストしています。型定義により、テストデータの形式が保証されます。
型定義を利用したエンドツーエンドテスト
エンドツーエンドテストでは、APIレスポンスやアプリケーション全体の動作をテストします。型定義を用いることで、APIレスポンスと期待されるデータ構造の整合性を保てます。
例: Cypressを使用した型安全なレスポンステスト
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
describe('API Response Test', () => {
it('fetches and displays user data', () => {
cy.intercept('GET', '/api/users', {
body: [
{
id: 1,
name: 'John Doe',
email: 'john.doe@example.com',
},
],
}).as('getUsers');
cy.visit('/users');
cy.wait('@getUsers');
cy.contains('John Doe').should('be.visible');
cy.contains('john.doe@example.com').should('be.visible');
});
});
この例では、User
型に基づいたモックレスポンスを作成し、Cypressを用いてエンドツーエンドテストを行っています。
型定義とテストのメンテナンス性向上
APIレスポンスが変更された場合でも、型定義を更新するだけでテスト全体の一貫性を保てます。型定義を中央で管理することで、テストの保守性を向上させることが可能です。
例: 型定義の変更に対応したモックデータの更新
// 型変更前
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
};
// 型変更後
type User = {
id: number;
name: string;
email: string;
isActive: boolean;
};
// モックデータの更新
const mockUser: User = {
id: 1,
name: 'John Doe',
email: 'john.doe@example.com',
isActive: true,
};
型定義が変更された場合、TypeScriptが型エラーを検出するため、モックデータやテストコードの修正箇所を迅速に把握できます。
まとめ
型定義を利用したテストは、Reactプロジェクトの品質向上に不可欠です。モックデータの作成、コンポーネントのテスト、エンドツーエンドテストなど、さまざまな場面で型定義を活用することで、効率的かつ正確なテストが可能になります。これにより、堅牢なアプリケーション開発が実現します。
実践例: 天気APIを使った型定義の応用
ここでは、天気APIを利用してReactアプリケーションを作成する例を通じて、TypeScriptの型定義とその活用方法を具体的に解説します。この実践例を通じて、APIレスポンスの型定義、データの取得と処理、そしてコンポーネントでの利用方法を学びます。
天気APIのレスポンスを型定義する
以下のようなAPIレスポンスを返す天気APIを利用します:
{
"city": "New York",
"temperature": {
"current": 18,
"high": 22,
"low": 15
},
"description": "Partly cloudy"
}
これをTypeScriptで型定義します。
type Temperature = {
current: number;
high: number;
low: number;
};
type Weather = {
city: string;
temperature: Temperature;
description: string;
};
この型定義により、レスポンスデータの構造が明確になり、誤ったデータ処理を防止できます。
APIデータの取得
次に、axios
を使用して天気APIからデータを取得します。
import axios from 'axios';
const fetchWeather = async (city: string): Promise<Weather> => {
const response = await axios.get<Weather>(`https://api.example.com/weather?city=${city}`);
return response.data;
};
ここでは、axios.get<Weather>
の型指定を行うことで、レスポンスが期待するWeather
型であることを保証します。
コンポーネントでのデータ表示
取得したデータをReactコンポーネントに渡して表示します。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const WeatherComponent: React.FC<{ city: string }> = ({ city }) => {
const [weather, setWeather] = useState<Weather | null>(null);
const [error, setError] = useState<string | null>(null);
useEffect(() => {
const loadWeather = async () => {
try {
const data = await fetchWeather(city);
setWeather(data);
} catch (e) {
setError('Failed to fetch weather data.');
}
};
loadWeather();
}, [city]);
if (error) {
return <p>{error}</p>;
}
if (!weather) {
return <p>Loading...</p>;
}
return (
<div>
<h1>Weather in {weather.city}</h1>
<p>{weather.description}</p>
<p>Current: {weather.temperature.current}°C</p>
<p>High: {weather.temperature.high}°C</p>
<p>Low: {weather.temperature.low}°C</p>
</div>
);
};
このコンポーネントでは、型定義されたWeather
型を使って、データの取得と表示を行っています。
エラーハンドリングの強化
型定義を活用して、エラー処理を型安全に行います。
例: エラー型の定義
type ApiError = {
message: string;
};
const fetchWeatherWithErrorHandling = async (city: string): Promise<Weather | null> => {
try {
const response = await axios.get<Weather>(`https://api.example.com/weather?city=${city}`);
return response.data;
} catch (error) {
if (axios.isAxiosError<ApiError>(error) && error.response) {
console.error('API Error:', error.response.data.message);
} else {
console.error('Unexpected Error:', error);
}
return null;
}
};
この方法により、APIエラーを型安全に処理し、ユーザーに適切なフィードバックを提供できます。
コード全体のまとめ
以下は、天気APIを利用した完全な例です。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
import axios from 'axios';
type Temperature = {
current: number;
high: number;
low: number;
};
type Weather = {
city: string;
temperature: Temperature;
description: string;
};
const fetchWeather = async (city: string): Promise<Weather> => {
const response = await axios.get<Weather>(`https://api.example.com/weather?city=${city}`);
return response.data;
};
const WeatherApp: React.FC = () => {
const [city, setCity] = useState('New York');
const [weather, setWeather] = useState<Weather | null>(null);
useEffect(() => {
const loadWeather = async () => {
const data = await fetchWeather(city);
setWeather(data);
};
loadWeather();
}, [city]);
return (
<div>
<h1>Weather App</h1>
<input
type="text"
value={city}
onChange={(e) => setCity(e.target.value)}
placeholder="Enter city"
/>
{weather ? (
<div>
<h2>Weather in {weather.city}</h2>
<p>{weather.description}</p>
<p>Current: {weather.temperature.current}°C</p>
<p>High: {weather.temperature.high}°C</p>
<p>Low: {weather.temperature.low}°C</p>
</div>
) : (
<p>Loading...</p>
)}
</div>
);
};
export default WeatherApp;
まとめ
この実践例では、TypeScriptで型定義を行い、APIレスポンスを安全に扱う方法を示しました。型定義を利用することで、データ処理の安全性が向上し、Reactコンポーネントの開発がより効率的になります。天気APIを使った例を参考に、他のAPIにも同様のアプローチを適用してみてください。
まとめ
本記事では、ReactアプリケーションにおけるTypeScriptの型定義の重要性を、天気APIを例にして詳しく解説しました。APIレスポンスの型を明確に定義することで、型安全なデータ処理が可能となり、コードの品質と保守性が大幅に向上します。
TypeScriptの型定義を活用することで、以下のような利点が得られることを確認しました:
- 実行時エラーのリスクを削減し、堅牢なアプリケーションを構築。
- 型安全性を確保し、エディタ補完やデバッグが効率化。
- データ処理の一貫性を保ち、開発者間でのコード共有が容易に。
型定義、APIリクエストの処理、UIへのデータ表示、エラー処理まで、ReactとTypeScriptの組み合わせは強力なツールです。この方法を活用し、安全でスケーラブルなReactアプリケーションを構築していきましょう。
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