Jotaiを使ったReactアプリケーションで、リアルタイム状態管理を実現する方法について紹介します。リアルタイム性が求められる機能は、現代のWebアプリケーションにおいて重要な役割を果たしています。特に、チャットや通知システムのような動的なデータ更新が必要なケースでは、効率的な状態管理が欠かせません。本記事では、Jotaiの特徴を活かして、WebSocketやイベントリスナーを利用したリアルタイム状態管理の基礎から応用までを詳しく解説します。Reactの開発効率をさらに高めるための実践的な方法を学びましょう。
Jotaiとは何か
Jotaiは、React用の軽量で柔軟な状態管理ライブラリです。その名前は「小さな魂」を意味する日本語の「珠」に由来しており、シンプルさとパフォーマンスを重視した設計が特徴です。他の状態管理ライブラリと比較すると、以下のような利点があります。
Jotaiの主な特徴
- シンプルなAPI: 状態を表す「Atom」を作成し、コンポーネント間で共有するだけで簡単に管理できます。
- Reactコンポーネントとの高い親和性: フックベースの設計により、Reactの考え方に自然にフィットします。
- 最小限のリレンダリング: 状態が変更されたコンポーネントだけを再描画するため、パフォーマンスが最適化されます。
Jotaiの基本概念
- Atom: 状態を表す単位で、Reactコンポーネントで使用することで共有可能になります。
- Writable Atom: 状態の変更が可能なAtom。状態の更新を簡単に管理できます。
- Derived Atom: 他のAtomから派生する計算済みの値を管理するための仕組みです。
Reactの状態管理におけるJotaiのメリット
従来の状態管理ライブラリ(ReduxやMobXなど)と異なり、Jotaiはシンプルさに特化しています。グローバルな状態管理が必要ないプロジェクトや、リアルタイム性が求められる場合に特に適しています。Jotaiを使用することで、開発者は複雑な設定やボイラープレートコードを削減し、より直感的に状態を操作できます。
Jotaiは、リアルタイム状態管理のような動的なアプリケーションにおいても、その効率性と柔軟性から非常に有用です。次の章では、リアルタイム状態管理の基礎を掘り下げます。
リアルタイム状態管理の概要
リアルタイム状態管理とは、アプリケーション内のデータが即座に更新され、ユーザーに即時反映される状態管理の手法を指します。現代のWebアプリケーションでは、動的なデータ更新が求められる場面が増えており、リアルタイム性を確保することがアプリのユーザー体験を向上させる鍵となります。
リアルタイム状態管理が必要な場面
- チャットアプリ: メッセージが即座に反映される必要がある。
- 通知システム: 新しい通知がすぐにユーザーに伝わる必要がある。
- 株価や気象データの表示: 常に最新情報をユーザーに提供する必要がある。
- コラボレーションツール: 複数のユーザーが同時に操作を行うアプリ(例: Google Docs)。
リアルタイム状態管理を実現する仕組み
リアルタイムのデータ更新を実現するためには、以下の技術がよく使われます。
- WebSocket: サーバーとクライアント間での双方向通信を可能にし、リアルタイムでデータを送受信します。
- イベントリスナー: クライアント側で発生したイベントを監視し、それに応じたデータ更新を行います。
- Polling(ポーリング): 一定間隔でサーバーから最新データを取得する方法ですが、効率は低めです。
リアルタイム状態管理とJotaiの相性
Jotaiは、リアルタイム性が求められる状態管理に非常に適しています。具体的には以下の点が挙げられます。
- 動的なデータ更新のシンプルな実装: Atomを活用してリアルタイムで状態を共有できます。
- 再描画の最小化: 必要なコンポーネントだけが再描画されるため、効率的にデータを反映できます。
- スケーラビリティ: 状態のスコープを柔軟に定義できるため、小規模から大規模なアプリケーションまで対応可能です。
次の章では、リアルタイム更新の主要な技術であるWebSocketを使ったデータ更新の仕組みを詳しく説明します。
WebSocketを使ったデータ更新の仕組み
WebSocketは、リアルタイム状態管理を実現するための強力な通信プロトコルです。これにより、サーバーとクライアント間で双方向の通信が可能となり、リアルタイムでのデータ更新が実現します。ここでは、WebSocketの基本概念からReactでの実装方法までを解説します。
WebSocketの基本概念
WebSocketは、HTTPとは異なり、1度接続が確立されるとサーバーとクライアントが継続的に通信を行えるプロトコルです。これにより、以下の利点を得られます。
- リアルタイム通信: サーバーからのプッシュ通知が可能。
- 軽量な通信: 再接続のオーバーヘッドを削減。
- イベント駆動型の更新: サーバー側の変更を即座に反映可能。
WebSocketの仕組み
- 接続の確立: クライアントがサーバーに接続要求を送信し、接続が確立します。
- メッセージの送受信: 双方向でデータを交換可能。JSON形式でデータをやり取りすることが一般的です。
- 接続の維持と切断: 通信を維持し続けるか、必要に応じて切断します。
ReactでのWebSocket実装例
以下は、ReactアプリでWebSocketを使用してリアルタイムのデータ更新を実現する簡単な例です。
import React, { useEffect, useState } from 'react';
const WebSocketExample = () => {
const [messages, setMessages] = useState([]);
useEffect(() => {
const socket = new WebSocket('wss://example.com/socket');
// 接続成功時
socket.onopen = () => {
console.log('WebSocket connection established');
};
// サーバーからのメッセージを受信
socket.onmessage = (event) => {
const data = JSON.parse(event.data);
setMessages((prevMessages) => [...prevMessages, data]);
};
// 接続エラー時
socket.onerror = (error) => {
console.error('WebSocket error:', error);
};
// 接続切断時
socket.onclose = () => {
console.log('WebSocket connection closed');
};
// クリーンアップ
return () => {
socket.close();
};
}, []);
return (
<div>
<h2>リアルタイムメッセージ</h2>
<ul>
{messages.map((msg, index) => (
<li key={index}>{msg.content}</li>
))}
</ul>
</div>
);
};
export default WebSocketExample;
この実装のポイント
- 接続の管理:
useEffect
フックを使用してコンポーネントのマウント時にWebSocket接続を確立します。 - リアルタイム更新:
onmessage
で受信したデータを状態に追加し、即座にUIに反映します。 - リソースの解放: コンポーネントのアンマウント時に
socket.close()
で接続を終了します。
次の章では、JotaiとWebSocketを組み合わせて、リアルタイムの状態管理をさらに効果的に行う方法を詳しく解説します。
JotaiとWebSocketの組み合わせ方
JotaiとWebSocketを組み合わせることで、リアルタイムのデータを効率的に管理できます。Jotaiのシンプルな状態管理の仕組みを活用し、WebSocketから受信したデータをReactアプリ全体で共有する方法を解説します。
JotaiとWebSocketを連携させる手順
- Atomを作成: WebSocketから受信したデータを保持するAtomを定義します。
- WebSocket接続の初期化: WebSocketを初期化し、メッセージをAtomに保存します。
- Atomをコンポーネントで利用: Jotaiの
useAtom
を使用して、リアルタイムの状態をUIに反映します。
コード例: WebSocketデータをJotaiで管理
以下の例は、JotaiのAtomを使用してWebSocketのデータをリアルタイムで管理する方法を示しています。
import React, { useEffect } from 'react';
import { atom, useAtom } from 'jotai';
// WebSocketデータを保持するAtom
const messagesAtom = atom([]);
// WebSocketのデータをAtomに保存する関数
const useWebSocket = (url) => {
const [, setMessages] = useAtom(messagesAtom);
useEffect(() => {
const socket = new WebSocket(url);
// サーバーからのメッセージをAtomに保存
socket.onmessage = (event) => {
const data = JSON.parse(event.data);
setMessages((prevMessages) => [...prevMessages, data]);
};
// 接続エラーやクリーンアップ処理
socket.onerror = (error) => {
console.error('WebSocket error:', error);
};
return () => socket.close();
}, [url, setMessages]);
};
const WebSocketExample = () => {
const [messages] = useAtom(messagesAtom);
// WebSocketを初期化
useWebSocket('wss://example.com/socket');
return (
<div>
<h2>リアルタイムメッセージ</h2>
<ul>
{messages.map((msg, index) => (
<li key={index}>{msg.content}</li>
))}
</ul>
</div>
);
};
export default WebSocketExample;
この実装の特徴
- 状態管理の分離: WebSocketデータをJotaiのAtomで管理することで、アプリのロジックを分離し、再利用性を向上させます。
- リアルタイム性の確保: WebSocketのメッセージを即座にAtomに追加し、リアクティブにUIを更新します。
- 簡潔なコード: Jotaiの柔軟なAPIを利用することで、煩雑な設定を避けつつリアルタイム機能を実現できます。
実践上の注意点
- エラーハンドリング: WebSocketの接続エラーや切断時の処理を適切に行い、アプリの安定性を確保します。
- スケーラビリティ: 大量のデータを扱う場合は、Atomのデータ構造や更新頻度を最適化することを検討します。
- テストとデバッグ: WebSocketの動作をテストする際には、モックサーバーを活用すると便利です。
この方法で、Jotaiを活用したリアルタイム状態管理がシンプルかつ効果的に実現できます。次の章では、イベントリスナーを活用した別のリアルタイム管理手法について解説します。
イベントリスナーを活用した状態管理
イベントリスナーを活用することで、アプリケーション内外のイベントに応じてリアルタイムの状態管理を行うことができます。ここでは、Reactでイベントリスナーを用いた状態管理の仕組みと、Jotaiを組み合わせた実装方法について解説します。
イベントリスナーを用いたリアルタイム状態管理の概要
イベントリスナーは、特定のイベント(例: ユーザーアクションや外部システムからの通知)が発生した際に指定した処理を実行する仕組みです。この機能を活用して、次のようなリアルタイムの状態管理が可能です。
- ブラウザイベント: ウィンドウサイズ変更、ネットワークステータスの変化、クリックやキーボード操作。
- カスタムイベント: アプリケーション内で発生する特定のイベント(例: データ更新、通知受信)。
イベントリスナーとJotaiの連携
イベントリスナーで取得したデータをJotaiのAtomに保存し、アプリ全体で共有する方法を以下に示します。
コード例: ウィンドウリサイズイベントをJotaiで管理
以下の例では、ウィンドウサイズの変更イベントをキャッチし、その情報をJotaiのAtomで管理します。
import React, { useEffect } from 'react';
import { atom, useAtom } from 'jotai';
// ウィンドウサイズを保存するAtom
const windowSizeAtom = atom({ width: window.innerWidth, height: window.innerHeight });
const useWindowResize = () => {
const [, setWindowSize] = useAtom(windowSizeAtom);
useEffect(() => {
const handleResize = () => {
setWindowSize({
width: window.innerWidth,
height: window.innerHeight,
});
};
// イベントリスナーの登録
window.addEventListener('resize', handleResize);
// クリーンアップ処理
return () => window.removeEventListener('resize', handleResize);
}, [setWindowSize]);
};
const WindowSizeDisplay = () => {
const [windowSize] = useAtom(windowSizeAtom);
useWindowResize();
return (
<div>
<h2>ウィンドウサイズ</h2>
<p>幅: {windowSize.width}px</p>
<p>高さ: {windowSize.height}px</p>
</div>
);
};
export default WindowSizeDisplay;
カスタムイベントの実装例
カスタムイベントを活用する場合、EventTarget
を利用してイベントを定義し、Jotaiで管理することができます。
import React, { useEffect } from 'react';
import { atom, useAtom } from 'jotai';
// カスタムイベントデータを保存するAtom
const customEventAtom = atom(null);
const useCustomEvent = (eventName, target = document) => {
const [, setEventData] = useAtom(customEventAtom);
useEffect(() => {
const handleEvent = (event) => {
setEventData(event.detail);
};
// カスタムイベントリスナーの登録
target.addEventListener(eventName, handleEvent);
// クリーンアップ処理
return () => target.removeEventListener(eventName, handleEvent);
}, [eventName, target, setEventData]);
};
const CustomEventExample = () => {
const [eventData] = useAtom(customEventAtom);
// カスタムイベントリスナーを設定
useCustomEvent('custom-event');
return (
<div>
<h2>カスタムイベントデータ</h2>
{eventData ? <p>{JSON.stringify(eventData)}</p> : <p>データなし</p>}
</div>
);
};
// カスタムイベントを発火するコード(例)
document.dispatchEvent(new CustomEvent('custom-event', { detail: { message: 'Hello, world!' } }));
実践上のポイント
- 効率的な更新: 必要なイベントだけをリスニングし、過剰な更新を避ける。
- スコープ管理: イベントリスナーを登録する範囲を適切に設定し、メモリリークを防ぐ。
- エラーハンドリング: 不正なイベントや予期しないデータに対する対処を実装する。
イベントリスナーとJotaiを組み合わせることで、Reactアプリケーションに高度なリアルタイム状態管理を簡単に導入できます。次の章では、エラーハンドリングとデバッグの方法について詳しく説明します。
エラーハンドリングとデバッグの実践例
リアルタイム状態管理では、エラーや予期しない動作が発生する可能性があります。これらの問題に迅速に対処するためには、適切なエラーハンドリングとデバッグ方法が不可欠です。ここでは、Jotaiとリアルタイム通信で発生する可能性のあるエラーの特定と解決方法を解説します。
リアルタイム状態管理におけるエラーの種類
- WebSocketの接続エラー
- ネットワークの不安定さやサーバーのダウンによるエラー。
- データ形式のエラー
- サーバーから送信されるデータの不整合や、期待する形式と異なる場合のエラー。
- UIの同期エラー
- 状態が更新されない、または不正確なデータが表示される場合。
- イベントリスナーの競合
- 不要なリスナーが登録されることによる動作の重複やバグ。
エラーハンドリングの実践例
WebSocketのエラーハンドリング
以下は、WebSocketの接続エラーに対処する例です。
import React, { useEffect } from 'react';
import { atom, useAtom } from 'jotai';
// WebSocketステータスを保持するAtom
const socketStatusAtom = atom('disconnected');
const messagesAtom = atom([]);
const useWebSocketWithErrorHandling = (url) => {
const [, setSocketStatus] = useAtom(socketStatusAtom);
const [, setMessages] = useAtom(messagesAtom);
useEffect(() => {
const socket = new WebSocket(url);
socket.onopen = () => {
setSocketStatus('connected');
};
socket.onmessage = (event) => {
try {
const data = JSON.parse(event.data);
setMessages((prevMessages) => [...prevMessages, data]);
} catch (error) {
console.error('データ形式エラー:', error);
}
};
socket.onerror = (error) => {
console.error('WebSocketエラー:', error);
setSocketStatus('error');
};
socket.onclose = () => {
setSocketStatus('disconnected');
};
return () => socket.close();
}, [url, setSocketStatus, setMessages]);
};
const WebSocketStatus = () => {
const [socketStatus] = useAtom(socketStatusAtom);
useWebSocketWithErrorHandling('wss://example.com/socket');
return (
<div>
<h2>WebSocketステータス</h2>
<p>接続状態: {socketStatus}</p>
</div>
);
};
export default WebSocketStatus;
イベントデータの検証とエラーハンドリング
カスタムイベントで受信したデータを検証し、不正なデータを無視する方法を示します。
const useCustomEventWithValidation = (eventName, validator) => {
useEffect(() => {
const handleEvent = (event) => {
if (validator(event.detail)) {
console.log('有効なデータ:', event.detail);
} else {
console.error('不正なデータ:', event.detail);
}
};
document.addEventListener(eventName, handleEvent);
return () => document.removeEventListener(eventName, handleEvent);
}, [eventName, validator]);
};
// 使用例
useCustomEventWithValidation('custom-event', (data) => typeof data === 'object' && data !== null);
デバッグツールと手法
- ブラウザのデベロッパーツール
- Consoleタブでエラーメッセージを確認。
- NetworkタブでWebSocket通信をモニタリング。
- Jotai DevTools
- 状態の変化を可視化するための便利なツールです。
npm install jotai-devtools
- ロギングと通知
- 状態やエラーの発生をログに記録し、必要に応じてユーザーに通知します。
const logError = (message) => {
console.error(message);
alert(`エラー: ${message}`);
};
まとめ: エラーハンドリングのポイント
- エラーを予測し、事前に対策を実装: 例外ケースを想定したコードを書く。
- 明確なエラーメッセージを提供: ユーザーや開発者が問題を迅速に特定できるようにする。
- デバッグツールを活用: 状態や通信状況をモニタリングして問題を特定。
次の章では、複数コンポーネントでの状態共有の課題とその解決策について解説します。
複数コンポーネントでの状態共有の課題と解決策
複数のコンポーネント間で状態を共有することは、Reactアプリケーションの開発における重要な課題です。状態管理の不備は、バグやパフォーマンスの低下につながることがあります。ここでは、Jotaiを活用して、複数コンポーネント間で状態を共有する際の課題とその解決策を解説します。
課題: 状態共有の複雑さ
複数コンポーネント間で状態を共有する際、以下のような課題が発生することがあります。
- リレンダリングの最適化
- 不必要なリレンダリングが発生し、アプリのパフォーマンスが低下する。
- 状態の同期問題
- 共有状態が正しく更新されないことで、UIに不整合が生じる。
- スケーラビリティの確保
- アプリケーションが大規模になると、状態管理が煩雑化する。
Jotaiによる解決策
1. Atomを使った状態共有
Jotaiのatom
を利用することで、簡単に共有可能な状態を定義できます。
import { atom } from 'jotai';
// グローバルに共有するAtom
export const sharedStateAtom = atom('初期状態');
どのコンポーネントでもこのAtomを使うことで、同じ状態を参照・更新できます。
2. 必要なコンポーネントだけを再描画
Jotaiは依存するコンポーネントだけを再描画するため、パフォーマンスの最適化に寄与します。以下は、共有状態を操作する例です。
import React from 'react';
import { useAtom } from 'jotai';
import { sharedStateAtom } from './atoms';
const ComponentA = () => {
const [sharedState, setSharedState] = useAtom(sharedStateAtom);
return (
<div>
<h2>ComponentA</h2>
<p>共有状態: {sharedState}</p>
<button onClick={() => setSharedState('ComponentAが更新')}>更新</button>
</div>
);
};
const ComponentB = () => {
const [sharedState] = useAtom(sharedStateAtom);
return (
<div>
<h2>ComponentB</h2>
<p>共有状態: {sharedState}</p>
</div>
);
};
export { ComponentA, ComponentB };
3. Derived Atomで派生状態を管理
JotaiのDerived Atom
を使用すると、共有状態から派生するデータを効率的に管理できます。
import { atom } from 'jotai';
// 基本的な状態
export const baseStateAtom = atom(0);
// 派生状態
export const derivedStateAtom = atom((get) => get(baseStateAtom) * 2);
派生状態は他のコンポーネントで利用できます。
import { useAtom } from 'jotai';
import { baseStateAtom, derivedStateAtom } from './atoms';
const DerivedComponent = () => {
const [baseState, setBaseState] = useAtom(baseStateAtom);
const [derivedState] = useAtom(derivedStateAtom);
return (
<div>
<h2>DerivedComponent</h2>
<p>元の状態: {baseState}</p>
<p>派生状態: {derivedState}</p>
<button onClick={() => setBaseState(baseState + 1)}>増加</button>
</div>
);
};
export default DerivedComponent;
実践上のポイント
- Atomの粒度を適切に設定する
- 状態が必要以上に大きくならないよう、Atomを分割して管理します。
- 状態のスコープを明確にする
- 状態をローカルにするか、グローバルに共有するかを明確に区別します。
- パフォーマンスをモニタリングする
- React DevToolsを使用してリレンダリングの頻度を確認し、必要に応じて最適化します。
まとめ
Jotaiを活用することで、複数コンポーネント間での状態共有が簡潔かつ効率的に行えます。AtomやDerived Atomを適切に使用し、スケーラブルで保守性の高いリアルタイム状態管理を実現しましょう。次の章では、学んだ内容を活用した実践アプリケーションの構築例を紹介します。
実践アプリケーション構築例
これまで学んだ内容を活用して、リアルタイムチャットアプリケーションを構築します。このアプリでは、WebSocketとJotaiを組み合わせて、リアルタイムでのメッセージ送受信と表示を実現します。
アプリケーションの概要
このリアルタイムチャットアプリでは以下の機能を実装します。
- メッセージの送信と受信: ユーザーが送信したメッセージを他のクライアントにリアルタイムで配信。
- メッセージのリスト表示: WebSocketで受信したメッセージを即時にUIに反映。
- エラーハンドリング: 接続エラーやデータ形式の不整合に対応。
アプリケーションの構築ステップ
1. 必要なライブラリのインストール
まず、必要な依存関係をインストールします。
npm install react jotai
2. WebSocketデータを管理するAtomの作成
メッセージリストと接続状態を保持するためのAtomを定義します。
import { atom } from 'jotai';
// メッセージリストを管理するAtom
export const messagesAtom = atom([]);
// WebSocket接続ステータスを管理するAtom
export const connectionStatusAtom = atom('disconnected');
3. WebSocketを利用したリアルタイム通信
WebSocketを初期化し、メッセージの送受信を管理するカスタムフックを作成します。
import { useEffect } from 'react';
import { useAtom } from 'jotai';
import { messagesAtom, connectionStatusAtom } from './atoms';
const useChatWebSocket = (url) => {
const [, setMessages] = useAtom(messagesAtom);
const [, setConnectionStatus] = useAtom(connectionStatusAtom);
useEffect(() => {
const socket = new WebSocket(url);
socket.onopen = () => {
setConnectionStatus('connected');
};
socket.onmessage = (event) => {
const data = JSON.parse(event.data);
setMessages((prevMessages) => [...prevMessages, data]);
};
socket.onerror = (error) => {
console.error('WebSocket error:', error);
setConnectionStatus('error');
};
socket.onclose = () => {
setConnectionStatus('disconnected');
};
return () => socket.close();
}, [url, setMessages, setConnectionStatus]);
};
export default useChatWebSocket;
4. メッセージ送信コンポーネント
ユーザーがメッセージを送信できる入力フォームを作成します。
import React, { useState } from 'react';
const MessageInput = ({ socket }) => {
const [message, setMessage] = useState('');
const sendMessage = () => {
if (socket && socket.readyState === WebSocket.OPEN) {
socket.send(JSON.stringify({ content: message }));
setMessage('');
}
};
return (
<div>
<input
type="text"
value={message}
onChange={(e) => setMessage(e.target.value)}
placeholder="メッセージを入力"
/>
<button onClick={sendMessage}>送信</button>
</div>
);
};
export default MessageInput;
5. メッセージ表示コンポーネント
受信したメッセージをリアルタイムでリスト表示します。
import React from 'react';
import { useAtom } from 'jotai';
import { messagesAtom } from './atoms';
const MessageList = () => {
const [messages] = useAtom(messagesAtom);
return (
<div>
<h2>メッセージ一覧</h2>
<ul>
{messages.map((msg, index) => (
<li key={index}>{msg.content}</li>
))}
</ul>
</div>
);
};
export default MessageList;
6. アプリケーションの統合
これらのコンポーネントを統合して、リアルタイムチャットアプリを完成させます。
import React from 'react';
import useChatWebSocket from './useChatWebSocket';
import MessageInput from './MessageInput';
import MessageList from './MessageList';
const ChatApp = () => {
const socketUrl = 'wss://example.com/chat';
useChatWebSocket(socketUrl);
return (
<div>
<h1>リアルタイムチャット</h1>
<MessageList />
<MessageInput />
</div>
);
};
export default ChatApp;
完成したアプリの動作
- ユーザーがメッセージを入力して送信すると、サーバーに送信され、他のクライアントにも配信されます。
- メッセージ一覧はリアルタイムで更新され、新しいメッセージが即座に反映されます。
- エラーハンドリングが実装されているため、接続エラー時にも安定した動作が期待できます。
応用アイデア
- 認証機能の追加: ユーザーごとのメッセージ管理を実現する。
- 既読機能: メッセージが既読になったタイミングを管理する。
- テーマ切り替え: ユーザーがUIテーマを変更できるオプションを提供。
このアプリケーションを通じて、JotaiとWebSocketを活用したリアルタイム状態管理の実践的な手法を理解できたはずです。次の章ではこの記事全体の内容を簡潔にまとめます。
まとめ
本記事では、Jotaiを活用したReactアプリケーションのリアルタイム状態管理について解説しました。Jotaiのシンプルかつ効率的な設計を基盤に、WebSocketやイベントリスナーを組み合わせて、動的でリアルタイム性の高いアプリケーションを構築する手法を学びました。
- Jotaiの基本概念と、リアルタイム性が求められるシナリオでの強みを確認しました。
- WebSocketを使ったデータ更新の仕組みを学び、リアルタイムのデータ送受信を実現しました。
- イベントリスナーの活用方法や、エラーハンドリングとデバッグの具体例を通じて、開発効率を向上させる手法を探りました。
- 最後に、学んだ内容を応用して、実際のリアルタイムチャットアプリケーションを構築しました。
Jotaiは、特にリアルタイム通信を伴うアプリケーションでの効率的な状態管理に適しています。これを活用して、スケーラブルで使いやすいアプリケーションを構築してください。今後のプロジェクトでぜひお役立てください!
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