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React Static Routerでのサーバーサイドレンダリング手法を徹底解説

React

Reactアプリケーションを構築する際、ユーザー体験の向上や検索エンジン最適化（SEO）の強化を目指すなら、サーバーサイドレンダリング（SSR）は欠かせない技術です。その中で、Static Routerを活用することにより、効率的かつシンプルにSSRを実現する方法があります。本記事では、ReactアプリでStatic Routerを使用してサーバーサイドレンダリングを行う具体的な手法を解説します。初心者にも分かりやすいように基本から応用まで網羅し、実践的な知識を提供します。これを読めば、プロジェクトにSSRを導入する際の道筋が明確になります。

目次

サーバーサイドレンダリング(SSR)の基礎知識

サーバーサイドレンダリング（SSR）は、Reactアプリケーションをサーバー上で初期レンダリングし、その結果として生成されたHTMLをクライアントに送信する手法です。これにより、ブラウザ側でJavaScriptが完全に読み込まれる前にページコンテンツが表示され、ユーザーに迅速な視覚的フィードバックを提供します。

SSRの主なメリット

SEO強化

検索エンジンがJavaScriptを十分に解析できない場合でも、SSRを使用すれば完全なHTMLを提供できるため、検索エンジン最適化が向上します。

ユーザー体験の向上

サーバーから直接HTMLを配信することで、初回レンダリングの速度が向上し、ユーザーが「空白のページ」を見る時間が短縮されます。

共有性の向上

SNSなどでリンクを共有した際、SSRによりOGタグやメタデータが適切に設定され、リンクプレビューが正確になります。

SSRとクライアントサイドレンダリング(CSR)の違い

CSRでは、アプリケーションのレンダリングがブラウザ側で行われます。一方、SSRではサーバーがHTMLを生成し、ブラウザに配信します。この違いにより、SSRは初期表示が高速で、SEOに適している反面、サーバー負荷が増加する場合があります。

SSRは、ユーザー体験の向上とSEO最適化を実現するために、特にコンテンツ重視のWebアプリケーションで採用される重要な手法です。

Static Routerとは？

Static Routerは、React Routerライブラリの一部で、サーバーサイドレンダリング（SSR）専用に設計されたルーターコンポーネントです。通常のBrowser RouterやMemory Routerとは異なり、サーバー環境でルーティングを処理するために最適化されています。

Static Routerの概要

Static Routerは、サーバー上でReactコンポーネントをルーティングする際に使用されます。具体的には、リクエストURLを元に適切なReactコンポーネントをレンダリングし、生成されたHTMLをクライアントに送信します。このプロセスにより、サーバーがクライアントに静的なHTMLを提供できます。

Static Routerと他のルーターの違い

Browser Routerとの違い

Browser Routerはクライアントサイドでの動的ルーティングに適しており、ヒストリーAPIを利用してルートを管理します。一方、Static Routerはサーバーサイドでの静的ルーティングに特化しています。

Memory Routerとの違い

Memory Routerは、テストや特定のユースケースでのメモリ内でのルーティングをサポートしますが、Static RouterはSSRに最適化され、クライアントに完全なHTMLを返す機能に焦点を当てています。

Static Routerの特徴

  • URLの受け渡し：Static Routerは、リクエストされたURLをプロパティとして受け取り、そのURLに基づいて適切なルートを選択します。
  • SSR専用：ReactコンポーネントをSSRで使用する際に必要不可欠なコンポーネントです。
  • サーバー環境に適応：サーバーでのレンダリングに必要な最低限の機能を提供し、軽量かつ高速です。

Static Routerは、Reactで効率的なSSRを実現するための重要なツールであり、その理解がSSRの成功の鍵となります。

SSRでStatic Routerを使う利点

Static Routerは、サーバーサイドレンダリング（SSR）を実装する際に特に有用なツールであり、他のルーターに比べていくつかの明確な利点があります。これにより、Reactアプリケーションのパフォーマンスと柔軟性が向上します。

SSRに適した構造

Static RouterはSSRのために設計されており、サーバー上でのレンダリングプロセスに適した軽量なアプローチを提供します。ブラウザやクライアント環境に依存する要素を排除することで、サーバー上で簡単かつ効率的にレンダリングを行えます。

クライアントへの迅速なHTML提供

Static Routerを使用することで、サーバーはリクエストURLに基づいて完全なHTMLを生成してクライアントに送信します。これにより、初回表示速度が向上し、ユーザー体験が改善されます。

URLベースのルーティングの簡潔さ

Static Routerは、リクエストURLを直接受け取って処理するため、サーバーサイドでのルーティング処理がシンプルです。この構造により、明確で直感的なルーティングが可能になります。

SEOの最適化

SSRの主要な目的の一つであるSEOの強化においても、Static Routerは非常に有効です。検索エンジンはクライアントサイドで生成されたコンテンツを完全にはクロールできないことがありますが、Static Routerを使用したSSRでは、完全なHTMLがサーバーから直接提供されるため、SEOパフォーマンスが向上します。

軽量で設定が簡単

Static Routerは、他のルーターと比べてシンプルなAPIを提供しており、SSRを導入する際の設定が容易です。また、無駄な依存関係がなく、SSRプロジェクトの効率を高めます。

実用例

例えば、ブログプラットフォームのようにSEOが重要なアプリケーションでは、Static Routerを使用することで、投稿ごとに適切なメタタグやHTMLを生成し、検索エンジンのランキング向上を図ることができます。

Static Routerを使うことで、SSRの導入がスムーズになり、Reactアプリケーションの価値が一層高まります。

必要な環境とセットアップ

Static Routerを使用してサーバーサイドレンダリング（SSR）を実現するには、適切な環境構築と基本的なツールの設定が必要です。このセクションでは、必要な環境とセットアップ手順を詳しく解説します。

必要なツールとライブラリ

SSRを始めるには以下のツールとライブラリをインストールします。

Node.js

SSRではサーバーサイドのレンダリングを行うためにNode.jsが必須です。公式サイトから最新のLTS版をインストールしてください。

ReactとReact DOM

基本的なReactアプリケーションの開発に必要なライブラリです。

npm install react react-dom

React Router DOM

Static Routerを利用するために必要なライブラリです。

npm install react-router-dom

Babel（必要に応じて）

最新のJavaScript構文をサポートするためにBabelを利用します。

npm install @babel/core @babel/node @babel/preset-env @babel/preset-react

その他

サーバーを立ち上げるためにExpress.jsや、HTMLテンプレートを操作するためのツールが必要です。

npm install express

プロジェクトのセットアップ

  1. プロジェクトディレクトリの作成
    新しいディレクトリを作成し、npm initでNode.jsプロジェクトを初期化します。
   mkdir ssr-static-router-example
   cd ssr-static-router-example
   npm init -y
  1. ディレクトリ構造の準備
    以下のような構造を作成します。
   ssr-static-router-example/
   ├── public/
   │   └── index.html
   ├── src/
   │   ├── App.jsx
   │   └── server.js
   ├── package.json
   └── babel.config.js
  1. Babelの設定
    babel.config.jsファイルを作成し、以下の内容を追加します。
   module.exports = {
     presets: ['@babel/preset-env', '@babel/preset-react'],
   };
  1. Expressサーバーの設定
    src/server.jsファイルを作成し、Expressで簡単なSSRサーバーを構築します。
   const express = require('express');
   const React = require('react');
   const ReactDOMServer = require('react-dom/server');
   const { StaticRouter } = require('react-router-dom/server');
   const App = require('./App');

   const app = express();

   app.use(express.static('public'));

   app.get('*', (req, res) => {
     const context = {};
     const html = ReactDOMServer.renderToString(
       <StaticRouter location={req.url} context={context}>
         <App />
       </StaticRouter>
     );

     res.send(`
       <!DOCTYPE html>
       <html>
       <head>
         <title>React SSR with Static Router</title>
       </head>
       <body>
         <div id="root">${html}</div>
       </body>
       </html>
     `);
   });

   app.listen(3000, () => console.log('Server is running on http://localhost:3000'));
  1. Reactコンポーネントの準備
    src/App.jsxファイルに簡単なReactコンポーネントを作成します。
   import React from 'react';
   import { Routes, Route } from 'react-router-dom';

   const Home = () => <h1>Home Page</h1>;
   const About = () => <h1>About Page</h1>;

   const App = () => (
     <Routes>
       <Route path="/" element={<Home />} />
       <Route path="/about" element={<About />} />
     </Routes>
   );

   export default App;

サーバーの起動

以下のコマンドを実行してサーバーを起動します。

npx babel-node src/server.js

ブラウザで http://localhost:3000 にアクセスすると、Static Routerを使用したSSRのReactアプリケーションが表示されます。

セットアップの完了

これで、Static Routerを利用したSSRの基本的な環境構築が完了しました。この環境を基に、次のセクションでさらに高度な機能や最適化方法を探求していきます。

Static Routerを利用した基本的なSSRの実装手順

Static Routerを活用してReactアプリケーションをサーバーサイドでレンダリングする方法を、具体的なコードを交えながら解説します。

サンプルプロジェクトの概要

以下の手順では、Static Routerを用いたシンプルなSSRアプリケーションを構築します。このアプリケーションは、/（ホーム）と/about（アバウト）の2つのルートを持ち、対応するHTMLをサーバーで生成します。

手順1: Static Routerを使ったサーバーの設定

サーバーサイドでReactコンポーネントをレンダリングするために、Static Routerを設定します。以下は、server.jsファイルの例です。

const express = require('express');
const React = require('react');
const ReactDOMServer = require('react-dom/server');
const { StaticRouter } = require('react-router-dom/server');
const App = require('./App'); // Reactアプリケーションのエントリポイント

const app = express();

// 静的ファイルを提供
app.use(express.static('public'));

// すべてのリクエストを処理
app.get('*', (req, res) => {
  const context = {};

  // Static Routerを使用してリクエストURLに基づきレンダリング
  const appHTML = ReactDOMServer.renderToString(
    <StaticRouter location={req.url} context={context}>
      <App />
    </StaticRouter>
  );

  // HTMLテンプレートを作成して返却
  res.send(`
    <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
      <title>React SSR Example</title>
    </head>
    <body>
      <div id="root">${appHTML}</div>
      <script src="/main.js"></script>
    </body>
    </html>
  `);
});

// サーバーを起動
app.listen(3000, () => {
  console.log('Server running at http://localhost:3000');
});

手順2: Reactコンポーネントの作成

次に、Reactコンポーネントを作成します。App.jsxに以下の内容を記述します。

import React from 'react';
import { Routes, Route } from 'react-router-dom';

const Home = () => <h1>Welcome to the Home Page</h1>;
const About = () => <h1>About Us</h1>;

const App = () => (
  <Routes>
    <Route path="/" element={<Home />} />
    <Route path="/about" element={<About />} />
  </Routes>
);

export default App;

このコードでは、2つのルート（/と/about）を定義しています。

手順3: クライアントサイドのセットアップ

サーバーサイドでレンダリングされたHTMLにReactのクライアントサイド機能を紐付けます。client.jsを作成し、以下の内容を記述します。

import React from 'react';
import { hydrate } from 'react-dom';
import { BrowserRouter } from 'react-router-dom';
import App from './App';

// サーバーでレンダリングされたアプリケーションをクライアントで再初期化
hydrate(
  <BrowserRouter>
    <App />
  </BrowserRouter>,
  document.getElementById('root')
);

手順4: バンドルとビルドの準備

Webアプリケーションのクライアントサイドコードをバンドルするために、webpackなどのツールを利用します。webpack.config.jsを以下のように設定します。

const path = require('path');

module.exports = {
  entry: './src/client.js',
  output: {
    path: path.resolve(__dirname, 'public'),
    filename: 'main.js',
  },
  module: {
    rules: [
      {
        test: /\.jsx?$/,
        exclude: /node_modules/,
        use: {
          loader: 'babel-loader',
          options: {
            presets: ['@babel/preset-env', '@babel/preset-react'],
          },
        },
      },
    ],
  },
  resolve: {
    extensions: ['.js', '.jsx'],
  },
};

手順5: サーバーの起動と確認

以下のコマンドでアプリケーションをビルドし、サーバーを起動します。

npx webpack --mode production
node src/server.js

ブラウザで http://localhost:3000 にアクセスして、ルート（/）や/aboutに移動し、SSRが正常に動作していることを確認します。

完成したアプリケーションの動作

Static Routerを利用したこのSSRアプリケーションでは、クライアントが最初にリクエストを送ると、サーバー側でレンダリングされた完全なHTMLが返されます。その後、クライアントサイドのReactが再初期化され、完全なSPA（シングルページアプリケーション）として動作します。

この基本構成を応用することで、さらに高度なSSRアプリケーションを構築できます。

エラーハンドリングとトラブルシューティング

Static Routerを利用したサーバーサイドレンダリング（SSR）の実装中には、いくつかの一般的なエラーが発生する可能性があります。このセクションでは、よくある問題とその解決策について詳しく説明します。

よくあるエラーとその対処法

1. “Invariant Violation: You should not use in SSR”

このエラーは、SSRで使用するルーターがStatic RouterではなくBrowser Routerになっている場合に発生します。

解決策: サーバーサイドでは必ずStaticRouterを使用してください。AppコンポーネントでBrowserRouterを使用していないか確認し、適切なルーターを選択しましょう。

<StaticRouter location={req.url} context={context}>
  <App />
</StaticRouter>

2. “Error: Rendered fewer hooks than expected”

このエラーは、サーバーサイドとクライアントサイドの状態が一致しない場合に発生します。たとえば、サーバー側でのレンダリング結果がクライアント側と異なる場合です。

解決策: 状態の同期を確認してください。

  • サーバーで提供するデータ（例: propsやcontext）がクライアントと一致していることを確認します。
  • サーバー側でReactのレンダリング中に副作用（例えば、useEffect）を使用しないように注意します。

3. “Warning: Expected server HTML to contain a matching “

このエラーは、サーバーサイドで生成されたHTMLがクライアントサイドのReactによるレンダリングと一致していない場合に表示されます。

解決策:

  • HTMLの不一致の原因を調べます。多くの場合、クライアントサイドでのレンダリングに余計な状態変更や異なるデータが含まれています。
  • 環境変数やユーザーごとの動的なデータを慎重に扱います。

4. 404ページが正しくレンダリングされない

Static Routerでは、リクエストされたルートが存在しない場合、404エラーページを適切にレンダリングする必要があります。

解決策:
StaticRouterのcontextを使用して、404エラーページをハンドリングします。

const context = {};
const html = ReactDOMServer.renderToString(
  <StaticRouter location={req.url} context={context}>
    <App />
  </StaticRouter>
);

if (context.status === 404) {
  res.status(404);
}

res.send(html);

デバッグのためのツールと方法

1. サーバーログを活用する

  • サーバーのログにリクエストURLやエラースタックを出力します。
  • console.logを活用して、StaticRouterに渡されるlocationやcontextの内容を確認します。

2. React DevToolsでクライアントサイドを確認

  • サーバーレンダリング後、React DevToolsを使用してクライアントサイドの状態を確認します。
  • クライアントでの初期状態がサーバーの出力と一致しているかを検証します。

3. ReactのStrict Mode

  • Strict Modeを有効にして、非推奨のAPIや潜在的な問題を検出します。
import React from 'react';

const App = () => (
  <React.StrictMode>
    <YourComponent />
  </React.StrictMode>
);

トラブルシューティングのベストプラクティス

1. 小さなステップで実装を進める

SSRの実装を段階的に進めて、各段階で結果を確認します。例えば、最初は単純なHTMLのレンダリングから始め、その後Reactコンポーネントを追加します。

2. 状態管理を適切に設定

  • クライアントサイドとサーバーサイドでの状態の不一致を避けるため、ReduxやContext APIを活用して統一的に管理します。

3. 外部リソースのロードに注意

  • サーバーで非同期データを取得する場合、データが完全に揃ってからHTMLを生成するようにします。

Static Routerを使ったSSRでエラーが発生するのは珍しいことではありませんが、適切な方法で対処すれば、安定したアプリケーションを構築できます。これらの解決策とトラブルシューティング方法を活用して、効率的に問題を解決してください。

パフォーマンスの最適化

Static Routerを使用したサーバーサイドレンダリング（SSR）は、適切に最適化することで、より高速で効率的なアプリケーションを提供できます。このセクションでは、SSRにおけるパフォーマンス向上のためのベストプラクティスと具体的な方法を解説します。

1. レンダリングプロセスの効率化

Reactコンポーネントの分割

  • 必要な箇所のみをレンダリングするために、コンポーネントをコードスプリッティングで分割します。
  • ReactのReact.lazyやSuspenseを活用して、必要なコンポーネントを遅延読み込みします。
import React, { Suspense } from 'react';

const LazyComponent = React.lazy(() => import('./LazyComponent'));

const App = () => (
  <Suspense fallback={<div>Loading...</div>}>
    <LazyComponent />
  </Suspense>
);

サーバーサイドのキャッシュ

  • 頻繁に変更されないHTMLやデータをキャッシュすることで、再レンダリングを避け、サーバー負荷を軽減します。
  • キャッシュ戦略として、メモリキャッシュ（例: node-cache）やHTTPキャッシュヘッダー（例: ETag）を利用します。

2. クライアントサイドとのデータ同期

初期データのプリロード

  • サーバーでレンダリングしたデータをクライアントサイドに渡すために、windowオブジェクトにデータを埋め込みます。
app.get('*', (req, res) => {
  const data = fetchDataForURL(req.url);
  const appHTML = ReactDOMServer.renderToString(
    <StaticRouter location={req.url}>
      <App initialData={data} />
    </StaticRouter>
  );

  res.send(`
    <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
      <title>SSR App</title>
    </head>
    <body>
      <div id="root">${appHTML}</div>
      <script>window.__INITIAL_DATA__ = ${JSON.stringify(data)}</script>
      <script src="/main.js"></script>
    </body>
    </html>
  `);
});

データフェッチの最適化

  • 必要なデータだけをリクエストするためにGraphQLやREST APIのクエリを最適化します。
  • 並列リクエストを活用して、データフェッチの速度を向上させます。

3. リソースの最適化

圧縮とミニファイ

  • HTML、CSS、JavaScriptを圧縮し、転送サイズを削減します。例えば、GzipやBrotliを有効化します。
  • Webpackのmodeをproductionに設定して、バンドルサイズを最小化します。
npx webpack --mode production

画像とアセットの最適化

  • 大きな画像はレスポンシブフォーマットに変換し、<picture>タグを使用して適切なサイズを提供します。
  • WebP形式などの効率的なフォーマットを利用します。

4. SSR固有の最適化

ストリーミングレンダリング

  • renderToStringの代わりにrenderToPipeableStream（React 18以降）を使用して、サーバーが部分的にレンダリングしたHTMLをクライアントにストリーミング送信します。
import { renderToPipeableStream } from 'react-dom/server';

app.get('*', (req, res) => {
  const stream = renderToPipeableStream(
    <StaticRouter location={req.url}>
      <App />
    </StaticRouter>,
    {
      onShellReady() {
        res.statusCode = 200;
        res.setHeader('Content-Type', 'text/html');
        stream.pipe(res);
      },
    }
  );
});

Critical CSSの抽出

  • 初期レンダリングに必要なCSSだけを抽出して埋め込みます。styled-componentsやemotionを使用すると自動的に対応可能です。
import { ServerStyleSheet } from 'styled-components';

const sheet = new ServerStyleSheet();
const appHTML = renderToString(sheet.collectStyles(<App />));
const styleTags = sheet.getStyleTags();

res.send(`
  <!DOCTYPE html>
  <html>
  <head>
    ${styleTags}
  </head>
  <body>
    <div id="root">${appHTML}</div>
    <script src="/main.js"></script>
  </body>
  </html>
`);

5. サーバーインフラの最適化

ロードバランシング

  • トラフィックが増加した場合、複数のサーバーを利用して負荷を分散します。

CDNの活用

  • 静的アセット（画像、CSS、JavaScriptなど）をCDNに配信させることで、サーバー負荷を軽減します。

まとめ

Static Routerを活用したSSRのパフォーマンスを最大化するためには、レンダリングプロセス、データ同期、リソース管理、サーバー構成を総合的に最適化する必要があります。これらの最適化手法を実践することで、Reactアプリケーションの速度と効率が向上し、ユーザー体験がさらに向上します。

応用例：SEO最適化とDynamic Routing

Static Routerを活用したサーバーサイドレンダリング（SSR）は、SEO（検索エンジン最適化）を強化し、動的ルーティングにも対応できます。このセクションでは、具体的な応用例を通じて、Static Routerのさらなる可能性を探ります。

SEO最適化の応用

メタタグの動的生成

検索エンジンに適切な情報を提供するために、リクエストされたURLに基づいて動的にメタタグを生成します。

app.get('*', (req, res) => {
  const context = {};
  const meta = getMetaForURL(req.url); // URLに基づいてメタ情報を取得
  const html = ReactDOMServer.renderToString(
    <StaticRouter location={req.url} context={context}>
      <App />
    </StaticRouter>
  );

  res.send(`
    <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
      <title>${meta.title}</title>
      <meta name="description" content="${meta.description}">
      <meta property="og:title" content="${meta.ogTitle}">
      <meta property="og:description" content="${meta.ogDescription}">
    </head>
    <body>
      <div id="root">${html}</div>
      <script src="/main.js"></script>
    </body>
    </html>
  `);
});

この方法により、ページごとに異なるタイトルや説明を設定し、検索エンジンが適切にコンテンツをインデックスできるようにします。

構造化データの追加

Googleなどの検索エンジンがページ内容を理解しやすくするために、構造化データを埋め込みます。

const structuredData = {
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "WebPage",
  "name": "Example Page",
  "description": "This is an example of structured data for SEO.",
};

res.send(`
  <script type="application/ld+json">
    ${JSON.stringify(structuredData)}
  </script>
`);

Dynamic Routingの応用

動的ルートの定義

Static Routerを用いて、動的なURL（例: /products/:id）に対応するページをレンダリングします。

import React from 'react';
import { Routes, Route } from 'react-router-dom';

const Product = ({ id }) => <h1>Product ID: {id}</h1>;

const App = () => (
  <Routes>
    <Route path="/products/:id" element={<Product />} />
  </Routes>
);

export default App;

サーバーでは、リクエストされたURLのパラメータを取得し、それに応じて適切なデータをレンダリングします。

app.get('/products/:id', (req, res) => {
  const { id } = req.params;
  const productData = getProductDataById(id); // データベースまたはAPIからデータを取得

  const html = ReactDOMServer.renderToString(
    <StaticRouter location={req.url}>
      <App initialData={productData} />
    </StaticRouter>
  );

  res.send(`
    <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
      <title>Product ${id}</title>
      <meta name="description" content="Details about product ${id}">
    </head>
    <body>
      <div id="root">${html}</div>
      <script src="/main.js"></script>
    </body>
    </html>
  `);
});

ユーザー認証とアクセス制御

動的ルーティングは、認証システムとも統合可能です。認証済みユーザーのみ特定のルートにアクセスできるようにします。

app.get('/dashboard', (req, res) => {
  if (!req.isAuthenticated()) {
    return res.redirect('/login');
  }

  const html = ReactDOMServer.renderToString(
    <StaticRouter location={req.url}>
      <Dashboard />
    </StaticRouter>
  );

  res.send(`
    <!DOCTYPE html>
    <html>
    <body>
      <div id="root">${html}</div>
    </body>
    </html>
  `);
});

実用例のまとめ

  1. SEOの強化: ページごとに適切なメタタグや構造化データを設定することで、検索エンジンにインデックスされやすくします。
  2. 動的ルーティング: URLのパラメータに応じた柔軟なページ生成が可能です。
  3. ユーザー体験の向上: リアルタイムでのデータ提供とアクセス制御を組み合わせ、よりパーソナライズされたアプリケーションを構築できます。

Static Routerを活用することで、SEOと動的ルーティングを強化し、スケーラブルで検索エンジンに優しいReactアプリケーションを作成できます。

まとめ


本記事では、Static Routerを活用したReactのサーバーサイドレンダリング（SSR）手法について解説しました。SSRの基本概念やStatic Routerの利点、環境設定から具体的な実装手順、パフォーマンスの最適化、SEO強化、動的ルーティングの応用例まで、幅広くカバーしました。

Static Routerを使用することで、Reactアプリケーションの初期表示速度の向上やSEOパフォーマンスの強化、柔軟なルーティングの実現が可能です。これにより、モダンなウェブアプリケーションに求められる機能や品質を効率よく提供できます。

この知識を活用して、スケーラブルでパフォーマンスに優れたアプリケーションを構築してください。さらなる応用として、ストリーミングレンダリングやキャッシュ戦略を組み合わせることで、次のレベルの最適化も目指せるでしょう。

React
React サーバーサイドレンダリング SSR Static Router

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