ReactでuseRefを使ったDOM要素管理の徹底解説

Reactでアプリケーションを開発する際、多くの場面でDOM要素に直接アクセスする必要が生じます。たとえば、フォーム入力フィールドに自動的にフォーカスを設定したり、スクロール位置を調整したりするような状況です。通常、Reactでは仮想DOMを介した宣言的なUI操作が推奨されますが、どうしても直接DOM操作が必要な場合には、useRefというフックが非常に役立ちます。本記事では、ReactでのuseRefの基本的な使い方から、DOM要素の管理における応用例まで、具体的なコード例を交えながら徹底解説していきます。useRefを正しく使いこなせば、効率的で直感的なDOM操作が可能となり、アプリケーションのパフォーマンスと開発効率を向上させることができます。

目次

useRefの基本概念


useRefは、Reactのフックの一つで、特定のDOM要素や値を保持するための参照を作成するために使用されます。useRefを利用すると、Reactの再レンダリングサイクルに影響を与えずに、値を記憶することができます。これは、以下のような特徴を持つためです。

useRefの主な特徴

  1. 再レンダリングを引き起こさない:
    useRefの値を更新しても、コンポーネントの再レンダリングは発生しません。そのため、パフォーマンスに影響を与えずに値を保持できます。
  2. 初期値を設定可能:
    useRefの初期値を設定することで、状態を初期化できます。たとえば、const ref = useRef(null);のように宣言します。
  3. 参照するオブジェクトが固定:
    useRefによって返されるオブジェクトは、コンポーネントのライフサイクル全体で同じオブジェクトとして維持されます。

useRefの用途

  • DOM要素への参照:
    特定のDOM要素を操作したい場合に使用します。例: スクロール位置の設定やフォーカスの操作。
  • 値のキャッシュ:
    再レンダリングを伴わずに値を保持する場合に役立ちます。例: 前回のレンダリング値を記録する。
  • 外部ライブラリの統合:
    外部ライブラリが必要とするDOM要素への直接的なアクセスを提供します。

これらの特性により、useRefはReactにおける強力なツールとなります。次のセクションでは、具体的にuseRefを使用してDOM要素にアクセスする方法を詳しく解説します。

DOM要素へのアクセス方法


useRefを使えば、Reactコンポーネント内から特定のDOM要素に直接アクセスできます。これは、仮想DOMを介さずにリアルなDOM操作が必要な場合に非常に有用です。以下では、DOM要素にアクセスする基本的な手順を解説します。

1. `useRef`の宣言


まず、useRefフックをインポートし、参照を保持するための変数を作成します。初期値は通常nullです。

import React, { useRef } from 'react';

function App() {
  const inputRef = useRef(null); // useRefを宣言
  return <input ref={inputRef} type="text" />;
}

2. `ref`属性をDOM要素に渡す


作成したuseRefを、操作したいDOM要素のref属性に渡します。この操作によって、Reactがその要素への参照をuseRefに格納します。

function App() {
  const inputRef = useRef(null);

  const handleClick = () => {
    console.log(inputRef.current); // input要素への参照を取得
  };

  return (
    <div>
      <input ref={inputRef} type="text" />
      <button onClick={handleClick}>参照を取得</button>
    </div>
  );
}

3. `current`プロパティを使用してDOM要素にアクセス


useRefで作成した参照オブジェクトにはcurrentプロパティが含まれています。このプロパティを通じて、関連付けられたDOM要素にアクセス可能です。

function App() {
  const inputRef = useRef(null);

  const focusInput = () => {
    if (inputRef.current) {
      inputRef.current.focus(); // フォーカスを設定
    }
  };

  return (
    <div>
      <input ref={inputRef} type="text" />
      <button onClick={focusInput}>フォーカスを設定</button>
    </div>
  );
}

4. 注意点

  • nullチェックの必要性:
    DOM要素がまだレンダリングされていない場合、currentnullです。そのため、操作前にnullチェックを行うのが安全です。
  • 参照の変更に注意:
    Reactの再レンダリング中でも、useRefが返すオブジェクトは変更されません。そのため、他のステート管理とは異なり、値の永続性を保つことができます。

以上がuseRefを使ったDOM要素への基本的なアクセス方法です。次のセクションでは、フォーム要素のフォーカス管理における具体的な実践例を見ていきます。

フォーム入力のフォーカス管理


フォームのユーザーエクスペリエンスを向上させるために、特定の入力フィールドにフォーカスを設定する操作がよく求められます。useRefを使えば、このようなDOM操作を簡単に実現できます。以下では、フォーム入力のフォーカス管理における基本的な方法を具体例で解説します。

1. フォーカスを自動設定する


フォームがレンダリングされた直後に、特定の入力フィールドにフォーカスを自動的に設定する方法です。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function Form() {
  const inputRef = useRef(null); // useRefで参照を作成

  useEffect(() => {
    if (inputRef.current) {
      inputRef.current.focus(); // フォーカスを自動設定
    }
  }, []); // 空の依存配列で初回のみ実行

  return (
    <form>
      <label htmlFor="name">名前:</label>
      <input ref={inputRef} id="name" type="text" placeholder="名前を入力" />
    </form>
  );
}

export default Form;

2. ボタンでフォーカスを切り替える


フォーム内で特定のボタンをクリックした際に、入力フィールドにフォーカスを移動させる例です。

import React, { useRef } from 'react';

function FormWithButton() {
  const inputRef = useRef(null);

  const handleFocus = () => {
    if (inputRef.current) {
      inputRef.current.focus(); // ボタンクリックでフォーカスを設定
    }
  };

  return (
    <form>
      <label htmlFor="email">メールアドレス:</label>
      <input ref={inputRef} id="email" type="email" placeholder="メールアドレスを入力" />
      <button type="button" onClick={handleFocus}>
        入力フィールドにフォーカス
      </button>
    </form>
  );
}

export default FormWithButton;

3. 複数の入力フィールドを管理する


複数のフィールドにuseRefを使用して、それぞれのフォーカスを個別に管理する方法です。

import React, { useRef } from 'react';

function MultiInputForm() {
  const firstNameRef = useRef(null);
  const lastNameRef = useRef(null);

  const focusLastName = () => {
    if (lastNameRef.current) {
      lastNameRef.current.focus();
    }
  };

  return (
    <form>
      <label htmlFor="firstName">名:</label>
      <input ref={firstNameRef} id="firstName" type="text" placeholder="名" />
      <label htmlFor="lastName">姓:</label>
      <input ref={lastNameRef} id="lastName" type="text" placeholder="姓" />
      <button type="button" onClick={focusLastName}>
        姓のフィールドにフォーカス
      </button>
    </form>
  );
}

export default MultiInputForm;

4. 注意点

  • コンポーネントのレンダリングタイミング:
    useEffectを使用してフォーカスを設定する場合、DOMが確実にレンダリングされた後で実行する必要があります。
  • ユーザビリティの考慮:
    自動フォーカスは便利ですが、必要以上に使用すると逆にユーザーの体験を損なう場合があります。UXデザインの観点から適切に使用してください。

これらの方法を活用することで、Reactアプリケーションにおけるフォームの操作性を向上させることができます。次のセクションでは、useRefuseStateの違いとその使い分けについて詳しく見ていきます。

useRefとuseStateの違い


Reactには、状態管理や値の保持に使用できるuseRefuseStateという2つのフックがあります。それぞれの特徴と違いを理解し、適切に使い分けることは、Reactアプリケーションのパフォーマンスやコードの可読性を向上させる鍵となります。

1. `useRef`と`useState`の基本的な違い

特徴useRefuseState
再レンダリング値を変更しても再レンダリングされない値を変更すると再レンダリングされる
値の保持ライフサイクル全体で値を保持ライフサイクル全体で値を保持
主な用途DOM要素の参照や、不変の値を保持コンポーネントの動的な状態管理

2. `useRef`の用途

  • DOM要素の参照:
    特定のDOM要素へのアクセスを提供します。ref.currentで参照することで、直接DOM操作が可能です。
  • 再レンダリングの防止:
    状態を変更しても再レンダリングを発生させたくない場合に使用します。例えば、スクロール位置やカウント値の記録などに適しています。
import React, { useRef } from 'react';

function RefExample() {
  const countRef = useRef(0);

  const increment = () => {
    countRef.current += 1;
    console.log('Current count:', countRef.current);
  };

  return <button onClick={increment}>カウントアップ</button>;
}

3. `useState`の用途

  • 動的な状態管理:
    コンポーネントの再レンダリングを伴う状態の管理に適しています。例えば、UIの更新やユーザーのインタラクションによって変化する値を保持します。
import React, { useState } from 'react';

function StateExample() {
  const [count, setCount] = useState(0);

  const increment = () => {
    setCount(count + 1);
  };

  return (
    <div>
      <p>カウント: {count}</p>
      <button onClick={increment}>カウントアップ</button>
    </div>
  );
}

4. 使い分けの基準

  • UIの状態が変更される場合:
    ボタンのクリックによるカウント表示の更新やフォームのバリデーション結果の表示など、UIに影響を与える場合はuseStateを選びます。
  • 値を保持するだけの場合:
    ユーザーの操作やアニメーション状態など、UIに影響を与えない内部的な値の管理にはuseRefを使用します。

使い分けの具体例

  • useRefが適切:
    タイマーのIDや、レンダリング中に変化しない外部APIのレスポンスなど。
  • useStateが適切:
    チェックボックスのオン/オフ状態、動的に変化するリストの項目数など。

5. 注意点

  • 再レンダリングの必要性を考慮:
    値を更新したときにUIを変更する必要がある場合は必ずuseStateを選びます。
  • useRefの使用過多に注意:
    再レンダリングが発生しないことが便利だからといって、不必要にuseRefを使うと、Reactの宣言的なUI設計を損なう可能性があります。

このように、useRefuseStateはそれぞれ異なる用途で強力な機能を提供します。適切に使い分けることで、Reactアプリケーションを効率的に構築することができます。次のセクションでは、useRefの初期レンダリング時の動作について詳しく解説します。

初期レンダリング時の動作


useRefは初期レンダリング時に一度だけ初期化され、その後コンポーネントのライフサイクル全体で同じ参照を保持します。この特性により、useRefはReactアプリケーションで効率的な値の管理やDOM操作を実現します。ここでは、初期レンダリング時にuseRefがどのように動作するかを解説します。

1. 初期値の設定


useRefは、初期レンダリング時に指定された初期値をcurrentプロパティに格納します。この初期値は、useRefが保持する値の初期状態を定義します。

import React, { useRef } from 'react';

function InitialRenderExample() {
  const countRef = useRef(0); // 初期値を設定

  return <div>初期値: {countRef.current}</div>;
}

export default InitialRenderExample;

ポイント: 初期値は一度だけ設定され、コンポーネントの再レンダリングが発生しても変更されません。

2. 初期レンダリングでのDOM操作


useRefは、初期レンダリング後にDOM要素へのアクセスを提供します。レンダリングが完了するまでは、ref.currentnullであるため、DOM操作はuseEffectuseLayoutEffectを使用して実行します。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function InitialDomAccess() {
  const inputRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    if (inputRef.current) {
      inputRef.current.focus(); // 初期レンダリング後にフォーカスを設定
    }
  }, []); // 空の依存配列で初回のみ実行

  return <input ref={inputRef} type="text" placeholder="初期フォーカス" />;
}

export default InitialDomAccess;

注意: 初期レンダリング中にref.currentを操作しようとすると、エラーや予期しない動作を引き起こす可能性があります。

3. `useRef`の永続性


useRefは、初期レンダリング後もその参照を保持し続け、再レンダリングの影響を受けません。この特性により、レンダリング間で値を永続的に保持したい場合に有用です。

function PersistentRefExample() {
  const renderCount = useRef(1);

  useEffect(() => {
    renderCount.current += 1; // 再レンダリング時にカウントを増加
  });

  return <div>レンダリング回数: {renderCount.current}</div>;
}

この例では、renderCountはコンポーネントが再レンダリングされるたびに値を更新しますが、再レンダリングそのものには影響を与えません。

4. 初期値がDOM操作に与える影響


useRefの初期値が重要になるケースとして、以下が挙げられます:

  • 非同期処理との連携: 初期値を利用して非同期処理の状態を追跡。
  • コンポーネントのマウント状態の確認: 初期値をfalseに設定し、マウント後にtrueへ変更。
function AsyncExample() {
  const isMounted = useRef(false);

  useEffect(() => {
    isMounted.current = true; // コンポーネントがマウントされた状態を追跡
    return () => {
      isMounted.current = false; // アンマウント時にリセット
    };
  }, []);

  return <div>コンポーネントのマウント状態を追跡中</div>;
}

5. 注意点

  • DOMの存在確認を忘れない: 初期レンダリング中にref.currentを直接操作することは避け、useEffectを使用して操作する。
  • 状態管理との混同を防ぐ: 動的なUIの変更が必要な場合はuseStateを使用し、useRefを状態管理に使わない。

これらのポイントを理解すれば、useRefを活用したDOM操作や値の管理がスムーズに行えます。次のセクションでは、useRefが持つ不変性のメリットについて解説します。

useRefでの不変性のメリット


useRefの大きな特徴の一つに、「参照する値が不変である」という点があります。この不変性は、Reactコンポーネントのライフサイクル全体で一貫した値を保持できるというメリットを提供します。ここでは、useRefの不変性がどのようにReactアプリケーションの構築に役立つかを解説します。

1. 値がリセットされない


useRefで管理する値は、コンポーネントが再レンダリングされてもリセットされません。これにより、状態を保持しつつ、不要な再レンダリングを防ぐことができます。

import React, { useRef, useState } from 'react';

function Counter() {
  const countRef = useRef(0);
  const [stateCount, setStateCount] = useState(0);

  const incrementRef = () => {
    countRef.current += 1; // 値は保持されるが再レンダリングは発生しない
    console.log('useRef Count:', countRef.current);
  };

  const incrementState = () => {
    setStateCount(stateCount + 1); // 再レンダリングを伴う
  };

  return (
    <div>
      <p>useRef Count: {countRef.current} (レンダリング時には更新されない)</p>
      <p>useState Count: {stateCount} (UIに即時反映)</p>
      <button onClick={incrementRef}>useRefを増加</button>
      <button onClick={incrementState}>useStateを増加</button>
    </div>
  );
}

ポイント: useRefを使うことで、再レンダリングが不要なカウント値を効率的に管理できます。

2. 非同期処理での利便性


非同期処理では、レンダリングに依存しない値の管理が重要です。useRefの不変性は、非同期処理中に値が意図しない変更を受けることを防ぎます。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function AsyncExample() {
  const latestValue = useRef(0);

  const simulateAsyncTask = () => {
    setTimeout(() => {
      console.log('最新の値:', latestValue.current);
    }, 3000);
  };

  useEffect(() => {
    latestValue.current = 42; // 非同期処理に影響しない
  });

  return (
    <div>
      <button onClick={simulateAsyncTask}>非同期タスクを開始</button>
    </div>
  );
}

メリット: コンポーネントの再レンダリングが発生しても、useRefは値を安定して保持します。

3. DOM要素の安定した参照


useRefの不変性は、DOM要素の参照管理において特に有用です。再レンダリングによって参照が変化する心配がないため、外部ライブラリとの統合やアニメーション処理が簡単になります。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function DomExample() {
  const divRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    if (divRef.current) {
      divRef.current.style.backgroundColor = 'lightblue';
    }
  }, []); // 再レンダリングに影響されない

  return <div ref={divRef} style={{ width: '100px', height: '100px' }}>参照を保持</div>;
}

結果: DOM要素への参照が初期レンダリング後も安定して保持され、操作が容易になります。

4. 再レンダリングの最小化


useRefの不変性により、頻繁な状態更新が不要なケースで、再レンダリングを最小限に抑えられます。例えば、頻繁なカウント更新やスクロール位置の記録において、useRefが有効です。

function ScrollTracker() {
  const scrollPosition = useRef(0);

  const updateScroll = () => {
    scrollPosition.current = window.scrollY; // 再レンダリング不要
    console.log('スクロール位置:', scrollPosition.current);
  };

  useEffect(() => {
    window.addEventListener('scroll', updateScroll);
    return () => window.removeEventListener('scroll', updateScroll);
  }, []);

  return <div style={{ height: '200vh' }}>スクロールして確認</div>;
}

5. 注意点

  • UI更新には不適切: useRefの変更は再レンダリングを引き起こさないため、UIに即時反映が必要な場合はuseStateを使用するべきです。
  • 参照の破棄に注意: コンポーネントがアンマウントされる際、適切にクリーンアップすることで、不要な参照が残らないようにする必要があります。

useRefの不変性を活用することで、Reactアプリケーションの効率性を高めることができます。次のセクションでは、useRefを使ったアニメーションの具体例を紹介します。

アニメーションの適用例


useRefを使用すると、DOM要素を直接操作できるため、アニメーションの制御がスムーズに行えます。Reactは通常、仮想DOMを介した宣言的な操作を推奨していますが、useRefを活用すれば、外部ライブラリやネイティブなDOM操作を通じてアニメーションを実装できます。ここでは、useRefを使ったアニメーションの具体例を解説します。

1. 基本的なフェードインアニメーション


useRefでDOM要素を参照し、CSSopacityを操作してフェードインアニメーションを実現します。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function FadeInAnimation() {
  const boxRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    const element = boxRef.current;
    if (element) {
      element.style.opacity = '0';
      element.style.transition = 'opacity 1s';
      setTimeout(() => {
        element.style.opacity = '1';
      }, 100); // 遅延を加える
    }
  }, []);

  return (
    <div
      ref={boxRef}
      style={{
        width: '100px',
        height: '100px',
        backgroundColor: 'lightblue',
        opacity: '0', // 初期状態
      }}
    >
      フェードイン
    </div>
  );
}

export default FadeInAnimation;

2. スクロール位置に応じたアニメーション


スクロールイベントを監視し、要素が画面に表示された際にアニメーションを開始する例です。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';

function ScrollAnimation() {
  const boxRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    const handleScroll = () => {
      const element = boxRef.current;
      if (element) {
        const rect = element.getBoundingClientRect();
        if (rect.top < window.innerHeight && rect.bottom > 0) {
          element.style.transform = 'translateY(0)';
          element.style.opacity = '1';
        }
      }
    };

    window.addEventListener('scroll', handleScroll);
    return () => {
      window.removeEventListener('scroll', handleScroll);
    };
  }, []);

  return (
    <div
      ref={boxRef}
      style={{
        width: '200px',
        height: '200px',
        margin: '100px auto',
        backgroundColor: 'pink',
        opacity: '0',
        transform: 'translateY(50px)',
        transition: 'transform 0.5s, opacity 0.5s',
      }}
    >
      スクロールアニメーション
    </div>
  );
}

export default ScrollAnimation;

3. 外部ライブラリとの統合


useRefを使うことで、GreenSock (GSAP)Anime.jsなどの外部アニメーションライブラリをReactと組み合わせることが可能です。以下はGSAPを利用した例です。

import React, { useRef, useEffect } from 'react';
import { gsap } from 'gsap';

function GsapAnimation() {
  const boxRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    const element = boxRef.current;
    if (element) {
      gsap.to(element, {
        x: 200,
        duration: 2,
        rotation: 360,
        ease: 'power2.out',
      });
    }
  }, []);

  return (
    <div
      ref={boxRef}
      style={{
        width: '100px',
        height: '100px',
        backgroundColor: 'lightgreen',
      }}
    >
      GSAPアニメーション
    </div>
  );
}

export default GsapAnimation;

4. 注意点

  • useEffectとの組み合わせ: アニメーションは通常、DOMが初期レンダリングされた後に実行する必要があります。そのため、useEffectを活用することが一般的です。
  • パフォーマンスの考慮: アニメーションが複雑になると、ブラウザのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。GPUアクセラレーションを活用するなどして最適化しましょう。
  • 外部ライブラリの選定: 手動操作ではなく、Framer MotionReact SpringなどReact向けのアニメーションライブラリを使うことで、より効率的に実装できる場合もあります。

これらの例を通じて、useRefを活用したアニメーションの基本的な方法を理解できます。次のセクションでは、Reactアプリケーションでの効率的なuseRefの使い方について解説します。

効率的なuseRefの使い方


useRefはReactで非常に便利なフックですが、効率的かつ適切に使用することで、アプリケーションの可読性やパフォーマンスを向上させることができます。ここでは、useRefを効果的に活用するためのベストプラクティスを解説します。

1. 再レンダリングを最小限に抑える


useRefは値の変更が再レンダリングを引き起こさないため、頻繁に更新が必要なデータやUIに影響を与えない内部データの管理に適しています。

function EfficientRefExample() {
  const scrollPosition = useRef(0);

  const updateScroll = () => {
    scrollPosition.current = window.scrollY; // 再レンダリング不要
    console.log('スクロール位置:', scrollPosition.current);
  };

  useEffect(() => {
    window.addEventListener('scroll', updateScroll);
    return () => {
      window.removeEventListener('scroll', updateScroll);
    };
  }, []);

  return <div style={{ height: '200vh' }}>スクロールを記録中...</div>;
}

ポイント: 再レンダリングが不要な値の管理にuseRefを活用することで、パフォーマンスを最適化します。

2. 動的なDOM参照の管理


複数のDOM要素を参照する場合、useRefをオブジェクトや配列で管理することで効率を上げられます。

function DynamicRefs() {
  const elementsRef = useRef([]);

  const addRef = (element) => {
    if (element && !elementsRef.current.includes(element)) {
      elementsRef.current.push(element);
    }
  };

  return (
    <div>
      {Array.from({ length: 5 }).map((_, index) => (
        <div
          key={index}
          ref={addRef}
          style={{
            width: '100px',
            height: '100px',
            backgroundColor: 'lightgray',
            margin: '10px',
          }}
        >
          Box {index + 1}
        </div>
      ))}
      <button onClick={() => console.log(elementsRef.current)}>
        全要素をログに出力
      </button>
    </div>
  );
}

メリット: 動的な要素を効率的に管理でき、複数要素への一括操作が可能です。

3. 外部ライブラリの統合


外部ライブラリで必要とされるDOM参照にuseRefを利用すると、Reactの仮想DOMとネイティブ操作を橋渡しできます。

import { Chart } from 'chart.js';

function ChartExample() {
  const canvasRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    const ctx = canvasRef.current.getContext('2d');
    new Chart(ctx, {
      type: 'bar',
      data: {
        labels: ['Red', 'Blue', 'Yellow'],
        datasets: [
          {
            label: 'Dataset',
            data: [12, 19, 3],
            backgroundColor: ['red', 'blue', 'yellow'],
          },
        ],
      },
    });
  }, []);

  return <canvas ref={canvasRef} width="400" height="200"></canvas>;
}

利点: useRefを使用すると、外部ライブラリの初期化とReactコンポーネントの統合が容易になります。

4. マウント状態の追跡


コンポーネントのマウント状態を追跡することで、非同期処理のキャンセルやリソースリークを防止できます。

function TrackMounted() {
  const isMounted = useRef(false);

  useEffect(() => {
    isMounted.current = true;

    return () => {
      isMounted.current = false; // アンマウント時にリセット
    };
  }, []);

  const fetchData = async () => {
    const response = await fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/posts');
    if (isMounted.current) {
      console.log('データを取得:', await response.json());
    }
  };

  return <button onClick={fetchData}>データ取得</button>;
}

注意点: 非同期処理中にコンポーネントがアンマウントされた場合のエラーを回避できます。

5. 注意点とアンチパターン

  • 状態管理に誤用しない:
    UIを更新する必要がある場合はuseStateを使用し、useRefを状態管理代わりに使用しないようにします。
  • 不必要なDOM操作の回避:
    Reactの宣言的なアプローチを優先し、必要最低限の場面でのみuseRefを利用します。

まとめ


useRefは、再レンダリングを最小限に抑えつつ値やDOM参照を効率的に管理するための強力なツールです。適切に利用することで、Reactアプリケーションのパフォーマンスと保守性を向上させることができます。次のセクションでは、これまでの内容を振り返りながら記事をまとめます。

まとめ


本記事では、ReactにおけるuseRefの基本的な使い方から、DOM操作やアニメーション、効率的な値管理の方法までを解説しました。useRefは再レンダリングを発生させずに値を保持し、DOM要素への直接的な参照を提供することで、Reactの仮想DOM操作を補完する強力なツールです。

主なポイントとして以下を挙げました:

  • useRefの基本概念とuseStateとの違い。
  • フォームのフォーカス管理やスクロール位置の追跡などの実践例。
  • アニメーションや外部ライブラリとの統合における有用性。
  • 再レンダリングを抑えた効率的な使い方と注意点。

適切にuseRefを活用することで、Reactアプリケーションのパフォーマンスを最適化し、直感的で効率的なコードを実現できます。この知識を活かして、より高度なアプリケーション開発に挑戦してみてください。

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