Web会議のオーディオ構成7パターンを紹介|マイクの複数接続やオーディオインターフェースの活用

2020年のコロナ禍でWeb会議の需要が急速に拡大したころ、ITを生業にしている筆者もWeb会議環境を整えました。試行錯誤して整理した7つの構成をもとに、それぞれのメリット、デメリットと設定時の確認点を紹介します。

会話中心なら、まず手持ちのPCやヘッドセットで試し、聞き取りにくい原因に合わせて構成を変えるのがおすすめです。機器を増やすほど音が良くなるとは限りません。マイクと口の距離、室内の反響、相手の声の回り込み、会議アプリの音声処理まで含めて考えます。

本稿の機器紹介は2020年当時の選定記録です。元の商品リンクは残していますが、現在の販売状況、価格、後継機種、対応OSを確認した最新の購入ランキングではありません。2026年10月の見直しでは、公式資料をもとに接続と音声処理の注意点を補足しました。新たな実機比較や音質測定を行ったものではありません。

目次

Web会議のオーディオ構成7パターンを比較

構成 向いている使い方 利点と確認点
1. PC内蔵マイク・スピーカー まず追加費用なしで始めたい 持ち運びやすい。口から遠いと声や周囲の音の拾い方に差が出る
2. ヘッドセット 1人で参加、相手の声を室内に出したくない 口元のマイクと耳元の音声で回り込みを減らせる。装着感を確認
3. スピーカーフォン 同じ卓の複数人で参加、持ち運びも必要 マイク・スピーカーをまとめられる。集音範囲、AEC、連結条件は機種ごとに確認
4. 独立マイク+スピーカー 常設机で配置を調整したい 機器と置き場所を選べる。スピーカー音の回り込み対策が必要
5. オーディオインターフェース XLRマイクや楽器を使いたい 入力ごとにゲイン調整ができる。マイク入力数とアプリに送るチャンネルを確認
6. ミキサーを追加 複数マイクの音量と送出先を管理したい 音をまとめられる。ミックスマイナスとAECを含む設計・運用が必要
7. カメラ・音声一体型 会議室の機材や接続をまとめたい 配線と選択機器を減らせる。設置位置、初期設定、会議アプリでの選択は必要

この順番は音質ランキングではありません。1人なら2、同じ部屋で複数人なら3や7から検討すると構成を絞りやすく、5や6は入力や操作の必要性がある場合の選択肢です。人数だけで対応可否を決めず、最も遠い席の声と双方向の会話で確認してください。以下の図は初稿の接続イメージで、AECや送受信の分離を含む完全な配線図ではありません。

1. お金をかけずにPC内蔵機器を使う

マイク、スピーカー、カメラを備えたノートPCなら、外付け機器を買わずに始められます。利用する会議アプリの動作条件、ネット接続、マイク・カメラの権限を確認し、実際に使う席で試しましょう。

メリット

追加の費用を抑えられ、配線が少なく持ち運びも簡単です。短い会議や静かな場所での1人参加なら、この構成で足りる場合があります。

デメリットと使い方

画面を見やすい位置に置くとマイクが口から遠くなることがあります。キーボードの打鍵音や冷却ファン、部屋の反響も相手の聞き取りやすさに影響します。PCの価格帯だけで判断せず、まず通常の姿勢と声量でテストしてください。

当時紹介した製品

初稿ではMicrosoft Surfaceを紹介しました。ただし、同じブランドでも世代やモデルで仕様は異なります。「Microsoft製なら接続トラブルが起きない」とはいえません。手持ちのPCで問題がなければ、このためだけに買い替える必要はありません。

2. なるべく周囲に音を出さずにヘッドセットを使う

PCにヘッドセットを接続する方法です。相手の声を耳元で聞けるため、スピーカーから室内へ流す音と、その音をマイクが拾う回り込みを減らせます。ただし、自分が話す声は周囲に聞こえます。機密の会議をする場所にも注意してください。

メリット

口元にマイクを置ける製品は、姿勢が少し変わっても距離を保ちやすい点が利点です。比較的少ない機材で始められ、個人利用ではエコー対策もしやすくなります。

デメリットと使い方

長時間の装着感、締め付け、重さ、眼鏡との相性には個人差があります。共有する場合は衛生面も考慮します。同室の人の声が別の参加者のマイクにも入ることはあるので、ヘッドセットだけで全ての混線を防げるわけではありません。

接続方式はPCと用途に合わせます。USBは音声機器として選択しやすい構成の一つですが、USBなら必ず高音質という意味ではありません。3.5mm端子はヘッドセット用4極端子などの対応を、Bluetoothは通話時の音質、接続先、充電状態を確認します。

当時紹介した製品

初稿ではLogicoolのヘッドセットを紹介しました。現在選ぶ場合もブランド名だけで決めず、対応端子、装着感、ミュート操作と実際の通話音声を確認してください。

3. 持ち運びや同じ卓での会議にはスピーカーフォン

スピーカーとマイクが一体になった会議用機器です。ノートPCから独立して卓上に置けるので、参加者に近い位置へ移動しやすくなります。

メリット

配線や持ち運ぶ機器を減らせます。会議向けのエコーキャンセルや集音処理を備える製品もあり、マイクとスピーカーを別々に組み合わせるより運用しやすい場合があります。

デメリットと使い方

離れた人の声や反響の強い部屋まで、無条件にきれいに拾えるわけではありません。使用範囲内に全員が入るかを確認し、会議アプリでは原則としてそのスピーカーフォンをマイクとスピーカーの両方に選びます。メーカーの想定と異なる音声経路では、内蔵処理を十分に生かせない場合があります。

複数台の連結は対応機種・組み合わせ・台数・専用ケーブルを確認してください。たとえばEMEET M3の公式手順は専用のデイジーチェーンケーブルで2台をつなぐ構成を案内しています。対応する組み合わせはDC200の仕様表に記載されています。同じメーカーなら全機種を連結できる、PCにUSBで2台つなげば協調動作する、と考えないでください。

当時の使用経験と紹介製品

筆者は当時eMeetのスピーカーフォンをよく使っていました。ただし、その経験をもって全機種や全ての部屋での性能を保証することはできません。1台で全員の声が十分届くなら、連結のために買い足す必要はありません。

4. スピーカーとマイクを分離して配置を調整する

マイクを口元へ、スピーカーを聞きやすい場所へ置く構成です。常設の机では配置の自由度が高くなります。ただし、価格や音質がスピーカーフォンより必ず有利になるわけではありません。

メリット

手持ちの機器を生かしながら、必要な部分だけを変更できます。マイクを画面やキーボードから離し、話す方向や距離を調整しやすい点も利点です。

デメリットとエコー対策

配線と設定箇所が増え、スピーカーから出た相手の声をマイクが拾うと、相手に自分の声が戻るエコーの原因になります。離して置くだけで解決するとは限りません。まずヘッドホンで送受信を確認し、スピーカーを使う場合は必要以上に音量を上げず、マイクへ向けない配置と会議アプリの通常のエコーキャンセルで試します。

USBはPC内部のアナログ音声回路を使わず接続できる方式ですが、接続規格だけではマイク、変換回路、設置条件の品質は決まりません。また、コンデンサーマイクかダイナミックマイクかだけで雑音の拾い方を決めつけず、指向性、口との距離、入力レベルを合わせて選びます。Shureのマイク選びの解説でも、部屋の反響や指向性、マイクへ近づくことの効果が説明されています。

当時紹介した製品

初稿ではマランツのコンデンサーマイク、Logicoolのカメラ、YAMAHAのスピーカーを紹介しました。以下はその記録です。会話の聞き取りに問題がない機器を、ブランドや「高音質」の表示だけを理由に交換する必要はありません。

5. オーディオインターフェースでマイクや楽器を接続する

オーディオインターフェースを使い、XLRマイクや対応する楽器をPCに接続する構成です。音量調整や入力の選択肢を増やせますが、相手に届く音は会議アプリの処理や通信にも左右されます。録音向けの高い仕様が、そのまま通話の音質になるわけではありません。

メリット

対応するマイクのゲインを調整でき、機種によって複数入力やモニター機能を利用できます。楽器を送る場合も、マイク、ライン、楽器用入力の区別ができるため用途に合わせた接続が可能です。

マイクを2本使うときの確認点

  • 「2入力」と「マイク入力2系統」は別です。マイクプリアンプが1系統で、もう一方が楽器・ライン専用という機種もあります。仕様表のマイクプリアンプ数と同時使用できる端子を確認します。XLRと標準ジャックを兼用するコンボ端子も、通常は1入力です。
  • アナログマイクは適合するマイク入力へ接続します。USBマイク2本を通常のXLR入力へつなぐことはできません。コンデンサーマイクなどへのファンタム電源は、マイクと機器双方の説明書で必要性と接続方法を確認します。
  • シンセサイザーなどのライン出力と、ギターなどの楽器用入力は信号レベルが異なります。ミキサーの出力を接続する場合も適合するライン入力を使い、スピーカー駆動用の出力をつながないでください。Focusriteの入力レベル解説も参考になります。

入力があっても会議アプリに全部届くとは限らない

会議・通話アプリでは、音声をモノラルで扱ったり、入力の先頭1~2チャンネルだけを受け取ったりする構成があります。OS、ドライバー、アプリ、機種によって動作が異なるので、録音ソフトで全入力が使えても同じとは限りません。Focusriteも特定機種の入力合成とアプリ互換性を案内しています。

一方、Zoomデスクトップアプリには、OSとアプリが3チャンネル以上を認識した場合に使用する入力チャンネルを選ぶ機能があります。「会議アプリは必ず2入力まで」とも断定できません。手元の機種の公式手順で、各マイクを別々に話したときに相手へ届くか確認してください。

2人の会話を送るだけなら、左右に分けるステレオより、両方の声が欠けずに聞こえることが重要です。必要に応じて機器側のミックス機能や対応するチャンネル選択を使います。マイク2本とスピーカーを接続できても、そのままエコーなく会議できるとは限りません。通常の録音用インターフェースに会議用AECがあるとは限らず、スピーカー利用時は構成4や6の対策も必要です。

当時紹介した製品

以下は初稿で紹介したインターフェースです。必要なマイク入力と送信用ミックスを機器内で用意できるなら別のミキサーを省けますが、2系統の入力があるという理由だけでミキサー不要とは判断できません。

6. ミキサーで複数マイクと送出先を管理する

ミキサーで複数の音源をまとめ、オーディオインターフェース経由でPCへ送る構成です。USBオーディオ機能を内蔵し、会議アプリで必要な入出力が使えるミキサーなら、別のインターフェースは不要な場合があります。

メリット

マイクごとの音量やミュートをまとめて操作でき、発言者に合わせて管理しやすくなります。ただし、トラック数や総チャンネル数をそのまま接続可能なマイク本数と数えず、マイク入力、ステレオ入力、USBへの送出内容を確認してください。

デメリットとミックスマイナス

機器を増やすだけでは、大人数の部屋の集音や反響は解決しません。マイクの配置、開いているマイクの数、送受信経路の管理が必要です。特に、相手から受信した音を、そのまま会議アプリのマイク入力へ送り返さないことが重要です。

  • PCへ送る音:室内のマイクなど、相手に聞かせたい音だけをまとめる。
  • 室内で聞く音:会議相手からの受信音をヘッドホンやスピーカーへ送る。
  • 除外する音:PCへ返す送信用ミックスには、その会議の受信音を混ぜない。このような送り分けがミックスマイナスです。

PCの再生音を取り込むループバックは便利ですが、会議相手の声まで送信側に入れる設定だとエコーや循環の原因になります。まずループバックを使わない単純な経路で確認し、必要な場合だけ説明書に沿って送出先を分けます。製品の「MIX MINUS」ボタンが何をどの出力から除外するかも機種によって異なります。一般的な名称だけで判断しないでください。Focusriteの複数入力と送受信分離の解説では、受信音や戻し入力を再度送らない経路の例が示されています。対象機種専用の配線例なので、他の機器へそのまま流用しないでください。

ミックスマイナスとAECは役割が違う

ミックスマイナスは信号の送り返しを避ける設定です。一方、AEC(アコースティックエコーキャンセル)は、スピーカーから空気中に出た相手の声をマイクが拾う回り込みを抑える処理です。前者だけでは後者を解決できません。また、自分のマイクを同じ部屋のスピーカーで拡声するとハウリングの原因になります。会議に不要ならその経路は作らない方が簡単です。

スピーカーを使う複数マイク構成では、AECの処理箇所と参照する受信音も確認します。アプリと機器側の処理は、メーカーの推奨構成に合わせてください。Shure Designerの公式ガイドでも、スピーカーの音量・向きとAEC参照信号を区別して説明しています。広い部屋や室内拡声を伴う場合は、必要に応じて会議用DSPや専門業者による音響設計を検討する構成です。一般的な音楽用ミキサーだけで対応を保証できません。

BGMや楽器を送る応用もできますが、通常の音声処理で音が途切れたり抑えられたりすることがあります。会話中にBGMを常時流す必要があるかを先に考え、使う場合は音源の利用許諾と送信経路を確認してください。

当時紹介した製品

初稿ではTASCAMとZOOMのミキサーを紹介しました。ここでのZOOMは会議アプリのZoomとは別の楽器・音響機器メーカーです。ブランド全体を「最強」「業界標準」として選ぶのではなく、対象機種のマイクプリアンプ数、USB入出力、送り分け機能、対応ドライバーで判断してください。

7. 360度カメラ・スピーカー・マイク一体型を使う

カメラと音声機器をまとめたオールインワン構成です。会議室で持ち込む機器や配線を減らしたい場合に候補になります。

メリット

対応する機器なら、PCとの接続と会議アプリでの選択をまとめやすくなります。360度撮影や発言者の自動表示などの機能がある製品もあり、会議室を囲んで座る使い方に合う場合があります。

デメリットと導入時の確認点

一体型でも置く場所や設定が不要になるわけではありません。電源、参加者までの距離、画面や壁との位置関係、机上の遮蔽物、初期登録や更新方法を確認します。会議アプリでカメラ、マイク、スピーカーをそれぞれ正しく選ぶことも必要です。単体機器より常に高性能・低価格とは限らず、故障時の代替手段も考えておきます。

当時紹介した製品

初稿ではMeeting Owl Proを紹介しました。メーカーの同モデルの資料では、カメラ・マイク・スピーカーの一体化や発言者に合わせた表示に加え、初回のアプリ設定、会議ソフトでの音声・映像選択、設置条件も案内されています。「接続するだけで全て解決する」という意味ではありません。以下は当時の製品リンクであり、現行機種の仕様やサポート期間は購入前に改めて確認してください。

会話用の音声処理と音楽用の設定を分ける

通常のWeb会議では、音声圧縮やノイズ抑制、音量調整などを通って相手へ届きます。マイクやインターフェースの録音性能だけで通話音質は決まりません。Zoomの通常設定にもノイズ抑制とエコーキャンセルがあります。

Zoomのミュージシャン向けの設定やTeamsの高忠実度音楽モードは音楽を送るための選択肢です。通常の会話のために一律で有効にしたり、スピーカー使用中にエコーキャンセルを無条件で切ったりしないでください。Zoomの高忠実度音楽モードはエコーキャンセル等の処理を無効にする設定を含みます。まずヘッドホンなどで回り込みを抑え、用途に合う設定を確認します。Microsoftも通常の通話・会議では音楽モードをオフにするよう案内しています。

ステレオも常に有利とは限りません。Zoomはステレオ送信に対応する設定を用意していますが、利用条件や受信端末による制限があります。複数人の発言を聞き取りやすく送ることと、左右を分けて音楽を送ることは分けて考えましょう。

本番前に確認する手順

  1. 現状を試す。静かな場所で、実際に使う机と姿勢を再現します。マイクを近づけ、必要以上にスピーカー音量を上げず、機材を買う前に改善するか確認します。
  2. 使う機器を明示して選ぶ。OSで認識されていることを確認し、会議アプリのマイク・スピーカー欄で目的の機器を選びます。カメラ内蔵マイクやモニターのスピーカーに切り替わっていないかも確認します。
  3. アプリのテストを行う。Zoomのスピーカー/マイクテストではテスト音と録音再生を確認できます。対応するTeamsデスクトップアプリでは[設定]→[デバイス]のテスト通話も利用できます。画面名や利用可否はアプリ版・管理設定によって異なります。
  4. 全マイクを1本ずつ確かめる。インターフェースやミキサーを使う場合は、各入力で通常の声量で話します。入力メーターが振り切れないよう調整し、片方だけ無音、片側だけから聞こえる、声の大きさが極端に違う、といった状態がないか確認します。機器の直接モニターだけでなく、会議アプリを通った音を聞きます。
  5. 別室や離れた場所の相手と実通話する。近い席と最も遠い席から話し、相手に自分の声が戻らないか、双方が同時に話しても声が欠けないか、タイピング中に聞き取れるかを確認します。単独の録音テストだけでは双方向時のエコー処理は十分に確認できません。録音する場合は参加者の同意と組織のルールに従います。
  6. 同室の重複接続を減らす。会議室の共用音声機器を使う場合、同じ会議に入る別PCは資料表示だけにして音声接続を切ります。マイクをミュートするだけでは、そのPCのスピーカーからも音が出る場合があります。Zoomのエコー対策でも、同室の重複した音声接続を切る方法が案内されています。
  7. 本番用の状態を残す。選んだ入出力名、マイク位置、音量、送受信経路をメモし、再接続後にも確認します。問題が起きたときはヘッドセットやPC内蔵機器へ戻せるようにしておくと切り分けがしやすくなります。

声が小さい場合は距離と入力を、相手がエコーを聞く場合は自分側のスピーカー音と送信経路を、片方のマイクだけ届かない場合はアプリのチャンネル選択を先に確認します。必要な音が相手へ届き、相手の声を送り返さず、無理なく運用できる構成を選ぶのが基本です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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