SharePointで業務をする際に、リストの表示形式は作業効率を大きく左右します。コンパクト リストを既定として設定しておくと、毎回切り替える手間を省き、スムーズに作業を進められます。本記事では、その具体的な設定手順と運用のコツを詳しく解説していきます。
SharePointリストの表示形式とは
SharePointにはリストの表示形式を切り替える機能があり、代表的なものに「標準リスト」「コンパクト リスト」「ギャラリー」「日付形式」などがあります。用途や見やすさの好みによって使い分けられますが、特に「コンパクト リスト」はリストの行間が詰まった状態で表示されるため、より多くのデータを一度に確認したい場合に便利です。また、標準リストに比べてスクロール量が減り、少ない操作で素早く目的のアイテムを探せるため、業務効率の向上にもつながります。
標準リストとコンパクト リストの比較
例えば、通常の標準リスト表示では行間にゆとりがあり、画面全体にデータが広がりやすい反面、一度に把握できる情報量が減ります。逆にコンパクト リストは一覧性を高め、縦のスペースを節約できるため、多くの行を見たい場合には好都合です。ただし、行間が狭いため見づらいと感じる人もいるかもしれません。そういった場合はチーム全体の意見を踏まえ、使いやすいビューを調整していくとよいでしょう。
以下に標準リストとコンパクト リストの主な違いを表に示します。
項目 | 標準リスト | コンパクト リスト |
---|---|---|
行間の広さ | やや広い | 狭い |
同時に表示できる行数 | 少なめ | 多め |
スクロール操作 | やや頻繁 | 比較的少ない |
視認性 | ゆったり見やすい | 一度に多くの情報を確認可 |
主な用途 | 画面に余裕があり、詳細を確認しやすい 通常利用に適している | 多数のレコードを素早く把握したい場合に便利 |
既定表示をコンパクト リストに固定する手順
実際に「コンパクト リスト」を既定表示に設定するには、以下の手順を踏みます。ポイントは、すでにあるビュー名を上書き保存するか、新規ビューとして保存するかによって、他のユーザーの表示にも影響する点です。
- 対象のSharePointリストを開く
- 右上にある表示切り替えオプションから「コンパクト リスト」を選択する
- 表示がコンパクト リストに変わったら、再度表示切り替えオプション(Switch view optionsなど)をクリックし、「ビューの保存」(Save view as)を選択
- 既存のビュー名に上書き保存するか、新しいビュー名を設定して保存する
- 保存した後、リスト画面を更新または再度開くと、コンパクト リストが既定表示になっている
上書き保存と新規作成の違い
- 既存ビューへの上書き: もともと「All Items」などの既定ビューを上書きすると、リストを開いたときに自動的にコンパクト リストが適用されます。全ユーザーに影響するため、組織全体で同じビューを使いたい場合に便利です。
- 新規ビューとして保存: 新しい名称でビューを作成した場合、自分が作成した新しいビューを選択したときのみコンパクト リスト表示になります。複数のビューを併用したい場合や、一部のユーザーだけがコンパクト リストを使う場合に適しています。
運用時の注意点
「コンパクト リスト」が一見便利に思えても、利用シーンによっては標準リストやギャラリー表示の方が向いている場合もあります。また、ユーザー全員がリストの使い方を熟知していないと、ビューメニューを誤って切り替えてしまうケースも考えられます。運用上の注意点をいくつか挙げておきます。
チームメンバーとビューを共有する際のポイント
- 編集権限の管理: SharePointリストの編集権限を持つユーザーであれば、いつでもビューを作成したり既存ビューを変更可能です。多人数で運用する場合、どの権限のユーザーにどの操作を許可するかあらかじめ検討しておきましょう。
- ビュー名のわかりやすさ: ビュー名を「コンパクトビュー」「標準ビュー」「プロジェクト別ビュー」など、利用目的が分かりやすい名称にすることで、チーム全員がスムーズに切り替えや判断を行いやすくなります。
ビューの表示条件やフィルター設定との組み合わせ
SharePointリストのビューでは、コンパクト リスト表示と同時にフィルターや並べ替え、集計などを設定することが可能です。たとえば、特定の担当者だけを抽出したコンパクト リストビューを用意すれば、同じリスト内でも自分に関係のあるアイテムを一覧で見やすく管理できます。結果的に操作が効率化し、誤操作や見逃しも減るでしょう。
フィルターの設定例
例えば、以下のような設定を行うことで、自分が担当しているアイテムのみを表示しつつコンパクト リスト化することができます。
- ビューの条件: 担当者列 (Assigned to) が [Me]
- 表示形式: コンパクト リスト
- 並べ替え: 締切日の早い順
より高度な活用法:Power Appsやカスタムビューとの連携
SharePointリストはPower AppsやPower Automateなど、Microsoft 365の他のサービスとの連携が容易です。「コンパクト リスト」を既定ビューとした上で、さらにカスタムアプリや自動化フローを組み合わせることで、より高度な業務改善が期待できます。
Power Appsでの画面カスタマイズ
- リスト画面からアプリを作成: 「リストからPower Appsを作成」という機能を使えば、リストの表示や編集を行う画面がすぐに生成されます。ビューの設定だけでなく、ボタンや入力フォームなどを自在にデザインできるため、ユーザー体験を向上させることができます。
- コンパクト リストの反映: 画面要素はPower Apps独自のUIとして配置されますが、元となるデータソースがSharePointリストの場合には、コンパクト リストで管理されている項目レイアウトや列名などをそのまま活かす形で運用できます。UIの一貫性を保つうえでも、コンパクト リストを標準にしておく利点があるでしょう。
Power Automateでの自動処理
- 通知や承認フローの作成: リストに新しいアイテムが追加されたり、アイテムの状態が変更された時に、自動でフローが起動して通知を送ることが可能です。コンパクト リストを既定表示としておくことで、メールやTeamsで届いた通知からリストにアクセスした際にも見やすい形でデータを確認できます。
- 複数ビューの共存: Power Automateによるフィルター機能も併用すれば、異なる条件で抽出した複数のビューを分岐し、自動処理するという高度な運用も可能です。たとえば「担当者別コンパクト リストビュー」「優先度の高いアイテム限定ビュー」を個別に運用してもよいでしょう。
既定ビュー設定が反映されない場合の対処法
まれに、すでにコンパクト リストを既定表示に設定したにもかかわらず、再度標準リスト表示が出てしまうケースがあります。主な原因と対処法をまとめます。
原因と想定される解決策
- 権限が適切でない
- 既定表示の変更は編集権限以上が必要です。変更するユーザーの権限レベルを確認しましょう。
- 既定ビューの上書き保存が完了していない
- 「ビューの保存」操作に失敗している、あるいは別のユーザーがほぼ同時にビューを変更して上書きされている可能性があります。保存操作が正常に完了しているか、改めて確認することをおすすめします。
- 複数の既定ビューが存在している
- SharePointの機能としては1つのビューを「既定ビュー」に設定できますが、同時に複数のビューが既定ビュー扱いになることはありません。別の既定ビューが設定されていないかを確認し、不要なビューの既定設定をオフにするか、削除を検討してください。
- クラシックモードとモダンモードの切り替え
- 一部のSharePoint環境では、クラシックモードのビューとモダンモードのビューを切り替え可能です。モダンモードでコンパクト リストを既定にしていても、ユーザーがクラシックモードを使用している場合は表示が異なる可能性があります。クラシックモードのビュー設定も確認し、可能であればモダンモード統一を検討すると良いでしょう。
リスト単位で都度設定が必要になる点について
残念ながら、2023年時点ではSharePointのテナント全体やサイトコレクション全体に一括で「コンパクト リスト」を設定する標準機能は提供されていません。そのため、新しくリストを作るたびに同じ操作が必要になる点は手間ですが、以下のような方法で対処すると便利です。
リスト テンプレートの活用
- SharePointリストをテンプレート化できる機能を活用すると、ビューレイアウトや列の設定をある程度引き継ぐことが可能です。最初にコンパクト リストを既定にしたテンプレートを作成しておけば、同じレイアウトを複製しやすくなるでしょう。
PowerShellとPnPコマンドを使用した自動化
- SharePointサイトに対してPnP PowerShellなどを使うことで、リストの作成やビュー設定を自動化できます。たとえば、スクリプトを組み、リストを新たに作成した直後にビュー設定を「コンパクト リスト」へ変更するといった運用も可能です。IT部門が技術的に対応できる環境であれば検討してみる価値があるでしょう。
PnP PowerShellの一例
以下はイメージ例であり、実運用では環境に合わせてスクリプトを変更してください。
# SharePoint PnP PowerShell モジュールをインストール
# Install-Module PnP.PowerShell
# SharePointサイトへ接続
Connect-PnPOnline -Url https://contoso.sharepoint.com/sites/Example -Interactive
# リストの既定ビューを取得
$view = Get-PnPView -List "YourListName" -Identity "All Items"
# ビューの表示形式をコンパクト リストに設定
Set-PnPView -List "YourListName" -Identity $view -Values @{ ViewType2 = "compact" }
このようにスクリプトで設定できれば、リストを複数作成する際も自動で「コンパクト リスト」を既定として適用できるでしょう。
実運用におけるメリットとデメリット
コンパクト リストを既定にして運用することで得られるメリットは多いですが、同時に注意すべき点も存在します。
メリット
- 一覧性の向上: 行間を詰めることで一度に確認できる項目数が増え、スクロールやページ切り替えの手間が減少します。
- 作業効率の向上: 必要なアイテムを見つけるのが早くなるため、日々の業務がスムーズに進みます。
- 視覚的統一感: チーム全体でコンパクト リストを既定にしていれば、全ユーザーが同じレイアウトで情報を確認でき、混乱が生じにくくなります。
デメリット
- 視認性の低下リスク: コンパクトに表示される分、文字や行間が詰まりすぎて見づらいと感じるユーザーがいるかもしれません。モニターの解像度や文字サイズによっては窮屈に見える場合もあります。
- 詳細情報の見落とし: 行間が狭いことで、カスタム列や注釈などを見逃す可能性があります。必要に応じて標準リストなどとの併用を検討しましょう。
- 新規リストごとの再設定: 前述の通り、サイト全体やテナント全体への一括適用が難しいため、新規リストを作るたびに設定作業が発生します。
まとめ:コンパクト リストを活用して業務を効率化しよう
SharePointリストの表示形式を「コンパクト リスト」にすることで、大量のデータを扱うリストでもスムーズに操作でき、見やすく管理できます。とりわけ、プロジェクト管理やタスク管理など、アイテム数が増えがちなケースでは大きなメリットを実感できるでしょう。一方で、モダンビューとクラシックビューの切り替えや、ユーザーによる権限設定・ビュー管理の混乱には注意が必要です。運用ルールやガイドラインを整備しながら、「どのビューをどう使い分けるか」「誰が変更権限を持つのか」を明確にしておくことで、チーム全体の作業効率アップにつながります。
「コンパクト リスト」を既定ビューに設定する手順そのものはシンプルなので、ぜひ一度試してみてください。必要に応じてビューをフィルターや集計と組み合わせれば、より細かい単位でタスクを管理したり、関係者に最適化された表示を提供することも容易です。定期的な情報共有の場で、メンバーからのフィードバックを取り入れながら、最適なビューを運用していくことが、SharePointリストを使いこなす最大のコツです。
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