SharePointでExcelファイルをブラウザ上で開こうとした際に、突然白い画面のまま固まってしまうと、業務の進行にも大きな影響が出てしまいます。本記事では、そのような悩ましい状況に陥ったときに考えられる原因や具体的な対処法をわかりやすく解説していきます。もし同じ症状にお困りであれば、ぜひ最後までご覧ください。
SharePointでExcelが白画面になる主な原因
SharePointドキュメントライブラリ上でExcelファイルを開こうとした際に、白い画面が表示されて読み込みが終わらない状態になるケースは珍しくありません。以下では、この問題を引き起こしやすい代表的な要因について詳しく見ていきます。
ブラウザの互換性やキャッシュの問題
ブラウザは日々アップデートされるため、特定バージョンの互換性や設定、キャッシュの影響を受けることがあります。特にEdgeやChromeなど複数のブラウザで発生する問題の場合は、共通の拡張機能や設定が干渉している可能性も考えられます。また、キャッシュが古い情報を保持していると、読み込みが正しく進まないこともあります。
ブラウザ設定の確認
- JavaScriptやCookie、ポップアップブロックなどの設定を確認
- 拡張機能(アドオン)が影響していないかのチェック
- ブラウザの履歴やキャッシュのクリア
- シークレットモード・InPrivateモードでの再現性テスト
これらを一度試してみると、設定によるトラブルの切り分けが可能です。
SharePointサイトURLに含まれる特殊文字
問題が特定のサイト内に限定されている場合、サイトURLに含まれている文字列が原因となっている可能性があります。特にアポストロフィ (’ や ‘ ) がURLに含まれていると、Excel Onlineのレンダリング処理が正常に行われず白画面になる事例が複数報告されています。WordやPDFファイルが正常に開けるにもかかわらず、Excelだけで問題が起こる場合はこの特殊文字の混在を疑うとよいでしょう。
Office Online Server/Office Web Appsの設定不備
組織でオンプレミス環境のOffice Web Apps ServerやOffice Online Serverを利用している場合、設定やパッチの適用に問題があるとブラウザでExcelだけ正しく開けないケースがあります。とくにSharePointとの連携設定が不十分なまま運用されていると、白画面の状態から一向に進まない不具合が起こることがあります。
サーバー側の一時的な不具合やテナント構成の問題
SharePoint Onlineの場合、Microsoftのサービス側で一時的な障害やメンテナンスが行われていると、ブラウザでの編集機能に影響が出ることがあります。特に特定テナント上だけ発生しているのであれば、テナント構成上の問題や権限設定も見直す必要があります。管理センターのサービス正常性ダッシュボードを確認してみると、エラーや警告が表示されている場合があります。
問題を解決するための具体的な対策
では、実際に白い画面で止まってしまうExcelファイルを正常に開くために、どのような対策が有効なのでしょうか。以下に主な解決策をまとめていますので、参考にしてみてください。
1. サイトURLの修正による問題解消
最も効果的とされるのが、SharePointサイトURLに含まれる特殊文字を取り除く対応です。特殊文字が問題を引き起こしている場合、サイトURLを変更するだけで解決に至るケースが多く見受けられます。
URL編集時の注意点
- サイト名(Title)ではなくURLを確認する
SharePointではサイト名とURLは別設定となっているため、サイト名だけ修正してもURLには反映されません。必ずサイトのURLを編集する手順を確認してください。 - 他のユーザーへの影響を考慮
サイトURLを変更すると、既にブックマークされているリンクや業務システムの参照URLが変わってしまう可能性があります。事前に周知し、必要に応じてリダイレクト設定を行うのが安全策です。 - 管理者権限が必要
通常、サイトURLの変更はSharePoint管理センターから行う必要があり、管理者権限が必要です。テナント全体のポリシーを熟知したうえで実施しましょう。
たとえば、URLにアポストロフィやスペース、その他の特殊文字が含まれている場合、すべて英数字やハイフン(-)などの無難な文字列に置き換えるとよいでしょう。
2. ブラウザの変更・更新を試す
もしURLに問題がない場合は、ブラウザを切り替えたり最新バージョンにアップデートしてみる方法が有効です。特に、EdgeやChrome以外にもFirefoxやSafariなど、複数のブラウザで再度症状が出るかを確認することで、問題の切り分けがしやすくなります。
以下はブラウザ関連で試すとよいチェックリストの一例です。
実施内容 | 説明 |
---|---|
ブラウザキャッシュのクリア | 古いキャッシュが原因で読み込みが終わらないケースがあるため、履歴とキャッシュの削除を試す。 |
シークレットモードでの再現性確認 | 拡張機能やCookieの影響を避けて動作を確認する。問題が解決する場合は拡張機能の無効化などを検討する。 |
ブラウザのバージョンを最新に更新 | 古いバージョンだと、SharePointやOffice Onlineに対応しきれない場合がある。 |
他のブラウザを試す | Edge, Chrome, Firefox, Safariなどを試すことで、問題の原因がブラウザ固有かどうかを切り分ける。 |
互換表示設定(IEモード含む)の確認 | レガシーサイト向けにIEモードなどを強制していないかを確認し、不要であればオフにする。 |
3. Microsoftサポートへの問い合わせ
いずれの方法でも解決しない場合には、テナント管理者やIT部門経由でMicrosoft 365管理センターから公式サポートに問い合わせるのが確実です。特に、サーバー側設定やデータベース内の構成が問題を引き起こしている場合は、サポートチケットを発行して詳細を調査してもらう必要があります。
実際に試してみたい追加の確認事項
Excelファイルが白画面になる状況を解消するには、ブラウザやサイトURLだけでなく、SharePoint自体の設定やストレージの状況を含めて幅広く点検すると安心です。以下では、見落としがちなポイントをいくつか紹介します。
ライブラリのバージョン設定や列の特殊設定
SharePointライブラリではバージョン管理やチェックアウト・チェックインが有効になっている場合があります。大規模なバージョン履歴やチェックアウトが原因で編集機能に不具合が出るケースもゼロではありません。また、カスタム列で特定のスクリプトや計算式が設定されていると、それがExcelファイル表示を妨げる可能性があります。
ライブラリ設定を見直す際のポイント
- バージョン管理を多数残していないか
- 強制チェックアウトが有効になっていないか
- スクリプトエディターWebパーツや埋め込みコードの存在
- パーミッション(共有リンクやゲストアクセス)の整合性
これらを確認することで、問題切り分けに大きく役立ちます。
ドキュメントライブラリの大量ファイルによるパフォーマンス低下
ドキュメントライブラリに膨大な数のファイルが保存されている場合、ブラウザでの読み込みそのものが重くなり、Excelを開く前の段階でパフォーマンスが低下することがあります。ライブラリを整理し、フォルダーやライブラリを分割するなどの管理方法を改善することで、Excelファイルの読み込みをスムーズにできる場合もあります。
組織のセキュリティポリシーやプロキシ設定の影響
会社や組織のセキュリティポリシーとして、特定のサイトや拡張機能を制限しているケースもあります。プロキシサーバー経由の通信を行っている場合は、Office関連ドメインがブロックされていないかもチェックしましょう。とくに以下のポイントは見落としやすいので注意が必要です。
- *.office.com や *.sharepoint.com など必須ドメインが許可リストに入っているか
- ファイアウォールや侵入防止システムでOffice Onlineの通信が遮断されていないか
PowerShellを使ったサイトURLの確認と修正例
SharePoint管理センターから手動でサイトURLを変更できる場合が多いですが、大規模な運用ではPowerShellを使って一括で確認・修正を行う方法もあります。以下はPowerShellのSharePoint Onlineモジュールを用いた簡単な例です。
# SharePoint OnlineのPowerShellモジュールをインストール(初回のみ)
# Install-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell
# 接続情報
Connect-SPOService -Url "https://<テナント名>-admin.sharepoint.com" -Credential (Get-Credential)
# 対象サイトのURL
$oldUrl = "https://<テナント名>.sharepoint.com/sites/Project’sSite"
$newUrl = "https://<テナント名>.sharepoint.com/sites/ProjectsSite"
# URL変更実行(管理センターからも実施できますが、PowerShell例を紹介)
Set-SPOSite -Identity $oldUrl -NewUrl $newUrl
上記のように、URL内に含まれるアポストロフィ (’
) を削除し、代わりにシンプルな文字列に置き換えることで、Excel Onlineで白画面が出る問題を解消できることがあります。実際には、運用環境に合わせてURLを調整し、事前にユーザーへの連絡・リンクの更新などを済ませておくことが大切です。
問題解決後の運用ポイント
白画面の問題が解決した後も、同じトラブルを繰り返さないように日頃から以下の点に留意すると安心です。
定期的なブラウザメンテナンス
- 履歴やキャッシュの定期的なクリア
- 不要な拡張機能の無効化や削除
- 定期的なブラウザのバージョンアップ
これらを心がけることで、ブラウザの不調によるSharePoint上の不具合を未然に防止できます。
SharePointサイトURLの命名ルール
社内で新しいサイトを作成するときに、アポストロフィなどの特殊文字を含まないようにポリシーを設定するとよいでしょう。URL命名規則を策定することで、同様のトラブルを大幅に削減できます。
Office 365/SharePointのサービス状況の確認
Microsoft 365管理センターのサービス正常性ページを定期的にチェックし、何らかのエラーやメンテナンス情報がないかを確認しましょう。問題が発生していても原因特定が難しい場合には、サポートチケットを早めに発行し、トラブルの長期化を防ぐのも重要です。
まとめ
SharePoint上でExcelファイルを開こうとした際に白い画面が出てしまう問題は、多くの場合はURLに含まれる特殊文字やブラウザの設定など、比較的単純な原因によって引き起こされることが少なくありません。特に、アポストロフィなどは見落としやすいポイントですが、一度でもそれが原因とわかればURLを修正するだけで解決できる可能性があります。
また、ブラウザのキャッシュや拡張機能、セキュリティ設定などの影響が重なっているケースもあるため、複数のブラウザで同様の現象が発生するかの切り分けは重要です。大きな組織であれば、IT部門やMicrosoft 365管理センターのサポートを活用して調査を行い、原因を特定してから最適な解決策を適用しましょう。
日頃からSharePointサイトの命名規則をしっかり運用する、ブラウザを常に最新状態に保つなどの習慣づけが、問題の再発防止に役立ちます。白画面の問題でお困りの方は、ぜひ本記事の情報を参考に改善を進めてみてください。
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