SharePoint Onlineのストレージ制限を徹底解説!最大容量から追加アドオンまで

多くの企業や組織が利用しているSharePoint Online。クラウド上で文書や情報を一元管理し、チームやプロジェクトのコラボレーションを効率化する手段として欠かせない存在です。しかし、実際に運用していくと「ストレージ容量が足りない」「ライセンスを削除したら、なぜか使用可能な容量が減ってしまった」といった疑問に直面することがあるのではないでしょうか。本記事では、SharePoint Onlineのストレージ制限に関する具体的な疑問と対策について、わかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、貴社やプロジェクトでの運用にお役立てください。

SharePoint Onlineのストレージ容量はどう決まる?

SharePoint Onlineのストレージは、主に以下の要素から構成されます。

  1. ベース容量(テナント全体に割り当てられる初期容量)
  2. ユーザー数 × 10GB(Microsoft 365ライセンスを持つユーザー1人あたり)
  3. 追加で購入できるアドオンストレージ(Office 365 Extra File Storage など)

この仕組みにより、ユーザーを増やせばストレージ容量は拡大し、逆にライセンスを削除すると利用できるストレージ枠も減少します。ここで意外と見落とされがちなのは「ライセンス(ユーザー数)が減るとストレージ枠もダイレクトに減ってしまう」点です。実際に運用していて、不要なアカウントを整理したのに「なぜか全体のストレージが目減りした」というケースは決して珍しくありません。

ベース容量はどのくらい?

Microsoftは、テナント(組織)全体に対して一定のベース容量を提供しています。一般的には、SharePoint Onlineプランを契約していれば5TBや1TBなど、プランによって異なるベース容量が割り当てられます。その上に、ユーザー数×10GBが加算されていく形です。
例えばユーザー数が100人であれば、1,000GB(=1TB)が追加され、ベース容量と合わせて2TBや6TBほどになる可能性があります(プランによってベース容量が異なるため、あくまで例示)。

ユーザーを減らすとどうなる?

例えば、組織の都合でライセンスを20件削除し、残り80ユーザーになったとしましょう。すると、削除した20ユーザー分のストレージ枠「20×10GB=200GB」が失われます。この結果、従来3.6TBあった利用可能枠が3.4TBや3.1TBに減少する、といったことが起こり得るのです。

「最大25TB」ってどういう意味?

よく耳にする「SharePoint Onlineは1サイトあたり最大25TBまで使える」という情報。しかし実際には「そんなに割り当てられない!」というケースが多々あります。これは25TBという数値が「サイト単位の理論上の上限値」であって、「組織全体としての実際の利用可能容量」とは別物だからです。

サイトの理論上限と実運用上の限界

  • 1サイトあたりの容量上限:25TB
  • 組織全体で利用できるストレージ:ベース容量 + (ユーザー数 × 10GB) + 追加購入ストレージ

理論上は1サイトに25TBを割り当てられても、組織全体として25TBのストレージを持っていなければ実際に25TBを使うことはできません。要するに「サイトごとに割り当て可能な最大値は25TB」というだけで、それ以上の容量をサイトに設定できないという上限を示しています。ストレージを実際に25TB使えるかどうかは、あくまでも組織全体の容量が25TB以上かどうかにかかっているのです。

25TBを最大限活用するためには?

組織全体として25TB以上のストレージを確保しないと、1サイトに25TB割り当てることは実質不可能です。仮に管理センターのストレージ割り当て画面で25TBと入力しても、実際には「不足分があるため設定できません」などのエラーになるか、保存できたとしても利用可能容量自体が足りずにアップロードできない事態に陥ることがあります。

ストレージ不足を解消するには?

「プロジェクトが増えてSharePoint Onlineの容量が足りない」「大量のファイルを保存する予定で、すでに残り容量が心配」という場合にどう対処すべきでしょうか。主な方法は以下の2つです。

1. ユーザーライセンスを追加購入する

ユーザーを増やすと、その分だけストレージが加算されます。1ライセンスあたり10GBが追加される計算なので、大規模にユーザーを増やす組織にはメリットがあります。ただし「実際には人員を増やす予定はなく、でもストレージはもっと欲しい」という場合には、ユーザーライセンスを増やすのは本末転倒かもしれません。

2. 追加ストレージアドオンを購入する

ユーザー数をこれ以上増やす必要がない場合には、追加ストレージアドオン(Office 365 Extra File Storage など)を利用するのが賢明です。1GB単位から追加購入でき、必要な分だけ柔軟に増設できるメリットがあります。以下はストレージ拡張アドオンに関する一例の比較表です。

プラン名概要メリット注意点
Extra File Storage (Microsoft 365)1GB単位の追加ストレージを購入
大容量ファイル共有が必要な企業向け
必要量だけ柔軟に追加可能
サイト全体で利用できる
月額コストがユーザー数に比例せず増加
導入前に必要容量を見極める必要
その他アドオンプランMicrosoft 365以外のサービスとセットで販売される場合もあるバンドル割引などがある場合も
必要な機能が揃っている
バンドル内容によって不要な機能を抱えるリスク
契約プランの詳細確認が必須

追加ストレージアドオンは、ストレージだけをピンポイントで増やせるため、ライセンス数を無駄に増やす必要がありません。コストと実際の運用要件のバランスを考慮して、最適な拡張方法を選びましょう。

「ストレージ上限の設定」は自動か手動か?

SharePoint Online管理センターでは、各サイトのストレージ割り当てを「自動」にするか「手動」にするかを選択できます。運用において、どちらが望ましいのか一概には言えませんが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

自動割り当ての場合

  • システムが各サイトの利用状況を判断し、必要に応じてストレージを割り振るため、細かな設定管理の手間が省ける
  • 無駄に容量を割り振らず、最適化された運用がしやすい
  • サイトごとの容量管理が曖昧になりやすく、特定サイトが容量を大量消費していないか把握しにくい

手動割り当ての場合

  • サイト管理者がサイトごとに使用可能容量を明示的に設定できる
  • 部門単位やプロジェクト単位で容量を厳密にコントロールできる
  • 運用担当者が増加要望に応じて手動で調整する手間がかかる

どちらを選んでも、結局は「テナント全体のストレージ上限を超えて利用する」ことは不可能です。容量不足が根本的な課題であれば、ライセンス増加やアドオン購入によるストレージ拡張を検討する必要があります。

SharePoint Onlineでストレージを効率よく使うヒント

せっかく追加ストレージを購入しても、運用次第では無駄が多くなる場合があります。ストレージを最適に活用するためのポイントをいくつか挙げてみましょう。

1. 不要ファイルや古いバージョンの定期的な削除

SharePointはバージョン管理機能が充実している反面、バージョンが増えすぎるとストレージを圧迫しやすくなります。更新の頻度が高いファイルはバージョンを定期的にクリアするか、上限数を設定して管理するとよいでしょう。
また、プロジェクト完了後に不要となったファイルはアーカイブや削除を検討し、常に最新データだけがメインライブラリに残るようにしておくと整理が進みます。

2. メタデータと検索機能の活用

ストレージ不足に陥ると、「あれ?あの資料はどこへ行った?」とファイルを探すのに苦労するケースが増えがちです。メタデータとSharePointの検索機能を活用することで、必要なドキュメントを素早く見つけられるようにしておけば、重複ファイルを大量に作成する無駄を防止できます。

3. OneDriveやTeamsとの連携

SharePoint OnlineはOneDriveやTeamsと密に連携しており、異なるサービス同士でファイルを共有・管理することが可能です。たとえば、Teamsのチャットで共有されたファイルはSharePointライブラリやOneDriveに保存されているケースがあります。各サービスの保存場所を理解し、メンバー間で使い分けを意識するだけでも無用な重複保存を減らせます。

4. PowerShellによる監査と管理

ある程度の規模のテナントを管理している場合、PowerShellコマンドレットを活用してストレージ使用状況を一括で監査すると便利です。以下は簡単な例です。

# SharePoint Online PowerShellモジュールのインストール(初回のみ)
# Install-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell

# SharePoint Onlineに接続
Connect-SPOService -Url https://<テナント名>-admin.sharepoint.com

# すべてのサイトコレクションのストレージ使用状況を取得
$sites = Get-SPOSite -Limit All | Select DisplayName,Url,StorageUsageCurrent,StorageQuota

# 結果を画面表示
$sites | Format-Table

このようにPowerShellを活用すれば、すべてのサイトコレクションを横断してストレージ使用状況を一覧化できます。不要なサイトやファイルが目立つ場合は、関係者に通知して整理を促すなどのアクションを取りやすくなります。

よくある質問とポイントまとめ

Q. ユーザーを削除したら、ストレージが減ったのはなぜ?

A. 組織全体のストレージ容量は「ベース容量 + ユーザー数×10GB」で計算されているためです。ユーザーを削除すると、そのユーザー分の10GBが減ることになります。

Q. 「25TBまで使える」と聞いたが、実際には増えないのはなぜ?

A. 25TBはサイト1つあたりの理論上限であり、組織全体で25TB以上のストレージを保有していなければ実際には割り当てられません。

Q. ストレージが不足している時にできることは?

A. (1) ユーザーライセンスを追加して総容量を増やす、(2) 追加ストレージアドオンを購入してピンポイントで拡張するといった方法があります。

Q. ストレージ割り当ては個別に行うべきか、自動にすべきか?

A. 管理の手間や運用方針によります。自動割り当てならサイト間で柔軟に容量を配分できますが、手動割り当てなら部門やプロジェクトごとの厳密なコントロールが可能です。

ストレージ運用のベストプラクティス

最後に、SharePoint Onlineのストレージ制限を理解したうえで、運用に役立つベストプラクティスをまとめます。

1. ライセンス管理を定期的に見直す

不要なアカウントが放置されていないか、定期的に監査・整理しましょう。必要のないアカウントを削除するとコスト削減につながる一方で、ストレージ枠も減少するため、削除する前に影響範囲を正確に把握しておくことが重要です。

2. 追加ストレージは必要分だけ購入

アドオンストレージは柔軟に増やせるメリットがありますが、むやみに大容量を追加するとランニングコストがかさんでしまいます。運用実態を踏まえた上で、将来的な増加見込みを含めて計画的に購入量を決めましょう。

3. サイトごとの利用状況を可視化

部門別やプロジェクト別にサイトを分けている場合、それぞれの使用状況をレポート化して定期的にチェックすることが大切です。容量を圧迫しているファイル群を特定して削減するだけでも、不要なアドオン購入を回避できるかもしれません。

4. バージョン管理のルールを明確化

バージョン履歴が大量に残っていると、ストレージ使用量が意外と増えます。バージョン保持数を組織のルールで決定し、管理しやすい形で運用すれば、常に必要なバージョンだけを保管できます。

5. 定期的なアーカイブとライフサイクル管理

SharePoint Onlineで保存しているデータを、プロジェクトの進捗や組織のルールに応じてアーカイブするサイクルを導入しましょう。長期間アクセスされないファイルをアーカイブ用のサイトに移動したり、オフラインのストレージに移すことで、現行プロジェクト用のストレージを健全に保つことができます。

まとめ

SharePoint Onlineのストレージ制限は、ベース容量 + (ユーザー数×10GB) + アドオンストレージで構成される「組織単位の上限」です。ユーザーを削除すれば、その分だけ組織の利用可能ストレージも減り、大容量を確保したい場合にはユーザーライセンスの追加か、追加ストレージアドオンの購入が現実的な選択肢となります。「最大25TB」はあくまでも1サイトに対する理論上の上限であり、実際に25TBを使うには組織全体で25TB分のストレージを確保しなければなりません。
また、ストレージの不足対策には「ライセンス追加」または「アドオン購入」が王道ですが、実際の運用では「不要ファイルの削除やバージョン管理の最適化」「サイトごとの容量の可視化」など、きめ細かなメンテナンスが欠かせません。これらのポイントをおさえることで、コストを抑えつつ運用効率を高め、組織全体でストレージを快適に利用できるようになるでしょう。

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