何の前触れもなく追加されてしまう拡張機能「Ultralonen」に困っている方は少なくありません。検索エンジンの設定やブラウザの動作が乗っ取られてしまうと、思わぬサイトに飛ばされたり広告が大量に表示されたりと、ネット利用がとても不便になります。この記事では、具体的な削除手順と再発を防ぐための対策を分かりやすく解説します。
ブラウザに勝手に追加される「Ultralonen」拡張機能とは
「Ultralonen」は、Microsoft Edge や Google Chrome に勝手に追加され、検索エンジンの設定を無断で変更してしまう拡張機能として報告されています。拡張機能の管理画面には「組織によって管理されています」と表示され、通常の方法では削除できないのが厄介な特徴です。まるで会社や学校などの端末管理ツールで導入されたかのように見えるため、自分の意思でオフや削除をしようとしても「管理者権限が必要」となり削除がブロックされるケースがあります。
「Ultralonen」で起こりうる症状
- 検索エンジンが勝手に切り替わる(Bing や Yahoo!、未知の検索エンジンに変更される)
- ホームページの設定が書き換えられる
- 広告のポップアップが急増する
- ブラウザが全体的に重くなる
- 悪意のあるサイトにリダイレクトされる
これらの症状はいずれもウイルスやマルウェアによるブラウザ乗っ取りでもよく見られるため、早期対応が望まれます。
「Ultralonen」の削除準備
「Ultralonen」は通常の拡張機能の削除手順では歯が立たないことが多いです。そこで、以下の段階的な方法を試してみるとスムーズに対処できます。
1. レジストリエディタを使用した削除方法(Edge用)
Edge ブラウザの設定を直接変更しているレジストリを削除することで、拡張機能を無効化できる場合があります。
手順一覧
- Edge を閉じる ブラウザが開いているとレジストリを編集しても変更が反映されない、もしくはエラーになる場合があるため、あらかじめ Edge をすべて終了します。
- レジストリエディタの起動 画面左下のスタートボタンをクリックし、「regedit」と入力してレジストリエディタを起動します。レジストリエディタの上部にあるアドレスバーが表示されていない場合は、「表示」→「アドレスバー」を有効にしましょう。
- レジストリの編集(HKEY_LOCAL_MACHINE) アドレスバーに以下のパスを貼り付け、Enter キーを押します。 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft 左のツリー内に「Edge」というサブフォルダが存在する場合は、そのフォルダごと右クリックで削除してください。
- レジストリの編集(HKEY_CURRENT_USER) 同様にアドレスバーに以下のパスを入力し、Enter キーを押します。 HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Policies\Microsoft ここでも左のツリー内に「Edge」というサブフォルダが見つかれば、フォルダごと削除しましょう。
- パソコンを再起動 レジストリの変更内容を反映させるため、パソコンを一度再起動します。その後、改めて Edge を開き、「Ultralonen」拡張機能が削除できるか確認します。
この方法で拡張機能が見えなくなったら成功です。もし拡張機能一覧からは消えていない場合、念のため後述する他の方法も試してみましょう。
2. Farbar Recovery Scan Tool (FRST) を用いた削除方法
一般ユーザーにはなじみが薄いツールですが、しつこい拡張機能やマルウェアの駆除に用いられることが多いのが「Farbar Recovery Scan Tool (FRST)」です。高度なスキャンと修正が可能で、通常のアンチウイルスソフトウェアでは検出しきれない問題を解決に導いてくれます。
FRSTの使い方
- FRST のダウンロード公式サイト から FRST をダウンロードします。ブラウザによっては「危険」と判断されることがありますが、安全なツールとして広く使用されています。警告が出た場合は「保持」→「さらに表示」→「保持する」のように許可を与えてください。
- 64ビットOSの場合は FRST64.exe
- 32ビットOSの場合は FRST.exe
- ツールの実行とスキャン ダウンロードした FRST64.exe(または FRST.exe)を起動し、「Scan」ボタンをクリックします。すると、実行ファイルのあるフォルダに「FRST.txt」と「Addition.txt」の2つのログファイルが生成されます。
- ログファイルの共有(必要に応じて) ログファイルを専門家やサポートフォーラムに提出する場合は、ファイルを ZIP 圧縮し、OneDrive や Google ドライブなどのファイル共有サービスにアップロードしてリンクを共有するとスムーズです。
- Fixlist.txt を使った修正 「Fixlist.txt」を FRST64.exe と同じフォルダに保存し、FRST64.exe を再度起動して「Fix」ボタンをクリックします。PCが再起動したら修正作業が完了です。 ここで「Fixlist.txt」にブラウザの不要レジストリや悪質な拡張機能の情報を記載しておけば、自動的に削除してくれます。
- 削除確認 再起動後にブラウザを開き、「Ultralonen」拡張機能がなくなっているか、設定がリセットされているかを確認します。
3. Microsoft Safety Scanner でのスキャン
レジストリ編集や FRST の方法を試しても問題が解決しない、あるいは他のマルウェアの存在が疑われる場合は、Microsoft Safety Scanner などのツールでフルスキャンしてみましょう。
- Microsoft Safety Scanner はマイクロソフト公式のマルウェア除去ツール
- 簡単な操作でフルスキャン・クイックスキャンが実行可能
- 検出された不要プログラムやウイルスを自動で削除してくれる
あわせて Windows Defender や他のウイルス対策ソフトを最新バージョンにアップデートして、定期スキャンを実施することでシステムの安全性を高めることができます。
原因と再発防止策
「Ultralonen」のような拡張機能がインストールされる背景には、さまざまな要因があります。知らないうちにマルウェアが仕込まれたサイトを閲覧していたり、フリーソフトのインストール時に紛れ込んだりと、油断しているといつの間にか入り込んでしまうのです。
セキュリティソフトの導入
ウイルス対策ソフトやインターネットセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態にアップデートしておきましょう。怪しいファイルのダウンロードをブロックし、マルウェアを検出しやすくなります。
例: Windows Defender、McAfee、Norton、ESET など
OS とブラウザのアップデート
古いバージョンの OS やブラウザを使い続けると、セキュリティホールが放置されたままになる可能性があります。定期的に更新プログラムを適用することで、脆弱性を突かれるリスクを下げましょう。
例: Windows Update、Edge や Chrome の自動更新をオンにしておく
よくある質問
Ultralonen が見つからない場合
ブラウザの拡張機能一覧を開いても「Ultralonen」という名前が見当たらないケースがあります。その場合は、以下の可能性を疑ってください。
- 名前が変化している(類似の単語に差し替えられている)
- 実際には拡張機能ではなくレジストリから変更されている
- セキュリティソフトやブラウザのバージョンによって表示がブロックされている
このようなときには FRST やレジストリ編集を行い、原因を探ってみるのがおすすめです。
法人管理下のPCへの影響
社内管理用の端末や組織によってグループポリシーが設定されている端末では、本来の管理者が企業のシステム部門であるため、ユーザー権限だけでは「Ultralonen」を削除できない場合があります。セキュリティ担当者や IT 部門に連絡し、方針に沿った方法で対処することが大切です。
対処方法の比較
以下の表は、代表的な削除方法の特徴をまとめたものです。状況に応じて、最適なアプローチを選んでください。
方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
レジストリエディタ | Edge のポリシー設定を直接削除 すぐに実行できる | 誤って別のレジストリを削除しないよう注意 再起動が必要 |
FRST | 包括的なシステムスキャンが可能 他のマルウェアも検出・駆除しやすい | 使い方にやや習熟が必要 ログの分析が重要 |
Microsoft Safety Scanner | 公式ツールで安全性が高い フルスキャンでウイルス全般を検出 | 実行に時間がかかる場合がある 定期的に利用するのが望ましい |
まとめ
「Ultralonen」のような怪しい拡張機能は、一見すると通常の削除手順では太刀打ちできず、システムやブラウザの深い部分に入り込んでしまいます。レジストリエディタの編集、Farbar Recovery Scan Tool (FRST) の利用、Microsoft Safety Scanner などを駆使して、しっかりと根を取り除きましょう。
さらに、大切なのは再発を防ぐための環境整備です。セキュリティソフトの導入や OS・ブラウザの更新、怪しいサイトやフリーソフトの利用を慎重に行うなど、普段から意識することでより安全にパソコンを使えます。万が一再発の兆しを感じたら、早めの対処を心がけてください。
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