これまで何度もExcelでフォントサイズを変更しようとしては「もっと楽な方法はないかな?」と試行錯誤を繰り返してきました。Wordでは簡単にできるのに、Excelではやや遠回り。そんな違和感を抱く方も多いのではないでしょうか。今回は、Excelでフォントサイズを一瞬で大きくするショートカットの実態や、手軽に操作できる方法をたっぷり紹介します。
Excelでフォントサイズを上げるキーボードショートカット
Excelを使いこなしている人でも、いざ「フォントサイズを大きくするショートカットキーは?」と聞かれると戸惑うことが多いかもしれません。実際、Wordとはまったく異なるため、ネットで見つけたショートカットを試してみてもうまく動かない、ということがよくあります。ここではExcelでフォントを大きくする際の標準的な操作を整理しながら、その背景にある理由についてもお伝えします。
標準的なショートカットの手順
ExcelではWordとは違い、直接「Ctrl+Shift+<」や「Ctrl+Shift+>」のようなショートカットが割り当てられていません。その代わりにリボン操作をキーボードから順番に行います。具体的には次のような流れとなります。
リボンを呼び出す
まずAltキーを押すと、リボンがキーボード操作モードになります。リボン上にアルファベットのガイドが表示されるので、そこからさらにキーを打ち込むことで各種機能にアクセスできます。
ホームタブからフォントグループへ
Altキーを押した後、「H」と入力するとホームタブに切り替わります。ホームタブに含まれる機能の中で「フォントサイズを大きくするボタン」にアクセスしたいので、次のキー入力を行いましょう。「F」を押すとフォントグループに注目が移り、最後に「G」でフォントを上げる、「K」でフォントを下げるボタンに相当する操作が実行されます。
手順確認のための表
操作 | 入力キー | 結果 |
---|---|---|
リボンをキーボード操作モードにする | Alt | リボンにアルファベットが表示される |
ホームタブを選択 | H | ホームタブが開く |
フォントグループ | F | フォントグループをアクティブに |
フォントサイズを大きくする | G | 選択セルの文字サイズが一段階拡大 |
フォントサイズを小さくする | K | 選択セルの文字サイズが一段階縮小 |
Wordとの違いを生む背景
ExcelではどうしてWordのようなシンプルなショートカットが存在しないのか、疑問を抱く方もいるかもしれません。Wordは文書作成ソフトであり、文字装飾に関連する操作が中心に設計されています。一方、Excelは表計算ソフトとして計算や分析がメインのため、フォントサイズよりも数式や表機能に関する優先度が高い作りになっています。
異なるUI構造
Wordはリボン上でもテキストの修飾に重点が置かれているため、キーボードだけでもスムーズに書式を変更しやすい仕組みです。Excelは文字列の扱いよりもセル単位の操作が多いので、フォント拡大・縮小のような機能はリボン操作が前提になっているといえるでしょう。
熟練者でも迷いがちな理由
Excelはショートカットの豊富さが魅力の一方で、機能が多いためにショートカットも散りばめられています。日頃からExcelをヘビーに使っていても、「あれ、このショートカット効かない…」と手が止まることがあるのはよくあることです。特にWordと共通するショートカットだと思いこんでいる場合は、うまく動かなくて当然といえるでしょう。
ショートカット操作を快適にする工夫
Wordのように一発でフォントサイズを上げ下げできないからこそ、Excelでも快適に使うための工夫が必要です。ここでは具体的な対策や応用方法を紹介します。
クイックアクセスツールバーを活用
クイックアクセスツールバー(通称QAT)は、画面左上に表示される小さなアイコン群です。頻繁に使うボタンを登録しておくと、Altキーを押した後に表示される数字キーとの組み合わせで素早く操作できます。
登録手順の例
1. Excel画面左上にあるクイックアクセスツールバーの▼をクリック
2. 表示されたメニューから「その他のコマンド」を選択
3. コマンドの選択欄を「リボンにないコマンド」や「すべてのコマンド」に切り替えて「フォントサイズの拡大」「フォントサイズの縮小」を探す
4. 「追加」ボタンを押してクイックアクセスツールバーに加え、「OK」を押して完了

以前、頻繁にフォントサイズを変更する作業があって、いちいちAlt→H→F→Gをやっているとミスも増えるし煩わしかったんです。でもQATに登録したら、Altキーと数字2つ程度の操作でサイズ変更できるようになり、かなり作業効率が上がりました。
マクロで独自ショートカットを作る
もう一歩踏み込んで、マクロを利用すれば独自のショートカットを割り当てることが可能です。難しそうに思えますが、実際のところ一度作ってしまえば、オリジナルのExcel操作を実現できる強力な手段になります。
簡単なマクロの例
ここでは「Ctrl+Shift+U」などの組み合わせでフォントサイズを上げるマクロの例を紹介します。実際に設定する際は、ショートカットがほかの機能と競合しないかどうか確認してください。
Sub IncreaseFontSize()
Dim currentSize As Single
currentSize = Selection.Font.Size
Selection.Font.Size = currentSize + 1
End Sub
Sub DecreaseFontSize()
Dim currentSize As Single
currentSize = Selection.Font.Size
If currentSize > 1 Then
Selection.Font.Size = currentSize - 1
End If
End Sub
これらのマクロをExcelのVBAエディタに貼り付けてから、マクロにショートカットキーを割り当てると完成です。
設定方法の概要
1. Alt + F11でVBAエディタを起動
2. 挿入→標準モジュールで新規モジュールを追加
3. 上記のコードを貼り付ける
4. Excel側に戻って「開発」タブの「マクロ」から対象マクロを選び、「オプション」ボタンをクリック
5. ショートカットキーを指定して保存
リボンのカスタマイズでショートカットを模索
マクロの使用が制限されている環境なら、リボンのカスタマイズ機能を使うことを検討してみましょう。リボンに自分専用のタブを作り、そこへ「フォントサイズ拡大・縮小」ボタンを配置しておけば、Altキーを押してからのキー入力を減らせる可能性があります。
リボンカスタマイズの手順
1. [ファイル]→[オプション]→[リボンのユーザー設定]を開く
2. 新しいタブを追加するか、既存のタブの下にグループを追加する
3. 追加したいコマンドを選択し、リボンに配置
環境による表示の違い
Officeのバージョンやカスタマイズ状況によって、アイコン名や表示位置が微妙に異なることがあります。リボン自体のレイアウトも変更している場合は、探しているコマンドが少しわかりにくい位置にあるかもしれません。



以前、社内の端末ではマクロがセキュリティ上の理由でオフになっていて困りましたが、リボンをカスタマイズしてショートカットを短くしたらだいぶ快適になりました。ボタンの数も調整できるので見た目もスッキリしますよ。
よくあるトラブルと対処法
実際の運用では、ショートカットを試そうとして意図した動作にならない、フォントサイズの数値が思った以上に動く、など様々なトラブルが起こりえます。ここではよくあるケースと対策をまとめておきます。
ショートカットが効かない
環境設定や他のソフトウェアとの競合により、ショートカットが使えない場合があります。特にマクロ割り当てをした場合、ほかのアドインとの衝突で機能しないことがあります。
対策
1. 競合しているアドインやソフトを無効化して確認
2. ショートカットを別のキーに切り替えてみる
3. マクロのセキュリティ設定を確認
フォントサイズが奇数になってしまう
マクロでフォントを拡大・縮小すると、Excelでは設定によって小数点を含むサイズや奇数のサイズになってしまうことがあります。見栄えが気になる場合もあるでしょう。
対策
1. マクロでフォントサイズを丸める処理を追加する
2. 最後に指定サイズを「10」「12」のような偶数やきれいな数値に一括変換するロジックを入れる



私も以前マクロでサイズを上げたら「11.5pt」なんて半端なサイズになって見た目が揃わず、レイアウト上非常に困りました。数値の丸め処理を取り入れるだけでずいぶんスムーズになりましたね。
まとめ:Excelで効率よくフォントサイズを変えるコツ
Wordとのショートカットの違いに戸惑う方は多いかもしれませんが、Excelではリボン操作が標準になっています。Altキーから始まる一連のキー押下がやや長いものの、慣れてしまえばスピーディに扱えます。また、クイックアクセスツールバーを利用したり、マクロやリボンのカスタマイズによって作業効率を格段に上げることも可能です。環境や使用頻度に合わせてベストな方法を探るのが、最終的には一番の近道となるでしょう。
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