Macを使っていて、普段は快適にExcelで作業ができていたのに、OSをアップデートした途端、まったく起動しなくなったら困ってしまいますよね。実は、macOS Sequoia(15.0系)にアップデートした後に、Excelがフリーズ・応答しなくなるという報告が数多く寄せられています。ここでは、その原因と考えられるポイント、実際に試されている解決策をわかりやすくまとめました。ぜひ、あなたの環境に合わせて対処し、スムーズな業務や学習に役立ててみてください。
macOS Sequoia(15.0系)でのExcelフリーズの現状
macOSを14系から15.0系(Sequoia)へアップグレードした後、Excelを起動しようとしてもDock上にアイコンは表示されるものの、実際のウィンドウが開かずフリーズしてしまう例が多く報告されています。WordやPowerPointは正常に使用できることもある一方で、Excelのみが起動直後に応答しなくなるというケースが目立ちます。特に、以下のような条件下で発症する傾向があります。
- 新規Macへの移行(Migration Assistant)後にアップデートした場合
- Officeのライセンスを再アクティベーションした場合
- OSのクリーンインストールを行うと問題が解消しやすいが、それまでに手間と時間がかかる
こうした事象はフォントやライセンスファイルの不整合、あるいはOSアップデート時の何らかの破損が絡んでいると推測されていますが、現時点で公式には明確な原因が公表されていません。
主な対処策とそのポイント
Excelのフリーズトラブルに対処する際、まずはOSやOfficeの設定ファイル周りを疑うのが一般的です。以下では、よく試される対処方法を順番にご紹介します。問題が再発する場合もありますが、まずは軽微な手順から試してみるのがおすすめです。
1. Office関連ファイルやフォルダの削除
Officeアプリでは、設定ファイルやライセンスファイルがユーザーデータと結びついていることが多いため、これらを一旦リセットすることで解決に至る場合があります。
グループコンテナ「UBF8T346G9.Office」の削除
多くのユーザー報告で、以下のフォルダを削除後にExcelが正常に起動したという例があります。
通常は下記のパスに存在します。
~/Library/Group Containers/UBF8T346G9.Office
- 削除方法例(ターミナルを使用する場合)
rm -rf ~/Library/Group\ Containers/UBF8T346G9.Office
※実行前に、念のためOfficeアプリを全て終了してください。
- 削除した後、Excelを再度起動してみて正常に立ち上がるか確認します。
- ただし、Officeのライセンス再アクティベーションが発生した際に再度フリーズが再発するケースもあるため、根本的な解決になるとは限りません。
Officeライセンスファイル削除ツールの利用
Microsoftが提供している「Officeライセンス削除ツール」を使うと、通常のアンインストールでは残ってしまうライセンス情報をクリアできます。操作手順は以下の通りです。
- Microsoft公式サイトから「Officeライセンス削除ツール」をダウンロード
- Officeアプリをすべて終了
- ツールを起動してライセンス情報を削除
- Macを再起動
- 再度Excelを開き、サインインやライセンスの再アクティベーションを行う
この手順で改善することもありますが、環境によってはそれでもフリーズが継続する場合があるため、別の対策と併用することが望ましいです。
2. Officeアプリの再インストールやバージョン変更
Excelそのもののインストールが破損している、あるいは最新バージョンがOSと相性が悪い可能性もあります。
Officeの完全削除と再インストール
Officeのアプリ本体だけでなく、関連するライセンスファイルや設定ファイルを完全に削除してから再インストールする方法です。特に、バージョンを最新ではなく一つ前の安定版(たとえば16.84など)に切り替えたところ問題が改善するという声もあります。
また、一部のユーザーは「Mac App Store経由でOfficeアプリを入れると動作が安定した」という報告もしており、Microsoft公式サイト版とApp Store版では微妙に構成が異なる可能性が指摘されています。
サードパーティ製ツール「Office Reset」の活用
Officeのトラブルシューティングに特化した「Office Reset」( https://office-reset.com/ )を利用すると、WordやPowerPoint、Excelなど個別のアプリをまとめてリセットし、初期状態に戻すことが可能です。これによって、設定ファイルが原因の不具合を短時間で解消できる場合があります。
3. macOS側からのアプローチ
Excelに限らず、macOSそのものに問題がある場合には、OS機能を使ったトラブルシューティングが有効なケースもあります。
ディスクユーティリティのFirst Aidでディスク修復
ファイルシステムのエラーによってアプリケーションの動作が不安定になる可能性があります。そこで、以下の手順を試します。
- Launchpadなどから「ディスクユーティリティ」を開く
- メインの起動ディスクを選択
- 「First Aid」をクリック
- 修復が行われた場合は再起動してExcelを試す
ただし、多くの報告では修復によって改善が見られなかった、あるいはディスクに問題が見つからなかったという事例も少なくありません。
セーフモードや新規ユーザーアカウントでの確認
- セーフモード起動
Macをセーフモードで起動することで、OS標準機能や最小限の拡張機能だけが読み込まれます。これによりサードパーティ製ソフトやドライバが原因の場合を切り分けできます。 - 新規ユーザーアカウントで試す
ユーザー固有の設定ファイルが原因である可能性を検証するため、新しく作成したユーザーアカウントに切り替えてExcelがフリーズするかどうか確認します。
問題が起きなければ、元のユーザーアカウントの設定ファイルに何らかの不整合がある可能性が高いです。
macOSのクリーンインストール
最も労力はかかりますが、macOSを一度完全に消去し、改めて再インストールする方法は多くのユーザーで成功例が報告されています。ただし、引っ越し(バックアップ→復元)には時間がかかり、すべてのアプリやファイルも再度セットアップする必要があります。どうしても問題が解決しない場合の「最終手段」として考えられがちです。
Excel/Officeの内部設定や周辺要因に焦点を当てる
クリーンインストールほど大掛かりではないものの、Excel独自の機能やファイル、フォントの不整合が原因の場合もあります。ここでは比較的簡単に試せる項目をまとめます。
ブックギャラリー(テンプレート表示画面)の無効化
Excelを起動すると、既定ではテンプレートギャラリー(新規ブックを作成するための画面)が表示されます。この画面が原因でフリーズしてしまうケースがあると報告されています。
テンプレート表示の無効化手順
- Excelを開き、もしフリーズしなければ「環境設定」を開く
- 「一般」や「起動オプション」にあたる項目を探す
- 「Excel起動時にテンプレートを表示する」のチェックを外す
- Excelを再起動して状況を確認
もしテンプレート画面を開くとフリーズするという場合は、次回以降は「既存のブックを開く」などで回避しながら動作検証を行うとよいでしょう。
フォントの追加・修復(例: Aptos Narrow)
Officeでは内部で利用するフォントが見つからない、あるいは破損していると、起動時にクラッシュやフリーズが発生するケースがあります。特に「Aptos Narrow」などの新しいMicrosoftフォントが存在しないことが原因と報告するユーザーもいます。
- フォント追加の手順例
- Microsoft公式のフォントダウンロードページ、またはOfficeコミュニティでフォントファイル(Aptosファミリーなど)を入手
- ダウンロードしたフォントファイルをダブルクリックして「フォントブック」を起動
- 「フォントをインストール」をクリック
- Excelを再起動して改善するか確認
PERSONAL.XLSB(個人用マクロブック)の見直し
もし個人用マクロブックに自動起動マクロや複雑なVBAコードが含まれている場合、起動プロセスで不具合を起こしてフリーズしている可能性があります。
- 該当ファイルの場所
一般的には次のフォルダに格納されています。
~/Library/Group Containers/UBF8T346G9.Office/User Content/Startup/Excel/
- 対策例
- PERSONAL.XLSBをデスクトップなどに退避させる(一時的に削除または別フォルダ移動でも可)
- Excelを起動して問題が出るかどうか確認
- もしフリーズしなければ、マクロブック内の内容を一点ずつ精査して原因のコードを探す
「初回保存」でのフリーズ対策
Excelで新規ファイルを作成した際、初回の「保存ダイアログ」を開くとフリーズするとの報告もあります。既存ファイルの上書き保存は大丈夫なのに、「別名で保存」や「初めて保存する段階」で無限ビーチボールが出るケースです。この場合もOffice再インストールやmacOSの再セットアップが効果的とされますが、同時に保存ダイアログを変更するユーティリティ系のアプリ(クラウドストレージやウイルス対策ソフトなど)の干渉も疑ってみましょう。
トラブルシューティング手順一覧表
以下に、主なトラブルシューティングの手段をまとめた簡易表を示します。メリット・注意点・期待できる効果などを比較しながら、あなたの環境に合った方法を検討してみてください。
対策案 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
UBF8T346G9.Office フォルダ削除 | 手軽に実行できる 一時的な改善が期待できる | ライセンス再アクティベーション時に再発する可能性 |
Officeライセンス削除ツール利用 | ライセンス情報を完全リセット 再アクティベーションで改善が見込める | それでも問題が再発するケースあり サインインが必要 |
Officeアプリ再インストール (App Store版に切替) | アプリ本体の破損が疑われる時に有効 App Store版で安定する例も | アンインストール時に残留ファイルをきちんと削除する必要 |
Office Resetツール | 複数アプリの設定を一括でリセット 短時間で検証可能 | サードパーティ製ツールのため自己責任 リセット後に再設定が必要 |
ディスクユーティリティFirst Aid | OSのファイルシステムエラーを修復 他アプリの問題解消にも役立つ | 改善しない例も多く、根本解決とは限らない |
セーフモードや新規ユーザーでの確認 | 環境設定やユーザープロファイルが原因かどうか切り分け可能 | 解決策というより原因特定のためのテスト 常用アカウントに戻すと再発するかも |
macOSのクリーンインストール | 最も確実に問題を解消できる可能性が高い | セットアップに時間がかかる アプリやデータの移行が大変 |
ブックギャラリー非表示 | 一部環境で起動時フリーズを回避 | テンプレート画面を開くとまたフリーズする場合あり |
フォント修復・追加 | 欠損フォントが原因の場合は高い確率で改善 | どのフォントが問題か特定が難しい |
PERSONAL.XLSBの削除・修正 | マクロが原因の場合、これで解決 | 個人用マクロを再構築する必要がある |
まとめと今後の見通し
現状では、macOS Sequoia(15.0系)でのExcelフリーズ問題について、ユーザーコミュニティでも情報交換が活発です。原因が複合的な可能性が高く、OSアップグレード時やMigration Assistant使用時にフォントやライセンスファイルが壊れたり不整合を起こしているケースが多く見受けられます。
最優先で試すべきは、Excelやライセンス関連ファイルの初期化や削除ツールの使用、フォントの修復などの軽微な対策です。それでも解決しない場合は、Office再インストールまたはバージョンを切り替えてみる、App Store版に移行するなど、比較的手間のかからない方法から段階的にアプローチしてみましょう。
もしそれでも改善が見られないなら、macOSの再インストールやクリーンインストールを検討せざるを得ない場合もあります。この方法は確実性は高いものの時間や作業量が大きく、バックアップや移行作業も必要となりますので、ぜひ他の手段との兼ね合いを考えてから実行しましょう。
最後に、MicrosoftやAppleが正式なパッチやアップデートで根本的な問題を修正してくれる可能性もありますので、OSやOfficeアプリのアップデート情報には常にアンテナを張っておきましょう。コミュニティフォーラムやSNSでも最新の事例が共有されることがありますから、定期的にチェックしてみると新たな解決策が見つかるかもしれません。あなたのMac環境が、再び快適にExcelを使えるようになることを願っています。
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