Excelマクロの保存遅延を解消する方法:CrowdStrike設定変更やOffice修復での対策

こんにちは。最近、Excelでマクロを利用したファイルを保存するときに「やたらと時間がかかる」というお困りごとを耳にしました。私も業務でマクロ有効ブックを使うことが多いので、人ごとではありません。そこで今回は、実際に発生した遅延の事例や原因の分析、さらに対処法について詳しく解説いたします。うまく解決すれば、これまでストレスだった保存時間がぐっと短縮され、快適に作業を進められるようになるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

Excelマクロ有効ブック保存における問題概要

Excelのマクロ有効ブック(拡張子が .xlsm や .xlsb)をネットワークドライブやファイルサーバー上に保存すると、保存が完了するまで大幅に時間がかかってしまう事例が報告されています。ファイル自体は軽量にもかかわらず、保存プログレスバー(進捗バー)が表示され、従来の数倍以上の時間を要するケースがあるのです。

特に2024年に入ってからこの現象が急増しており、他のアプリケーション(WordやPDF、テキストファイルなど)では問題が起きないのに「Excelマクロ有効ファイルだけが遅くなる」という点が特徴といえます。これはOfficeのバージョンやOSに限らず、2016やMicrosoft 365(旧Office 365)などでも共通して確認されています。

保存遅延が起きる状況

保存が遅延する具体的なシーンとしては、以下のような状況があげられます(あえて箇条書きを避け、説明形式でまとめます)。

マクロが含まれたExcelブックをネットワーク上のフォルダに「上書き保存」や「別名で保存」しようとすると、明らかに異常なほど時間がかかってしまうことがあります。プログレスバーが数秒で終わらず、場合によっては10秒~30秒以上も表示されるという報告も存在します。ローカルディスク(Cドライブ等)に保存する場合には症状が出ない、もしくは軽減される場合もあります。また、マクロを含まない通常の.xlsx形式に変換すると遅延が解消されるケースもあるため、マクロの存在が何らかの引き金となっていると推測できます。

実際の事例

たとえば、ある企業では2月上旬から突然、社内全体でExcelのマクロ付きファイルを保存するたびに「保存しています」というダイアログが長めに表示されるようになり、生産性が下がってしまいました。現場レベルではOfficeのバージョンを一時的にロールバックしてみたり、ネットワークドライブのアクセス設定を見直したり、またExcelのオンライン修復を試してみたものの、一向に改善されなかったそうです。最終的に、セキュリティ対策ソフトであるCrowdStrikeの更新が関係している可能性が示唆され、対処の糸口が見えてきました。

私自身も同様の問題に遭遇した経験があります。急に保存時間がかかり始めると、ネットワークの障害やファイル壊れなど疑ってしまいがちですが、こうしたセキュリティ製品との兼ね合いが原因となることも少なくありません。

考えられる原因と影響

Excelでマクロ有効ブックを保存する際に発生する遅延の原因としては、大きく分けて二つが挙げられます。第一に、Office製品自体のアップデートや機能変更の影響。第二に、ウイルス対策・エンドポイントセキュリティ製品の厳格化による影響です。

原因1: Officeアップデートの影響

Microsoft Officeには定期的に機能修正やセキュリティアップデートがリリースされます。アップデート後、意図せぬバグや相性問題が生じることもあり、それがExcelの保存処理に不具合を起こす場合があります。とりわけマクロ有効ブックは、VBAモジュールが含まれていたり、ファイル内で複雑な構造を持っていたりするため、保存時の検証プロセスが増える場合があります。

Office修復の提案

こういったアップデートの影響が疑われるときは、Officeの修復(オンライン修復)を実施すると改善されるケースがあります。これはコントロールパネルやアプリと機能から「Microsoft Office」を選択し、修復オプションを選ぶことで行えます。修復によって破損ファイルやキャッシュ不整合がリセットされ、問題が解消することがあります。ただし、修復後も改善が見られない場合や、そもそもマクロ有効ファイル限定で遅延が発生しているならば、別の要因を疑う必要があります。

原因2: セキュリティソフト・エンドポイント製品との相性

昨今のセキュリティソフトやエンドポイント保護ソリューション(EDR)は、マクロを含むOfficeファイルに対して厳重なチェックを行う傾向が強まっています。マクロには悪意のあるコードが仕込まれるリスクがあるため、セキュリティ製品はファイルの書き込み時に詳細なスキャンや解析を行う仕組みを備えています。こうした仕組みが強化されたことで、従来よりも保存処理が遅くなってしまったと考えられます。

具体的には、CrowdStrikeと呼ばれるEDR(Endpoint Detection and Response)製品での最新アップデートにより、Officeマクロの書き込み(ファイル保存)時に高度な解析処理が走り、その結果ファイルの保存が極端に遅延する現象が起きるという報告が複数存在します。これはクラウド機械学習(Cloud ML)を用いたマクロ解析や自動検疫機能が追加されたために発生した副作用とみられます。

マクロは業務効率を大幅に高める便利な手段です。定型処理や集計作業を自動化することができるので、一度作り上げてしまえばヒューマンエラーも減り、誰でも同じ処理を瞬時に実行できます。

ただし、悪用されるリスクも高いのがマクロです。セキュリティ製品によっては、脅威を未然に防止するためにマクロ関連ファイルを徹底的にスキャンしようとするので、保存が著しく遅れる場面が出てきます。

対処法の詳細

上記で挙げた原因に対して、それぞれの対処法をまとめます。もちろん環境によっては別の原因が隠れている可能性もありますが、特にセキュリティソフトが導入されている企業環境では、本節の手順を確認してみるとよいでしょう。

Officeアプリの修復・再インストール

Office自体の破損やアップデート失敗が疑われる場合は、一度オンライン修復を試す価値があります。次に、修復後も改善がなければOfficeのバージョンをロールバックしてみる方法もあります。ただし、古いバージョンに戻すとセキュリティ的なリスクが生じるため、自己責任で行うことが望ましいです。

私が以前経験したケースでは、Officeのバージョンを1つ前に戻すことでファイル保存がスムーズになったことがあります。ただし、根本的な原因が別にある場合は、一時しのぎにしかならない場合もあるので注意が必要です。

セキュリティソフトの設定確認

最近の事例で注目を浴びているのが、CrowdStrikeなどのセキュリティ製品のアップデートです。機械学習によるマクロ解析や検疫を強化する項目がデフォルト有効になったため、意図せず保存遅延を招くケースがあります。

一時的な対策としての「Detect on Write」無効化

CrowdStrikeの場合、「Detect on Write(DOW)」という機能があります。これはファイル書き込み時に詳細なマルウェア検出を行う仕組みですが、これをオフにするとExcelの保存遅延が改善する報告が多数上がっています。サーバー側のCrowdStrikeポリシー設定でオフにする、もしくは対象クライアントのみ専用ポリシーを割り当てるといった運用が可能です。

この設定変更を具体的に示すと、管理コンソール(ポータル)に入り、エンドポイントセキュリティ関連の画面で「Prevention Policies」を選び、その中の「Next-Gen Antivirus」設定にある「On Write」カテゴリを開き、「Detect on Write」のトグルをオフにします。変更が反映されると、保存時間が以前のようにスムーズになる場合があります。

1. CrowdStrike管理コンソールへログイン
2. 「Endpoint Security」→「Prevention Policies」へ移動
3. 「Type: Next-Gen Antivirus, Category: On Write」を選択
4. 「Detect on Write」のトグルをOFFにする

最新センサーへのアップデート

一方、CrowdStrike側では既に修正センサー(例: 7.07.17807.0 など)がリリースされているとの報告もあります。このバージョン以降にアップデートすると、Detect on Writeを有効にしていてもExcelマクロ有効ブックの保存遅延が発生しなくなったという声があります。企業の導入規模によっては、センサーアップデートの展開にテストや段階的適用が必要かもしれません。最終的には正式版にアップデートすることで、機能性とセキュリティを両立させた運用が望ましいでしょう。

Excelの動作遅延のチェックポイント一覧

ここで、今回のように「Excelマクロ有効ファイルが突然遅くなる」問題に直面したときに確認すべきポイントを表にまとめます。特に大規模な組織であれば、まずはローカル保存とネットワーク保存の両方を比較したり、セキュリティログを確認したりする工程が重要です。

チェック項目 内容
ローカル保存時の動作 マクロ有効ファイルをローカルディスクに保存して遅延が起きるかどうか。問題がなければネットワークやセキュリティ関連を疑う。
Officeバージョンや修復 最新のOfficeアップデート適用後に不具合が出た場合はオンライン修復やバージョンロールバックで改善するか確認。
セキュリティソフトの動作 CrowdStrikeなどのEDR製品の更新状況やポリシー設定(Detect on Writeなど)をチェック。ログに異常が記録されていないかも重要。
他のOfficeファイルの動作 Word(.docx)や通常のExcel(.xlsx)を保存するときにも遅延があるか。それによってトラブルの範囲を絞り込む。
過去バージョンとの比較 以前のOfficeやセキュリティセンサーに戻した場合に改善するか。原因特定の手がかりになる。
ファイル自体の検証 ファイルが破損していないか、マクロにエラーや無駄なモジュールがないか確認。冗長コードがある場合は削除。

恒久的な解決策を探る

ネットワークの設定やセキュリティソフトのポリシーは、企業の運用ポリシーに深く関わるため、一時的に機能を無効にするだけでは対処しきれない場合もあります。長期的な解決を目指すならば、以下のようなステップを踏むのがおすすめです。

セキュリティベンダーへの問い合わせ

マクロ有効ファイルの書き込み時に生じるパフォーマンス低下はセキュリティベンダー側でも想定しうる事象です。最新バージョンの適用や例外設定の詳細なガイド、もしくは検知レベルを調整するオプションが提供されている可能性があります。大きな組織ではサポートチケットを発行し、正式な回答を得るのが確実です。

Microsoftコミュニティや公式サポートの活用

マクロを活用する上でのOfficeトラブルに関しては、Microsoft公式ドキュメントやコミュニティフォーラムに類似の事例が多く寄せられています。例えば、Officeの自動修復やネットワーク設定の最適化、GPO(グループポリシー)側の設定変更など、社内で考慮すべき対処法が見つかることがあります。Officeの挙動自体を調査するならば、診断ツールの利用も検討してください。

実際に私の知り合いの企業でも、MicrosoftサポートとCrowdStrikeサポート両方に相談して、「Detect on Write」を微調整する特別ポリシーを作り、Excelだけ例外を一時的に設定しながら最新バージョンへのアップデートを待つ形で落ち着いたそうです。

まとめ: 快適なExcel環境を取り戻すために

Excelのマクロは多くの業務を効率化する最強の味方ですが、一方でセキュリティ上の懸念も存在するため、常に慎重な運用が求められます。今回のような「急に保存が遅くなった」という問題は、Officeやセキュリティソフトのアップデートで比較的突発的に発生することが多いのが現状です。

しかし、原因さえ特定できれば対処方法は比較的明確です。まずはローカルディスクとネットワークドライブでの保存の挙動差を見極める。次にOfficeやセキュリティ製品(CrowdStrikeなど)のアップデート状況を照らし合わせ、必要であれば一時的に「Detect on Write」をオフにしてみる。そして最終的には修正版や改善版のセンサーへアップデートし、根本的に問題が解消できるかを検証するとよいでしょう。

環境によっては追加でファイルサーバーの設定を見直したり、グループポリシーや共有フォルダの権限設定の問題が影響している場合もあります。また、セキュリティソフトがCrowdStrike以外の場合でも、似たようなマクロ解析機能が不具合を起こすことはあり得るため、ベンダーのリリースノートや既知の不具合情報を確認してみてください。

最終的には、各社のサポートに問い合わせて根拠をもって設定変更や例外ルールを適用することが安全です。業務の生産性とセキュリティのバランスを保つためにも、今回のような遅延問題の根本解決を図ることをおすすめします。

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