私はExcelが大好きで、ちょっとした集計やデータ整理もすべてExcelに頼ってしまうクセがあるのですが、ある日いつも使っているアドインが起動時にエラーを起こしてしまい、実務で大混乱に陥った経験があります。いつもなら再インストールすれば直るだろう、と気軽に考えていたところ、実はWindowsの更新プログラムと深く関係しているとわかって驚きました。この記事では、私自身が悩まされたExcel 2016でのアドイン不具合と、その原因となったKB5002653のアップデート問題、そして対処方法や実践してみて感じたことをできるだけ具体的にお話しします。
Excel 2016のアドインがKB5002653適用後に動かなくなる問題
Excel 2016を使っている方の中には、2024年11月リリースの更新プログラムKB5002653を適用してから、「アドインが読み込めない」「起動直後にエラーが出る」といったトラブルに直面している方が増えています。私が利用していたExcelアドインも、まさにこれに該当する状態でした。特にWindows 11環境でのアンインストールが困難である点がやっかいで、リストに表示されないなどの不具合も報告されています。
不具合の主な原因
Excelがアドインファイルのパスを正しく読み込めず、先頭ドライブ文字の「C」やネットワークパスの最初の「\」が落ちてしまい、「:\アドイン名」や「\サーバー名…」のように中途半端なパス表記になってしまうケースが多いと言われています。
私の場合も、アドインがネットワーク上にある「\\サーバー名\共有フォルダ\…」というパスを指定していたところ、更新プログラム適用後は「\サーバー名\共有フォルダ\…」と最初の「\」が欠落し、Excelがファイルを見つけられずエラーになりました。
エラーが確認された実体験
私の職場では複数人で同じExcelアドインを利用しており、ある朝、同僚から「なぜかアドインが動かないし、エラーが消えない」と相談を受けました。アドインのファイルそのものはサーバー上にあるため、ファイルが壊れたわけでもないはず。そこでネットワーク経路を一通りチェックしたところ問題はなく、ふとWindows Updateを確認してみると、ちょうど前日にKB5002653が入っていました。
まさかとは思いながらも、このKBをアンインストールして再起動したところ、あっさりエラーが消えたのです。この経験がきっかけで、KB5002653が原因なのだと実感しました。
Windows 10環境とWindows 11環境の違い
Windows 10であればコントロールパネルや設定から「更新プログラムのアンインストール」を選び、KB5002653をリスト表示させて削除できる場合が多いです。一方、Windows 11だと同じ操作をしてもリストにKB5002653が表示されないケースがあったり、削除ボタンがグレーアウトしているケースも見受けられます。
現場でWindows 10とWindows 11が混在していると、アンインストール手順の違いや削除の可否がバラバラで、混乱の元になりがちです。
Windows 11での対処に苦戦した事例
私の職場のテスト用Windows 11マシンでは、Windows Updateの履歴にKB5002653が見当たらず、グループポリシーからも削除できませんでした。焦ってインストールされた更新プログラムの一覧を調べまくり、「そもそもKB番号が違う?」とか「別名で入っているのでは?」と疑いましたが、結局見つからないままで、修正できる方法がわからず頭を抱えました。
結局はレジストリの設定を変えて対処しましたが、この点は大きなストレスでした。
対処策のいろいろ
ここからは私が試したり、同僚が実践して成功したりした方法をまとめてご紹介します。状況によってはうまくいかない場合もあるため、ぜひテスト環境での確認をおすすめします。
KB5002653をアンインストールする
もっともシンプルなのは、原因と目されるKB5002653を取り除く方法です。
Windows 10の場合は比較的簡単に更新プログラムのアンインストール画面から削除できるのですが、Windows 11では前述の通りリストに表示されないことがあり、シンプルな解決にならない場合もあります。
私の場合はWindows 10マシンでの作業だったため、「プログラムと機能」→「インストールされた更新プログラムを表示」からKB5002653を探してアンインストールを行いました。これが一番手っ取り早くアドインエラーが解消されたため、もしできる環境ならまず試してみるとよいと思います。
レジストリのアドインパスを修正する
KBを削除できない環境では、レジストリエディタを使った編集が有力です。
編集するレジストリキーは以下の通りで、Excelで指定されたアドインのパスが記載されています。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Excel\Options
ここで、OPENという名前の文字列にアドインのパスが格納されていることがあり、それを直接書き換えます。問題となっているのは、先頭にあるドライブ文字やバックスラッシュが欠落してしまう点なので、例えば「C:\addin\myaddin.xla」ではなく「 \C:\addin\myaddin.xla」のようにスペースを入れてみたり、「\\C:\addin\myaddin.xla」のようにバックスラッシュを追加したりして、Excelが正しくパスを解釈できる状態にするわけです。
スペースが効かなかった場合の工夫
人によってはスペースを入れてもExcelがうまく読み込んでくれない、というケースもあるようです。私の友人はバックスラッシュを二つ追加して「\\C:\…」と書いてみたところ、アドインが問題なく起動したと言っていました。どうやら環境によって挙動に違いがあるようなので、試行錯誤が必要になるかもしれません。

私の場合はスペースを一つ追加するだけで正常動作したのですが、別の部署にいる知人はスペース2つを使うと安定したと言っていました。正直「なぜそうなるのか」明確な説明が難しく、Microsoftのフォーラムでもいろいろな報告があるようです。
アドインファイル名の変更という暫定策
「もうパスが欠落するならいっそファイル名の先頭を削ってしまおう」といった力技もあるそうです。例えば「myaddin.xla」を「ymyaddin.xla」に変えてしまうなど、パス内の先頭文字がどれであってもエラーを回避しやすい形にするやり方です。
ただし、この方法は他のユーザーが同じアドインを使っていると同期が取れなくなったり、管理が煩雑になったりします。特にグループで利用しているアドインだと更新手続きが面倒になり、結局レジストリの方法に戻る人が多い印象です。
Microsoftの追加アップデートや修正パッチの動向
KB5002653の問題が表面化した後、Microsoftから追加のアップデートが出されたという情報があります。2024年11月19日付でKB4484305というアップデートがリリースされたとも言われており、この修正パッチで改善が図られている可能性があります。
ただし、すべての環境で完璧に不具合が解消されるわけではないかもしれないため、「最新パッチを当てたから安心」と思い込まず、今後もExcelを起動してエラーが出ないかの確認や動作テストは続けたいところです。
最新情報の追いかけ方
Office製品の更新プログラム情報はMicrosoftの公式サイトやTech Community、またはUpdate Catalogなどで比較的こまめにアップデートされています。アドインを多用する方や、企業内でMacroやVisual Basicを駆使した業務フローを組んでいる方は、なるべく定期的にこういった情報をチェックし、いつでもロールバックやレジストリ修正の手順を用意しておくと安心です。
フィードバックセンターへの報告
Windowsキー + Fで起動できる「フィードバック センター」に不具合を報告すると、Microsoft側で修正の優先度を上げる可能性があります。私も一度、別件ですがExcelの不具合を報告したところ、次回の更新プログラムには明記されていないものの、関連する修正が入っていたように思います。こうした積極的な報告活動は、実際の利用者が多いOffice製品ほど効果的だと感じています。
企業内でのフィードバック報告事例
大企業などではシステム管理部門が一括でフィードバックを行う場合があるようですが、個人ユーザーでも気軽に送信できます。ITリテラシーが高い人だけでなく、実際に困っている全ユーザーが「ここがおかしい」と声を上げることで、トラブルの実態がより正確に伝わり、修正が速く行われることもあるそうです。
実務におけるパッチ管理とGPOの活用
私の職場では、Windows Updateのタイミングをグループポリシー(GPO)で制御しており、いきなり全員のPCにアップデートが入るわけではありません。それでも今回のKB5002653のように、部分的に適用が進んだユーザーだけが先に不具合を体験し、社内で話題になるというケースがありました。
段階的ロールアウトの重要性
全PC同時に更新プログラムを当てると、万が一重大な不具合があったときに、組織全体がストップしてしまうリスクがあります。そのため、特定のパイロットユーザーにだけ更新プログラムを先行適用し、トラブルがないことを確認してから他のユーザーに展開する手法がよく採用されています。私の職場でもこの「段階的ロールアウト」をしており、そのおかげでKB5002653による被害を最小限に抑えられました。



パイロットユーザーは少し大変かもしれませんが、「試験台になるのは怖い」と避けるのではなく、実際に問題が起きたときの対応手順や情報共有の流れを社内に定着させるきっかけになるので、大事な役割だと思っています。
パッチ管理の表でわかりやすく整理
私の職場では、以下のような表を共有しながら、どのパッチがいつ適用され、どんな既知の問題があるのかを把握しています。
KB番号 | リリース日 | 既知の不具合 | 推奨アクション |
---|---|---|---|
KB5002653 | 2024/11/15 | Excelアドインのパス欠落 | アンインストール推奨 / レジストリ修正 |
KB4484305 | 2024/11/19 | 報告なし(実質修正パッチ) | インストール検討(テスト必須) |
こんな形で可視化しておくと、「あ、KB5002653が入っているからアドイン不具合があるんだな」とすぐ気づけますし、周囲への案内もしやすいです。
まとめ
私が実際に苦労したり、周囲から聞いた話を総合すると、Excel 2016アドインがKB5002653適用後に動かなくなる問題は、かなり実務に影響が大きいと感じています。根本的にはMicrosoftから出される修正パッチが最も望ましい解決策ですが、それを待てない場合は、Windows 10の環境ならアンインストール、Windows 11の場合はレジストリのアドインパス修正などを駆使するのが効果的だと考えます。
ただし、一時的に問題を回避できたとしても、その後の更新プログラムで再び同様のトラブルが起きる可能性を否定できません。定期的なパッチ管理と段階的ロールアウトの仕組みづくり、そしてフィードバックをMicrosoftに送り続ける努力をすることが大切ではないでしょうか。



私も最初は「なんでこんなトラブルが出るんだろう」と落ち込みましたが、いろいろ対処策を探ったおかげで社内で「Excelアドイン不具合対応マニュアル」を作る流れになりました。結果的に周りの人が困らないようになったので、苦労は報われた気がします。
コメント