FormsとExcelの自動同期が手動になったときの対処法

Microsoft FormsとExcelを組み合わせてデータ収集を効率化できるのはとても便利なのですが、2024年10月頃から従来の自動同期が突然うまく機能しなくなったという声が増えています。私自身もその影響を受け、調査やテストを重ねる中で代替方法や対処策を試行錯誤しました。そこで、同じようにお困りの方々に向けて、自動同期の現状や手動での回避策、今後の見通しなどをまとめた記事をお届けします。

FormsとExcelの同期問題の概要

Microsoft FormsとExcelは、アンケートやテスト結果などを効率よく収集し可視化するための強力なコンビとして長らく愛用されてきました。しかし2024年10月以降、Formsの回答が自動でExcelファイルに反映されないという問題が多発し、これまでスムーズだった業務フローが止まってしまうケースが相次いで報告されています。

同期が手動になってしまう理由

従来のFormsでは「Formsの設定画面からExcelファイルを直接作成し、そのファイルが自動更新され続ける」という機能が存在しました。ところが、仕様変更により、Excelファイルを直接開かない限り回答データが反映されなくなったのです。多くの利用者がこの不便さを嘆いており、特にFlow(Power Automate)などを使って定期的に自動処理を行っていた方々にとっては深刻な影響が出ています。

過去の仕様との比較

2024年10月以前は、FormsとリンクされたExcelを開かなくてもバックグラウンドで自動更新されるのが当たり前でした。たとえば、グループフォームやSharePoint保存のフォームなど、手軽にExcelが最新状態に保たれていたため、Flowを組んで承認フローや集計レポートへ簡単につなげられました。しかし現在では、ファイルを開かなければデータが反映されず、古いデータのまま取得されることも珍しくありません。

利用者への影響

私の勤める部署でも、月次アンケートをFormsで取得し、Flowで回答内容を集計・グラフ化したり、Power BIでダッシュボードを作成したりといった運用をしていました。ところが突然、月末に実行されるFlowの集計結果が更新されず、社内レポートが誤った値を示してしまう事態が起きました。同様のトラブルが各所で相次いでおり、早急に解決策を探し出す必要に迫られています。

実は私も、10月中旬に社内から「集計結果に反映されていない人がいる」と言われて初めて気づきました。何が原因か全く分からず、Excelファイルを開いたら急に回答が追加されていたので驚きましたね。

主なワークアラウンドとその詳細

現状、この自動同期が元に戻るまで待つしかないのか…と思いきや、一部で有効な回避策やWorkaroundがいくつか提案されています。ここでは代表的な方法を紹介します。

FlowでFormsの回答を直接取得してExcelに書き込む

最も確実と言われている方法のひとつは、Power Automate(Flow)で「When a new response is submitted」のトリガーを使ってFormsの回答を拾い上げ、そのまま別のExcelファイルに書き込みを行うという手段です。ExcelファイルはSharePoint上に配置し、必要なテーブルを用意しておきます。

リアルタイムで回答データを取り込めるため、既存のForms→Excelの自動同期が機能しなくても新しくフローを組めば問題を回避できます。

一方で、既存の自動生成ファイルとは別に新たなExcelを用意する必要があるため、ファイル管理が煩雑になる懸念があります。運用コストはやや上がる印象です。

具体的には以下のような手順です。

1. Power Automateで「When a new response is submitted」トリガーを選択。
2. 「Get response details」アクションで回答内容を引き出す。
3. SharePoint上に作成したExcelファイルのテーブルへ「Add a row into a table」アクションを使って書き込み。
4. 必要に応じて承認フローや別システム連携も追加可能。

これにより、Formsの回答があった時点で自動的にFlowが動き、Excelに新規行が追加されます。Excelファイルを開かなくてもデータが反映されるので、旧仕様の「自動同期」の代わりを十分に果たせます。

Teams上でのフォーム作成

一部のユーザーからは、Teamsのチャネルに「+」アイコンでタブを追加するときにFormsを作成すると、従来どおり自動同期されるケースがあるという報告もあります。ただし、最近のアップデートによって再現性にばらつきがあるとの声もあり、一度Teamsで作成してみて状況をチェックする必要があります。

期待できる効果

もし環境が合致すれば、Forms→Excelへの連動が再び自動化されるため、Flowなしで従来どおり運用できる可能性があります。Teams上にフォームがあることで、組織内の共同作業もしやすくなる点がメリットです。

Teamsで作成したフォームは組織メンバー全員がアクセスしやすく、回答状況のシェアやファイル共有もスムーズです。

ただし、フォームを新規で作り直す必要があり、既存フォームの回答データを移行するのは簡単ではありません。また、環境によっては依然として同期されないケースが確認されています。

スクリプトでExcelを定期的に開く(非公式手法)

どうしても既存の自動生成Excelを変えたくない方の苦肉の策として、スクリプトなどを使い自動的にExcel(ウェブ版)を開くことで同期をトリガーにする方法があります。WindowsのタスクスケジューラやAzure Functionsなどを使えば、特定の時間にブラウザを起動してExcelファイルのURLを開く処理を走らせられます。

注意点

これはMicrosoftが公式に案内している方法ではなく、あくまで「Excelを開くこと」を強制的にやっているだけなので、安定性は保証されません。また、ブラウザの自動操作系はセキュリティリスクやメンテナンスコストも考慮すべきです。あまりおすすめの方法ではありませんが、一部のユーザーがやむを得ず採用しているようです。

この方法は手間もリスクも大きいため、本当に他の方法が使えないときの最終手段という位置づけです。

Microsoftの今後の対応見通し

2024年10月の仕様変更で多くの利用者が混乱していることもあり、Microsoftは新しい同期ソリューションを計画しているとされています。Microsoft 365のロードマップに掲載されている情報によると、FormsとExcelをより円滑に連携するオプションが近い将来リリースされる見込みです。ただし、具体的な公開時期はまだ明かされていません。

Microsoft Feedback Portalの活用

多くのユーザーがこの問題に不満を抱えており、Feedback Portalやコミュニティで活発な議論が行われています。もし本記事をご覧の方も影響を受けているのであれば、Portalへの要望投稿やVotesを行うことで、改善の優先度を高める一助となるでしょう。

既存ビジネスプロセスへの影響

たとえば、長期間安定稼働していたForms+Excel+Flowの自動集計が止まってしまうと、企業全体のワークフローにも影響を与えます。部門ごとの集計作業が手作業に戻る、承認のプロセスが停止する、といったトラブルがリアルに発生しています。Microsoftとしても、企業ユーザーの支持を失うリスクがある問題だけに、早期解決が期待されています。

私の知り合いのIT部門担当者も、「何度もFeedbackを出しているが、まだ正式回答を得られていない」と話していました。ただ一方で、Microsoftも仕様の大幅変更には何らかの理由があるようで、気長に待つしかない状況ですね。

実際の導入事例や経験談

ここで、私が関わったプロジェクトや周囲の導入事例をいくつか共有します。問題点と同時に、どのように回避策を適用したかも併せて紹介します。

事例1:社内定期アンケートの集計フロー

背景

月末に自動実行されるFlowが、Formsの回答をExcelに集計し、その結果をPower BIに取り込んでレポートを生成していた。しかし、2024年10月以降、Flow実行時にExcelが更新されておらず古いデータしか取得できない問題が発生。

対応

新しくSharePoint上にExcelを用意し、FormsからFlowトリガーでデータを直接「Add a row into a table」するフローを設計しなおした。既存のFormsとExcelのリンクはほぼ無視する形で、Flow主体に移行。これにより、以前と同じようにリアルタイムで回答が集計されるようになった。

Flowの作成自体は比較的容易で、数時間の作業で新しい仕組みに切り替えられました。

従来のExcelと同じファイルを使っているつもりで混同する社員もおり、二重管理のリスクが上がった点が課題になっています。

事例2:研修受講フォームの回答収集

背景

Teamsのチャネル上に研修フォームを設置しており、もともと自動生成Excelがグループ共有されていた。途中までは問題なく同期していたが、10月のある週から急に同期が止まった。

対応

Teamsタブを再設定し、新規にフォームを追加したら再び同期されるようになった。ただし、ごく稀に同期が遅延することがあり、やはりExcelを開くと最新のデータが一気に反映されることがある。

環境によっては「作り直し」で息を吹き返すケースがあります。再接続は意外と効果的でした。

作り直した後のフォームURLが変わったため、告知ページや受講者向け案内のリンクを全部修正しなければなりませんでした。再度告知する手間がかかりましたね。

代替策の比較表

いくつかの回避策をまとめると、以下のような特徴があります。実際にどの方法を選ぶかは、組織の運用状況やITリソースに合わせて検討してみてください。

方法 特徴 メリット デメリット
FlowでForms→Excel Flow上で回答を取得し、別のExcelに書き込む Excelを開かなくても常に最新データが反映 別ファイルの管理が必要
フロー構築の手間がある
Teamsでフォーム作成 チャネルタブから新規フォームを作成 自動同期が復活する可能性
チームコラボがしやすい
作り直しの必要性
再現性にばらつき
スクリプトでExcelを定期的に開く ブラウザ自動操作などでExcelを開き同期 既存のフォーム・Excelをそのまま活用できる 手間やリスクが大きい
公式サポート外

まとめと今後の展望

現行のMicrosoft FormsとExcelの同期不具合は、一見すると軽微に思えるかもしれませんが、実際には多くの企業や組織の業務プロセスを止めてしまう厄介な問題です。特に自動集計やレポート作成を行っていた方にとっては、自動化のメリットが大きく損なわれています。

おすすめ対策の優先度

私個人としては、最も確実かつ再利用性の高い方法として「FlowでFormsの回答をExcelに書き込む」ことを推奨します。それでも既存のフローを組み替える手間は発生しますが、一度設定してしまえば自動同期が保証されるメリットは大きいです。

一方、Teamsでフォームを新規作成する方法もハマれば楽ですが、再度リンクを周知する手間や再現性の問題があるため、慎重に検討する必要があります。スクリプトでExcelを自動的に開く手法は最終手段という位置づけで、システム管理者がよほど工夫しなければ安定運用は難しいでしょう。

Microsoftへのフィードバック

どうしても「従来の状態に戻してほしい」と思う方が多いはずです。Microsoft 365ユーザーとしては、Feedback Portalを通じて声を上げることが一番有効です。Microsoftがユーザーからの要望を認識し、プライオリティを高めて修正に動いてくれることを期待したいですね。

私の周囲でも、「もう待てないからFlow化しよう」という人と、「戻るかもしれないから待とう」という人に分かれています。いずれにせよ、情報を収集しながら最善の方法を探ることが大切ですね。

最後に

FormsとExcelの組み合わせは、アンケート集計や受講管理など、多岐にわたる業務シーンで非常に便利なツールです。だからこそ、今回の仕様変更には多くのユーザーが戸惑いを覚えました。しかし、FlowやTeamsなど関連サービスをうまく活用することで、依然として大きなメリットを享受できます。ぜひこの記事を参考にしながら、最適な対処法を見つけてください。

今後もMicrosoftからのアップデート情報を注意深く追いかけ、新しい同期ソリューションの提供が始まれば真っ先に試してみるのが良いでしょう。ビジネスプロセスを止めないためにも、柔軟に対応策を選びつつ、改善が望まれる点は積極的にフィードバックを寄せることをおすすめします。

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