macOS High Sierraで最新Officeが使えない時の対処法

macOS High Sierra(10.13.6)を長く使い続けていると、新しいアプリのインストールやバージョンアップで思わぬ壁にぶつかることが多くなります。特にOfficeなど日常的に活用するソフトの最新機能が使えないのは不便ですよね。今回は、そんなお悩みを解決するための情報を詳しくご紹介します。

macOS 10.13.6からアップデートできない理由と背景

macOS 10.13.6(High Sierra)は、2017年にリリースされた比較的古いバージョンのmacOSです。Appleは新しいOSをリリースすると、古いOSのサポートを段階的に終了していきます。そのため、現在ではHigh Sierraへのセキュリティアップデートや最新アプリの対応が打ち切られ、Officeをはじめとしたソフトウェアの新バージョンがインストールできない状況が発生しています。

古いmacOSを使い続けるリスク

古いmacOSを使い続けると、以下のリスクが高まります。

  • セキュリティホールが修正されない
  • 最新機能が使えず、生産性が低下
  • 対応するソフトウェア・ハードウェアが徐々に減少

特にセキュリティホールの放置は、機密情報の漏えいなど取り返しのつかない被害に繋がりかねません。OSのアップデートが原則としてできない以上、リスク管理が必須となります。

Appleのサポートポリシー

Appleは常に最新OSを優先的にサポートしており、過去のバージョンは数年単位でサポートを終了します。High Sierraに対しては、重要なセキュリティアップデートもすでに停止されています。そのため、どうしても最新環境でしか動作しないソフトが必要な場合は、ハードウェアの見直しを含めた対策が必要になります。

Officeをアップデートできない問題の原因と対処法

Officeをアップデートできないのは、Microsoftが要求するシステム要件とmacOS High Sierraの互換性が切れていることに起因します。OfficeのバージョンによってはHigh Sierraでは動作しないケースが出てきており、その代表的な区切りが「16.43」です。

Office 16.43まで対応可能

Microsoftが提供するOffice 2019以降のバージョンは、macOS Mojave(10.14)以上を要求するケースが増えています。High Sierraで動作が確認されている最終バージョンがOffice 16.43です。
もし手元にOffice 16.43のインストーラーがある場合は、それを使ってインストールし、ライセンスを入力・アクティベートすることで引き続き利用できます。

Office 16.43のインストーラーを入手する方法

  • Microsoft公式サイト(ダウンロードセンター)
    すでにOffice 16.43用のインストーラーが直接ダウンロードできないこともありますが、Microsoftのアーカイブから入手できる可能性があります。
  • Officeライセンスを持つ場合の「My Account」から
    マイアカウント画面に古いバージョンのダウンロードリンクが用意されているケースもあります。
  • サードパーティサイト
    非公式の入手元からはウイルス混入などのリスクがあるため、信頼性を十分に検討して利用してください。

Office 16.43にダウングレードする際の注意点

Officeを新しいバージョンから16.43にダウングレードする場合は、現在のOfficeをアンインストールしてから再インストールする手順が一般的です。アンインストール時にライセンス情報がリセットされる場合もあるため、ライセンスキーを準備しておきましょう。

これ以上のアップデートは不可:OS制限の壁

macOS High SierraはすでにAppleのサポート終了フェーズに入っており、OS自体をアップデートする公式な方法が存在しません。ハードウェア面の都合で、Mojave(10.14)以降にアップデートができないモデルも多く存在します。そうなると、最新Office(16.44以降)や今後リリースされるバージョンに対応することは極めて難しくなります。

ハードウェアの要件を確認する

MojaveやCatalina(10.15)以降のmacOSでは、Metal対応のグラフィックプロセッサが必要になるなど、ハードウェア要件が大幅に変更されています。
以下に各macOSバージョンと主要ハードウェア要件をまとめた簡易表を示します。

macOSバージョン主なリリース年Metal対応が必要か32bitアプリのサポート
High Sierra(10.13)2017年不要あり
Mojave(10.14)2018年必要あり
Catalina(10.15)2019年必要なし(64bitのみ対応)
Big Sur(11.0)2020年必要64bitのみ対応
Monterey(12.0)2021年必要64bitのみ対応
Ventura(13.0)2022年必要64bitのみ対応

たとえば、2011年以前のMacでは多くの場合Metal非対応であり、公式にはMojave以降に対応していません。そのため、OSをアップグレードできず、結果としてOfficeの最新バージョンも使用できなくなってしまいます。

どうしても最新OSを使いたい場合の裏ワザ

非公式ツールを使用してサポート外のMacに新しいmacOSをインストールする方法がありますが、動作の保証やセキュリティリスクなど問題が多いため、自己責任となります。業務利用など安定性が重視される環境ではおすすめできません。

買い替え以外の選択肢と延命策

Macを買い替える余裕がない、あるいは愛着のある古いMacをまだ使い続けたいという方もいるでしょう。そういった場合に考えられる選択肢はいくつかあります。

1. Office 16.43で運用を続ける

現状、macOS High SierraとOffice 16.43の組み合わせで問題なく動作しているのであれば、引き続きそのまま使い続けるのはひとつの手です。今後、Officeのバージョンアップで得られる新機能は使えませんが、基本的な作業は十分こなせます。

定期的にバックアップを取る

古い環境を使ううえで重要なのがバックアップです。Time Machineなどを活用し、もしものときに備えてデータを保護しましょう。

2. クラウド版Office(Office Online)や他ソフトの利用

Microsoft 365を契約している場合、ブラウザから利用できるOffice Onlineがあります。これはOSの制約を受けにくいため、古いMacでも対応ブラウザさえあればWordやExcel、PowerPointをWeb上で操作できます。また、機能が限定されるもののGoogleドキュメントなどの他社クラウドソリューションに乗り換えるのもひとつの手です。

クラウド版Officeのメリット

  • OS依存が少ないので常に最新の機能が使える
  • ファイルがクラウドに保存されるのでデバイスを選ばない
  • チームでの共同編集がしやすい

クラウド版Officeのデメリット

  • オフラインでは使えない
  • 一部機能が制限されている(高度なマクロ機能など)
  • 安定したインターネット接続が必須

3. 仮想環境で別OSを立ち上げる

ある程度スペックに余裕のあるMacであれば、VMware FusionやParallels Desktopなどの仮想化ソフトウェアを導入し、そこで新しいWindowsやLinuxを動かす方法もあります。Windows環境下であれば、最新のOfficeを問題なく利用できる可能性が高くなります。

ただし、仮想環境の動作はマシンパワーを多く消費するため、CPUやメモリの不足が顕著な古いMacだと動作が重くなるリスクが高い点に注意が必要です。

仮想環境のメリット・デメリット

  • メリット
  • OSを買い替えずに最新ソフトが使える
  • 高度なセキュリティ実験やテスト用途に便利
  • デメリット
  • 仮想化ソフト自体のライセンス費用がかかる場合がある
  • ハードウェア要件が高く、動作が重くなりやすい

古いMacとOffice 16.43を長く使うためのポイント

どうしてもすぐにMacを買い替えられない場合、セキュリティと安定性を両立させつつ利用するための工夫が必要です。

1. 可能な限りのセキュリティ対策

  • ウイルス対策ソフトの導入
    古いOSだからこそ最新のマルウェアの標的になりやすい可能性があります。ウイルススキャンやマルウェア対策ソフトを導入することでリスクを軽減しましょう。
  • ファイアウォールの適切な設定
    ルーターやOS標準のファイアウォール設定を見直し、不要な通信を遮断しておくことが大切です。
  • 怪しいサイトや添付ファイルへの注意
    メールやWebサイトのリンクを安易にクリックしない、信頼できないソフトをインストールしないなど、基本的なセキュリティ意識を徹底することが重要です。

Terminalコマンドでのセキュリティ確認例

下記はシステムインテグリティ保護(SIP)が有効かどうかを確認する一例です。High Sierraでは一部制限が緩い場合もありますが、念のため確認しておくと良いでしょう。

$ csrutil status
System Integrity Protection status: enabled.

上記がenabledであればSIPは有効です。disabledの場合はセキュリティリスクが高まります。

2. データ移行の準備

今後、買い替えや仮想環境への移行など、いつでもデータをスムーズに移行できるように、重要なドキュメントやメディアファイルはクラウドや外部ストレージにバックアップしておきましょう。Officeの保存形式も.xlsxや.docxのような最新フォーマットに揃えておくと、新しい環境でも互換性に悩まされにくくなります。

3. 定期的な動作確認とメンテナンス

長期運用していると、徐々にファイルの断片化やストレージの容量不足で動作が重くなることがあります。以下のようなメンテナンスを定期的に行いましょう。

  • 不要ファイルの整理
    ダウンロードフォルダやデスクトップに溜まった不要ファイルは削除。
  • ディスクユーティリティでファイルシステムをチェック
    「ディスクのアクセス権の修復」などを実行(High Sierraでは「First Aid」の機能)。
  • 再起動やOSのクリーンインストール
    長期間OSを再インストールしていない場合、クリーンインストールで動作が改善することがあります。

Officeが使えない場合の別ソフトウェアの候補

Officeを使い続けるのが最適ではない場合に、代替となるソフトやサービスを活用するのも視野に入れましょう。

LibreOffice

LibreOfficeはオープンソースのオフィススイートで、WordやExcelなどの形式をある程度読み書きできます。macOS High Sierraにも比較的対応しており、無料で導入できるのが大きな魅力です。ただし、レイアウト互換性が完璧ではない場合もあるので注意が必要です。

Google Workspace

Googleドキュメントやスプレッドシートは、ブラウザさえあれば動くクラウドベースのオフィススイートです。Microsoft Officeとの互換性は年々向上しています。高機能なマクロなどは難しいですが、共同編集やバージョン管理はしやすいです。

Pages/Numbers/Keynote

Apple純正のオフィススイートであるPages、Numbers、KeynoteもHigh Sierraで利用可能なバージョンが存在します。見た目や操作感はAppleらしく洗練されていますが、Microsoft Officeとの互換性を重視するならやや不向きです。
ただし、Apple製品同士の連携はスムーズなので、MacやiPhoneを多用する人には利便性が高いと言えます。

セキュリティ面への注意とまとめ

古いOSを使い続ける最大のデメリットは、セキュリティ更新の停止です。脆弱性が見つかっても修正パッチが配布されないため、常に最新OSを使う環境に比べてセキュリティリスクが高まります。以下の点に留意しましょう。

  1. こまめなバックアップ:万が一のトラブルに備える
  2. ウイルス対策やファイアウォールの強化:古いOSは狙われやすい
  3. 慎重なネット利用:怪しいサイトやメールは避ける

もちろん、ハードウェアの買い替えが最善の解決策ではあります。しかし、Office 16.43に限定して利用し続ける方法やクラウド版の活用、仮想環境の導入など、さまざまな選択肢があるのも事実です。自分の利用シーンや予算、セキュリティリスクとの兼ね合いを見極めながら最適な方法を選びましょう。

最後に:長く使うか、新しいMacに乗り換えるか

古いMacでOfficeを使い続けるのは、セキュリティ面や機能面でのリスクを伴う一方、現在の環境が安定している場合は余計な出費を抑えられるメリットがあります。どうしても最新Officeの新機能が必要であれば、思い切って新しいMacを購入するか、Windowsマシンを検討するのも方法の一つです。

一方で、現状維持が許される環境であれば、Office 16.43のインストーラーを確保して利用を続けつつ、セキュリティ対策を万全にして乗り切る選択肢も十分にありえます。仕事や学業、趣味など、利用目的によってベストな方法は異なりますので、この記事を参考にして自分に合った道を選んでください。

追加のヒント:Microsoft 365のライセンスを持っている場合

Microsoft 365は常に最新のOfficeを利用できるサービスですが、サポートされないOSではデスクトップアプリが使えなくなります。ただしWebブラウザ経由でOffice Onlineを利用することで、一部機能は継続して使用できます。ブラウザのバージョンもできるだけ最新に保ち、セキュリティ面を強化しておきましょう。

まとめ:自分のニーズに合った決断を

  • Office 16.43にとどまる
    今ある環境で当面の機能を満たしているなら、セキュリティ強化とバックアップ体制を整えながら使い続ける選択肢があります。
  • クラウド活用や仮想化
    Web版Officeや仮想環境で最新OSを使うという回避策も検討してみましょう。
  • Mac自体を買い替える
    最新OSとOfficeを快適に使いたい場合やセキュリティ面の不安が大きい場合は、新しいMacへの移行も検討すべきです。

どの選択肢を選んだとしても、一番大切なのはデータの保護と安定した作業環境の維持です。ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にして、古いMacでのOffice運用をより安心・快適に行ってみてください。

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