導入文章
OneDriveを使うと、オンラインとオフラインのファイルがシームレスに扱えてとても便利ですよね。しかし、間違ってOneDrive上でファイルを削除したら、パソコン上のファイルまで一緒に消えてしまった…というトラブルでお困りの方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんなトラブルを避けるための設定や対策、そしてローカルだけに安全にファイルを保存する方法を徹底解説します。快適なPCライフの実現にお役立てください。
OneDriveとPCのファイルが連動してしまう原因とは?
OneDriveにアップロードしたファイルがPC上でも自動的に更新・削除されるのは、いわゆる「同期」という仕組みが働いているためです。Windows 11やWindows 10では、初期設定のままだと「ピクチャ」や「ドキュメント」などの主要フォルダーがOneDriveと連携していることがあります。ここではまず、その根本的な理由をもう少し詳しく見ていきましょう。
同期機能がもたらすメリットとデメリット
同期機能は非常に便利な反面、思わぬデメリットも存在します。下記の表にメリットとデメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット |
---|---|
複数のデバイスから同じファイルを簡単にアクセス・編集できる | 同期されたファイルをオンラインで削除すると、PC上のファイルも消えてしまう可能性がある |
クラウド上にバックアップが取られるため、PCの故障や紛失時にもデータを復旧しやすい | 容量を使いすぎるとクラウドがいっぱいになり、不要なファイルを削除した際にローカルファイルも一緒に消えてしまう危険がある |
ファイルのバージョン履歴機能や共同編集機能がある | PC側のストレージ容量を節約している場合、「ファイルオンデマンド」が原因で、意図せずオンライン上のファイルを削除してしまう可能性がある |
デフォルト設定で同期されるフォルダー
Windows 11およびWindows 10の初期設定では、次のフォルダーがOneDriveと同期していることが多いです。
- ドキュメント
- ピクチャ
- デスクトップ
これらのフォルダーに保存したファイルを、クラウドのOneDrive上から削除すると、自動的にPC上の同じフォルダー内のファイルも削除されてしまいます。これこそが「ファイルがいつの間にか消えてしまった」というトラブルの原因の一つです。
安全にローカルにファイルを保存する方法
「OneDriveは便利だけど、大切な写真やドキュメントはPCだけに安全に残しておきたい」という方は多いでしょう。そこで、ローカルのみでファイルを保存するための方法をご紹介します。
OneDriveフォルダー以外に保存する
まずは最も基本的かつ確実な方法として、OneDriveと連携していないフォルダーを作り、そこに写真や書類を保存する方法です。
- Cドライブ直下やDドライブ(あるいは外付けHDD)などに任意のフォルダーを作成
例:
C:\LocalFiles
- このフォルダーに重要なデータ(写真、ドキュメントなど)を移動・保存する
こうすることで、OneDriveの同期対象外となり、クラウド上でファイルを削除してもPC上のファイルは消えなくなります。
「自動保存」をオフにする
Microsoft 365やOfficeアプリを利用している場合、自動保存がデフォルトでオンになっているケースがあります。自動保存機能はOneDriveやSharePointに常にファイルを保存・同期するため、これをオフにするだけでも余計な同期を回避できます。
- WordやExcelなどのOfficeアプリを開く
- ウィンドウ左上付近にある「自動保存」がオンになっている場合はオフにする
- ファイルを保存する際、ローカルフォルダーを選択する
Officeアプリのオプション設定
Officeの設定画面からも、保存先をデフォルトでローカルPCにする設定が可能です。Wordを例にすると、次のような手順を踏みます。
- 「ファイル」メニューから「オプション」を選択
- 左メニューの「保存」をクリック
- 「コンピューターに既定で保存する」や「既定のローカルファイルの場所」を指定する
- 「OK」を押して設定を反映
こうすることで、毎回OneDriveではなくローカルPCに保存しやすくなります。
OneDriveの同期を部分的または完全に解除する方法
OneDriveの便利さを残しつつも、データ消失のリスクを下げるには「不要なフォルダーは同期しない」という設定がおすすめです。また、まったくOneDriveを使わないのであれば、完全に同期を解除することも検討できます。
フォルダーの選択による部分的な同期解除
OneDriveの同期対象を限定すれば、必要最小限のデータだけをオンラインと同期できます。
- タスクバー右下(または右上)にあるOneDriveアイコンを右クリックし、「設定」を開く
- 「アカウント」タブから「フォルダーの選択」をクリック
- 同期するフォルダーだけにチェックを入れる
- それ以外のフォルダーは同期を外す
これにより、指定したフォルダーだけが自動的にアップロード・同期され、不要なファイルが勝手に消えるリスクを減らすことができます。
PCからOneDriveを完全に切り離す(リンク解除)
OneDriveの同期自体を根本的に止めたい場合は、アカウントのリンクを解除するとよいでしょう。
- タスクバーのOneDriveアイコンを右クリックし、「設定」を選択
- 「アカウント」タブ内の「このPCのリンクを解除」をクリック
- 確認画面が表示されたら手順に従い完了させる
リンクを解除すると、OneDriveとPCの間での自動同期は行われなくなります。以後、OneDriveにファイルを保存しても、PC側に自動的にダウンロードされることはありません。
OneDriveをスタートアップから外す
PC起動時にOneDriveが自動で起動してしまう場合は、スタートアップから外すことも重要です。
- Windows 11の場合
- スタートボタンを右クリックし、「タスクマネージャー」を選択
- 「スタートアップ」タブに移動
- OneDriveを選択して「無効」にする
これで再起動以降は自動でOneDriveが起動しなくなり、誤って同期するリスクを低減できます。
実践例:ファイルオンデマンドの見直し
OneDriveを使う際に「ファイルオンデマンド」機能をオンにしていると、見かけ上はファイルがPCにあるように見えていても、実際にはクラウド上にデータが置かれていることがあります。これが場合によっては、思わぬデータ消失につながる可能性があります。
ファイルオンデマンドとは?
「必要なときだけファイルをダウンロードする」という仕組みで、PCのストレージ容量を節約できる便利な機能です。ただし、オンラインでそのファイルを削除すると、ローカル上のファイルもいっしょに消えてしまうことがあり、トラブルの原因となります。
ファイルオンデマンドの設定をオフにする
- タスクバーのOneDriveアイコンをクリック
- 歯車アイコン(またはメニュー)から「設定」を選ぶ
- 「設定」タブにある「ファイル オンデマンド」項目のチェックを外す
これにより、すべてのファイルがPC側にもフルで保存されるようになり、オンラインでの削除が即PC側に反映されることを防ぎやすくなります。ただし、PCのストレージ容量を圧迫するので要注意です。
より安全なバックアップと復元策
OneDriveの同期リスクを回避するには、そもそも定期的なバックアップが非常に効果的です。オンラインとオフラインの両面で対策をとることで、万一のときにもデータを守ることができます。
外付けHDDやNASへのバックアップ
- 外付けHDDに手動バックアップ
大量のファイルを扱う場合は、USB接続の外付けHDDに定期的にコピーしておくと安心です。万が一OneDriveでデータを削除しても、外付けHDD上にはデータが残ります。 - NAS(ネットワーク接続ストレージ)で自動バックアップ
自宅やオフィスのネットワークに繋いだNASを用意して、自動同期ソフトやファイル履歴機能を使うのもおすすめです。
Windowsの「バックアップと復元(Windows 7)」機能
Windows 11やWindows 10にも、システムとしてファイルのバックアップを取る機能が残っています。
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」→「バックアップと復元(Windows 7)」
- 保存先に外付けHDDや別ドライブを選択
- バックアップスケジュールを設定して定期的に自動で保存
これでローカル側のファイルを定期的にバックアップすることができ、OneDriveに同期し忘れていたファイルが失われても復元可能となります。
誤って削除してしまったファイルの復元方法
もしすでにOneDrive上でファイルを削除してしまい、かつPC上からも消えてしまった場合でも、あきらめる前に試していただきたい復元手順があります。
OneDriveの「ごみ箱」から復元
OneDriveには独自の「ごみ箱」が存在し、一定期間内(最大30日程度)であればファイルを復元できます。
- OneDriveのWebサイトにアクセス
- 左サイドバーにある「ごみ箱」をクリック
- 復元したいファイルを選択して「復元」をクリック
ただし、容量の大きいファイルや長期間経過したファイルは自動的にごみ箱からも削除されてしまうことがあります。
Windowsの「ごみ箱」やバックアップから復元
パソコン自体のごみ箱や、前述のWindows「バックアップと復元(Windows 7)」機能、またはサードパーティ製の復元ソフトを試すことで、運が良ければローカルの状態で取り戻せる場合があります。
さらにトラブルを減らす上級テクニック
OneDrive設定をグループポリシーやレジストリでカスタマイズ
企業や組織内でOneDriveの誤操作を防ぎたい場合は、グループポリシーで利用を制限したり、レジストリ編集によって特定機能を無効化することも可能です。これはやや上級者向けの設定ですが、誤削除防止やセキュリティ強化を検討している場合は視野に入れてみるとよいでしょう。
簡単な例として、Windowsの「ローカルグループポリシーエディター」でOneDriveのファイルオンデマンドを無効化する流れを以下に示します。
1. Windowsキー + R を押して「gpedit.msc」を実行
2. [コンピューターの構成] → [管理用テンプレート] → [OneDrive] → [ファイルオンデマンドを無効にする] を有効に設定
設定項目はOSのバージョンやエディションによって異なる場合があるため、事前に公式ドキュメントやヘルプを参照してください。
レジストリでOneDriveの一部機能を無効化する
OneDriveをPCから完全に切り離す際にレジストリを編集して起動自体をブロックする方法もあります。下記はあくまで参考例であり、作業前にレジストリのバックアップを必ず行ってください。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\OneDrive]
"DisableFileSyncNGSC"=dword:00000001
この設定で、OneDriveの同期クライアント(NGSC: Next Generation Sync Client)が無効化される可能性があります。ただし、将来的なアップデートで挙動が変わることもあるので注意してください。
OneDriveをやめるか続けるか?考えるべきポイント
最後に、そもそもOneDriveを使い続けるか、完全にやめるかについて考えてみましょう。それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概に「やめた方がいい」「使い続けるべき」というものではありません。
OneDriveを使い続けるメリット
- 複数デバイスでファイルをシームレスに共有できる
- Microsoft 365アプリとの連携がスムーズ
- データのクラウドバックアップ先として使える
仕事で複数人とファイルを共有したり、異なる端末を使っている方にとっては非常に魅力的です。
OneDriveをやめる・削除するメリット
- 誤操作でローカルファイルが消えるリスクを完全に排除できる
- 常時動作する同期プロセスがなくなるためPCのリソースを節約できる
- クラウド上で容量オーバーを気にしなくて済む
個人用PCで大きなファイルを管理する場合やクラウドをほとんど利用しない場合は、要らないトラブルを避けられるかもしれません。
結論:自分のワークフローに合わせて選択を
ファイルを多く扱い、かつ仕事や趣味でどこでもアクセスしたい方はOneDriveをある程度使い続ける価値があります。一方で、ローカルPCだけで完結する用途が多く、外部ストレージに定期的なバックアップを取っている方は、同期機能を制限または停止しても問題ないでしょう。
まとめ:適切な設定で「消えるトラブル」を回避しよう
OneDriveで写真やファイルを削除した際、PCのローカルファイルまで一緒に消えてしまう原因は「同期機能」によるものです。Windows 11やWindows 10の標準設定では「ピクチャ」「ドキュメント」「デスクトップ」などがOneDriveとリンクしている可能性が高く、うっかり削除してしまうと取り返しのつかない事態に陥ることもあります。
しかし、この記事で紹介したように、ローカル専用フォルダーを作成したり、OneDriveのフォルダー選択設定を見直したり、あるいはアカウントのリンクを解除することで、誤ってファイルが消えてしまうリスクを格段に下げられます。さらに、外付けHDDやNASに定期的にバックアップを取ることで、万が一のトラブルも最小限に食い止めることができます。
OneDriveは非常に便利なツールですが、使い方によっては危険も伴います。自分のワークフローに合わせて最適な設定を行い、失敗やストレスのない快適なファイル管理環境を構築してみてください。
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