OneDriveを使って日々のファイル管理を行う方は多いでしょう。しかし最近、フォルダーの色変更機能がビジネス版では使えるのに、個人版では使えないという声が上がっています。本記事ではその背景や対策などを解説します。
1. OneDriveのフォルダー色変更機能とは
OneDriveのフォルダー色変更機能は、クラウドストレージ上にあるフォルダーのアイコン色を自由に変更できるようにした便利な機能です。色分けができることで、プロジェクトごとにフォルダーを区別したり、優先度の高いフォルダーを目立たせたりと、視覚的に管理しやすい環境を作れます。
1-1. ビジネス向けOneDriveでの提供状況
ビジネス向けOneDrive(OneDrive for Business)やSharePointでは、このフォルダー色変更機能が既に利用できることが多いです。具体的には、以下のような手順を踏むことで簡単にアイコン色を変えることが可能です。
- ブラウザからOneDrive for BusinessまたはSharePointにアクセス
- 対象のフォルダーを右クリックまたは「…」のメニューから「フォルダーの色変更」を選択
- 好みの色を選択し、変更を反映
このように、個人向けOneDriveと比較すると、ビジネス向けでは色変更のオプションが存在し、ユーザーは比較的スムーズに色分けできる環境が整っています。ただし、一部のライセンス形態や環境設定によっては利用できない場合もあります。
1-2. 個人向けOneDriveでの現状
個人向けOneDrive(Office 365 Personalなどを含む)では、残念ながら同様のフォルダー色変更機能が現在提供されていません。従来からユーザーの要望が多い機能ではあるものの、正式なロードマップやリリース予定についてはMicrosoftからは明確なアナウンスがなく、実現の可否や時期に関して不透明な状況が続いています。
ビジネスライセンスと個人ライセンスの差別化という観点もありますが、有料契約である「Microsoft 365 Personal」や「Microsoft 365 Family」のユーザーからは「なぜ有償契約にもかかわらず利用できないのか」という不満の声も上がっています。
2. 個人版とビジネス版の機能差はなぜ生まれる?
企業向けサービスと個人向けサービスでは、提供される機能や更新頻度に違いがあるケースが多く見受けられます。OneDriveの場合も、以下のような理由が考えられます。
2-1. 顧客ニーズの差
ビジネスユーザーは業務効率化を重視し、組織的な管理機能やチームコラボレーション機能を求めることが多々あります。フォルダーを色分けして管理する機能は、プロジェクト別のファイル整理や部門ごとの資料分類など、共同作業の観点からも非常に有用と認識されています。
一方で、個人向けのユーザーには写真や動画といったプライベートファイルの保管場所という役割も大きく、ビジネスシーンほどの必要性が少ないと判断されている可能性があります。しかし実際には、個人利用でもフォルダー色分けに需要があるユーザーも少なくなく、現状とのギャップが生じています。
2-2. 機能開発の優先順位
Microsoftは多岐にわたる機能開発やアップデートを継続的に行っており、特に企業のIT管理者やビジネスユーザー向け機能の強化を優先することがあります。
ビジネスシーンでは利便性や生産性の向上が売り上げやコスト削減に直結するため、企業向けの新機能リリースが先行する傾向にあるのは自然なことです。その結果、個人向け機能のリリースが後回しになったり、要望があってもすぐには実装されなかったりする状況が起きることがあります。
3. ビジネス版OneDriveでの制限と対処法
ビジネス版のOneDrive for BusinessやSharePointではフォルダー色変更が使えるといっても、すべての環境で完璧に機能するわけではありません。特にデスクトップアプリ(同期クライアント)上での制限が報告されています。
3-1. Web版と同期クライアントの機能差
OneDrive for Businessには、Webブラウザからアクセスする方法と、デスクトップにインストールされる同期クライアントを用いる方法があります。多くのユーザーは同期クライアントを使い、ローカルフォルダーとクラウドフォルダーをシームレスに同期して利用しているでしょう。
しかし、同期クライアントはあくまで「ローカルにファイルを同期する仕組み」であり、Web版で提供されるUI上の機能がすべて対応しているわけではありません。例えば、Web版で設定したフォルダー色がデスクトップのエクスプローラー上にそのまま反映されるわけではなく、ローカルのフォルダーアイコンは通常の黄色いアイコンのまま表示される場合があります。
3-2. 色の変更が反映されない原因
デスクトップクライアントでは、フォルダーアイコンを変更するためにOSレベルでアイコンを上書きする必要があります。これにはWindowsのレジストリ変更やフォルダーのプロパティ編集が絡むため、OneDriveクライアント単独ではコントロールしにくい仕組みになっています。
また、企業内のセキュリティポリシーやグループポリシーにより、アイコン変更が制限される場合もあります。こうした要因が重なると、Web版でフォルダー色を変更してもローカルに反映されず、「使えるはずの機能が使えない」ように感じるケースがあるのです。
3-3. Web版での操作を推奨
もしビジネスアカウントを利用しており、「フォルダー色変更がデスクトップ同期クライアントで反映されない」といった状態であれば、Webブラウザ経由の利用をメインにする対処法があります。
Web版にアクセスすれば、色分けされた状態でフォルダーを閲覧できるため、複数のプロジェクトやチームフォルダーを管理する際には視認性が高まります。ただし、ローカルフォルダーにまでアイコンを変更したい場合は、現状ではWindowsの標準フォルダーアイコンを個別に変更するしかありません。
4. 個人版OneDriveで色を変更する裏ワザはある?
正式な機能としては提供されていませんが、あくまでWindows上でフォルダーアイコンをカスタマイズする方法を応用すれば、一部は代替できます。ただし、これは「OneDriveフォルダーそのもののクラウド側の色」を変更するわけではなく、ローカルで表示されるアイコンを変更するに留まります。
4-1. Windows上でのフォルダーアイコン変更
以下の手順で、ローカルフォルダーのアイコンを好みのものに変えられます。
- エクスプローラーで変更したいフォルダーを右クリックし、「プロパティ」を開く
- 「カスタマイズ」タブを選択
- 「アイコンの変更」ボタンをクリック
- 一覧から好みのアイコンを選択、あるいは独自のアイコンファイル(.ico)を指定
この方法により、個人版OneDriveの同期フォルダーであっても、ローカル上では一見「色変更」がされたかのように見せることができます。しかし、クラウド上では通常の黄色いフォルダーのまま表示されるため、Webブラウザで確認したときには変わりません。さらに、別のPCからアクセスした場合もデフォルトのフォルダーアイコンが表示されるため、あくまでローカル限定の対処法といえます。
4-2. サードパーティーソフトの活用
Windows環境向けには、フォルダーアイコンの色を一括で変更するサードパーティーソフトがいくつか存在します。こうしたツールを使えば、アイコンを好きな色にカスタマイズしたり、複数フォルダーのアイコン色を一度にまとめて変えることも可能です。
しかし、OneDriveが絡むと、同期フォルダーの変更をうまく認識しないケースもあり、動作保証はありません。ソフトによっては、OneDriveの更新と干渉してしまい、アイコンが元に戻ってしまう可能性もあるため、使用時には注意が必要です。
5. 今後のアップデートに期待するポイント
多くのユーザーが望んでいるフォルダー色変更機能ですが、現時点では個人向けOneDriveには実装されていません。今後のアップデートで期待したいポイントをいくつか挙げます。
5-1. Microsoftからの公式アナウンス
機能追加や改修スケジュールに関するロードマップは、Microsoftの公式ブログやコミュニティフォーラムで告知されることが一般的です。フォルダー色変更機能に対するユーザーの要望は一定数存在するため、Microsoftが正式に対応を発表する可能性も否定できません。
例えば、Microsoft 365 Roadmapというサイトでは、今後追加予定の機能や現在開発中の機能がリストアップされています。そこに「OneDriveパーソナル向けフォルダーアイコンカスタマイズ機能」などの記載が登場すれば、リリースが近いと推測できるでしょう。
5-2. 個人向けユーザーの声を集める
実際に機能を強く望むユーザーがいることが開発チームに伝わらなければ、実装の優先度は上がりにくいのが現実です。したがって、Microsoftのユーザーフィードバックページやコミュニティフォーラム、SNSでの声かけなど、多角的な方法で要望を伝えることが効果的です。
特に、Microsoft Feedback PortalやUserVoiceといった公式のフィードバック受付窓口を活用すると、多くのユーザーが同じ要望に投票しやすくなります。その結果、開発チームに対するインパクトが大きくなり、機能追加を前向きに検討してもらえる可能性が高まります。
6. フォルダー色変更機能を活かした管理例
既にビジネス向けOneDriveやSharePointでフォルダー色変更機能を活用している企業では、どのようにファイル管理を効率化しているのでしょうか。いくつかの事例を紹介します。
6-1. プロジェクト別に色分けする
複数のプロジェクトを同時に進行している場合、それぞれのプロジェクトフォルダーを異なる色に設定するだけで、混在を防ぎ、誤って別のプロジェクトのファイルを編集してしまうリスクを低減できます。また、色分けされたプロジェクトごとにタスク管理ツールなどと連携すれば、より可視性の高い業務フローを構築できます。
6-2. 機密レベルや優先度で色分けする
社内規定や機密情報の取り扱いルールが厳しい場合、フォルダーの機密レベル(極秘、社外秘、公開)を色で直感的に識別できるようにすると、見落としが減り、セキュリティ意識を高める効果があります。
また、締め切りが迫っている案件や優先度の高いタスクに関連するフォルダーを赤色に設定するなど、業務の進捗状況を把握しやすくする活用方法もあります。
6-3. チームや部署ごとに色分けする
大規模な組織では、部署間で情報共有するフォルダーも多く存在します。フォルダーを部署ごとに色分けしておけば、どのフォルダーがどの部署のものであるかがひと目でわかり、探す手間も削減できるでしょう。
特にSharePointのように複数のチームサイトが存在する場合、どのサイトに属するフォルダーかを色で判別できるメリットは大きいです。
7. 代替策としてのファイル名やタグ付け活用
フォルダーの色分けが利用できない個人向けOneDriveでも、工夫次第で似たようなメリットを得られる方法があります。代表的なのが、「ファイル名の先頭に記号やキーワードを付ける」「タグ付けを活用する」といった手段です。
7-1. ファイル名に記号・キーワードをつける
個人向けOneDriveでフォルダー色変更ができない場合、下記のように工夫すると管理しやすくなります。
ファイル名の書き方 | 用途の例 |
---|---|
[urgent] … | 緊急度が高いファイルであることを示す |
[personal] … | 個人用の機密ファイルやプライベート情報を含むことを示す |
#projectA … | Project A関連のファイルを識別する |
#projectB … | Project B関連のファイルを識別する |
(社外秘) … | 社外秘の取り扱いが必要なドキュメントであることを示す |
このように、ファイル名に短いプレフィックスやラベルをつけることで、フォルダーを開かなくても重要度や用途を把握しやすくなります。
7-2. タグ機能やコメント機能の活用
OneDrive単体でタグ機能を強力に使うことは難しいですが、WordやExcel、PowerPointなどOfficeアプリケーションのメタ情報として「タグ」や「タイトル」を設定しておくと、後から検索するときに役立ちます。また、ドキュメント内にコメントを残しておけば、ファイルを開いた瞬間に要点が確認できます。
さらに、Microsoft 365の範囲では、SharePointにドキュメントライブラリを作成してカスタムプロパティを設定することで、タグ付けやメタデータ管理が可能です。個人利用だとハードルは高いかもしれませんが、家族や個人事業主、フリーランスの方でも、必要に応じてSharePoint Onlineを契約・活用するケースも増えています。
8. どうしても色分けが必要な場合の選択肢
フォルダーを色で管理する便利さは大きいですが、個人向けOneDriveではまだ実現が難しいのが現状です。そこで、どうしても色分けが必要な方におすすめの選択肢をいくつか紹介します。
8-1. 他クラウドストレージの検討
Google DriveやDropboxなど、他のクラウドストレージでもフォルダーの色分け機能を提供しているものがあります。例えば、Google Driveではフォルダー右クリックメニューから「色を変更」オプションが選べます。ただし、OneDriveとの機能連携やOfficeアプリとの統合性は薄まるので、用途や環境に応じて検討する必要があります。
8-2. ビジネスアカウントの利用
もしビジネスライセンスに切り替えられる余地があるならば、OneDrive for BusinessやSharePointを利用するのも一つの手です。個人事業主でもMicrosoft 365 Business Basicなどのプランを契約すれば、フォルダー色変更機能が利用できる場合があります。ただし、契約コストや運用形態を考慮しなければなりません。
8-3. Windowsのフォルダーアイコン変更に特化したソリューション
クラウド上の色変更はできなくても、ローカルPC内だけで色分けしたいのであれば、市販のソフトウェアを使ってWindowsフォルダーアイコンを好きな色に変更する方法もあります。以下はPowerShellスクリプトを使った一例です。
# 以下のスクリプトはフォルダーにDesktop.iniを生成してアイコンを変更する例です。
# ただし、OneDriveの同期状況によっては正常に動作しない場合があります。
param(
[Parameter(Mandatory=$true)]
[string]$FolderPath,
[Parameter(Mandatory=$true)]
[string]$IconFilePath
)
$desktopIni = Join-Path $FolderPath "Desktop.ini"
if (Test-Path $desktopIni) {
Remove-Item $desktopIni -Force
}
# Desktop.iniファイルの内容を作成
@"
[.ShellClassInfo]
IconResource=$IconFilePath,0
"@ | Out-File $desktopIni -Encoding UTF8
# 隠し属性とシステム属性を付与
Set-ItemProperty -Path $desktopIni -Name Attributes -Value ([System.IO.FileAttributes]::Hidden -bor [System.IO.FileAttributes]::System)
# フォルダー属性を読み取り専用に設定
Set-ItemProperty -Path $FolderPath -Name Attributes -Value ([System.IO.FileAttributes]::ReadOnly)
Write-Host "アイコンを変更しました: $FolderPath -> $IconFilePath"
このスクリプトを使うと、指定したフォルダーに対して「Desktop.ini」ファイルを配置し、Windowsが認識するアイコンを変更できます。ただし、OneDriveフォルダーで行う場合には同期の再設定や競合が起きる可能性があり、公式には推奨されない方法です。
9. まとめと今後の展望
フォルダーの色変更機能は、ファイル管理を直感的にわかりやすくするうえで非常に便利な機能です。ビジネスアカウントやSharePointでは既に実装されており、多くの企業ユーザーが活用しています。しかし、個人向けOneDriveには現時点で提供されていないため、不満の声が上がっているのも事実です。
Microsoftが今後、個人版にも正式に色変更機能を追加するのかは不透明ではありますが、ユーザーの要望が大きい機能であることから、将来的に可能性がないわけではありません。今は要望をMicrosoftに送りつつ、代替策としてファイル名やアイコン変更ソフトを活用するなど、工夫しながら運用していくのが現実的なアプローチでしょう。
10. さらなる工夫でファイル管理を快適に
フォルダー色変更以外にも、OneDriveをはじめとしたクラウドストレージを使いこなすためのヒントは多数あります。たとえば、以下のような点を見直すだけでも日々の管理がスムーズになります。
10-1. フォルダー階層を整理する
色分けができなくても、明確な階層構造をもつフォルダー管理を心がけると、目的のファイルまでのアクセスがスピーディーになります。上位フォルダーにはプロジェクト名や日付、担当者など、わかりやすいキーワードを付けると良いでしょう。
10-2. 定期的なアーカイブと削除
不要なファイルや古いバージョンのファイルが溜まると、必要なファイルを探しづらくなります。一定期間を過ぎたファイルはアーカイブ専用のフォルダーに移すか、削除するなどのメンテナンスを行いましょう。そうすることで、色分け機能の必要性自体が減るケースもあります。
10-3. チームメンバーとの役割分担
ビジネスシーンでは、複数人で同じOneDriveやSharePointを共有している場合があります。フォルダー構成や色分けのルール、命名規則などをチーム内で統一しておくと、混乱を防げます。個人アカウントでも、家族や小規模なグループとファイルを共有するときに同様のルールを持つと便利です。
11. まとめ
- 個人向けOneDriveではフォルダー色変更機能が提供されておらず、多くのユーザーが不便を感じている
- ビジネス向けOneDrive(OneDrive for Business)やSharePointでは同機能が利用可能だが、デスクトップアプリでは対応に限りがある
- 今後、Microsoftが個人向けにも同機能を提供する可能性はあるが、正式アナウンスがなく不透明
- 代替策として、Windows上でのフォルダーアイコン変更やファイル名へのタグ付けなどを活用可能
- フォルダー色変更機能以外にも、フォルダー構造の整理や定期的なメンテナンスを行うことで、ファイル管理の効率を高められる
OneDriveを使い続けるなかで、より便利にファイルを整理したいと考えるなら、色変更機能の要望をこまめにMicrosoftへ送り続けることが効果的です。いつの日か公式に個人向け機能として実装されることを期待しながら、現行の環境でできる工夫を取り入れてストレスなく運用していきましょう。
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