Google Keepで管理していたアイデアやメモを、Microsoft OneNoteにまとめて移行できたら便利ですよね。この記事では、公式機能を含めたさまざまな方法をわかりやすく解説し、効率的なデータ整理をサポートします。
Google KeepとOneNoteの特徴
Google Keepはシンプルな操作感やGoogleアカウントとの連携のしやすさで人気が高く、思いついたアイデアやちょっとしたメモを手軽に残せる点が魅力です。一方、OneNoteはMicrosoftが提供する高機能なノートアプリで、セクションやページ、段落などの階層的な管理に適しており、リッチテキストやファイル添付など多彩な機能を備えています。
両者の特徴をまとめると、以下のようになります。
項目 | Google Keep | OneNote |
---|---|---|
主要な用途 | 手軽なメモ、リマインダー | ドキュメントやノートの詳細管理 |
管理構造 | ラベルでカテゴリ分け | ノートブック・セクション・ページ |
連携 | Googleアカウント | Microsoftアカウント |
主な利点 | 操作がシンプルで軽い | 高度な編集機能、Office連携 |
移行のメリット
Google Keepで作成したメモはスピーディに記録できて便利ですが、日々の業務や学習で増え続けると、より高度な整理機能を持つOneNoteに魅力を感じるかもしれません。OneNoteではWordのようなリッチテキスト編集、ファイルの添付や手書きメモの挿入など多彩な操作が可能です。また、セクションやページを分けることで、膨大な情報を体系的に管理できます。
もし、すでにMicrosoft 365を利用している場合は、OneNoteとの連携がさらにスムーズになります。OutlookやTeamsなど、Microsoft製品内での連携が整備されているため、仕事の流れの中でノートを共有したり更新したりといった作業が容易になります。
OneNoteへGoogle Keepを移行する上での前提
公式の一括インポート機能は存在しない
OneNoteは多機能ですが、2025年現在、Google Keepのメモを直接一括で取り込む公式機能は提供されていません。Microsoft公式のガイドラインなどを見ても、Keepとの自動インポートをサポートするツールは用意されていないのが現状です。そのため、基本的には手動もしくはサードパーティーツールを活用する方法を検討することになります。
なぜ公式機能がないのか
これはGoogleとMicrosoftのサービスが別のエコシステムで動いているためです。Google Keepのデータ構造とOneNoteのデータ構造は異なり、互換性を簡単に保つのが難しいという側面があります。加えて、両社がそれぞれ自社のツール利用を促進したいという競合関係にあることも要因の一つとして考えられます。
移行方法1:コピー&ペーストによる手動移行
最もシンプルな方法は、Google Keepに保存している各メモを開き、その内容をコピーしてOneNote側にペーストする手段です。一見地道ですが、以下のようなメリットも存在します。
コピー&ペーストのメリット
- 不要な情報の整理がしやすい
つい残してしまっていた古いメモや重複情報を移行作業のタイミングで整理できます。 - フォーマットを変更しながら移行できる
OneNoteでは文字色やハイライトなどを簡単に変更できるため、コピペをしながら整えていくと、見やすいノートを作り上げられます。
コピー&ペーストのデメリット
- 大量のメモに対して手間がかかる
メモが数十、数百単位となると相当な作業量になります。 - ラベルや添付ファイルの管理が面倒
Google Keepで使っていたラベルや画像、音声ファイルなどの添付データは手動で再整理する必要があります。
移行方法2:Google Takeoutを活用してデータをダウンロード
Google Takeoutを使うと、Googleが提供している各種サービスからデータをまとめてエクスポートできます。Keepのデータも含まれるため、一度パソコンにダウンロードしてからOneNoteへ移行する際の参考情報として活用することが可能です。
Google Takeoutの使い方
- Googleアカウントにログイン
ブラウザで自分のGoogleアカウントにログインし、Google Takeoutの公式サイトにアクセスします。 - エクスポートしたいデータを選択
Google Keepを含め、必要なサービスのチェックを入れます。 - 出力形式を設定
ZIPやTGZといった圧縮形式と、1ファイルあたりの容量制限を指定します。 - エクスポートを実行
大量のデータがある場合は、エクスポートに時間がかかる可能性があります。 - ダウンロード
リンクがメールで送られてきたり、ブラウザ上でダウンロードリンクが表示されます。そこでファイルを保存します。
エクスポートされたデータの扱い
Google Takeoutでダウンロードしたファイルを展開すると、Keepフォルダがあり、中にはHTMLやJSON形式でメモが格納されています。OneNoteが直接読み込める形式ではないため、手作業でこれらのHTMLやテキストを閲覧しながら、OneNoteへコピー&ペーストして整理していく形となります。
ただし、Google Keepのメモが大量に存在する場合は、全体を一括で自動変換する仕組みがないので、ある程度の手動作業は避けられません。
HTMLファイルを効率的に扱うための例
Google KeepのHTMLファイルは、ブラウザで開くとメモの内容が文章形式で表示されます。以下のようなPythonスクリプトを例として挙げることで、特定の文字列をまとめて抽出してテキストファイル化することも可能です。
import os
from bs4 import BeautifulSoup
folder_path = "C:/Users/YourUserName/Downloads/Takeout/Keep/"
output_file = "C:/Users/YourUserName/Documents/keep_notes.txt"
with open(output_file, "w", encoding="utf-8") as out_f:
for file_name in os.listdir(folder_path):
if file_name.endswith(".html"):
with open(os.path.join(folder_path, file_name), "r", encoding="utf-8") as f:
soup = BeautifulSoup(f, "html.parser")
# HTML内の特定タグのテキストを抽出
note_text = soup.get_text(separator="\n")
out_f.write(note_text + "\n\n")
このようにHTMLファイルの内容をまとめてテキスト化しておけば、OneNoteへの貼り付け作業や整理が少しだけスムーズになる可能性があります。スクリプトの利用方法は自己責任となりますが、参考として活用してみるのも一案です。
移行方法3:サードパーティーツールの活用
Google KeepからOneNoteへ移行するためのサードパーティーツールがネット上に公開されている場合があります。ただし、これらはあくまで非公式の手段となるため、以下の点に注意が必要です。
ツールの信頼性
ツールの開発元が不明瞭、あるいはメンテナンスが行われていない場合、データが消失するリスクや個人情報漏洩のリスクがあります。事前によく調査し、利用者の口コミや評価を確認することが望ましいでしょう。
ツールの動作検証
サードパーティーツールが完璧に動作する保証はありません。特にバージョンアップに伴い、GoogleおよびOneNote側の仕様変更に追随していない場合、エラーが発生してメモ移行に失敗することもあります。
実際に大量のデータを移行する前に、テスト用のノートをいくつか作成してツールを試してみることをおすすめします。
具体的な移行ステップの例
ここでは、Google Takeoutを活用し、その後にOneNoteへ手動で整理する一般的な手順の例を示します。
- Google Takeoutでデータをエクスポート
先ほど解説した手順に従い、Keepのデータをダウンロードします。 - エクスポートしたフォルダの内容を確認
ダウンロード後にZIPファイルなどを解凍すると、中に複数のHTMLファイルとJSONファイルが含まれています。 - ファイル内容を簡単に一覧化
Pythonスクリプトなどでまとめてテキストファイル化しておくと、目視で確認しやすくなる場合があります。 - OneNoteで新規ノートブック/セクション/ページを作成
既存のノートブックを使ってもかまいませんが、大量のデータを一度に投入するのであれば、新しいノートブックを用意すると管理が楽になります。 - 移行したいメモをOneNoteにペースト
メモ単位でテキストをコピーし、OneNoteのページに貼り付けていきます。 - 整理とラベル付け(タグ付け)
OneNoteでは「タグ」機能を活用すると、重要な点や後で検索したいキーワードを効率よく管理できます。ある程度貼り付けたら、小分けにしてタグを付与していくと良いでしょう。 - 画像や音声ファイルの取り扱い
Google Keepからエクスポートしたファイルの中に画像や音声データがある場合は、OneNoteのページにドラッグ&ドロップで添付しておきます。テキストと同じページに配置し、内容に応じて見出しやコメントを追記すると、後で振り返りやすくなります。
移行作業時に知っておきたいヒント
Microsoft 365との連携を最大限に活用する
OneNoteを使う最大の利点は、他のMicrosoft製品との連携にあります。例えば、Outlookの予定表やToDoリストと絡めてタスク管理を行ったり、Teamsのチャット内でOneNoteの内容をすぐに共有するなど、さまざまなコラボレーションが可能です。
OneNoteの検索機能を活用する
OneNoteには強力な検索機能があります。テキストはもちろん、手書きで書いた文字や画像内の文字(OCR機能)も検索対象となります。Google Keepから移行した際に多少分類が雑になってしまっても、あとから検索で発見しやすいのが利点です。
データのバックアップ
Google Keepのデータを削除してしまう前に、必ずバックアップを取っておきましょう。OneNoteへの移行を検討していても、万が一失敗したときの保険として、元データを完全に削除してしまうのは危険です。OneNote側に移行後の内容が正常に閲覧・編集できることを確認してから、不要になったKeepのメモを整理することをおすすめします。
よくある疑問と解決策
Q1. 大量のメモを効率的に移行するには?
A. サードパーティーツールやスクリプトを活用した自動化が考えられますが、ツールの信頼性が問題となるため、一括自動移行は必ずテストを行ってください。結局は手動での確認作業が発生することが多いため、大量のデータを移行する前に不要なメモを整理しておくと作業が軽減されます。
Q2. ラベルをOneNoteのページやタグとして移行できる?
A. 公式機能としてはラベルの情報を自動的にOneNoteのタグへ変換する術はありません。移行の際にラベル名をコピーしながら、OneNoteのタグ機能を活用して再構築していくことになります。
Q3. 画像が埋め込まれたメモはどうなる?
A. Google Keepに添付した画像はTakeoutで取得できますが、そのままではHTMLやバイナリファイルとして出力されます。OneNoteに画像を挿入するには、手動でドラッグ&ドロップや貼り付けを行う必要があります。
Q4. 音声メモや手書きメモはどう扱う?
A. 音声データはGoogle Keepのデータとしてダウンロードできる場合がありますが、OneNoteに移行する際はファイルとして添付し直す必要があります。また、Keepの手書き機能で作成したメモは画像データのように扱われるため、画像として貼り付ける形になります。
トラブルシューティング
文字化けが発生する
Google TakeoutでエクスポートしたHTMLやJSONファイルを開いた際に文字化けが発生することがあります。エディタのエンコード設定をUTF-8に変更したり、Pythonなどのスクリプトで読み込む際にencoding="utf-8"
を指定することで解決が期待できます。
OneNoteへの貼り付け時にも文字化けが発生した場合は、メモ帳やVS Codeなどでテキストを一度読み込んでからコピーするなどの迂回策を試してみましょう。
OneNoteでファイルがうまく保存されない
クラウド上のOneDriveに保存している場合は、ネットワーク回線のトラブルやOneDriveの同期エラーが原因となることがあります。しばらく待って同期状態を確認するか、手動で同期を実行してみてください。それでも解決しなければ、一時的にローカルのOneNoteノートブックを作成し、後でクラウドに移行する方法も検討しましょう。
効率的に移行作業を進めるコツ
あらかじめ要・不要を仕分ける
Google Keepには、過去に書いたもののほとんど見返さないメモが溜まりがちです。OneNoteに移行する前に、「今後も使うメモ」「もう必要ないメモ」を仕分けしておくと、実際の移行作業がぐっと楽になります。
移行用の「仮置き場ノートブック」を作成する
OneNote上で「Google Keep移行用」のノートブックを作成し、とりあえず全てのKeepのメモをここに放り込むやり方もおすすめです。その後、必要に応じてセクションやページを振り分けていくことで、段階的に整理できます。
共同作業がある場合は共有設定に注意
チームやパートナーと共同でKeepを使っていた場合、OneNoteでも共有機能を使うことになります。ただし、OneNoteの共有設定はMicrosoftアカウントや組織のAzure Active Directoryなどを介して行われるため、相手もMicrosoftアカウントを持っている必要があります。共同作業を継続するなら、OneNoteでの共有権限や招待を移行作業の早い段階で設定しておくとスムーズです。
まとめ:段階的な移行がカギ
Google KeepからOneNoteへの移行は、一気にボタン一つで済ませられる公式機能がないため、どうしても手動作業が絡んできます。しかし、段階的にコピー&ペーストやGoogle Takeoutからのデータ活用を組み合わせて進めれば、確実にメモを整理することが可能です。
OneNoteの高機能な編集環境とタグ管理機能を活かせば、移行後はより効率的かつ体系的に情報を扱えるようになるでしょう。時にはサードパーティーツールや自作スクリプトの導入を検討しつつも、データ消失や不具合には十分注意して、事前にバックアップを取ってから作業を進めてください。
最後には、OneNote上にきちんと整理されたノートが完成し、Google Keepの散らばっていたメモを一括管理できるようになるはずです。これを機に、デジタルノートを活用した情報整理の効率化をさらに深めてみてはいかがでしょうか。
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