近年リリースされた新しいOutlook(プレビュー版)では、メールアカウントを10個までしか追加できない、Microsoft Store経由でクラシック版Outlookがダウンロードできないなど、多くのユーザーが不便を感じています。ここでは問題点と具体的な解決策を整理し、より快適にメールを利用するための対策をご紹介します。
新しいOutlookのメールアカウント追加制限とは
新しいOutlook(プレビュー版)は、非常に洗練されたインターフェイスや新機能が注目を浴びていますが、実は「10個以上のメールアカウントを追加できない」という制限があるため、ビジネスや個人で複数アカウントを使い分けたいユーザーにとって大きな課題になっています。以下では、その背景や回避策を詳しく解説します。
10個を超えられない理由
新しいOutlookは「より軽量に」「より安全に」という設計思想のもと、既存のOfficeソフトウェアとは異なるアーキテクチャを採用しています。これにより、メールの設定やデータ管理の仕組みも一新されており、試験的にアカウント数を10個に制限する仕様が実装されています。
ただし、この仕様は正式リリース前のプレビュー段階のものである可能性があるため、今後のアップデートで変更されることもありえます。
アカウント追加に失敗する際のエラーメッセージ
10個目までは正常に追加できても、11個目以降のアカウントを追加しようとすると、下記のようなメッセージが表示される場合があります。
- 「これ以上アカウントを追加できません」
- 「アカウント追加がサポートされていません」
- 「アカウント上限に達しました」
このエラーに遭遇した場合、新しいOutlook上では一時的に解決策がなく、クラシックOutlook(従来版Outlook)への切り替えが実質的な回避策と考えられています。
クラシックOutlookへの切り替え方法
10個以上のメールアカウントを活用したい方にとって、クラシックOutlook(Office 365 / Microsoft 365に付属する従来のOutlook)を使うことが最も現実的な解決策になります。ここでは、その具体的な手順や注意点をまとめます。
Windowsで新しいOutlookをアンインストールする手順
新しいOutlook(プレビュー版)はWindows 11環境であれば「設定」→「アプリ」→「インストールされたアプリ」から一覧を開くと、「Outlook(new)」のような名前でインストールされている場合があります。これをアンインストールすると、ひとまずデスクトップ環境からは新しいOutlookが消えるため、クラシック版Outlookを使いやすくなります。
手順の例は以下のとおりです。
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アプリ」→「インストールされたアプリ」または「アプリと機能」を選択
- 一覧から「Outlook(new)」など、新しいOutlookと明示された項目を探す
- メニュー(…など)から「アンインストール」を選択
アンインストールが完了したら、改めてクラシック版のOutlookを利用する環境を整えます。
クラシック版のダウンロード手順
クラシックOutlookはMicrosoft 365(旧Office 365)のサービスに含まれる形で提供されることが一般的です。Microsoft 365のライセンスを持っている場合、次の手順を試してください。
- Officeポータルからインストール
- WebブラウザでMicrosoft 365のポータルサイト(例:https://www.office.com/)にアクセス
- Microsoftアカウントでサインイン
- 画面右上、または「インストール Office」などのメニューからデスクトップアプリのインストーラをダウンロード
- インストーラを実行して「Outlook」を含むOfficeアプリをインストール
- Microsoft Storeからのインストール(エラーが出る場合あり)
一部の環境ではMicrosoft Storeから「Outlook」だけを単品インストールする方法が用意されていますが、エラーが生じる報告が多いため、推奨はWeb経由のインストールです。
クラシックOutlook導入時の注意点
クラシック版Outlookをインストールしても、Windowsの更新やOfficeの自動更新が有効な場合、再び新しいOutlookに切り替わってしまうケースがあります。対策としては次の方法が考えられます。
- Officeの自動更新を一時的にオフにする
- Officeアプリの「アカウント」画面などで更新プログラムを停止
- 新しいOutlookが再導入されないように設定を見直す
- Windows Updateの「オプション機能」やOfficeの「プレビュー版機能」に関するトグルを確認
また、クラシックOutlookをインストールしたあとに実行ファイルが複数残る場合があります。その場合はショートカットや関連付けを見直し、「Outlook.exe」のパスを明確にしておくと混乱を防ぎやすくなります。
Microsoft StoreでクラシックOutlookがインストールできない問題
一部ユーザーからは、新しいOutlookをアンインストールした後でクラシックOutlookを入れようとすると、Microsoft Store経由のインストール時に「0x80070652」などのエラーが頻発するという声が聞かれます。ここでは、主な対処法を紹介します。
エラーコード0x80070652の主な原因と対処
ストアアプリのインストール中に発生する0x80070652エラーは、Windows Updateや他のインストールプロセスとの競合が原因とされることが多いです。解決策の一例としては、以下の手順が挙げられます。
- Windows Updateをすべて適用
- スタートメニューの「設定」→「Windows Update」から「更新プログラムのチェック」を行い、未適用の更新をすべて完了させる
- PCを再起動する
- アップデートやインストールプロセスが保留状態になっていると競合が起こりやすい
- 不要なストアアプリを一時的にアンインストール
- 特にOffice系の試用版やプレビュー版が複数入っている場合、競合を誘発する可能性がある
公式サイトからのインストールを試す
Microsoft Storeを介さず、Officeポータル(前述)やMicrosoft公式サイトで配布されているインストーラを利用することで、エラーを回避できることがあります。Microsoftアカウントを使ってライセンス認証を行えば、正規のデスクトップ版Outlookが利用可能です。
以下はPowerShellを使用してOfficeをクリーンインストールする例です。あくまでも自己責任とはなりますが、どうしてもStoreからのインストールがうまくいかない場合に検討してみてください。
# 1. Officeの残留パッケージを一覧表示
Get-AppxPackage *Office* | Format-Table -AutoSize
# 2. 残留パッケージを削除
Get-AppxPackage *Office* | Remove-AppxPackage
# 3. PCを再起動してからMicrosoft 365ポータル経由でOfficeを再インストール
これにより、新しいOutlook(プレビュー版)が誤って再インストールされるリスクを減らし、クラシック版のOutlook利用へ切り替えやすくなります。
Hotmail(Outlook.com)のレイアウト変更問題
ウェブ版のHotmail(現在はOutlook.comに統合)についても、徐々に新デザインへ移行が進んでいます。これまで使い慣れた旧Hotmailのレイアウトを維持したいユーザーも多いですが、現状公式には旧UIに戻す手段は提供されていません。
旧画面に戻す方法はあるのか?
マイクロソフトは、ウェブ版サービスのUIを段階的に変えていく方針を明らかにしており、ユーザー側で大幅に元のレイアウトに戻す方法は事実上存在しません。表示オプションの「テーマ変更」や「会話ビューの切り替え」など細部のカスタマイズである程度調整できますが、全面的に旧UIに戻す機能は非公式も含め発表されていません。
代替策や今後の見通し
- クラシックOutlookのデスクトップ版を利用する
ウェブ版Outlook.comが使いづらいと感じる場合、デスクトップ版Outlookを利用することで、ある程度旧来の操作感に近い環境を構築できます。 - モバイルアプリのOutlookを試す
スマートフォンやタブレットでOutlookアプリを使うと、UIが異なるため、ウェブ版の新デザインに慣れない方でも快適に利用できる可能性があります。 - 今後の統合とアップデートに期待
マイクロソフトは、Outlook.comの機能統合を進めつつ、ユーザーから寄せられる要望を踏まえてUIを改善すると言及しています。今後のアップデートで、部分的にカスタマイズ性が向上する可能性もあります。
新しいOutlookとクラシックOutlookの比較表
新旧Outlookを比較するうえでポイントとなる機能を、簡単な表にまとめました。用途に合わせてどちらを使うのが適しているか検討するときの参考にしてください。
項目 | 新しいOutlook(プレビュー版) | クラシックOutlook |
---|---|---|
アカウント数 | 最大10個まで | 理論上制限なし |
検索機能 | 特定アカウントごとの検索がメイン | 「すべてのメールボックス」で一括検索可能 |
アドイン・拡張性 | プレビュー版のため未実装機能が多い | 従来からあるアドインやマクロが豊富 |
UI | モダンでシンプル | 従来のリボンメニューが中心 |
導入方法 | Windows 11などで標準的にインストールされる またはストアから追加 | Microsoft 365 / Officeインストーラ経由 もしくは企業向けボリュームライセンス |
ターゲットユーザー | 個人ユースの軽量環境重視 | ビジネスパワーユーザー、メールを多用する人 |
まとめ
新しいOutlook(プレビュー版)は、モダンな操作感や今後の機能拡張が期待される一方で、現時点では10アカウントまでしか追加できない、検索機能が制限されているなどのデメリットがあります。多数のアカウントを使い分けたい方や、高度なアドインやカスタマイズを必要とする方には、クラシックOutlook(従来版)が依然として有力な選択肢となるでしょう。
Microsoft StoreからクラシックOutlookを導入する際にエラーが発生した場合は、WindowsおよびOfficeのアップデート状況やPCの再起動を確認し、必要に応じてOfficeポータルからの再インストールやPowerShellによるクリーンアップを試してみてください。
一方、ウェブ版Hotmail(Outlook.com)については、旧レイアウトに戻す公式な方法が用意されておらず、今後も新UIへの切り替えが進行すると考えられます。UIに不便を感じる場合は、クラシックOutlookのデスクトップ版を活用したり、スマートフォン向けのOutlookアプリを試すなど、別の方法でメールを使いやすくする工夫が大切です。
以上を踏まえ、複数アカウントを効率よく管理したい方や、従来のUIに慣れ親しんでいる方は、当面はクラシックOutlookの利用をメインに検討すると安心です。今後のアップデート次第では、新しいOutlookでも機能制限が解除される可能性があるため、定期的にマイクロソフトの最新情報をチェックしておきましょう。
コメント