皆さんは、普段の業務や個人利用で Microsoft Outlook を使っていて、突然エラーコード「657rx (something went wrong [1200])」が表示されたことはありませんか? 特に GoDaddy で取得したメールアドレスを Microsoft 365 環境で使う場合、この謎のエラーに足止めされることもあるかと思います。この記事では、その原因や対処法について分かりやすく解説しながら、実際に役立つ手順や注意点を詳しくご紹介します。
Microsoft Outlookエラー「657rx (something went wrong [1200])」の概要
Outlook のエラー「657rx (something went wrong [1200])」は、GoDaddy など別のプロバイダで取得したメールアドレスを、Microsoft 365 版の Office (Outlook) で設定する際に起こりやすい現象として知られています。原因としては、Windows 側の職場・学校アカウントとの競合や、Modern Authentication(最新の認証方式)設定の不整合などが挙げられます。特に GoDaddy を利用している場合、認証の管理範囲が Microsoft と分散するため、Outlook が該当メールアドレスを「管理者アカウント」もしくは「職場または学校アカウント」と誤認し、うまくログインできなくなるケースが見受けられます。
よくある症状
- Outlook 起動時に「657rx (something went wrong [1200])」と表示され、アカウントが追加できない
- アカウント修復や再インストールを試しても解決せず、同じエラーメッセージを繰り返し表示する
- GoDaddy のメールアドレスが、Windows 側では企業や学校などの組織テナントとして扱われ、想定と異なる認証を強要される
- Modern Authentication が有効な環境にもかかわらず、Outlook が従来の認証方式を使用しようとしてエラーを起こす
エラー発生の背景
このエラーは、以下のような複合的要因が絡むことで起きると考えられています。
- Windows の「職場または学校へのアクセス」設定の混乱
Windows 10 / 11 などで「職場または学校へのアクセス」を行っていると、Office アプリがそのアカウントを優先して認証を試みることがあります。不要なエントリが残っていると、正しい認証ルートに進めずエラーにつながる可能性があります。 - Modern Authentication の設定不一致
Office 365 や Microsoft 365 で Modern Authentication を必須にしているのに、Outlook 側で非対応の認証パラメータを使ってしまうケースが挙げられます。特に GoDaddy を利用している際、管理センターが通常の Microsoft 365 ポータルと異なる場合があり、設定が統一されていないことも原因です。 - GoDaddy で取得したメールの扱い
GoDaddy 側で発行されたメールアドレスが Microsoft 365 と完全連携していないと、Microsoft 365 ポータルからは「第三者の組織アカウント」とみなされることがあります。これがライセンス認証トラブルや管理者アカウント誤認を引き起こし、Outlook のエラーに発展します。 - 資格情報キャッシュの競合
Windows 資格情報マネージャーや AAD(Azure Active Directory)プラグインなどに古い情報が残っていると、Outlook を再設定するたびに誤った認証情報が参照されてしまいます。その結果、エラー「657rx」が連続して起こることがあります。
エラー解決のフローチャート
下記のような手順で原因を切り分けていくとスムーズです。必ずしもすべてを実施する必要はありませんが、一つひとつ確認すると問題箇所が見えてきます。
ステップ | 作業内容 | 目的 |
---|---|---|
1 | Windows「職場または学校へのアクセス」の確認 | 不要な組織アカウントを削除し、認証競合を解消 |
2 | Modern Authentication 設定確認(Microsoft 365 管理センター or GoDaddy ポータル) | 最新の認証方式が有効になっているか再確認 |
3 | 資格情報マネージャーで古いキャッシュ削除 | 過去のパスワードやトークンなどをクリアし、再ログインを促す |
4 | Outlook アプリの再設定(コントロールパネルの「Mail (Microsoft Outlook)」) | 従来の設定画面からアカウントを正しく再追加 |
5 | Microsoft Support and Recovery Assistant (SaRA) を利用 | トラブルシューティングツールで認証設定を自動修復 |
6 | Office / Outlook を再インストール | どうしても直らない場合は大掛かりな再セットアップを試す |
Windowsアカウント設定のチェック
Windows 10 や 11 では、意図せず「職場または学校アカウント」が登録されてしまっていることがあります。例えば、以前職場の Microsoft アカウントを使ったり、大学の Office 365 を利用した痕跡が残っていたりすると、Outlook が誤ってそちらを参照し、今回設定しようとしている GoDaddy のアカウントとの競合を起こすのです。
「職場または学校へのアクセス」画面から不要なアカウントを切断
- Windows の「設定」を開く
- 「アカウント」を選択
- 「職場または学校へのアクセス」(Access Work or School) をクリック
- 一覧に表示されるアカウントを確認し、今回使用しないアカウントがあれば選択 → 「切断(Disconnect)」を実行
これを行うことで、Office アプリが不要な資格情報を参照しないようになります。切断後は念のため PC を再起動し、Office アプリ(Excel や Word など)を立ち上げた際に正しいアカウントでサインインし直してください。Outlook も再起動・再設定するとスムーズに認証が進む可能性が高いです。
Modern Authentication と SaRA の活用
Modern Authentication(最新の認証方式)は、従来の基本認証(Basic Authentication)に代わるセキュアなログイン手法として Microsoft 365 で推奨されています。しかしながら、環境によってはこの新方式が有効になっていなかったり、一部だけ有効になっている中途半端な状態が原因でエラーを生むことがあります。
Microsoft 365 管理センターあるいは GoDaddy ポータルでの確認
Microsoft 365 を直接契約している場合は、管理センターにアクセスして Modern Authentication の有効化状況を確認できます。一方、GoDaddy ポータル経由で Microsoft 365 を利用している場合は、GoDaddy 固有の管理画面から設定内容を確認します。
- Microsoft 365 管理センターでの確認例
- Microsoft 365 管理センターに全体管理者としてサインイン
- 「設定」→「組織の設定」を選択
- 「サービスとアドイン」の項目にある「Modern Authentication」のトグルスイッチをチェック
- GoDaddy 管理画面での確認例
- GoDaddy の My Products にログイン
- 「Microsoft 365 アカウント設定」または「Email & Office」などのメニューを探す
- 「セキュリティ」や「認証」の設定項目で Modern Authentication が有効か確認
環境によって画面が異なるため、一概に同じ手順ではありませんが、基本的には「Modern Authentication」を有効化し、Basic Authentication を無効化しているかが重要なポイントです。
Microsoft Support and Recovery Assistant (SaRA) の導入
Microsoft が公式に提供している「Support and Recovery Assistant (SaRA)」は、Office アプリや Outlook のトラブルを自動的に診断し、潜在的な問題を修復するツールです。Modern Authentication に関連した設定トラブルや資格情報の競合などもサーチしてくれます。
SaRA のインストール例(コマンドプロンプト)
:: 最新の SaRA ダウンロードページからインストーラを取得したと仮定
:: ここでは "SaraSetup.exe" がデスクトップにある想定
cd %USERPROFILE%\Desktop
SaraSetup.exe
インストール後、SaRA を起動し「Outlook」「サインインに関する問題」など該当するチェック項目を選択すると、自動で問題を解析し、設定の修正や資格情報の削除を提案してくれます。これで解決できる場合も少なくありません。
コントロールパネルから Outlook アカウントを再設定
Windows 10 / 11 では「設定」アプリから Outlook を設定する手順が主流になっていますが、コントロールパネルの「Mail (Microsoft Outlook)」を使うと従来の細かな設定画面を開くことができます。Modern Authentication や複雑なドメイン設定で躓いたときに、この画面から再設定すると改善するケースがあります。
手順
- Windows の「スタート」ボタンを右クリックし、「検索」を開く
- 「コントロール パネル」と入力してコントロールパネルを表示
- 「表示方法」を「大きいアイコン」または「小さいアイコン」に変更
- 「Mail (Microsoft Outlook)」をクリック
- 「電子メール アカウント」を開き、現在の設定を確認のうえ、不要なアカウントがあれば削除
- 「新規」ボタンを押し、GoDaddy で取得したメールアドレスを再度追加
- パスワードを入力し、必要に応じて認証画面で正しいアカウントを選択
以上の手順でアカウントを再追加したあとは、一度 Outlook を閉じてから再度起動し、正常にメール送受信が行えるかをチェックしましょう。
資格情報マネージャーで競合を解消
Windows 資格情報マネージャー (Credential Manager) には、PC 上で使用する認証情報(ユーザー名やパスワードなど)がキャッシュとして保存されています。これに古い情報や誤った資格情報が残っていると、Outlook が誤ってそれを参照し、ログインエラー「657rx (something went wrong [1200])」が発生することがあります。
資格情報マネージャーの操作
- コントロールパネルを開く
- 「資格情報マネージャー」をクリック
- 「Windows 資格情報」または「Web 資格情報」を開き、Outlook や Office 365、GoDaddy などに関連する項目を探す
- 重複、または明らかに古いデータを発見したら「削除」を実行
削除後は、再度 Outlook でメールアドレスとパスワードを入力する際、最新の情報が登録されますので、エラーが解決する可能性が高まります。
高度なキャッシュ削除
まれに、以下のフォルダ(Azure Active Directory Broker Plugin)が Outlook や Office の認証情報を抱え込んでおり、ここを削除すると改善する事例があります。ただし、運用環境によってはこのフォルダを削除すると他のアプリに影響を与える可能性もあるため、自己責任でバックアップを取った上で行ってください。
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Packages\
Microsoft.AAD.BrokerPlugin_cw5n1h2txyewy
削除後は Windows を再起動し、再度 Office アプリや Outlook でサインインすると最新の認証情報が保存されます。
Office / Outlook を再インストールしてみる
ここまでの対処で問題が解消しない場合は、Office アプリ自体を再インストールすることで解決するケースもあります。Windows の「職場または学校へのアクセス」や「資格情報マネージャー」から不要なアカウントを削除したうえで再インストールすると、いわゆる “初期状態” の認証ステップを踏むため、競合がクリアされやすくなります。
再インストール手順の例
- コントロールパネルか Windows の「アプリと機能」から Office を選択し、「アンインストール」を実行
- アンインストール完了後、必ず PC を再起動
- Microsoft 365 ポータルやインストールメディアなどを用いて Office を再インストール
- インストール完了後、Excel や Word などを起動してサインイン画面が表示されたら、正しいアカウント情報を入力
- Outlook を起動し、再度メールアカウントをセットアップする
このプロセスを行う前に、普段使っているメールやオフィス文書のバックアップをとっておくと安心です。
よくある質問 (FAQ)
Q1: 「職場または学校へのアクセス」オプションが見つかりません
A1: Windows のバージョンやエディションによって表記が異なる場合があります。「Work or School」「Access Work or School」などの表記を探してください。また、企業や学校から支給された端末では設定画面がロックダウンされている場合もあるため、その場合は IT 管理者に連絡してみましょう。
Q2: 個人用アカウントしか持っていませんが、同じ手順で良いですか?
A2: はい。たとえ個人アカウントでも Windows の設定上「職場または学校のアカウント」として認識される場合があります。エラーの原因となりうるため、一度削除(切断)してから Outlook のアカウントを再設定すると改善が見込めます。
Q3: Modern Authentication の有効化方法が分からない
A3: Microsoft 365 を直接契約している場合は管理センターで確認できます。GoDaddy 経由の場合は専用のポータル画面があるため、GoDaddy サポートドキュメントや管理コンソールを参照してください。設定内容の確認や、トグルでの有効化などが行えます。難しい場合は、SaRA (Support and Recovery Assistant) を使うことで自動検出・修正を試してみることが可能です。
Q4: GoDaddy と Microsoft で契約がバラバラでも大丈夫?
A4: 基本的には利用可能です。ただし、GoDaddy が提供する Microsoft 365 ライセンスと Microsoft から直接購入した Office ライセンスが重複していると、アカウント側の認証で混乱するケースがあります。どうしても解決しない場合は、GoDaddy または Microsoft のサポートに問い合わせて設定を点検してもらうのが早道です。
Q5: 何を試しても「657rx」エラーが解決しません
A5: 以下のような対策も検討してください。
- 別のユーザープロファイルを作り、そちらで Outlook を再設定
- Windows のクリーンブート(余計なサービスやスタートアップを停止した状態)で Outlook をセットアップ
- 複数台の PC で同じアカウントを試す(別の環境では正常に動作するなら、問題は特定の PC に依存している可能性大)
以上を試しても解決しない場合は、IT 管理者や専門サポートと連携し、大規模な環境設定の見直しや OS の再インストールを検討する必要があります。
まとめ
Microsoft Outlook でエラーコード「657rx (something went wrong [1200])」に遭遇すると、最初は原因が分かりづらく苦戦しがちです。しかし、Windows の「職場または学校へのアクセス」で不要なアカウントを切断してから Office アプリを再サインインしたり、Modern Authentication 設定を確認したり、資格情報マネージャーで古いキャッシュを削除したりすることで、多くのケースは解消できます。
特に、GoDaddy 経由で取得したメールアドレスを Microsoft 365 環境に組み込む際は、ライセンスや認証情報が複数の管理ポータルにまたがる可能性があります。そのため、Windows や Office アプリのどこでエラーが起きているのかを丁寧に確認しながら、段階的に対処してみてください。
もし、ここで挙げた対策をすべて行っても改善しない場合は、企業であれば IT 管理者に、個人利用であれば GoDaddy や Microsoft のサポートに問い合わせをして、専門家の協力を得るのがスムーズです。複雑なアカウント管理トラブルは、自力で試行錯誤するよりも早期に解決できる場合があります。
最終的には「Windows 環境でのアカウント設定」「Office 365 (Microsoft 365) 側の認証方式」「資格情報のキャッシュ」が噛み合うように調整することが、このエラーの解決ポイントです。エラー「657rx (something went wrong [1200])」を乗り越えて、快適な Outlook 環境を取り戻しましょう。
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