メールを効率的に整理し、生産性を飛躍的に向上させるMicrosoft 365 Copilotは、すでにWordや新しいOutlookで利用可能ですが、従来のクラシック版Outlookではまだオプションが見つからないという声が多く寄せられています。そこで本記事では、クラシック版OutlookでCopilotを有効化するために知っておきたいポイントや代替策、注意点などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
クラシック版OutlookとCopilotの現状
クラシック版Outlookでは、「リボンUI」や旧来の設定画面を愛用しているユーザーが多数存在します。近年リリースされた「新しいOutlook」は見た目も機能も大きく刷新され、Web版Outlookとの操作感が近くなりましたが、使い慣れたリボンUIを手放したくない方も多いでしょう。そうした背景から、Copilotが新しいOutlookで先行して利用できる一方で、クラシック版Outlookへの対応が待たれる状況が続いています。
段階的ロールアウトの可能性
Microsoft 365の新機能は、多くの場合、対象ユーザーや地域・言語によって段階的に提供が行われます。つまり、同じライセンスを保持している人でも、「まだ機能が使えない」「自分には通知が来ていない」というケースがよくあります。Copilotも同様のアプローチが取られているとみられ、現時点ではクラシック版Outlookへの完全対応がまだ行われていない可能性があります。実際に、Microsoftが公開しているロードマップや公式ブログでは、「今後数か月以内に追加対応していく」といった記述が見受けられることもあるようです。
プレビュー段階の制限
Copilotは非常に強力なAIアシスタント機能である一方、リリース当初はプレビュー(試験提供)的な位置づけでリリースされ、特定のユーザーや一部のプランでのみ利用可能となるケースがあります。特にクラシック版Outlookは長期間にわたりアップデートを重ねてきたアプリケーションであり、新機能を実装するための互換性チェックやテストに時間がかかることが考えられます。最新のプレビュー枠に入っていない場合や、参加を許可されていない場合は、Copilotが表示されないことも珍しくありません。
言語設定でCopilotが表示される場合
「Copilotを有効にする」というオプションが出てこない場合、表示言語を英語(米国)に切り替えると使えるようになるとの報告がいくつか見受けられます。これは、Microsoftが真っ先に英語(米国)を対象に新機能をロールアウトし、その後その他の言語へ対応を広げるという方針をとっているためです。試しに言語設定を英語(米国)に変更するだけで、Copilotが利用可能になる場合があります。
言語設定の変更手順
具体的な手順は以下のとおりです(クラシック版Outlookの場合を想定しています)。
- Outlookを起動して、上部のリボンメニューから「ファイル」をクリック
- 「オプション」を選択
- 左側のメニューから「言語」を選択
- 「表示言語」のプルダウンリストで「English (United States)」を選択
- 「OK」または「保存」をクリック
- Outlookを再起動
言語を切り替えたあと、再度Outlookを立ち上げてリボンや設定画面を確認すると、Copilot関連のメニューが表示されるかもしれません。もし表示されない場合は、Microsoft 365のアップデートが最新になっているか、プレビュー版機能にアクセスできるライセンスを所持しているかも改めて確認しましょう。
注意点:日本語への切り戻し
英語(米国)に切り替えると、OutlookのUIやフォルダ名、メニューなどがすべて英語になってしまいます。再び日本語環境に戻したい場合は、同じ手順で「日本語」を選択し、Outlookを再起動すれば元に戻せます。ただし、Copilotは言語設定を日本語に戻すと再び利用できなくなる可能性がありますので注意しましょう。
ライセンスの確認とバージョンアップデート
Copilotを利用するためには、対応するライセンス(Microsoft 365 PersonalやEnterpriseなど)を契約している必要があります。また、Officeアプリ(Word、Excel、Outlookなど)のバージョンが最新であることも非常に重要です。古いバージョンのままではプレビュー機能が届かない、または表示されないことがよくあります。
ライセンスの種類
例えば、個人向けのMicrosoft 365 Personalと、法人向けのMicrosoft 365 Enterprise(E3やE5)などでは、実装される機能のタイミングや範囲に差が出ることがあります。Copilotが最初に展開されたのは、比較的法人向けであるEnterpriseプランが中心でしたが、現在は個人向けでも一部機能がプレビューとして利用可能になりつつあります。以下のように大まかにライセンスが分かれます。
プラン名 | 主な対象 | Copilot対応状況 |
---|---|---|
Microsoft 365 Personal | 個人 | 現在一部ユーザーにプレビュー |
Microsoft 365 Family | 家族共用 | 個人向けプランに準ずる |
Microsoft 365 Business Basic | 小~中規模企業 | 法人向け機能は限定的 |
Microsoft 365 Business Standard | 小~中規模企業 | 一部プレビュー機能対象 |
Microsoft 365 Enterprise | 大企業・法人 | Copilotプレビューが先行 |
このようにプランによってはリリースの順番や機能提供の優先度が異なるため、個人プランで「WordにはCopilotがあるのに、Outlookにはない」という状況が起こり得ます。
バージョンの最新化
Office(Microsoft 365アプリ)には、「更新チャネル」という概念があり、InsiderプレビューやCurrent Channel、Deferred Channelといった区分によって、機能更新の速度が変わります。最新機能を早めに試したい場合はInsiderチャネルやCurrent Channelを選択し、安定性を重視する場合はDeferred Channelを利用することが多いです。Outlookのバージョン番号を確認し、可能であればInsiderプレビューなどの早期アップデートチャンネルに切り替えてみると、Copilotが早めに使えるようになる可能性があります。
例:PowerShellでバージョンを確認する場合
# Microsoft 365 Appsのバージョン情報を一覧取得する(例)
Get-WmiObject -Class Win32_Product |
Where-Object { $_.Name -like "*Microsoft 365*" } |
Select-Object Name, Version
このようにPowerShellでインストールされている製品情報を取得し、最新バージョンになっているかをチェックしてみる方法もあります。
新しいOutlookを一時的に利用する方法
クラシック版OutlookでCopilotを使えるようになるのを待つか、新しいOutlookを一時的に使うかで悩むところですが、早急にAIアシスタントの恩恵を受けたい場合は新しいOutlookへの切り替えを検討してもよいでしょう。新しいOutlookは、Web版OutlookやモバイルアプリのUIに近く、機能面でもクラウドと連携した先進的な設計がなされています。
新しいOutlookのメリット
- Copilotがすぐに使える
プレビュー対象ユーザーであれば、比較的早い段階からCopilotの機能を利用できます。 - クラウド連携が強化されている
タスクやカレンダー、OneDriveのファイルなどをシームレスに扱えるようになり、メールから他のサービスへのアクセスがスムーズです。 - UIがシンプルで直感的
新しいOutlookはツールバーのアイコンや配色が整理され、Web版との統一感があるため、初めて使う人でも迷いにくい設計です。
リボンUIに慣れている場合のデメリット
- 設定項目の位置が変わる
従来の「ファイル」>「オプション」のような階層が一部変更されており、最初は戸惑うかもしれません。 - アドインが対応していない場合がある
企業や個人で使っている特定のアドインが、新しいOutlookではまだ動作しないケースがあります。 - リボンが消える
長年リボンUIに慣れ親しんだユーザーには、ボタン配置が大きく変わることで操作感が大幅に変化する懸念があります。
とはいえ、新しいOutlookに切り替えた場合はクラシック版Outlookに戻すことも可能です。ですから、まずは一時的に新しいOutlookでCopilotを試してみて、どうしても操作性に馴染めない場合にクラシック版に戻るといった方法も選択肢の一つです。
クラシック版OutlookでのCopilot正式リリースを待つ
どうしてもクラシック版Outlookから離れられない、リボンUIを変えたくないというユーザーは、次のようなポイントに留意しながらCopilotの正式リリースを待つとよいでしょう。
公式ドキュメントやロードマップのチェック
Microsoftは、Copilotを含む新機能のリリーススケジュールやプレビューの範囲について公式ドキュメントやMicrosoft 365ロードマップで随時更新しています。特に英語版の情報が早いので、もし英語に抵抗がなければ英語ドキュメントを追いかけると、実装時期の見通しや対応範囲をいち早く掴むことができます。
管理者やサポート窓口への問い合わせ
企業や組織でMicrosoft 365を利用している場合は、IT管理者がプレビュー機能の許可設定などをコントロールしている場合があります。自分のアカウントでプレビュー機能が利用可能なのか、Copilotを有効化できるライセンスを保有しているのか、管理者に確認してみるのも手です。個人利用でも、Microsoftサポートに問い合わせることで、クラシック版Outlookへの対応時期や実際の手順についてより具体的な回答が得られる可能性があります。
問い合わせ時のポイント
- 自分のアカウントやライセンス情報を正確に伝える
- 「クラシック版OutlookでCopilotを使いたい」という要望をはっきりと示す
- 対応予定やプレビュー参加の可否について情報を求める
サポートに連絡する際は、OutlookのバージョンやMicrosoft 365のプラン名などを具体的に伝えるとスムーズに対応してもらえます。
まとめ:クラシック版OutlookでCopilotを使うための実践アプローチ
最後に、クラシック版OutlookでCopilotを使いたい場合の対処法や心構えを整理しておきましょう。
- バージョンアップとライセンスのチェック
- Microsoft 365アプリの更新チャネルを確認し、最新バージョンへアップデート
- Copilotが含まれるライセンスを所持しているか、またプレビュー機能の対象になっているかを確認
- 言語設定を英語(米国)に切り替える
- クラシック版Outlookでも一部ユーザーは言語を英語(米国)にすることでCopilotが表示されることがある
- 表示UIの変更を一時的に我慢できるか検討し、必要ならば日本語に戻す手順も把握しておく
- 新しいOutlookを一時的に利用する
- Copilot機能が使えるなら新しいOutlookで体験してみる
- 操作性の違いやアドインの互換性などをチェック
- 必要に応じてクラシック版に戻る選択肢を常に確保する
- 公式情報やサポートを活用する
- Microsoft公式ドキュメントやロードマップで最新情報をチェック
- 管理者やサポートに具体的なリリース時期や設定方法を問い合わせる
クラシック版OutlookへのCopilot正式対応がいつになるのか、明確な日付はまだ公表されていません。しかし、Microsoft 365の機能は常にアップデートされており、多くの場合は「数か月」程度のスパンで主要機能が展開されることが多いです。WordでCopilotを使えているユーザーであれば、いずれOutlookにもCopilotが提供される見込みは十分にあります。もし業務上どうしてもAIアシスタントの恩恵を今すぐ享受したいのであれば、新しいOutlookを使ってみるのも一案でしょう。
クラシック版Outlookの操作性とCopilotがもたらす未来
Copilotの魅力は、メールやスケジュール管理、タスクの自動化、情報の抽出や整理といった、これまで手動で時間をかけて行っていた作業をAIがサポートしてくれる点にあります。クラシック版OutlookのリボンUIに慣れたユーザーも、将来的にそのままの操作感でCopilotを利用できるようになれば、さらなる効率化が期待できるでしょう。Microsoftは多様なユーザーニーズを考慮しながら機能開発を進めているため、今後のアップデートではクラシック版のUIに上手く溶け込む形でCopilotが実装される可能性があります。
一方で、テクノロジーの進化に合わせてアプリケーションのUIや設計が変わっていくのは避けられない側面もあります。リボンUIに慣れ親しんでいるユーザーが多いクラシック版Outlookも、いずれサポートが終了し、新しいUIへ完全移行するシナリオが描かれることも考えられます。いずれにしても、近い将来「OutlookでCopilotを当たり前に使う」時代が到来することは間違いなさそうです。
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