パソコンでメールを開く際、Outlookの本文にあるリンクをクリックしたらMicrosoft Edgeが立ち上がってしまい、「Chromeに統一したいのにどうして?」と疑問に思ったことはありませんか。設定を細かく確認するだけで、多くのケースで希望通りにChromeを使用できます。この記事では、旧Outlookから新Outlookまで、それぞれに応じた具体的な対処方法や注意点をまとめますので、ぜひ参考にしてみてください。
OutlookリンクをChromeで開くメリット
Outlookのメールから直接アクセスするリンクがすべてChromeで開けば、作業のスムーズさがぐっと向上します。Chrome固有の拡張機能やブックマーク、設定を統一して利用できるため、ワークフローの一貫性が保たれるのが最大のメリットです。実際にChromeを既定のブラウザーとして使うことで、以下のような利点が期待できます。
- すでに拡張機能などをカスタマイズしているため、作業効率がアップする
- 多数のGoogleアカウントを扱う場面でもシームレスにアカウント切替ができる
- ブックマークやパスワード、履歴などの同期機能を一元管理できる
もしビジネスでChromeを多用している場合、Outlookのリンク先だけEdgeが立ち上がるとやや煩わしく感じるでしょう。そこで、各種設定を確認する方法をご紹介します。
Windowsの既定アプリ設定を再確認する
まず大前提として、Windows側でChromeが正しく「既定のブラウザー」に設定されているかどうかを確かめましょう。表にまとめた手順を参考に、httpやhttpsなどのプロトコル紐づけまで細かくチェックします。
項目 | 操作・確認手順 |
---|---|
Windowsの設定 | スタートメニューから「設定」を開く 「アプリ」を選択 「既定のアプリ」をクリック |
既定のブラウザー | 「Webブラウザー」の項目がChromeになっているか確認 Chromeになっていない場合は選択してChromeを指定 |
プロトコル紐づけ | 「http」「https」などのプロトコルを探す 該当するプロトコルがEdgeに紐づいている場合はChromeに変更 「.htm」「.html」といった拡張子もChromeに合わせる |
上記を実施しても、Outlookから開くリンクだけEdgeや組み込みブラウザーになるケースがあります。これはOutlookが独自に設定を持っていたり、新Outlook(プレビュー版)では仕様が変わっていたりといった事情が関わっているからです。
Windowsレジストリを編集する方法(上級者向け)
もし既定アプリの設定をいくら変更してもリンクがEdgeで開く場合、上級者であればレジストリエディターを用いた方法も検討できます。ただし、誤ったレジストリ操作はシステムに深刻な問題を引き起こす恐れがあるため、慎重に行ってください。以下はあくまで例示のコードです。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Shell\Associations\UrlAssociations\http\UserChoice]
"ProgId"="ChromeHTML"
"Hash"="xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"
[HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Shell\Associations\UrlAssociations\https\UserChoice]
"ProgId"="ChromeHTML"
"Hash"="xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"
「Hash」にはWindowsが生成した値が必要なため、単純にコピー&ペーストしても効力を発揮しない場合があります。こうしたテクニックよりも、まずは標準の「既定のアプリ」設定で済むかどうかを最初に確認する方が安全です。
旧Outlookでのリンク設定を見直す
従来のデスクトップ版Outlook(通称「旧Outlook」)では、Outlook自体にブラウザーの設定が組み込まれている場合があります。特に以下の手順を踏むと、リンクがChromeで開く可能性が高まります。
- Outlookを起動し、「ファイル」をクリック
- 「オプション」を選択
- 「詳細設定」の項目を探す
- 「ハイパーリンクを開く際に使用するブラウザー」や「Outlook で開くハイパーリンクの既定のブラウザーを使用する」を確認
- そこにChromeを選択できるオプションがあれば選択
- 設定を保存してOutlookを再起動
Outlookのバージョンによっては文言が多少異なることがありますが、共通して「ハイパーリンクを開くブラウザーをどうするか」という設定項目が含まれています。この項目を明示的にChromeにしておくと、ほとんどのリンクがEdgeではなくChromeで開くようになります。
設定が反映されない場合の対処例
「OutlookのオプションでChromeを指定しても動作しない」ケースも存在します。その場合は、WindowsのユーザープロファイルやOfficeのプロファイルに問題があるかもしれません。下記のような再設定や修復を試してみてください。
- Windowsの「設定」→「アプリと機能」からOfficeを選び、「修復」を実行
- Outlookのプロファイルを新規作成し、同じメールアカウントを再設定
- Outlookアドインが干渉している場合は一時的に無効化して動作確認
これでも改善しない場合、組織管理下のPCではグループポリシーが上書きされている可能性も考えられます。会社のIT管理者に相談するのがベターです。
新Outlook(プレビュー版)における課題
最近のMicrosoft 365で提供されている新Outlookは、UIの刷新だけでなく内部仕様も大きく変わっています。従来の「ハイパーリンクを開くブラウザーを指定する」オプションが見当たらないため、Windows上でChromeを既定にしていても、一部リンクがEdgeや組み込みの簡易ブラウザーで開いてしまうことがあります。
主な報告事例と背景
- 「共有メールボックスのリンクだけEdgeで開く」など、特定の条件下でChromeに切り替わらない
- 新Outlookのプレビュー版は機能実装が追いついておらず、正式リリースで修正される可能性がある
- ユーザーインターフェイスから変更できない設定が内部的に残っている
新Outlookでは開発段階であるがゆえに、細かい設定項目がまだ整備されていないケースが考えられます。将来的なアップデートで改善される見込みはあるものの、現状では対応策が限られています。
一時的な回避策
どうしてもChromeで開きたいリンクがある場合、下記のような回避策があります。
- リンクをコピーしてChromeに貼り付ける
非常にシンプルですが、確実にChromeでサイトを開く方法としては有効です。少し手間ですが、意図したブラウザーでページを閲覧できます。 - 旧Outlookに戻す(可能な場合)
新Outlookをオフにして、旧OutlookのUI・機能に戻すと、先述の「詳細設定」オプションが利用できます。ただし、組織ポリシーやMicrosoft 365の更新方針によっては旧Outlookに戻せないこともあります。 - Web版Outlook(Outlook on the Web)を使用する
ブラウザー上でOutlookを使えば、そもそも最初からChromeで開いているため、メール内のリンクをクリックしたら新しいタブやウィンドウもChromeで立ち上がります。
ただし、デスクトップ通知など従来のOutlookで利用していた機能が制限される面はあるため、業務フローによっては使いにくくなるかもしれません。
Chromeをインストールしておく必要性
「EdgeがChromiumエンジンベースならChromeをインストールしなくても問題ないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。確かにEdgeはChromeと同じChromiumをベースにしているため、表示性能や互換性の面ではほぼ同等になりつつあります。とはいえ、Chrome固有の拡張機能やGoogleアカウントの連携など、以下のような利点があるのも事実です。
- Google Workspace(旧G Suite)との親和性が高い
- Chromeウェブストアの豊富な拡張機能を利用できる
- 個人のブックマークや設定を複数デバイスと同期しやすい
したがって、ビジネスでもプライベートでもChromeに慣れている方や、特定の拡張機能が必須な方にとっては、Chromeを入れておくメリットは十分にあると言えます。一方で、Edgeでも代替可能な方は、無理にChromeを導入しなくても問題はありません。最終的な判断は使い方や環境に合わせて行ってください。
トラブルシューティング:リンクが開かない・アプリが重いとき
Outlookを使っていて、リンクが開かない、あるいはブラウザーの切り替えが原因でアプリが重くなるなどのトラブルが発生する場合があります。こうした場合、以下の観点でもチェックしてみましょう。
アドインの競合
Outlookには各種アドインが導入されている場合があります。特にセキュリティ系アドインがURLスキャンなどを行っていると、リンク先のブラウザーを強制的に変更している可能性があります。一度アドインを無効にして現象が変わるか試すと切り分けが可能です。
セキュリティソフトの設定
社内利用PCの場合、セキュリティソフトやファイアウォールの設定で、Outlookが開くリンク先を強制的に検知してMicrosoft Defender Application Guardなどの機能を利用しているケースがあります。これによって、意図せずEdgeのサンドボックス環境が立ち上がってしまうことも考えられます。
グループポリシーによる制限
企業や組織で管理されているWindows端末だと、IT管理者がグループポリシーでブラウザーの動作を制限している場合があります。この場合、ユーザーが個別に設定を変更してもポリシーで上書きされるため、最終的にEdgeが起動してしまうことがあります。管理者へ問い合わせることが必要です。
表で見る:設定変更の手順早見表
下記の表は、この記事でご紹介した各種手順をまとめた早見表です。簡単に参照していただき、必要に応じて詳細な解説を読み返してみてください。
手順 | 対象バージョン | 操作内容 |
---|---|---|
Windows既定アプリ設定 | Windows 10 / 11 すべて | 「設定」→「アプリ」→「既定のアプリ」 WebブラウザーをChromeに http/httpsなどのプロトコルもChromeに |
Outlook オプション | 旧Outlook(デスクトップ版) | 「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」 「ハイパーリンクを開くブラウザー」をChromeに 設定を保存して再起動 |
新Outlookの対応 | 新Outlook(プレビュー版) | ブラウザー指定機能がない/制限されている 将来的なアップデートに期待 回避策としてリンクをコピーしてChromeに貼り付け |
Chromeのインストール可否 | すべてのWindows環境 | 必須ではないが拡張機能やUIを重視するなら推奨 Edgeとの使い分けを検討 |
まとめと今後の展望
旧Outlookを使っている方であれば、Windowsの「既定のアプリ」設定をChromeにした上で、Outlookの「詳細設定」からブラウザー選択をChromeに合わせれば、多くの場合リンクはChromeで開きます。一方、新Outlook(プレビュー版)では仕様の違いにより、リンクがEdgeや組み込みのブラウザーで開くケースが報告されています。現状ではすべてのリンクをChromeで統一するのは難しい場合があり、今後のアップデートで機能が追加されるのを待つしかないケースもあるでしょう。
Chromeのアンインストール可否については、Edgeで十分だと感じる方は無理に残す必要はありません。しかし、Chrome固有の拡張機能やGoogleアカウント連携のメリットがあるため、業務・プライベート問わずChromeに慣れている方にとっては、Chromeをインストールし続ける価値が十分にあります。
もし組織の方針などで使用ブラウザーが指定されている場合や、グループポリシーの縛りがある場合には個々の設定だけでは解決できません。IT管理者やシステム管理担当者に相談して、必要なポリシー変更を依頼してください。また、新Outlookの正式リリースや将来のバージョンアップで設定項目が追加・復活する可能性も否定できません。常に最新の情報を追いかけつつ、OutlookのバージョンやWindowsのバージョンを定期的に更新しておくとよいでしょう。
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