社内メールで共有ドライブのファイルパスを伝えようとしたのに、なぜかクリックするとMicrosoft Edgeが起動してしまう……。そんな戸惑いを感じたことはありませんか? 新しいOutlook(プレビュー版)では、従来のOutlookと仕様が変わり、ネットワークドライブ上のファイルパスへのリンクがそのままエクスプローラーで開けないケースが報告されています。本記事では、この問題の背景や解決策、さらに今後の展望までを詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧いただき、スムーズにファイルを開くための手がかりを掴んでください。
新しいOutlookでネットワークドライブリンクを開けない背景
新しいOutlookでは、ネットワークパス(例:「\server\share\filename」)をクリックしたときにエクスプローラーではなくブラウザ(Microsoft Edge)で開いてしまう現象が起きることがあります。なぜこうした仕様変更が生じたのでしょうか。ここでは、その背景と影響を整理します。
セキュリティ要件の変化
新しいOutlookを含むMicrosoft 365関連のサービスでは、セキュリティ強化の一環としてリンクの検証や保護機能が強化されています。社内ネットワークドライブのパスも「安全なリンクかどうか」を判断するために、まずブラウザを介してURLチェックを行おうとするケースがあると考えられます。
実際、電子メール上のリンクはフィッシングやマルウェアの被害リスクがあるため、ブラウザを通じて検証する仕組みはセキュリティ面で有効です。しかし、日常的に社内ファイル共有リンクを使っているユーザーにとっては、クリック一つでファイルエクスプローラーが開かないのは大きな不便となっています。
レガシー機能の非推奨化
旧Outlookのように、メール本文に直接「\server\share~」の形式でネットワークパスを挿入し、クリック一発でエクスプローラーが開くといった動作は、レガシーな仕様として扱われ始めています。Microsoft製品のアップデートでは、古い仕様が徐々に廃止される例が少なくありません。
ただし、業務でネットワーク共有フォルダーを多用する企業や組織は依然として多いため、こうした機能を利用し続けたいという声は強く、今後の改善や回避策が注目されています。
レガシー仕様が抱える問題
- セキュリティリスク:悪意あるリンクを「\server\share\~」形式で偽装することで、ユーザーを危険な場所に誘導する可能性があります。
- メンテナンス負荷:古いバージョンのOutlookのコードを保守することが、開発側にとって負担になる場合があります。
このような背景から、新しいOutlookでは既定でネットワークパスをブラウザ側で処理し、社内ドライブへの直接アクセスよりも、まずWeb経由でのチェックを優先する構造が採用されていると推測できます。
なぜ新しいOutlookはEdgeで開いてしまうのか
実際のメカニズムをもう少し掘り下げてみましょう。従来のOutlookが「\server\share\filename」というパスをOSのシェル(エクスプローラー)に渡していたのに対し、新しいOutlook(プレビュー版)はリンクを「URL」として扱っています。URLは通常「http://」「https://」といった形式ですが、ネットワークパスは「file://」スキームで処理されることもあり、Outlook側が適切に判断できないとブラウザに転送されることになります。
項目 | 旧Outlook | 新しいOutlook(プレビュー) |
---|---|---|
リンク形式 | \\server\share\filename をそのままエクスプローラーで解釈 | Webリンクとして認識し、Edgeなどブラウザに渡そうとする |
セキュリティ検証 | 簡易的な内部チェックのみ | ブラウザの安全性チェックやクラウドサービス側の検証が優先 |
使用感 | クリック一発でファイルエクスプローラーが開く | ブラウザが開き、エクスプローラーへのアクセスが阻害される場合がある |
上記のように、新しいOutlookではファイルパスを単なる文字列やURLの一種とみなしてしまうため、Edgeが立ち上がり「ファイルをダウンロードする」「安全性を確認する」というフローになってしまうことがあります。
ブラウザ側の設定も影響
Windowsの設定やグループポリシー、あるいはEdgeのバージョンや構成によっては、ネットワークドライブへのアクセスがブロックされることもあります。企業で導入されているセキュリティポリシー次第では、簡単に回避できないケースがある点に留意が必要です。
回避策・ワークアラウンドの具体例
新しいOutlookでこの問題に直面した場合、以下のワークアラウンドが考えられています。それぞれの方法には一長一短があるため、自身の環境や運用方針に応じて使い分けるとよいでしょう。
1. 旧Outlookに戻す
新しいOutlookがプレビュー版として提供されている場合、旧Outlookに切り替えることで従来どおりの操作感に戻すことができます。特に、業務効率が大きく落ちるような場合は、一時的な対応策として旧Outlookに戻すことを検討してください。
ただし、将来的には新しいOutlookへ統合される可能性が高いため、あくまで一時的な処置として考えるのが無難です。
2. Wordやファイルエクスプローラーを活用してリンクを作成
Outlook上で直接リンクを入力してもうまく動作しない場合、いったんWordでリンクを作成してからドラッグ&ドロップする手法が報告されています。また、ファイルエクスプローラーで該当ファイルをドラッグ&ドロップすると、Outlookが「ハイパーリンクとして挿入」するオプションを表示するケースがあります。
この方法により、受信側も従来の形式と同じようにエクスプローラーでファイルを開ける可能性が高まります。
具体的な手順例(Word経由)
- Wordを開き、ネットワークドライブのパスやファイルへのハイパーリンクを挿入
- ハイパーリンクが正しく設定されたら、そのリンク文字列をドラッグしてコピー
- 新しいOutlookのメール作成画面にドラッグ&ドロップ
- 受信者側でリンクをクリックすると、エクスプローラーが立ち上がる可能性が高まる
ドラッグ&ドロップで挿入する場合
- エクスプローラーで目的のファイルを選択
- そのままOutlookのメール本文エリアへドラッグ&ドロップ
- 「添付ファイルとして挿入」だけでなく「ハイパーリンクとして挿入」が選べる場合はそちらを選択
- メール受信者側でリンクをクリックすると、Edgeではなくエクスプローラーが起動する可能性がある
3. 右クリック→「リンクを開く」で対応
メールの受信者がリンクを開く際、普通にクリックやCtrl+クリックをするとEdgeが起動してしまうケースでも、リンクを右クリックして「リンクを開く」を選択することでエクスプローラーが開けるという報告があります。
環境によっては動作しない場合もあるようですが、簡易的な確認手段として試してみる価値があります。
4. Outlook設定やレジストリの調整
一部のユーザーからは、レジストリを調整して「file://」スキームのリンクをエクスプローラーで開くように設定する方法も紹介されています。ただし、これはOSやOfficeのバージョン、企業のセキュリティポリシーによって挙動が大きく異なるため、自己責任での運用が必要です。
以下はあくまで一例で、動作を保証するものではありません。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CLASSES_ROOT\file]
@="URL:file Protocol"
"URL Protocol"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\file\shell]
@="open"
[HKEY_CLASSES_ROOT\file\shell\open\command]
@="\"C:\\Windows\\explorer.exe\" \"%1\""
上記のように、「file://」スキームをエクスプローラーに渡す設定を行うと、リンククリック時にエクスプローラーが起動する可能性があります。ただし、プレビュー版のOutlookや今後のアップデートで挙動が変わる可能性があるため、定期的な確認が必要です。
公式情報とフィードバックの重要性
Microsoftは新しいOutlookを活発に開発している最中であり、利用者からのフィードバックによって機能が改善されることは珍しくありません。もしこの問題が業務上大きな支障をきたす場合は、以下のルートで声を届けることが推奨されています。
Microsoft 365 ロードマップの確認
Microsoft 365 ロードマップでは、現在開発中の機能やリリース予定情報を掲載しています。ネットワークドライブへのリンク関連のアップデートが含まれるかどうかは、ここを定期的にチェックすることで把握できるでしょう。
Outlookの「フィードバック送信」機能
新しいOutlookのプレビュー版を利用している場合、設定画面の「ヘルプ」や「Feedback(フィードバック)」などから直接要望を送信することができます。「ネットワークドライブのリンクをエクスプローラーで開けるようにしてほしい」といった具体的な要望を送ることで、開発チームの検討材料となる可能性が高まります。
Microsoft Tech Communityやフォーラムの活用
公式のTech Communityや日本語のフォーラムで同様の課題について共有し、他のユーザーの事例や解決方法を確認するのも有効です。大きなコミュニティで議論や投票が活発化すれば、開発側の優先度が上がることが期待できます。
今後の見通しとベストプラクティス
これまでの経緯を踏まえると、ネットワークドライブへの直接リンクをクリックで開けるかどうかは、Microsoftのセキュリティポリシーや機能設計との兼ね合い次第となります。今後のアップデートで改善される可能性はありますが、確実ではありません。そこで、現段階で考えられるベストプラクティスをまとめます。
1. 安全な共有環境を構築する
ネットワークドライブへのアクセスが日常的に必要な場合は、OneDriveやSharePointなどクラウドベースのストレージとの併用も検討しましょう。Microsoft 365のエコシステム内であれば、リンク管理やアクセス権限の設定がより柔軟かつ安全に行えます。
2. チーム内でワークアラウンドを周知する
Wordやドラッグ&ドロップを使ったリンク作成方法、右クリックでリンクを開く手順などをチーム内で共有し、不便を最小限に抑えましょう。特に「どうしてブラウザが立ち上がるのか分からない」という人が多いと業務が停滞してしまいます。分かりやすいマニュアルや手順書を整備しておくことが効果的です。
3. 最新情報を追い続ける
プレビュー版のOutlookはリリースサイクルが短く、頻繁にアップデートされる可能性があります。定期的にMicrosoftが発表するリリースノートをチェックし、新機能や変更点を把握しておくことが重要です。自動更新の設定をオンにしておくと、常に最新バージョンを利用できるため、問題が修正されたときもいち早く恩恵を受けられます。
4. セキュリティと利便性のバランスを意識
ネットワークドライブへの直接リンクが使えなくなる背景にはセキュリティ向上の考え方があるという点を忘れてはいけません。安易に「安全なリンクとして例外登録」してしまうと、潜在的なリスクを抱えたまま運用することにもなりかねません。
セキュリティポリシーと利便性の両立を図りつつ、もしカスタマイズが必要な場合はIT管理者やセキュリティ担当部署とよく相談して方針を決めましょう。
まとめ
新しいOutlook(プレビュー版)では、従来のOutlookと比べてネットワークドライブ上のファイルパスをクリックした際の動作が大きく変わり、Edgeなどのブラウザが起動してしまうケースがあります。これは仕様変更によるセキュリティ強化や、レガシー機能の非推奨化が背景にあると考えられます。一方で、多くの企業ユーザーにとってはファイル共有の手間が増えるため、回避策や代替策が非常に重要になっています。
- 旧Outlookに戻すことで従来どおりの操作性を取り戻せる
- Wordやエクスプローラーでリンクを作成してからメールに挿入する
- リンクを右クリック→「リンクを開く」でエクスプローラーが開く場合もある
- レジストリ調整など高度な手法もあるが、環境依存が大きいので注意
今後、Microsoftが公式に修正や改善を行う可能性は十分考えられますが、現時点では確約されていません。もし新しいOutlookの仕様が業務に大きな影響を及ぼすなら、一時的に旧Outlookへ戻す選択肢や、Wordを活用したリンク挿入などを積極的に取り入れてみてください。また、Microsoft 365 ロードマップやフィードバックポータルをこまめに確認し、声を届けることで、より早い解決につながるかもしれません。
最後に、セキュリティと利便性のバランスを大切にしながら、最適な運用方法を見つけていきましょう。ネットワークドライブへのリンク一つをとっても、企業システムや日常業務に与える影響は大きいもの。だからこそ、確実な解決策と今後のアップデート情報を踏まえたうえで、賢く新しいOutlookを活用していきたいところです。
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