Outlook on the webで共有メールボックスをお気に入りに追加する最新対策と今後の展望

Outlook on the webの新しいバージョンでは、共有メールボックスの受信トレイをお気に入りに追加できないという声が多く聞かれています。本記事では、その背景や解決策、そして今後のリリース予定などをまとめてご紹介します。

共有メールボックスの受信トレイをお気に入りに追加できない理由

新しいOutlook on the webでは、共有メールボックスの受信トレイをお気に入りに追加する機能がまだ正式にリリースされていません。以前の旧Outlook(クラシック版)では、フォルダーの右クリックメニューやコンテキストメニューから「お気に入りに追加」できたため、多くのユーザーがその操作に慣れ親しんでいました。しかし現在のOutlook on the web(新UI)やWindows 11の新しいOutlookアプリ(プレビュー版)では、そのメニューが見当たらない状態です。

こうした仕様変更の背景には、Outlook全体のUI刷新や新機能の再編成が挙げられます。新デザインに合わせた機能の優先度や開発ロードマップの都合で、共有メールボックス関連の機能実装が後回しになっていると推測されます。またMicrosoft側は、共有メールボックスのフォルダーをお気に入りに追加する機能が「2024年6月頃から段階的に展開予定」とアナウンスしていたものの、実際には延期が相次いでおり、現状では具体的な開始日が確定していません。

旧Outlookクラシック版との比較

クラシック版のOutlook on the webや旧デスクトップ版Outlook(Windows版)は、長年のアップデートを経て機能が安定しており、共有メールボックスのフォルダーをお気に入りに登録できるのが当たり前でした。実際、企業の運用現場や教育機関などで、共有メールボックスを複数のメンバーが管理するケースでは、この「お気に入り」機能がとても重宝されています。複数の共有メールボックスを運用している場合は特に、受信トレイの位置を探す手間を省けるため、スムーズな対応が可能でした。

一方で新バージョンのOutlook on the webでは、ナビゲーションのUIが大きく変更されており、従来の操作手順をそのまま踏襲できません。ボタンやメニュー項目が削除もしくは隠されているケースも多く、機能自体は「今後追加予定」としてリストアップされていても、実際にはまだリリースされていない状態です。以下のような画面の違いがあります。

バージョンお気に入りへの追加可否UI操作
旧Outlook(クラシック版)可能フォルダー右クリック → 追加
新Outlook on the web不可(現時点)該当メニュー項目が存在しない
旧Outlookデスクトップ版可能フォルダー右クリック → 追加
新Outlook for Windows11(プレビュー)不可(現時点)メニュー項目が存在しない

このように、同じMicrosoftアカウントで使うOutlookであっても、バージョンによって機能の有無が変わっています。特に新しいUIのOutlookは日々アップデートされているため、機能が追加されるタイミングを見極めることが非常に重要といえます。

Microsoftコミュニティでの開発状況

Microsoft公式コミュニティのモデレーターやエンジニアからは、共有メールボックスの受信トレイをお気に入りに追加できる機能について「開発中である」旨が繰り返し伝えられています。しかしながら、当初アナウンスされた2024年6月頃からのリリーススケジュールは、すでに遅延傾向が確認されています。最新の情報はMicrosoftが公開している「Microsoft 365 Roadmap」にて随時更新されているため、機能のリリース予定や現在のステータスをチェックするには、そちらを参照するのが最も確実です。

実際のところ、Microsoft 365 Roadmapには機能名やリリース予定時期、対象となるテナントの種類などが詳しく記載されることが多いです。ただし、Microsoft 365 Roadmap上でも予定時期が「In development(開発中)」から「Rolling out(展開中)」、そして「Launched(リリース済み)」と進む流れがあるので、タイミングを見極める必要があります。延期の場合、ステータスが「In development」のまま更新日だけ変わることもあるため、注意が必要です。

現時点での暫定的な回避策

「共有メールボックスをお気に入りに入れて運用したい」というユーザーからは早期実装を求める声が多く上がっていますが、残念ながら新UIのOutlook on the webやWindows 11の新Outlookアプリ(プレビュー版)では、正式な回避策が用意されていません。ただし、いくつかの暫定対応策が考えられます。

1. 旧Outlookデスクトップ版を利用する

もしWindows環境をお使いであれば、旧デスクトップ版Outlook(OfficeアプリとしてのOutlook)を利用することで、共有メールボックスの受信トレイを従来どおりお気に入りに追加することが可能です。これはUIが従来の設計を保っているためであり、特に組織環境であればOffice 2019やMicrosoft 365 Apps(旧称Office 365 ProPlus)などのローカルインストール版Outlookを使っているケースも多いため、比較的スムーズに利用できます。

実際の操作手順例

  1. Outlookデスクトップ版を起動し、共有メールボックスを開く。
  2. フォルダー一覧で「受信トレイ」を右クリック。
  3. 「お気に入りに追加」を選択する。
  4. 左側の「お気に入り」一覧に共有メールボックスの受信トレイが表示されることを確認。

この方法は従来のOutlookに慣れている方にとっては最も手軽な回避策です。ただし、新Outlookデスクトップ版やプレビュー版への移行が進む中で、将来的には同様の機能が統合される可能性があり、それまではこの旧バージョンに頼らざるを得ない状況が続くと考えられます。

2. 旧Outlook on the web(クラシック版)が使える場合に限り切り替える

一部のテナントや環境では、まだ旧Outlook on the web(クラシック版)への切り替えオプションが残っているケースがあります。管理者やユーザー設定画面で「新しいOutlook on the webを使う」もしくは「従来のOutlook on the webに戻す」といったトグル操作が可能ならば、一時的にクラシック版へ戻して、お気に入りへの追加操作を行うのも一つの方法です。

ただし、Microsoftは新しいOutlook on the webへの移行を推奨しており、今後は旧クラシック版が徐々に廃止される見込みです。すでにクラシック版のUIを利用できないテナントも多いと思われるので、この方法も長期的な解決策にはなりません。

3. ブラウザのお気に入り機能を使う

本来のOutlookの「お気に入り」機能ではありませんが、ブラウザのブックマーク(お気に入り)として共有メールボックスのURLを登録しておくという手段もあります。例えば、共有メールボックスの受信トレイ画面を開いた状態で、ブラウザのブックマークに追加しておけば、ワンクリックで該当受信トレイを表示することができます。

ただしこれはOutlook本体のフォルダーリストには何ら影響を与えないため、実際にOutlook on the web内の「お気に入り」セクションにまとめるわけではありません。そのため、操作感の違いが気になる方も多いでしょう。あくまで暫定的な措置として割り切る必要があります。

新しいOutlook(Windows 11アプリ)でも同様の制限

Windows 11に搭載されている新しいOutlookアプリ(プレビュー版)でも、共有メールボックスのフォルダーを「お気に入り」へ追加するメニューや設定項目が見当たりません。UI構造がWeb版のOutlookにかなり近い設計となっているため、基本的にはWeb版と同様の機能制限が発生していると考えられます。

機能実装タイミングはOutlook on the webと連動か

Microsoft内部では「新しいOutlook on the webとWindows 11のOutlookアプリを可能な限り同一のコードベースで提供する」という方針を打ち出しているようです。これは最終的にユーザー体験を統一し、更新やメンテナンスの効率を上げるためですが、現時点では新UIに不足している機能が多く存在している状況です。

よって、共有メールボックスフォルダーの「お気に入り追加」についても、Outlook on the web側で機能がリリースされて初めてWindows 11アプリに反映される可能性が高いと考えられます。ユーザーとしては、Roadmapの情報だけでなく、Windows Insider ProgramやOffice Insider Programのプレビュー情報にも目を配るのがよいでしょう。

PowerShellでの設定変更も現状は困難

「Exchange Online PowerShellを使えば共有メールボックスの設定を強制的に変更できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし実際のところ、現行のExchange Onlineコマンドレットでは、「特定のメールボックスフォルダーをユーザーのお気に入りに加える」といった細やかな操作は想定されていません。メールボックス権限の変更やフォルダー権限を管理するコマンドレットは存在しますが、「お気に入り」に関する設定はクライアントアプリ(Outlook)の領域に属するため、PowerShellで直接操作する手段は限られています。

参考までに、共有メールボックスの権限を確認する典型的なコマンドは以下のとおりです。

# 共有メールボックスの権限確認例
Get-MailboxPermission -Identity sharedmailbox@contoso.com

しかし、これで確認できるのは「フルアクセス権」や「送信者として送信(Send As)」などの権限のみであり、「お気に入り」タブへの追加設定は含まれません。したがって、PowerShellによる対処は現時点では難しいといえます。

今後の展望とリリース見通し

現状、Microsoftのロードマップ上では2024年以降に段階的な展開が予告されていますが、明確なリリース月や詳細な機能範囲は確定していません。開発スケジュールは柔軟に変化するため、実装が完了するまでにはもう少し時間がかかる可能性が高いでしょう。

ユーザーができること

  • Microsoft 365 Roadmapを定期的に確認する
    公式の最新情報を入手するには、まずこのサイトをチェックするのが第一です。
  • MicrosoftコミュニティフォーラムやTech Communityを活用する
    他のユーザーが同じ問題をどのように対処しているか、生の声を得られます。遅延情報や新たな不具合情報、ワークアラウンドなども見つかる可能性があります。
  • Insider Programへの参加
    新機能がテスト的に早期導入される場合があるため、組織ルールが許せば、Office InsiderやWindows Insiderに参加することで、少し早く機能を試せるかもしれません。

機能実装が行われたら

将来的に共有メールボックスの受信トレイをお気に入りに追加できるようになれば、おそらく次のような操作方法が想定されます。

  1. Outlook on the webを開き、共有メールボックスのフォルダー一覧を展開。
  2. 受信トレイ(Inbox)など追加したいフォルダーを右クリック。
  3. 表示されるコンテキストメニューから「お気に入りに追加」を選択。
  4. 画面左のペインにある「お気に入り」欄にフォルダーが追加される。

この操作感は旧Outlookクラシック版やデスクトップ版に近いと予想されるため、一度その機能が実装されれば、これまで通りの運用に戻ることができるでしょう。ただしリリースの直後は不具合が残る場合もあるため、初期段階での利用に際しては注意が必要です。

注意点とまとめ

現行の新Outlook on the webおよび新しいOutlookアプリ(Windows 11プレビュー版)では、共有メールボックスの受信トレイを「お気に入り」に追加する方法が実質的に存在せず、多くのユーザーが戸惑っています。Microsoftはこの機能を開発中であり、2024年以降のロールアウトを予定しているとされていますが、延期が重なっているため、確定的なリリース日程を断言することはできません。

当面は旧Outlookデスクトップ版や旧Outlook on the web(クラシック版)が利用できる場合、それらを併用することが最も現実的な回避策です。今後、機能実装の報が入った際には、周辺環境を含めたテストを十分に行い、業務運用に支障がないか確認してから本格的に切り替えるのが望ましいでしょう。


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