新しいOutlookの強制インストールを阻止!「Mail & Calendar」を守るための徹底対策

Windows 10やWindows 11環境などで「Mail & Calendar」アプリを使いたいのに、新しいOutlookがいつの間にかインストールされてしまい、使い慣れたメールアプリが置き換わってしまうとお困りの方も多いでしょう。ここでは、その原因や具体的な回避策を徹底解説していきます。

新しいOutlookが自動インストールされる背景

Windowsに標準搭載されていた「Mail & Calendar」アプリは、軽快な動作とシンプルなUIが魅力で、多くのユーザーが日々のメールチェックやスケジュール管理に活用してきました。しかし近年、Microsoftは「Mail & Calendar」の機能を徐々に新しいOutlook(通称:One Outlookとも呼ばれる)に移行しており、Windows Updateなどを通じて強制的にインストールされる現象が発生しています。

新しいOutlookはOffice 365系の機能と統合され、TeamsやOneDriveなどとの連携が強化されている一方、「Mail & Calendar」に慣れ親しんだユーザーや、余計な機能を必要としないユーザーにとっては戸惑いの原因になりやすいのが実情です。

実際に、次のような症状が報告されています。

  • 「Mail & Calendar」を開いたはずが、自動的に「新しいOutlook」に誘導されてしまう
  • アンインストールしても、再びWindowsを起動した際やメールを利用しようとした際に復活する
  • システムアップデートのたびに設定が書き換わり、旧アプリへ戻りづらくなる

こうした問題に直面するユーザーのため、いくつかの対策・回避策がコミュニティなどで共有されています。以下では、その代表的な方法を詳しくご紹介していきます。

対策方法の全体像

「新しいOutlook」のインストールや起動を阻止するためには、大きく分けて次のアプローチがあります。

  1. 実行ファイル(olk.exe)の物理的な削除や置き換え
  2. 関連する設定ファイル(settings.json、callbackなど)やフォルダへの書き込み権限をブロック
  3. スクリプト(PythonやBATファイルなど)による自動検知・自動アンインストール
  4. Migration関連ディレクトリやフォルダのロック・書き換え

さらに、将来的に「Mail & Calendar」自体が公式にサポート終了となる可能性があるため、長期的にはサードパーティのメールクライアントに乗り換える選択肢も検討する必要があります。

方法1:「olk.exe」を削除またはダミーファイルに置き換える

WindowsAppsフォルダへのアクセス権を変更

Windows 10やWindows 11では、ストアアプリのインストール先として「C:\Program Files\WindowsApps」フォルダが利用されます。通常、このフォルダは「TrustedInstaller」という特別なアカウントが所有しているため、管理者アカウントであっても書き込みや削除が行えない状態です。

そこで、新しいOutlookの実行ファイルを直接削除・置き換えしたい場合は、まずこのフォルダの所有権を自分のアカウントへ一時的に変更し、フルコントロールを付与する必要があります。
手順の例(概略)は以下のとおりです。

  1. エクスプローラーで「C:\Program Files\WindowsApps」を右クリックし、「プロパティ」を選択
  2. 「セキュリティ」タブ→「詳細設定」を開く
  3. 所有者の欄を「TrustedInstaller」から自分のアカウント(またはAdministratorsグループ)に変更
  4. 「継承の無効化」を選択するかどうかは環境に応じて判断(不要な変更を最小限にすることを推奨)
  5. 書き込み権限(フルコントロール)が付与された状態にする

olk.exeファイルを削除または置き換え

アクセス権を変更したら、次は該当のフォルダを探します。バージョンによって異なりますが、「Microsoft.OutlookForWindows_xxxxxx…」という名前のフォルダが存在します。その中に「olk.exe」という実行ファイルが配置されていることが多いです。

  • 「olk.exe」を削除する場合
    フォルダ内の「olk.exe」を見つけて、Shift + Deleteなどで削除します。ゴミ箱に移すのではなく、完全に消去することも多いです。
  • ダミーファイルに置き換える場合
    新規で空のテキストファイルを作成し、「olk.exe」という名前に変更して、元の「olk.exe」を上書きする方法があります。これにより、システムが「olk.exe」を起動しようとした際に実行ファイルとして動作せず、エラーを返すようになります。

所有権を元に戻す(推奨)

以上の作業が完了したら、再度フォルダのプロパティから所有権を「TrustedInstaller」に戻すことを強く推奨します。Windows Updateなどに影響を及ぼさないようにするためです。

操作内容メリットデメリット
olk.exeを削除確実に実行ファイルを排除し、新Outlookを起動できなくするアップデート時に復活する可能性があり、そのたびに再作業が必要
olk.exeをダミーファイルに置き換えファイルサイズや起動プロセスを偽装しやすく、エラーを起こせるファイル更新やアップデートによる上書きがありうる

方法2:ユーザーフォルダ内の設定ファイルをブロックする

settings.jsonやcorrelation.jsonの削除

新しいOutlookがインストールされる際には、ユーザーフォルダ配下の「AppData\Local\Packages\microsoft.windowscommunicationsapps_8wekyb3d8bbwe\LocalState\Migration」などに設定ファイルが生成・更新されるケースがあります。その中の「settings.json」や「correlation.json」が、新しいOutlookへの移行をトリガーする要因になる場合があります。

手順の例:

  1. エクスプローラーで「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Packages\microsoft.windowscommunicationsapps_8wekyb3d8bbwe\LocalState\Migration」を開く
  2. 「settings.json」「correlation.json」などを探して削除
  3. 不要なファイルやフォルダがある場合は併せて削除する

フォルダへの書き込み権限を無効化

設定ファイルを削除しても、Outlookが再インストールされた際に同じ設定ファイルを復元・再生成されてしまうことがあります。そこで、フォルダ自体に書き込み拒否を設定しておくのも一つの方法です。

  1. 「Migration」フォルダを右クリック→「プロパティ」→「セキュリティ」タブ
  2. 「編集」をクリックし、現在ログイン中のユーザーの「書き込み(Deny)」にチェックを入れる
  3. 適用してウィンドウを閉じる

ただし、セキュリティ権限の変更はシステム動作に影響する場合があるため、事前にバックアップや復元ポイントを作成しておくと安心です。

方法3:スクリプトやバッチファイルを活用した自動アンインストール

Pythonスクリプトによる監視・アンインストール

GitHubなどでは「新しいOutlook」が再度インストールされるたびに自動的にアンインストールするPythonスクリプトが公開されています。スクリプトの仕組みとしては、一定間隔でインストール状況をチェックし、見つかった場合にコマンドラインからアンインストールを実行するというものです。

Pythonコード例(イメージ):

import subprocess
import time

def is_new_outlook_installed():
    # PowerShellコマンドでOutlookForWindowsパッケージを検索
    check_command = [
        "powershell", 
        "Get-AppxPackage | Where-Object {$_.Name -like '*OutlookForWindows*'}"
    ]
    result = subprocess.run(check_command, capture_output=True, text=True)
    return ("OutlookForWindows" in result.stdout)

def uninstall_new_outlook():
    uninstall_command = [
        "powershell", 
        "Get-AppxPackage *OutlookForWindows* | Remove-AppxPackage"
    ]
    subprocess.run(uninstall_command)

while True:
    if is_new_outlook_installed():
        uninstall_new_outlook()
    # 5分おきにチェック
    time.sleep(300)

上記はあくまで参考例であり、実行環境や権限設定によって動作が異なる場合があります。また、外部のスクリプトを利用する場合は、ソースコードを確認のうえ自己責任で導入しましょう。

BATファイル「OutlookRemover」の活用

同様に、バッチファイルを使って新しいOutlookを検知・アンインストールし、さらにダミーのアプリを置くことで再インストールされにくくする手法も紹介されています。具体的には、バッチファイル内で以下のようなコマンドを実行する流れが多いです。

@echo off

echo "新しいOutlookをアンインストール中..."
powershell -Command "Get-AppxPackage *OutlookForWindows* | Remove-AppxPackage"

echo "ダミーのアプリを配置しています..."
REM ここでolk.exeのダミーファイルを作成・コピーするなどの作業

echo "完了しました。"
pause

ただし、こちらもOSのバージョンやアップデート状況によって再インストールされるタイミングが異なるため、確実性を100%担保するものではありません。

方法4:Callbackファイルのフラグ書き換えとフォルダロック

新しいOutlookの移行を促す内部フラグがユーザーディレクトリに保存されており、該当ファイルを編集・ロックすることで移行を阻止しようというアプローチです。

callbackファイルの編集

「C:\Users[ユーザー]\AppData\Local\Microsoft\Outlook\NewOutlookMigration\callback」というファイルが見つかる場合、メモ帳などで開き、フラグが「true」になっている部分を「false」に書き換えると、新Outlookへの移行が抑制される可能性があります。

フォルダアクセス権を制限

callbackファイルを編集後、同フォルダのプロパティから「書き込み拒否」を行うことで、アップデートや再インストール時にこのフラグが書き換えられるのを防ぐ方法もあります。ただし、ほかの設定ファイルも同じフォルダに存在する場合は細心の注意が必要です。

対策方法の比較表

以下は代表的な対策方法を比較した表です。

方法難易度メリットデメリット再インストール耐性
olk.exeの削除・置き換え起動を物理的に阻止できるWindowsApps所有権変更のリスクありアップデートでファイルが復活する可能性
settings.json削除 + 書き込み拒否WindowsAppsを大きく変更しない一部の環境では復活が完全に防げない比較的耐性はあるが完璧ではない
スクリプトの自動アンインストール中~高管理の手間を自動化できるスクリプトが機能しなくなる可能性スクリプトを常に動かしておく必要
callbackファイル編集 + フォルダロック移行フラグを直接書き換え可能アップデートで再書き換えされるリスク環境によっては効果が限定的

将来的な「Mail & Calendar」サポート終了の可能性

一部報道やMicrosoftのロードマップ情報によると、今後「Mail & Calendar」アプリは段階的にサポートを終了し、新しいOutlookに統合・一本化される可能性があります。そのため、現時点で旧アプリを無理に使い続ける対策を行っても、いずれ完全に利用できなくなるケースも想定されます。

別のメールクライアントへの移行を検討する

シンプルさや動作の軽さを理由に「Mail & Calendar」を愛用していたユーザーにとって、新Outlookの機能やUIは過剰・煩雑に感じるかもしれません。そうした方には、ほかのメールクライアントの利用が選択肢となります。

おすすめのメールクライアント例

  • Thunderbird Mozillaが開発するオープンソースのメールクライアント。多機能で拡張性が高い反面、初期設定に若干の手間がかかる場合があります。
  • Mailbird 有料版と無料版が存在し、直感的なUIとSNSなどとの連携が特徴。GmailやOutlook.comだけでなく各種プロバイダメールにも対応。
  • Windows Live Mail (旧) 既にサポート終了ですが、動作が軽いと好むユーザーもいます。ただし更新が行われておらず、セキュリティ面のリスクが高い点に注意。
  • その他のWebメール ブラウザ上でGmailやOutlook.comを利用することで、ローカルにクライアントをインストールせずに済むという選択肢もあります。

手順実行時の注意事項

バックアップと復元ポイントの作成

フォルダの所有権やセキュリティ設定を変更する方法では、操作を誤るとWindowsストアアプリ全体が起動しなくなるなど、想定外のトラブルが発生する可能性があります。必ず事前にシステムの復元ポイントを作成するか、バックアップソフトウェアなどを活用してイメージバックアップを取得してください。

各種設定の影響範囲を理解する

一度WindowsAppsフォルダの所有権を変更すると、今後Windowsストアでのアプリインストールやアップデートに支障をきたす場合があります。完了後はできるだけ速やかに「TrustedInstaller」に所有権を戻し、セキュリティ権限をデフォルトに近い状態へリセットするのが望ましいです。

アップデートのたびに状況を確認する

Windows Updateによっては、これまでの対策を無効化する形で新しいOutlookが再度インストールされる可能性があります。とくに大規模アップデートや機能更新プログラム(例:Windows 10の「20H2」→「21H2」など)では、再度設定ファイルが書き換わり、対策ファイルが上書きされることがあるため要注意です。

まとめ

Windows標準の「Mail & Calendar」を使い続けたいユーザーにとって、新しいOutlookの自動インストールは悩ましい問題です。しかし、上記のように実行ファイルの削除・置き換えや設定ファイルの書き換え、スクリプトの活用など、複数の方法である程度は対処可能です。ただし、いずれの方法もOSやアプリのアップデートによる影響を完全には防ぎきれず、将来的に「Mail & Calendar」自体のサポートが終了する可能性も視野に入れておく必要があります。

結果的に、「どうしても旧アプリのUIにこだわりがある」「新Outlookが不要」という場合は、上記対策を試みてブロックしつつ、将来的にはThunderbirdなど他のメールクライアントへの移行を検討するのが現実的と言えるでしょう。Microsoftから公式に簡単な無効化オプションが提供される可能性は現時点で低いため、暫定的な対策や代替アプリの導入が自己防衛策としては有効となります。

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