パソコンで予定管理をする際、見たいタイミングでカレンダー情報がサッと表示されると非常に便利ですよね。特にWindows 10のスタートメニューへカレンダーをピン留めしておけば、ワンクリックで素早くスケジュールを確認できるため、作業効率も高まります。しかし、新しいOutlookでは「ライブタイル機能」が廃止されており、従来のように日付や予定がスタートメニュー上で動的に表示されなくなりました。今回は、その背景や具体的な代替策、そして今後の展望などを丁寧に解説します。
Windows 10と新しいOutlookカレンダーの現状
新しいOutlookカレンダー(Outlook.comのUIリニューアル版や、プレビュー版Outlook for Windowsなど)では、これまで利用できていたライブタイル表示が大きく変更されました。Windows 10のスタートメニューにアプリとしてピン留めはできても、リアルタイムのカレンダー情報を反映させるライブタイル機能は非対応となっています。
この変更は、「Outlook.comがもともとWindows 10のライブタイルと連携するための機能を提供していたが、新しいOutlookではその機能がなくなった」ことに起因します。Outlook.comやWindowsカレンダーが旧来の仕組みで連携していた時期には、スタートメニュー上で日付や予定が動的に表示され、ユーザーの利便性を高めていました。しかし、Microsoftのサービス統合やデザインの刷新に伴い、その表示連携が廃止されてしまった形です。
これまでのライブタイルとの違い
ライブタイルとは、Windows 8から導入されたタイルUIの一機能で、スタートメニューやスタート画面にピン留めしたアプリのタイル上に、動的な情報をアニメーション表示できる仕組みです。古いOutlook.comやWindowsカレンダーアプリはこの仕組みに対応しており、今日の日付や次の予定などを確認することが可能でした。
しかしながら、新しいOutlook(Web版・Windowsデスクトップ版問わず)では、このライブタイルのデータ連携が機能しません。その結果、同じようにスタートメニューへピン留めしても、単なる「アイコン表示」に留まり、予定や日付情報を表示できないのです。
新しいOutlookカレンダーにおけるピン留めの可否
「まったくピン留めできないのか?」というと、そうではありません。ブラウザからOutlook.comカレンダーを開いて右上やメニューボタンからスタートにピン留め(ショートカットを作成)することは可能です。ただし、ピン留めされたアイコンはライブタイル化ができず、カレンダーとしての情報(予定や日付の動的表示)は行われません。スタートメニューに置くだけのショートカットとして機能します。
ライブタイルが使えない理由
ライブタイル非対応には、WindowsやOutlookの仕様変更が深く関わっています。特に、Windows 10のサポートポリシーと、新しいOutlook(Outlook for WebやOutlook for Windowsプレビュー版)の開発方針に関係する部分が大きいです。
Windows 10のサポート事情
MicrosoftはWindows OSに対して継続的に機能更新を行ってきましたが、Windows 10におけるライブタイルはWindows 8時代のモダンUIを継承した機能でした。近年ではWindows 11を中心に、スタートメニューのデザインや機能を簡素化・刷新する流れがあります。そのため、Windows 10向けのライブタイル機能が今後大きく進化する可能性は低いと考えられています。
Outlook側の仕様変更
一方のOutlookサービス側(Outlook.com含む)も、WebアプリケーションとしてのUIアップデートやPWA(Progressive Web Apps)化の推進など、新たな技術基盤へ移行を進めています。旧式のライブタイル連携は、Windowsの特定機能とOutlook.comの旧APIが連携することで実現していた部分があり、新たなOutlookでは対応しないままになっています。
ブラウザからショートカットを作成してピン留めする方法
それでも、「少なくともスタートメニューにOutlookカレンダーを配置しておきたい」という需要は根強いでしょう。その際には、ブラウザの機能を活用して簡易的にピン留めする方法があります。ここでは例としてMicrosoft EdgeとGoogle Chromeを取り上げます。
ショートカットを作成する手順
基本的な流れは以下の通りです。
- ブラウザでOutlook.comカレンダーを開く
- ブラウザの設定メニューを開く
- 「その他のツール」または「アプリとしてインストール」などの項目を選択
- 作成したショートカットやアプリをスタートメニューへピン留め
ブラウザによってメニュー名が若干異なるので、以下の表を参考にしてください。
ブラウザ | 手順 | 備考 |
---|---|---|
Microsoft Edge | 1. Outlook.comカレンダーを開く 2. 「…」(設定など) をクリック 3. 「アプリ」→「このサイトをアプリとしてインストール」 4. インストール後にスタートへピン留め | PWA形式でインストール可能 |
Google Chrome | 1. Outlook.comカレンダーを開く 2. 「…」(設定など) をクリック 3. 「その他のツール」→「ショートカットを作成」 4. 「アプリとして開く」にチェックし作成後、スタートへピン留め | ショートカットが自動生成される |
この方法によって、スタートメニューにはOutlookカレンダーのアイコンが追加されます。ただし繰り返しになりますが、動的な情報(ライブタイル)は表示されないため、あくまでも「素早くブラウザ版Outlookカレンダーを開くショートカット」としての役割に留まります。
Microsoft Edgeの場合
Microsoft Edgeでは、PWA(Progressive Web Apps)形式でインストールする機能が充実しています。Outlook.comをPWAとしてインストールすると、通常のアプリのようにタスクバーやスタートメニューにアイコンを表示できるようになります。
- Edgeでhttps://outlook.live.com/calendar/0/view/monthにアクセスします。
- 右上の「…」をクリックし、「アプリ」→「このサイトをアプリとしてインストール」を選択します。
- インストールウィザードが表示されるので、アプリ名(Outlook Calendarなど)を指定して実行します。
- インストール完了後、スタートメニューにOutlookカレンダーのアイコンが追加されるので、右クリックから「ピン留め」を選んでください。
Google Chromeの場合
Chromeの場合はPWAインストール以外にも、ショートカット作成という形で対応できます。
- Chromeでhttps://outlook.live.com/calendar/0/view/monthにアクセスします。
- 右上の「…」→「その他のツール」→「ショートカットを作成」を選択します。
- 「アプリとして開く」にチェックを入れると、Outlookカレンダーが独立アプリのように起動します。
- 自動生成されたショートカットをスタートメニューに登録・ピン留めしましょう。
これらの手順により、スタートメニューからワンクリックでOutlookカレンダーを開けるようになる点は便利ですが、やはり昔のようにタイル上で予定や日付を確認することはできません。
Windows標準カレンダーアプリでOutlookを同期する方法
Windows 10の標準カレンダーアプリは、OutlookなどのMicrosoftアカウントはもちろん、GoogleアカウントやiCloudとも同期できる汎用的なカレンダーアプリです。スタートメニューには「カレンダー」アプリのライブタイルをピン留めできますが、表示される内容は「カレンダーアプリ側のUI」に準拠します。
アカウントの追加手順
- Windows 10のスタートボタンをクリックし、「カレンダー」アプリを起動します。
- アプリ左下にある「歯車アイコン(設定)」をクリックします。
- 「アカウントの管理」を選択し、「アカウントの追加」をクリックします。
- 一覧から「Outlook.com」を選択し、Microsoftアカウントの資格情報を入力します。
- アカウントが追加されると、Outlookの予定がWindows 10標準カレンダーアプリと同期されるようになります。
この方法を使えば、Windows 10標準のカレンダーアプリをスタートメニューにピン留めしておけば、ライブタイル上で日付や一部の予定を簡易的に確認できます。ただし、新しいOutlookカレンダーのWeb版やプレビュー版Outlook for WindowsのUIとは異なるので、見た目や機能に完全互換があるわけではありません。
外部アプリの活用でカレンダーをもっと便利に
もし「どうしてもライブタイルのように予定を表示させたい」「独自のウィジェットでカレンダー情報を確認したい」というニーズがある場合、外部のカレンダーアプリを検討するのも一つの手段です。
Microsoft Storeのカレンダーアプリ例
Microsoft Storeには、さまざまなカレンダーアプリが公開されています。たとえば、シンプルで見やすいUIを提供するアプリや、追加のウィジェット機能があるアプリなどが見つかります。アプリによっては、Outlookアカウントと連携し、予定を表示するタイル機能を独自に実装している場合もあります。ただし、すべてのアプリがライブタイル表示に対応しているわけではないので、実際にインストールしてみて確認する必要があります。
サードパーティ製アプリのメリット・デメリット
- メリット
- 独自のデザインや機能を備えており、Outlook標準のUIでは物足りない部分を補完できる。
- 一部のアプリはウィジェットやライブタイル風の表示に力を入れているため、目的に合致すれば非常に便利。
- デメリット
- 外部アプリである以上、セキュリティ面をよく確認する必要がある(信頼できる開発元かどうか)。
- Microsoft公式とは違うUIのため、慣れが必要。
- アプリのバージョンアップやサポートが十分に行われるかどうかは開発元次第。
Microsoftへのフィードバックを送るメリット
ライブタイル機能が失われたのは残念ですが、Microsoftもユーザーからの要望が大きければ機能復活を検討する場合があります。機能追加や改善のタイミングは公表されていませんが、可能性を高めるためには次のような取り組みが有効です。
- Windows 10のフィードバックHubを利用
- Windows 10には「フィードバックHub」というアプリがあり、そこから要望や不具合を直接Microsoftに報告できます。
- 「新しいOutlookカレンダーでもライブタイルをサポートしてほしい」と要望を送ることで、開発チームの目に留まる可能性があります。
- Outlook.comやMicrosoft 365のユーザーフィードバックサイト
- Microsoft 365への要望送信ページ などを活用し、同様のリクエストを送ることも有効です。
- 多数のユーザーが同じ要望を寄せれば、優先的に改善対象として検討される可能性が高まります。
フィードバックHubの使い方
- スタートメニューで「フィードバックHub」を検索・起動します。
- 「+ 新しいフィードバックを追加する」を選択し、カテゴリを「Windowsアプリと機能」や「スタートメニュー」に設定します。
- タイトルや詳細欄に、必要な機能(ライブタイル連携など)や、現在の不満点をわかりやすく記述します。
- 送信すると、同じ意見を持つ人が投票できるようになるため、共感を得られれば開発チームへのアピールにつながります。
まとめと今後の展望
新しいOutlookカレンダーをWindows 10のスタートメニューにピン留めし、従来のようにライブタイルで予定や日付を表示する機能は現時点では提供されていません。旧Outlook.comや旧カレンダーアプリであれば実現できていたため、多くのユーザーにとっては不便な点でしょう。しかし、以下のような対策や代替策を講じることで、ある程度の快適さを確保できます。
- ブラウザからのショートカット作成
スタートメニューにピン留めしてワンクリックアクセスを確保する。 - Windows標準の「カレンダー」アプリ活用
Outlookアカウントを同期し、ライブタイル的な表示を部分的に実現する。 - サードパーティ製カレンダーアプリの検討
Microsoftストアなどで公開されている他社製アプリで、ライブタイルに近い機能を提供しているものを試す。 - Microsoftへのフィードバック送信
ユーザーの声が集まれば、機能復活や新たな改善が行われる可能性がある。
特にWindows 10のサポートが徐々に縮小しつつある現状を踏まえると、ライブタイル機能自体が大きく進化する公算は低いかもしれません。しかしながら、Microsoft側のサービスデザインやUX方針が変わる可能性はゼロではなく、ユーザーの強い要望があれば再検討されることも十分考えられます。現在の仕様に不満がある場合は、代替策を活用しつつ、フィードバックを根気強く送り続けることが大切でしょう。
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