日頃からMicrosoft Teamsを活用しているユーザーにとって、会議中に画面共有が見えないというトラブルは非常に大きなストレス要因となります。特に新しいTeamsへの切り替えを控えている組織や個人にとって、今まで問題なく使えていた画面共有がうまく表示されなくなるのは悩ましいところです。本記事では、この「新Teamsで共有画面が表示されない」問題の概要と具体的な解決策について詳しく解説します。
Teamsの画面共有が表示されない問題とは
新しいMicrosoft Teams(以下、新Teams)への移行が進められる中で、既存の「クラシックTeams」やWeb版では支障なく表示されていた画面共有が、新Teamsに切り替えた途端に見えなくなるケースが報告されています。会議のホスト側が画面共有を開始しても、参加者から共有内容が確認できず、作業の進行やトラブルシューティングに支障が出てしまうことがあります。
この不具合が起こる原因は複合的です。Teamsクライアントのキャッシュデータの破損や、オーディオ関連ドライバとの競合、WebView2やMedia Feature Packの不足など、多岐にわたります。また、組織で適用している画面共有ポリシーや、セキュリティソフトが干渉している可能性も否めません。そのため、対策としては段階的に原因を切り分け、該当の設定やソフトウェアを見直す必要があります。
現象の特徴
- 新Teamsでのみ画面共有が見えない
- クラシックTeamsやWeb版を利用すると問題なく表示される
- 一度対処しても、しばらく経つと再発する場合がある
- 組織的に導入しているポリシーやドライバが影響している可能性がある
なぜ新Teamsに切り替えると問題が起きるのか
大きな理由として、Teamsのアーキテクチャが刷新されている点が挙げられます。新Teamsはパフォーマンスやインターフェイス改善を目的として構築されており、これまでのクラシックTeamsとは内部の構造が異なります。特に、画面共有機能やマルチメディア系のモジュールが新しくなっているため、OSやドライバとの相性問題が顕在化しやすいと考えられます。
画面共有が表示されない問題への主な対策
問題を解消するために、以下の手順を上から順に試すことが推奨されています。それぞれの対策は互いに補完関係にあり、複数の要因が重なっているケースも少なくありません。各ステップの実施後に再度Teamsで画面共有を試し、改善したかどうかを確認してみてください。
方法1: Teamsのキャッシュをクリア
Teamsのキャッシュが破損している場合、画面共有がうまく表示されなくなることがあります。キャッシュをクリアする手順は以下のとおりです。
- Teamsを終了
Teamsアプリが完全に終了していることを確認します。タスクバーの通知領域(システムトレイ)にTeamsのアイコンが残っている場合は、右クリックから終了を選択するか、タスクマネージャーでプロセスを終了してください。 - キャッシュフォルダの削除
Windowsのエクスプローラーで以下のパスに移動します。
%appdata%\Microsoft\Teams
このディレクトリ内にあるファイル・フォルダをすべて削除します。
- Teamsを再起動
再度Teamsを起動し、画面共有の動作をチェックします。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | Teamsを終了する |
2 | %appdata%\Microsoft\Teams配下のファイルを削除 |
3 | Teamsを再起動して挙動を確認 |
キャッシュクリアはTeamsの動作不具合を解決する代表的な手段のひとつです。とくにTeamsアップデート後や、Windowsアップデートとタイミングが重なったときなどにキャッシュ関連の不具合が起こりやすい傾向があります。
方法2: Web版Teamsなどの併用
万が一、すぐに修正が難しい場合は、Web版Teamsや旧Teams(クラシックTeams)を当面の間利用することで画面共有が機能するケースがあります。特にWeb版Teamsはブラウザベースで動作するため、ローカル環境に依存しにくい利点があります。
- 一時的な回避策
新Teamsでうまくいかない場合、相手方に画面共有を求められる会議のときだけWeb版を使う、という方法が取れます。 - 制限事項
Web版は拡張機能や通知設定などがローカルアプリと異なるため、機能面に制限がある場合もあります。快適さや利便性の面では、ローカルアプリの新Teamsが望ましいため、根本的な解決策を目指す場合は以下の方法も併せて検討してください。
方法3: 「新しい会議エクスペリエンス(New Meeting Experience)」の無効化
Teamsがバージョンアップした際に導入された「新しい会議エクスペリエンス(New Meeting Experience)」が原因で、画面共有に不具合が生じる報告があります。以下の手順で設定をオフにしてみましょう。
- Teamsの設定を開く
Teamsの右上にあるプロフィールアイコンをクリックし、「設定」を選択します。 - General(一般)の項目を確認
“新しい会議エクスペリエンスを有効にする(Turn on new meeting experience)”というチェックボックスがあります。 - チェックをオフにする
チェックを外し、Teamsを再起動して画面共有が見えるか確認します。
これによって旧来のUIや機能に近い状態で動作させることができます。ただし、他の新機能も同時に無効化される場合があるため、自社環境や利用状況にあわせて検討してください。
方法4: 組織全体の画面共有ポリシー(Org-wide policy)やGPOの確認
Microsoft 365管理センター(旧Office 365管理センター)やTeams管理ポータルには、組織全体の会議ポリシーや画面共有ポリシーが存在します。特に下記のような項目が影響する可能性があります。
- エントリスクリーン共有(Entire screen sharing)の可否
全画面共有を許可していないポリシー設定になっていると、一部のクライアントで共有がブロックされることがあります。 - 特定のユーザーまたはグループに適用される制限
対象ユーザーごとに設定されている会議ポリシーが異なる場合、個別の制限が原因で画面共有ができないケースもあります。 - GPO(グループポリシー)での規制
Windows環境の場合、グループポリシーでカメラやマイク機能、画面キャプチャ機能に関する制限があると、Teamsの機能とも衝突する可能性があります。
以下は、GPOを確認する一例のコマンド例です。
# PowerShell上で現在のグループポリシー適用状況を取得
gpresult /h C:\temp\gpo_report.html
上記のコマンドでレポートを生成し、ブラウザからgpo_report.htmlを確認してみることで、該当のポリシーが影響していないか調べられます。
方法5: ドライバー競合の可能性を探る
Teamsの画面共有は、オーディオやグラフィック系のドライバと密接に連携しています。そのため、NahimicやRealtek Audio Consoleなど、サウンド関連のドライバやアプリケーションが競合を起こしていることも考えられます。
- Nahimicドライバーが入っている場合
Nahimicは音響改善ソフトウェアとして有名ですが、画面共有機能と衝突する報告が存在します。不要であればアンインストール、あるいは常駐を停止して症状が改善するかを試してください。 - ビデオドライバの更新
グラフィックドライバが古いバージョンのままだと、Teams側でスムーズにキャプチャができない場合があります。NVIDIAやAMD、Intelの公式サイトから最新ドライバをダウンロードし、導入してみてください。
方法6: WebView2とMedia Feature Packの導入
新Teamsの動作には、WebView2(Edgeランタイム)が必須要件となっています。また、Windows Nエディションなどマルチメディア機能を限定した環境を使っている場合、Media Feature Packを導入しないと不具合が生じるケースがあります。以下の手順で確認および導入を実施してください。
- WebView2(Edgeランタイム)のインストール
Microsoft Edge WebView2のサイトから「Evergreen Bootstrapper」をダウンロードし、管理者権限でインストールします。 - Media Feature Packの導入
Windowsの「設定」 > 「アプリ」 > 「オプション機能」から「機能の追加」を選び、「Media Feature Pack」を検索してインストールします。
Windowsバージョン | 導入方法 |
---|---|
Windows 10 N | 「設定」>「アプリ」>「オプション機能」から追加 |
Windows 11 N | 同様にオプション機能からMedia Feature Packを検索して導入 |
- パソコンの再起動
インストール完了後、パソコンを再起動してから新Teamsで画面共有が行えるか確認します。
これらの機能が不足していると、Teams内でのメディア機能(音声・映像・画面共有など)の一部またはすべてに支障が出る可能性があります。特に企業でWindows Nエディションを導入しているケースでは見落とされがちなポイントなので、必ずチェックしましょう。
方法7: 新Teamsの再インストール
上記の対策をすべて試しても問題が解決しない場合、新Teamsを一度アンインストールして再度インストールし直す方法も検討してみてください。インストールパッケージが破損していたり、アップデート中に不具合が生じている可能性があります。
- 手順の例
- 旧Teamsが残っている場合は、そちらを含めてすべてアンインストール
- 新Teamsの公式ダウンロードページから最新版を入手
- インストーラを管理者権限で実行し、完了後にシステムを再起動
ただし、新しいバージョンでも同様の問題が報告されている場合があるため、定期的にMicrosoft公式のフォーラムやサポート情報を確認することが重要です。
強制移行に備える: 組織としての対策
Microsoftは3月末までに新Teamsへの切り替えを強制するとアナウンスしているとされます。組織規模でTeamsを活用している場合は、トラブルが発生したときに備え、以下の点を検討しておくとスムーズです。
段階的な移行テスト
大人数がいきなり新Teamsに移行すると、問題が多発した際に混乱を招きます。テストユーザーやパイロットグループを設定して、事前検証を十分に行うことで大規模なトラブルを防ぎましょう。
サポート窓口の整備
IT部門やヘルプデスクに、Teamsの不具合が起こった際の連絡先や対処手順を周知徹底してください。障害発生時に即座に情報共有ができるよう、社内ポータルやマニュアルを用意しておくと安心です。
定期的なアップデート管理
Windows OSやドライバ、Teamsクライアントは日々更新されています。更新のタイミングで設定が変わる場合もあるため、更新管理を計画的に行い、バージョンを揃えることで不具合のリスクを低減できます。
Microsoftの公式サポート動向
現在のところ、Microsoftが公式に「新Teamsの画面共有が表示されない」問題について大々的にアナウンスしている情報は限られています。フォーラムやコミュニティサイトでは類似の事例や回避策が随時共有されているため、不具合に遭遇した場合はそちらもチェックしましょう。
- Microsoft 365管理センターのお知らせ
重要なサービスアナウンスが行われる場合があります。管理者アカウントで定期的に情報を確認しておくと、最新動向をキャッチしやすいでしょう。 - Microsoft技術系フォーラム(Microsoft Q&Aなど)
不具合の事例がいち早く報告される場でもあります。他のユーザーが同様の問題に直面し、解決策を得ている可能性があるため、有用な情報源となります。
再発時の対応: 根本解決を目指す
一度対処しても、数日や数週間後に再度発生するケースが報告されています。再発を繰り返す場合、以下のような点を総合的にチェックするのが近道です。
- Teamsクライアントのバージョン
最新版が公開されていないか、手動更新が必要ではないかを確認します。 - OSやドライバのアップデート状況
Windows Updateやグラフィックドライバ、オーディオドライバの最新化を再確認します。 - セキュリティソフトやファイアウォール設定
企業のセキュリティ対策ソフトが画面共有やストリーミング機能をブロックしている可能性があります。 - ソフトウェアの競合状況
バックグラウンドで動作しているソフトウェアがTeamsの機能と競合していないかをチェックします。
最終的に解決が難しい場合は、Microsoftサポートへの問い合わせを検討してください。フォーラムに報告することで、より多くのユーザーと知見を共有できる可能性もあります。
まとめ
新Teamsへの切り替えに伴い、「画面共有が表示されない」というトラブルは少なからず発生しているようです。原因は複数考えられますが、大きく分けるとキャッシュや設定の問題、ドライバーやOS側との競合、ポリシー設定や機能追加の不足などが挙げられます。本記事で紹介した対策を段階的に実践し、チーム内や組織で情報を共有することで円滑にトラブルを乗り越えましょう。今後のMicrosoft公式アップデートやフォーラム情報にもアンテナを張りつつ、不具合の根本解決を目指してください。
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