ビジネスシーンで欠かせないコミュニケーションツールであるMS Teams。簡単に投票が取れるPollsは便利ですが、自由回答を収集できないことに物足りなさを感じる方もいるでしょう。そんなときに使えるFormsの活用法や運用のポイントを本記事で詳しくご紹介します。
MS Teamsで自由回答を求めるニーズと課題
Teamsを導入すると、組織内外でのスムーズなチャットやビデオ会議が実現できます。しかし、いざアンケートを実施しようとすると「Polls」機能は選択式のみ対応で、自由回答ができません。特に新商品や新プロジェクトのアイデア収集など、文章での回答がほしい場面では十分に活用できないケースがあります。
Pollsの特徴と制限
PollsはTeamsのメッセージウィンドウから直接投票を作成できる点が最大の魅力です。以下のようなケースでよく活用されています。
- 会議中の意思決定(賛成・反対などの簡易投票)
- カジュアルなアンケート(好きなランチのメニューを選ぶなど)
- クイックなフィードバック収集(是非を問う、評価を星で問うなど)
一方で、大きな制限として「選択肢」を自由に追加できても、文章での自由入力ができません。極端に多くの選択肢を用意することも現実的ではなく、アンケート参加者からの多様なアイデアやフィードバックを受け取りにくいのが現状です。
自由回答が求められる場面
文章形式の回答が求められるのは、次のようなシチュエーションです。
- 製品やサービスに対する具体的な感想や改善提案
- 新たなアイデアのブレーンストーミング
- 業務プロセス上の課題や改善策をヒアリング
- 個人の考え方や背景事情を知りたい場合
こういった場面では、単なる「はい・いいえ」「賛成・反対」では十分な情報を得られません。そこで、有効なのが「Forms」を利用したオープンエンドな回答形式のアンケートです。
解決策1:Web版Microsoft FormsのリンクをTeamsチャットで共有
自由回答を集める確実な方法としては、Microsoft FormsをWebブラウザから直接作成し、そのリンクをTeamsのチャットに貼り付けるやり方が挙げられます。以下では、そのステップとポイントを詳しく解説します。
ステップ1:Microsoft Forms(Web版)にアクセス
Microsoft 365アカウントをお持ちであれば、Microsoft Formsにアクセスし、Webブラウザ上でアンケートを作成できます。Teamsのチャット画面からFormsを起動すると、Pollsに切り替わる可能性があるため、まずはブラウザで直接Formsにアクセスすることが重要です。
ステップ2:新規フォーム作成
「新しいフォーム」または「新しいクイズ」を選択すると、すぐにフォーム作成画面が表示されます。ここで「テキスト」型の質問を追加すれば、回答者が自由に文章を入力できるフィールドを設けることが可能です。
- テキスト型質問:単一行テキストまたは複数行テキストを選択できる
- 選択型質問:自由回答とあわせて他の質問項目も設定したい場合に便利
- その他の質問タイプ:評価、日付、ランキングなど状況に合わせて利用可能
ステップ3:共有リンクを取得し、Teamsへ貼り付け
フォームを完成させたら、「共有」ボタンから回答者向けのリンクをコピーしましょう。リンクの設定では、組織内のみ回答を許可するか、匿名ユーザー(組織外)からも回答を受け付けるか選択できます。コピーしたリンクをTeamsのチャットに貼り付けるだけで、チャットメンバーはクリックして回答ページにアクセスできます。
メールアドレスや名前の自動取得を考えるなら
組織内のみ回答を許可にした場合、Formsの機能で自動的に回答者のメールアドレスが紐付けられることもあります。匿名でなく、誰がどんな回答をしたか追跡したい場合は「Microsoftアカウントのみ」を選択する設定がおすすめです。逆に顧客や外部パートナーの声を広く集めたい場合は「リンクを知っている人は誰でも回答可能」にしておきましょう。
解決策2:TeamsのチャネルでFormsを利用する
Teamsの「チャネル」には以前のForms統合機能が残っている場合があります。チーム内でオープンな情報共有をメインにしているプロジェクトなら、チャットではなくチャネルを活用する選択肢も検討してみましょう。
チャネルでフォームを作成する手順
- 対象のチームを選択し、アンケートを実施したいチャネルを開く
- 「+ タブ追加」をクリックし、Formsを選択
- 新しいフォームを作成または既存のフォームを追加
- チャネルメンバーに通知して回答を促す
この方法だとチャット画面ほど気軽ではないかもしれませんが、組織全体またはプロジェクトメンバー全員で自由回答を募るには有効な場合があります。
チャネル運用のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
チーム全体の透明性が高く、回答や結果を共有しやすい | チャットよりも気軽さに欠けるため、回答率が下がる可能性がある |
議論が継続しやすく、集約した意見を後から見直しやすい | メンバーによってはチャネルの存在を見落とすことがある |
チャネル専用のタブを使う場合
自由回答が必要なアンケートを定期的に実施する場合は、専用のタブを用意して常設しておく方法もあります。タブを固定することで、メンバーがいつでもフォームにアクセスしやすくなる利点があります。アンケート内容を適宜更新することで、継続的なフィードバック収集を目指すことも可能です。
解決策3:Microsoftへの機能要望を出す
Teamsチャットで直接自由回答を集めたい場合、「Formsを統合したPolls」を改善してほしいという要望があるでしょう。現在は選択式しか提供されないPollsですが、今後のアップデートで自由回答型が加わる可能性も否定できません。
要望提出の方法
- Teamsアプリ内:ヘルプ > フィードバック > 新機能の提案 から要望を送信
- Teams Feedback Portal:公開フォーラムにリクエストを投稿し、他のユーザーからの投票を募る
Microsoftの製品開発チームは、ユーザーから寄せられる多くの声をもとに改善を検討します。特にビジネスシーンでの利用が増えているTeamsには積極的に開発リソースが割かれているため、要望を出しておくことは非常に有効です。
より効果的な自由回答収集のポイント
ここからは、Formsなどを用いて自由回答を収集する際に注意したいポイントを取り上げます。せっかく回答してもらうなら、濃い意見を得られるように工夫しましょう。
質問の意図を明確にする
自由回答欄だけポンと置かれても、回答者はどのような深さで答えればよいかわからないことがあります。例えば「改善点を教えてください」だけではなく、「現在の課題感や使い勝手について具体的に書いていただき、その理由も教えてください」のように質問を工夫することで、より有益な回答を得やすくなります。
回答の長さやフォーマットを提案する
自由回答が得られる一方で、回答があまりに長文になってしまうと読み手も整理しづらい場合があります。また、回答が箇条書きのほうがわかりやすいケースもあります。「複数の項目がある場合は箇条書きで書いてください」「1つの項目につき3行程度でまとめてください」などの軽いガイドラインを示すことで、読みやすさを確保しやすくなります。
回答に対してフィードバックを行う
せっかく自由回答をもらっても、回答者が「自分の意見は届いているのか?」と不安になることがあります。できれば重要な意見に対しては、まとめてチームでの方針や改善策を公表するなど、回答者に「意見をくみ取ってくれている」という実感を持ってもらえるようにしましょう。こうした姿勢が伝われば、次回以降のアンケートにも協力してもらいやすくなります。
運用上のヒントと注意点
Formsを使ったアンケートは手軽な一方で、運用次第では回答率が下がったり、集まる意見が偏ったりすることがあります。以下のような工夫で、より質の高いフィードバックが得られるようにしましょう。
回答期限を設定する
チャットでいつでも回答できるからこそ、回答を後回しにされるリスクもあります。Formsには回答の期限設定機能がないため、Teamsのメッセージで「〇月〇日までにご回答ください!」と促すなど、具体的な期限を明示すると良いでしょう。
リマインダーを活用する
回答が集まらない場合、再度リンクを貼り付けてメンション(@メンバー名)を使って呼びかけるなどのリマインドを行います。「忙しいから回答できない」というよりは「回答依頼を見落としている」ケースも多いので、2回目のアナウンスは効果的です。
複数の質問形式を組み合わせる
自由回答だけではなく、選択式の質問も組み合わせることで、回答者がスムーズに回答に着手できます。以下のような構成は比較的答えやすく、回答率も高まりやすいです。
- 選択式による大まかな傾向把握(満足度、利用頻度など)
- 自由回答欄で追加の意見や詳細な改善点を記述してもらう
最初に簡単な選択式があると、回答者もアンケートへ参加するハードルが下がり、自由回答にもスムーズに移行しやすくなります。
トラブルシューティング:Formsの利用時に起こり得る問題
Formsを運用する際に起こりやすいトラブル例と対策をまとめます。
問題 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
フォームがチャット画面上でPollsに切り替わってしまう | Teamsのチャット内で作成しようとすると自動的にPollsを起動 | WebブラウザでFormsを作成し、リンクを共有する |
自由回答が想定したほど集まらない | 質問文がわかりにくい、または周知不足 | 質問の意図を明確にし、こまめにリマインドする |
回答が長文すぎて処理が大変 | 自由回答の回答形式が未指定 | 回答フォーマットを案内し、ある程度回答の要点を絞ってもらう |
外部パートナーにフォームを共有できない | 共有設定で「組織内のみ」になっている | 「リンクを知っている人は誰でも回答可能」に変更 |
社内のITリテラシー向上も重要
Formsが便利だとわかっていても、チャットで投票することに慣れすぎていると、あえてリンク先に飛んで自由回答する手間を敬遠する人もいます。社内研修や日常コミュニケーションの中で「Formsを用いたフィードバック」の手順を周知し、ITリテラシーを底上げしていくことも重要です。
まとめ:自由回答収集はFormsのリンク共有が最も手軽
Pollsはシンプルかつ素早い投票に向いている反面、自由回答を受け付ける機能はありません。そこで、Web版のMicrosoft Formsでアンケートを作成し、そのリンクをTeamsのチャットに投稿することで自由回答を集めることができます。
また、Teamsのチャネル機能を活用することで、組織内やプロジェクトメンバーから意見を幅広く収集しやすくなります。今後もMicrosoftはユーザーフィードバックを基に機能改善を行っていく可能性が高いので、要望を出すことも選択肢の一つです。自由回答を収集し、組織の声を生かしたプロジェクト運営やサービス改善を目指していきましょう。
自由回答を使ったアイデアの発展例
最後に、自由回答で得られるフィードバックを有効活用するためのヒントを紹介します。
外部ツールとの連携
Formsで集めたデータはExcelにエクスポート可能です。さらに、そのデータをPower BIなどで可視化すれば、テキストマイニングやキーワード抽出などを行うこともできます。自由回答に隠された重要キーワードを分析することで、新たなアイデアを発掘できるでしょう。
定性的データの分析をルーティン化する
アンケート結果の自由回答を毎回じっくり読むのは手間がかかります。しかし定期的に「どんな意見が多かったか」「今後の改善にどう活かせるか」をミーティングのアジェンダに入れるなど、ルーティンに組み込めば、組織の知見を効率よく吸収できます。
回答者にインセンティブを提供する
自由回答は回答者の負担が大きい分、率直な意見が得られる一方で、回答率が下がりがちです。そこで、回答者に対してちょっとした特典や抽選を用意すると、回答意欲が高まることもあります。予算や社内規定が許す範囲で、回答者への配慮も検討してみましょう。
今後のアップデートに期待しつつ、現時点で最適な方法を選ぶ
MS Teamsはビジネスコミュニケーションに革命をもたらしましたが、自由回答を手軽に取り扱える面ではまだ十分な機能が提供されているとは言えません。一方で、Microsoft Formsと組み合わせることでほとんどのニーズをカバーできます。
組織の文化やプロジェクトの進め方に合わせて、チャットでリンク共有する方法、チャネルを活用する方法、あるいは要望を積極的に上げて将来的な機能実装を待つ方法などを組み合わせ、最適な形でフィードバックを集めてみてください。
総合的なアドバイス
- まずはFormsリンクを使い、手軽に自由回答を収集する仕組みを整える
- 自由回答が多く集まる場合、分析方法(ExcelやPower BI)を整備する
- 回答者にとって答えやすい設計(質問文、フォーマット指定など)を心がける
- チャネルや他のコミュニケーション方法と組み合わせ、回答率向上を図る
- Microsoftへの要望を出し、将来のアップデートに備える
これらを意識することで、Teamsのコミュニケーションがより有意義なものとなり、組織全体の活性化につながるでしょう。
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