日々のタスク管理や進捗把握に欠かせないツールとして、多くの組織でMicrosoft TeamsとPlannerを組み合わせた運用が定着しつつあります。1つのTeamsチャンネル内で複数のPlannerを使い分けたいというニーズは珍しくなく、具体的にはメンバーごと・プロジェクトごとにカンバンボードを分割できれば、より効率的にタスクを管理できる可能性があります。そこで、本記事ではTeamsチャンネルで複数のPlannerを同時運用する方法や、その際に押さえておきたいポイント、運用のコツや回避策を詳しく解説します。
Teamsチャンネルで複数Plannerを利用するメリット
TeamsチャンネルにPlannerタブを追加すると、カンバン形式でタスクを可視化でき、チームやプロジェクトの進捗管理が容易になります。ここで、同じチャンネル内に複数のPlannerを追加するメリットを整理してみましょう。
プロジェクトや担当者ごとのタスク整理がスムーズ
同じチャンネル内に複数のPlannerを追加することで、複数のプロジェクトや担当者ごとのカンバンボードを簡単に切り替えられるようになります。たとえば「Aプロジェクト」「Bプロジェクト」といった形でタブを分けておけば、タスクを混在させることなく、メンバーも一目で必要なボードにアクセスできます。
チャンネルを増やさずに運用できる
Teamsではチャンネルごとにプロジェクトを区切る運用も可能です。しかし、必要以上にチャンネルが増えると会話やファイル管理が煩雑になるケースもあります。1つのチャンネルで複数のPlannerボードを使えると、チャンネルを増やすことなく個別のタスク管理スペースを確保できるため、必要以上にTeamsの構造を複雑化せずに済むというメリットがあります。
チームの横断的なコラボレーションが向上
同じチャンネル内で複数のPlannerが運用されていると、メンバーが他のプロジェクトや別の担当者の進捗状況にも目を向けやすくなります。たとえば自分のタスクを管理するPlannerと、別のメンバーが担当するプロジェクトのPlannerを一度に参照できるため、横断的なコラボレーションを促進しやすいのです。
Teamsチャンネルに複数のPlannerを追加する方法
ここからは、具体的にどのような手順でTeamsチャンネルに複数のPlannerを追加するのかを解説します。大まかな流れとしては、「Tasks by Planner and To Do」をタブとして追加し、新しいプランを作成する作業を必要な数だけ繰り返すだけです。とはいえ、細部に注意すると運用がより快適になります。
基本的な追加手順
- Microsoft Teamsの画面上部にあるチャンネル名を選択し、「+」ボタン(タブを追加)をクリックします。
- 「Tasks by Planner and To Do」を選びます。
- 「新しいプランを作成」を選択し、わかりやすいプラン名を入力します。 例:「Webサイトリニューアル」「営業プロジェクト」「サポートタスク」など
- タブ名も適宜変更し、「保存」をクリックします。
- 新規タブとしてPlannerボードが追加されるので、同じ手順を必要な数だけ繰り返します。
ポイント:プラン名とタブ名を区別して設定する
「プラン名」と「タブ名」は同じでも問題ありませんが、後々わかりやすく整理したい場合は意識的に区別するのも有効です。たとえば、プラン名は正式なプロジェクト名、タブ名は省略形やメンバー名を含めておくと、Teamsのタブビューからすぐに認識しやすくなります。
すべて同じMicrosoft 365グループに紐づく点
1つのTeamsはバックグラウンドで1つのMicrosoft 365グループに紐づいており、同じチーム内にあるチャンネルはすべて同一のグループを共有しています。複数のPlannerを作成しても、実質的には同じグループ内で異なるプランを扱っている形になります。そのため、メンバーの権限設定も同じチームメンバーをベースにしたものとなります。
運用上の注意
- 権限はチームやチャネルのメンバーと連動するため、大まかなメンバー管理はTeamsやMicrosoft 365グループの管理者が行います。
- チャンネルごとのプラン追加によって「プライベートチャネル」での運用を検討している場合は、Plannerの仕様上、プライベートチャネルとPlannerの対応関係に制限があるため注意が必要です(プライベートチャネルではPlannerをタブとして追加できない場合があります)。
複数Plannerを効率よく運用するコツ
ただ複数のPlannerを同じチャンネルに追加するだけでは、運用が煩雑になりかねません。ここでは、複数のプロジェクトやタスクボードが混在してもスムーズに管理できるよう、実務で役立つ具体的なコツを紹介します。
タスク完了後の管理とアーカイブ
複数のプランが存在すると、特定のプランでは既に完了したタスクが大量に存在する一方、別のプランではまだ作業途中のタスクが多い、といった状況が発生します。完了タスクを定期的に確認し、必要があれば「削除」や「移動」などの処理を行うと、ボードがすっきりして運用しやすくなります。ただし、後から参照したい場合もあるため、むやみに削除するのではなく、完了タスクの一覧を残すか、完了専用バケットを設けるなどの工夫も検討しましょう。
通知設定の最適化
Plannerはタスクに変更があった際に通知する機能を備えています。複数のPlannerが存在すると、メンバーによっては通知が多すぎると感じるかもしれません。不要な通知で生産性が下がるケースもあるため、各メンバーが自分のタスク通知を調整できるよう、事前にガイドラインを共有しておくとスムーズです。
わかりやすい命名規則を作る
複数のPlannerを運用する際、プラン名やタブ名、バケット名などの命名規則を決めておくと混乱を防げます。
- 「PJ-001_製品A開発」「PJ-002_製品B開発」などプロジェクトIDを付す
- 「<担当者名>_サポートタスク」など担当者や部署名を含める
- バケット名に日付や週番号を加える
こういったルールを統一すると、一覧で並んだときにどのボードやバケットが何を指すのか一目でわかるため、後から参加したメンバーも把握しやすくなります。
複数のPlannerを利用するときのチャンネル運用の考え方
複数のPlannerを1つのチャンネルにまとめる運用だけがすべてではありません。場合によっては、チャンネルごとにPlannerを設置する方法も有効です。ここでは、どちらの運用が望ましいかを検討するときに役立つポイントを紹介します。
1つのチャンネルに集約するメリット・デメリット
- メリット: – チャンネル数が増えず、コミュニケーションやファイルのやり取りが一元化される – タスク管理に関するやり取りを同一チャネルで行いやすい
- デメリット: – タブが多くなり、初見のメンバーにとっては把握が困難になる – 大規模プロジェクトだと1つのチャンネル内に情報が集中しすぎてしまう
チャンネルを分割するメリット・デメリット
- メリット: – プロジェクトごと・部署ごとなどでチャンネル単位にやり取りを完全に分離できる – 会話やファイルもそれぞれのチャンネルに格納されるため、情報が混ざりにくい
- デメリット: – チャンネルの増加により、Teams全体の構造が複雑化しやすい – メンバーが複数プロジェクトを掛け持ちしている場合、チャンネルを行き来する手間が増える
状況に応じた組み合わせがベスト
最終的には、組織やプロジェクトの規模、情報セキュリティの要件、メンバーの働き方に合わせて最適な構成を選ぶのが望ましいでしょう。小規模なチームであれば1つのチャンネル内にPlannerを集約し、大規模組織や複数の部署が関わる場合はチャンネルをプロジェクト単位で分ける、など運用方針に沿って柔軟に決めることが大切です。
Plannerタブを増やしすぎないための回避策
複数のPlannerを活用できるとはいえ、あまりにも多くのタブを追加すると管理が煩雑になりがちです。ここでは、Plannerタブを増やしすぎないようにするための回避策や応用例を紹介します。
1つのPlanner内で複数バケットを使い分ける
Plannerの強みの一つは、カンバンボードの中でさらにバケットという列でタスクを分類できる点です。ひとつのPlannerに複数のバケットを設けて、プロジェクトや担当者ごとに仕分ける方法も考えられます。バケット名を「開発タスク」「デザインタスク」「レビュー待ち」など機能別・担当別に分けておけば、同じボード内でも十分に整理ができます。
タグ機能を活用する
Plannerにはタスクごとに色付きのタグを設定する機能があります。タスクのカテゴリーをタグで色分けすれば、複数の視点(担当者、優先度、期限)を重ねて管理しやすくなります。
- 赤タグ:緊急タスク
- 青タグ:担当者A向けタスク
- 緑タグ:担当者B向けタスク
など、運用ルールを明確に定義すると、わざわざPlanner自体を増やす必要がなくなるケースもあるでしょう。
実際の運用イメージと表による比較
以下の表では、「1チャンネルに複数Plannerを追加する」運用と「バケットやタグを併用して1つのPlannerを使う」運用を比較し、それぞれの特徴を整理しています。
運用方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
1チャンネルに複数Planner | プロジェクトや担当者ごとにPlannerを独立させ、タブを複数用意する方法 | ・タスクが混在せず、ボードが明確に分かれる ・他プロジェクトの状況を簡単に切り替えて確認可能 | ・タブが増えすぎると管理が大変 ・初見メンバーにとって把握しにくいケースも |
バケットやタグを併用して1つのPlannerを使う | 1つのPlannerの中をバケットやタグで細かく分ける方法 | ・タブを乱立させずに済む ・ボード切り替えなしで全体を俯瞰できる | ・大量のバケットやタスクが混在すると可視性が下がる ・厳密な権限分割は難しい |
このように、どの方法を選ぶかはチームの規模やタスクの性質、メンバーのワークスタイルに左右されます。最適解は状況によって異なるため、試行錯誤をしながら使いやすい運用形態を見つけていくことが大切です。
運用の一歩先を行くテクニック
より高度な使い方としては、Power Automateなどの自動化ツールを用いてPlannerのタスク作成や移動を自動化し、複数のPlanner間で連携させる方法もあります。たとえば、特定のPlannerで「完了」ステータスになったタスクを別のPlannerに複製するなど、ワークフローを構築することでさらなる効率化が可能です。
Power Automateで複数Plannerを連携
- タスクが完了したら自動的に別のPlannerに「レビュー待ち」タスクを作成
- 締め切りが近づいたらTeamsのチャットに通知を送る
- タスクのステータス変更をもとにチャネル会話にメンション付きでアラートを出す
こういった運用を取り入れることで、複数のPlannerを横断的に管理でき、抜け漏れを防ぎやすくなります。
ExcelへのエクスポートやPower BIでの可視化
PlannerはタスクデータをExcelにエクスポートする機能があります。複数のPlannerからタスク情報をエクスポートして一括で管理したり、Power BIに取り込んで視覚的なレポートを作成したりすることも可能です。
- カンバンボードでは見えにくい集計情報をPower BIでダッシュボード化
- タスクの完了率や平均所要時間を時系列でグラフ表示
こういった形で客観的な数値をもとに改善策を検討するのもおすすめです。
まとめと注意点
1つのTeamsチャンネル内で複数のPlannerを運用することは可能であり、プロジェクトや担当者ごとにタスクをわかりやすく整理できるメリットがあります。一方で、タブが増えすぎると管理しきれないリスクもあり、チャンネル構成やバケット・タグの使い方とのバランスを考慮する必要があります。大切なのは、チーム全員が理解しやすいルールを設定し、定期的に見直すことです。運用負荷を軽減するためには、Power Automateなどの自動化ツールの活用も視野に入れ、さらに効率化を追求してみてください。
最後にもう一度、複数Plannerを活用するポイントをまとめます。
- 追加手順:「Tasks by Planner and To Do」のタブ追加から「新しいプランを作成」を繰り返す
- 運用上の工夫:プラン名やタブ名、バケット名の命名規則を統一し、タスクを適宜アーカイブ
- 通知管理:メンバーへの通知が過剰にならないように設定を見直す
- 回避策:Plannerの乱立を避けるために、バケットやタグを活用する、チャンネルを上手に分けるなどの方法を検討
- 発展的な活用:Power Automateとの連携で自動化を進め、Power BIで可視化してさらなる分析や改善に繋げる
このようにTeamsチャンネルで複数のPlannerを運用する場合は、最適な構成を試行錯誤しながら運用ルールを作り上げるのがおすすめです。チーム全員がスムーズに使いこなせるよう、わかりやすさと拡張性のバランスを見極めてください。
コメント