TeamsのPeople機能でユーザーに独自のカテゴリを追加して管理する方法は、組織内のコミュニケーションやグループ化にとても役立ちます。一方で、一度作成したカテゴリを編集・削除できないという制限があり、思い通りに運用できずに困ってしまう方も多いようです。今回はそんな問題を解決・回避するための方法や、新しいTeamsのUIでの注意点を含めて詳しく解説していきます。
Teams Peopleカテゴリの概要
TeamsのPeople機能とは、ユーザー同士をカテゴリ分けして管理することで、コミュニケーションを整理しやすくするための仕組みです。たとえば「営業部」「技術チーム」「経理部門」など、任意のラベル(タグやカテゴリ)をユーザーに付与することで、必要なときに素早くグループごとのやりとりや情報共有が可能になります。
しかし、People機能で作成したカテゴリを「後から名称変更したい」「一括削除したい」と思っても、現状のTeamsではそれらを直接操作する機能が提供されていません。作成したものの使わなくなったカテゴリが溜まっていくと、逆に管理が煩雑になる可能性も出てきます。そのため運用には工夫が必要です。
カテゴリの編集・削除が難しい理由
Teamsのカテゴリ機能は、ユーザーごとにタグのように付与する仕組みです。そのため、一般的なファイルシステムのように「フォルダごと削除」「ラベル名を一括変更する」といった操作ができません。具体的には以下のような制限があります。
- カテゴリ自体にIDやオブジェクトの概念が存在しない
カテゴリは各ユーザーに付与されたメタ情報の集合体のため、実態としてカテゴリ単位で独立しているわけではありません。 - UIで提供される操作が限られている
現時点のTeamsのPeople管理画面では、ユーザーごとにカテゴリを付け外しする機能のみが公開されており、カテゴリ自体に対して直接的に“削除”や“名称変更”を行う手段が用意されていません。
こうした背景から、一度作成したカテゴリを「完全に削除する」という概念がなく、あくまでも「ユーザーから外していく」ことで見かけ上は削除したように扱うしかない、という状況になっています。
実際の回避策:ユーザーごとにカテゴリを外す
カテゴリそのものをまとめて削除できない以上、「もう必要ないカテゴリがある」「名称を間違えてしまったから消したい」という場合は、ユーザーごとに割り当てを外すしかありません。人数が多いと大変ですが、現時点で実現可能な方法としては以下の手順が代表的です。
具体的な操作手順
- 対象となるユーザーのプロフィール画面を開く
- 画面上部か横にある「編集」(鉛筆アイコンなど)をクリック
- 削除したいカテゴリのチェックを外す
- 「保存」ボタンを押す
この操作を全てのユーザーに対して行い、最終的に「誰にも紐づいていない状態」にすれば、不要なカテゴリは見かけ上表示されなくなります。完全に“カテゴリが存在しない”とは言えないものの、検索やリストには出なくなるため、事実上削除したのと同じ効果を得られます。
カテゴリを無効化するメリットとデメリット
ユーザーからカテゴリをまとめて外してしまうメリット・デメリットを整理すると、運用時の判断材料になります。たとえば以下のように表で比較することができます。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
完全に外してしまう | – 不要なカテゴリが表示されなくなる – ユーザーの画面がスッキリする | – 大量のユーザーがいると作業時間がかかる – 誤って必要なカテゴリまで外してしまうリスク |
部分的に外す | – カテゴリの再利用が可能 – 誤操作による影響が最小限になる | – 中途半端に残すと混乱が発生する – どのユーザーがどのカテゴリを付けられているか把握しづらくなる |
カテゴリを残して運用する | – 再設定するときに便利 – 既存のチャットやファイル参照がわかりやすい | – 不要カテゴリが増えると管理が煩雑 – カテゴリの数が多いとUIが乱雑になり、ユーザー側の負担が増える |
上記のように、カテゴリをすべて外すか、部分的に外すか、あるいはそのまま残しておくかは、運用上のメリット・デメリットを考慮して決める必要があります。最終的には「どのくらいの規模でカテゴリを使うのか」「メンバーが頻繁に入れ替わるのか」など、組織の状況を踏まえて選ぶとよいでしょう。
新しいTeamsのUIでの操作例
最近のMicrosoft Teamsでは、新たなUIデザインが順次リリースされており、従来版とメニュー配置やアイコンのデザインが異なってきています。新しいUIでカテゴリを外す場合も、基本的には先ほどの手順と同じ流れですが、一部ボタンの位置や名称が変わる可能性があります。
- People画面の場所が変わる
従来版では左側メニューに「Teams」や「People」「通話」などが並んでいましたが、新しいUIでは「People」の代わりに「連絡先」や「組織」といった名称に変わる場合があります。 - プロフィール画面のレイアウトが変更
プロフィール画面から「編集」アイコンが見つけにくくなることもあります。画面をスクロールするなどして、どこに「鉛筆マーク」があるかを探してください。
新しいUIを使用している際には、公式のヘルプドキュメントも参照しつつ、「カテゴリを外す」操作を行うとスムーズです。何か不明点があれば、組織の管理者やITサポートチームに確認してみるとよいでしょう。
カテゴリ管理に関する実践的なヒント
カテゴリを追加することでコミュニケーションが円滑になる反面、適切に運用しないと逆に混乱が増えることもあります。以下のポイントを踏まえて運用すると、後々の管理が楽になります。
- カテゴリの命名規則を決める
組織内で共有されるカテゴリ名の付け方を決めておくと、後になって「似たようなカテゴリが乱立して把握できない」という事態を避けられます。たとえば、部署名の前に「Dept_」「Team_」などのプレフィックスを付けると、関連するカテゴリをまとめやすくなります。 - 定期的なメンテナンスを実施
メンバーの入れ替わりやプロジェクトの終了など、組織の構成は時間とともに変化します。定期的に「このカテゴリはまだ必要か?」をチェックし、不要になったら外していく運用ルールを作ると、混乱を最小限に抑えられます。 - カテゴリ利用のガイドラインを周知
カテゴリの作成権限をユーザー単位で自由にするのか、それとも管理者だけが作れるようにするのか、組織としての方針を決めておくと重複や乱立を抑えられます。新入社員や新規プロジェクトのメンバーにはガイドラインを周知し、勝手に増やさないように協力してもらいましょう。
頻繁に起こりうるトラブルと解決策
カテゴリにまつわるトラブルはいくつかありますが、典型的な例をピックアップし、その解決策を提示します。
- トラブル1:誤って不要なカテゴリを大量に作成してしまった
- 解決策:前述の通り、ユーザーごとにカテゴリを外すしかありません。数が多い場合、PowerShellやGraph APIなどのスクリプトを利用して自動化を試みるのも一つの手段ですが、People機能のカテゴリに直接アクセスできるAPIがあるかは要検証です。
- トラブル2:似たようなカテゴリが複数存在してメンバーが混乱している
- 解決策:カテゴリの整理(ユーザーごとに付け外し)を実施し、「どちらか一方に統一する」運用を徹底します。Teamsでのチャットやチャンネルでも周知し、ユーザーに不要カテゴリを付けないよう呼びかけることが大切です。
- トラブル3:カテゴリを変更できないとクレームが来る
- 解決策:Teamsの制限事項であることを説明し、適切なワークアラウンドをガイドするしかありません。管理者が定期的に確認しながら、「カテゴリはあくまでもラベル付けの一環」と割り切ってもらうのが現実的です。
チーム運営で活用するための具体的事例
実際の企業でどのようにカテゴリを活用しているかをいくつか紹介します。これらの事例は、複数のチームや部署が存在する大規模組織を想定していますが、中小規模でも応用可能です。
- プロジェクト単位のカテゴリ付与
大規模プロジェクトでは、部署をまたいだメンバー構成になるケースがあります。そこで「Project_A」「Project_B」といった形でカテゴリを付けておくと、どのメンバーがどのプロジェクトに属しているかを簡単に可視化できます。プロジェクトが終了したらメンバーごとに外していけば、自然に「Project_A」カテゴリは表示されなくなります。 - イベント用の一時的カテゴリ
社内イベントや勉強会など、一時的にメンバーを集めたいときに「Event_YYYYMMDD」といった形式でカテゴリを作り、関連メンバーだけに付与しておくと便利です。イベントが終了したら速やかに外すことで、不要なカテゴリの放置を防ぎます。 - スキルタグとしての活用
「英語対応可能」「プログラミングスキル保有」など、個人のスキルに応じてラベルを付ける運用も考えられます。新しい案件で人材を探すときに、Teams上でユーザーを絞り込む材料にすると業務効率が高まります。ただし、カテゴリを増やしすぎると煩雑になるため、運用ルールづくりが重要です。
将来的なアップデートの期待
MicrosoftはTeamsを定期的にアップデートしており、今後も多種多様な機能拡充が期待されています。カテゴリ機能が現時点で制限されている背景としては、おそらくPeople管理の拡張性や新しいUIの方向性との兼ね合いがあると考えられます。もし、将来的に以下のような機能が追加されれば、カテゴリの編集・削除問題は大きく改善される可能性があります。
- カテゴリ名の一括変更機能
作成済みのカテゴリを一括でリネームできれば、チーム全体の混乱が大幅に減ります。 - カテゴリの完全削除機能
カテゴリそのものをオブジェクトとして認識し、管理者がまとめて削除できる機能が実装されれば、不要なカテゴリの整理が劇的に楽になります。 - APIによるアクセス強化
Graph APIなどを通じてTeamsのPeopleカテゴリをプログラムで管理できるようになれば、大量のユーザーに対して自動的にカテゴリを追加・削除するスクリプトを作成することも可能になるでしょう。
こうした将来的なアップデートを見据えつつ、現在のTeams環境でも使いやすい運用を考えることが大切です。
まとめ: 自社に合った使い方を考える
TeamsのPeople機能によるカテゴリは、とても便利である一方、直接編集・削除できないという制約によって戸惑うケースが多々あります。実際のところ、現時点でできる回避策は「ユーザーからカテゴリを外す」運用が中心ですが、それを効率よく進めるためには以下のポイントを押さえておくとスムーズです。
- 不要なカテゴリが溜まらないよう定期的にメンテナンスする
- カテゴリの命名ルールを決め、重複や乱立を避ける
- 新しいUIでも基本的な操作手順は同じだが、表示場所の違いに注意する
- 将来的なアップデート情報をウォッチして、状況に応じて運用を改善する
最終的には、自社やチームの規模・プロジェクトの進め方などに合わせて最適なやり方を考えるのが望ましいでしょう。Teamsでのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、カテゴリの利用と整理は欠かせないテーマとなっています。今後のアップデートを期待しつつ、現状の制約を理解したうえで工夫して活用してみてください。
よくある質問と対処法
Q1: 特定のユーザーだけカテゴリを維持したいが、他のユーザーからは外したい場合は?
A1: 不要なユーザーからカテゴリを順次外すことで、結果的に「一部のユーザーだけがそのカテゴリを保持した状態」にすることができます。例えば10人中2人だけ残したい場合は、残りの8人から外せばOKです。なお、外す作業を行う際に「今後はこのカテゴリを付与しない」ということをチーム内で周知しておかないと、再びユーザーが自由に付けてしまう可能性があります。
Q2: カテゴリを使い分けるときの最適な運用は?
A2: まずはカテゴリ数を必要最小限に絞ることがポイントです。多すぎると管理が難しくなり、混乱も増えます。部署やチーム名、もしくはスキルやプロジェクト名など、大枠のカテゴリだけを作成しておき、必要に応じて細分化していくとよいでしょう。また、カテゴリを増やす場合は、運用ルールを明確に決めたうえでガイドラインを共有することが大切です。
Q3: 完全に誤って作成したカテゴリを早急に削除したい場合、何か裏技はある?
A3: 残念ながら裏技的な方法は存在しません。前述のようにユーザーから外す以外に手段はないと考えてください。どうしても緊急性が高い場合は、IT管理者が関連するユーザーを特定して一括で外していく運用や、スクリプトを活用できる部分があれば試すと多少手間が省けます。
Q4: 新しいUIのプレビューを使っているが、操作が見当たらない…
A4: 新UIはまだ正式リリース前のプレビュー段階のこともあり、メニュー名称や配置が頻繁に変更されます。いったん旧UIに戻して操作するか、Microsoftが提供している最新ドキュメントを確認しながら、画面上の該当機能を探してください。
結論
TeamsのPeopleカテゴリを「編集」や「一括削除」できない問題は、現行のTeamsが持つ制限事項ゆえの課題です。直接的な解決策はないものの、ユーザーからカテゴリを外すという運用を徹底することで、不要なカテゴリを事実上消すことは可能です。組織の規模や運用ルールに合わせてこまめにメンテナンスを行うことが、スムーズなTeams活用への近道となるでしょう。今後、Microsoftが提供するアップデートにより改善される可能性もあるため、定期的に公式ドキュメントや製品アップデート情報をチェックしておくことをおすすめします。
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