Microsoft TeamsのPerformance Profile .jsonファイルとは?セキュリティと対処法を徹底解説

Microsoft Teamsを利用していると、ふとアプリケーションフォルダ内に見慣れないログファイルを見つけて不安になることはありませんか。今回は「Performance Profile .json」ファイルの役割や、セキュリティ上の懸念点、削除の可否などについて詳しく解説します。これを読めば、Teamsのログファイルの正体や活用方法がきっと明確になるはずです。

Performance Profile .jsonファイルとは

Microsoft Teamsはアプリケーションの動作状態を監視し、快適に利用できるようにさまざまなログファイルを自動で生成します。その中の一つが「Performance Profile .json」ファイルです。通常は以下のフォルダに格納されることが多いです。

C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams\PerfLogs

また、環境によってはフォルダパスやPackages名が若干異なるケースもありますが、基本的に「MSTeams」「PerfLogs」「Performance Profile」という名前が含まれたファイルを見かけたら、それが該当のログファイルと考えて差し支えありません。

生成されるタイミング

「Performance Profile .json」ファイルは、Teamsのパフォーマンス計測を目的に定期的、あるいは一定のアクションをトリガーとして生成・更新されます。具体的には下記のようなイベントやタイミングが考えられます。

  • Teams起動時やアップデート後の初回起動時
  • 会議機能の利用(ビデオ会議や画面共有など)の開始・終了
  • チャット機能やファイルのアップロードなど、負荷の高い操作が行われた場合

これらのタイミングでTeamsが取得した情報が蓄積され、トラブルシューティングやパフォーマンス改善の参考データとして利用される仕組みです。

ログの目的

このログの主な目的は、エンドユーザーに対して直接通知などを行うことではなく、Teamsの開発チームやサポート担当が問題解析を行いやすくするためのデータを収集することです。例えば「CPU使用率がどれほど上昇したか」「ネットワークレイテンシがどれだけ発生したか」「画面描画のフレームレートは安定しているか」など、アプリケーションの動作を計測する指標として活用されます。

JSON形式の利点

このファイルが「.json」形式で保存されるのは、データをキーと値のペアで持つことができ、階層的にも扱いやすいためです。JSON形式はウェブ開発をはじめ、さまざまなプログラミング言語やツールで簡単に読み書きできるため、Microsoft Teamsに限らず多くのアプリケーションのログフォーマットとして採用されています。
以下はあくまでイメージですが、実際のログには下記のような構造が含まれている場合があります。

{
  "startTime": "2025-03-05T09:00:00Z",
  "endTime": "2025-03-05T09:05:00Z",
  "cpuUsage": {
    "max": 80,
    "average": 50
  },
  "memoryUsage": {
    "maxMB": 512,
    "averageMB": 256
  },
  "network": {
    "latencyMs": 120,
    "packetLoss": 0.02
  },
  "rendering": {
    "frameRate": 30,
    "droppedFrames": 5
  }
}

このように、パフォーマンスを定量化するデータがまとまっているため、後で参照したい項目を探しやすいのが特徴です。

セキュリティへの影響

ログファイルと聞くと「個人情報や機密情報が含まれていないか」「外部に流出する危険はないか」などの懸念を抱く方も多いでしょう。しかし通常、Teamsが生成する「Performance Profile .json」はセキュリティリスクの高い情報を含まない設計になっています。

機密情報は含まれるのか

先述のとおり、ログの内容はCPUやメモリ使用量などのシステムレベルのデータが中心で、個人情報や組織の機密情報などが記録されることは基本的にありません。会議の内容そのものやチャットの文面など、ユーザーが機密と考える情報が格納されることはほぼないといえます。
ただし、発生したエラーの内容によっては、環境依存のファイルパスやユーザー名が一部含まれる場合もゼロではありません。気になる場合は一度ファイルを開いて確認してみるとよいでしょう。

ファイルが外部に送信されるリスク

「Performance Profile .json」ファイルが自動的にMicrosoft社や他の第三者に送信されることは、通常の設定ではありません。Microsoft Teamsは一部の診断データをMicrosoftへ送信する場合がありますが、Windowsの設定やOfficeの診断データレベルによって内容が大きく左右されます。基本的には個人情報を含まない形での匿名化データ送信が中心です。
もし企業ポリシーで「診断データ送信を最小限に抑える」という方針がある場合は、管理者がグループポリシーやOffice管理センターなどから設定を確認するのがおすすめです。

削除や取り扱いに関する注意点

Teamsが生成するログファイルは、よほどのケースを除いてユーザーが手動で操作する必要はありません。ただし、ディスク容量を圧迫するなどの懸念がある場合は、状況に応じて整理や削除を検討しても構わないでしょう。

不要ファイルとしての扱い

過去のログファイルは、今後のトラブルシューティングに役立つ可能性を除けば、読み返す機会は多くありません。そのため、運用環境によっては定期的に古いファイルを削除することでディスクスペースを確保する方針をとる企業もあります。
一方で、Teamsの動作に重大な問題が発生していない限りは、ログの存在そのものを意識する必要はあまりないでしょう。PCの動作が重いと感じたときに「空き容量確保」の一環として検討する程度で問題ありません。

万が一のトラブルシューティング時

Teamsで重大な不具合が発生し、サポートや開発者に問い合わせる際には、これらのログを提出することで迅速な問題解決に繋がる場合があります。そのため、以下のような手順を踏んで保管・提出すると便利です。

  1. 任意のフォルダにコピーしてバックアップ
  • 不具合再現直後の状態を保持するために、該当ログファイルをすぐにコピーして別のフォルダに退避します。
  1. 圧縮ファイルにまとめる
  • Microsoft Teamsのログは複数生成されることがあるため、一括でまとめてzip形式などに圧縮しておきます。
  1. サポートへ送付する
  • 指示された方法(サポート専用ポータルやメールなど)で送付し、問題の再現手順や環境情報も合わせて伝えます。

このように、ログを正しく保管・利用することは、トラブルの原因究明に非常に役立ちます。

ファイルサイズやパフォーマンスの問題

「Performance Profile .json」が大量に生成されるケースや、ファイルサイズが膨れ上がるケースは一般的ではありません。しかし、何らかのバグや特異な環境が原因でディスクを圧迫する可能性をゼロにすることはできません。

具体的な監視方法

もしディスクの空き容量が少なくなってきた際、定期的にフォルダの状況をモニタリングしてみると良いでしょう。WindowsのエクスプローラーやPowerShellなどを用いて、ログファイルの総サイズを確認します。例えばPowerShellの場合、以下のようなコマンドを実行することで、PerfLogsフォルダ内のファイルサイズ合計を把握できます。

# PerfLogsフォルダのパスを指定
$path = "C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams\PerfLogs"

# 合計サイズを取得
(Get-ChildItem $path -Recurse | Measure-Object -Property Length -Sum).Sum / 1MB

このコマンドで表示される数値が、ログの合計MB数です。もし膨大なMB数になっているようであれば、必要に応じて削除やバックアップを検討すると良いでしょう。

大量に生成される原因への対策

通常はTeamsが正常動作している限り、同一日に何百ものログファイルが連続して生成されるような事態は起こりにくいです。もし異常なログ生成が発生している場合は、以下の対策を検討してみてください。

  1. アプリケーションの再インストール
  • 一度Teamsをアンインストールし、最新バージョンを再インストールすることで、ログ機構の不具合が解消される場合があります。
  1. Windows UpdateやOffice Updateの適用
  • OSやOffice関連のアップデートが滞っていると、Teamsに不具合が生じやすくなります。最新の状態に保つことでログ肥大化の原因を取り除ける可能性があります。
  1. PCのハードウェア異常やウイルスチェック
  • 不具合の根本原因がTeams以外の要因(ディスクエラーやマルウェアなど)にある場合も考慮し、環境全体を点検するとよいでしょう。

ファイルクリーンアップの自動化

大規模な組織や多数のPCを管理している場合は、グループポリシーやタスクスケジューラを活用して自動的に古いログを削除する仕組みを組み込むことも検討材料になります。具体例として、Windowsの「タスクスケジューラ」で下記のようなスクリプトを定期実行することが可能です。

# 例えば30日より古いファイルを削除する例
$path = "C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams\PerfLogs"
Get-ChildItem $path -Recurse |
    Where-Object {($_.LastWriteTime -lt (Get-Date).AddDays(-30))} |
    Remove-Item -Force

ただし、あらゆるトラブルシューティングで必要になる可能性を考慮し、運用方針をよく検討したうえで設定することをおすすめします。

Teamsのトラブルシューティング活用

「Performance Profile .json」ファイルは性能分析用のログである一方、Teamsに問題が起きた際の手がかりとしても活用できます。他にもTeamsにはさまざまなログファイル(デバッグログなど)が存在するため、うまく組み合わせるとより正確なトラブルシューティングが可能です。

他のログファイルとの違い

Teamsには「debug.log」「renderer.log」など複数のログファイルが用意されています。これらは主にTeamsの機能単位やコンポーネントごとにエラーや警告を記録するもので、アプリ内部でどのような処理が行われ、どこでエラーが起きたのかを把握しやすくするために生成されます。
一方、「Performance Profile .json」はパフォーマンス指標に特化しているため、処理の流れというより「どのくらいの負荷がかかったか」「どんなリソースを多く消費しているか」をメインに記録しています。そのため、両者を突き合わせることで「特定のエラーが起きている時にCPUの使用率が急激に増大している」などの相関を見いだすことができるわけです。

サポートへの提示方法

Microsoftのサポートや、コミュニティフォーラム(Microsoft Q&A等)で助けを求める際は、必要に応じてログファイルの提出を求められる場合があります。提出方法はサポートエンジニアの指示に従うのが基本ですが、個人情報を含むかもしれないファイルを丸ごと渡すことに抵抗を感じる場合は、以下の手順をおすすめします。

  1. ファイル内容の確認
  • メモ帳やVisual Studio Codeなどで開き、疑わしい情報(ユーザー名や機密フォルダパスなど)が記載されていないかチェックします。
  1. 一部マスク処理
  • もしどうしても公開したくない文字列が含まれていれば、XXXXなどに置き換えるマスク処理を施します。ただし、あまりに情報をマスクしすぎるとサポートの役に立たない可能性がある点に注意が必要です。
  1. 安全なチャネルで送信
  • 公開フォーラムではなく、プライベートメッセージや指定のアップロードポータルなど、安全が担保されたチャネルを利用すると良いでしょう。

実際のファイル構造例

先ほど簡単なサンプルを示しましたが、実際にはTeamsのバージョンやプラットフォームによって記録項目が変化することがあります。たとえば、音声会議の品質データや、GPUアクセラレーションの有無など、利用環境に応じて詳細な情報がログに残る場合もあります。
ログがどのような構造になっているかを一度チェックしておくと、運用中にトラブルが起きた際にも役立つでしょう。

組織運用におけるベストプラクティス

個人利用であればあまり問題にならない「Performance Profile .json」ファイルも、企業や教育機関など大規模な組織での運用となると、管理面の課題が生じることがあります。

グループポリシー等を活用した管理

大規模環境では、ユーザーが勝手にログファイルを削除してしまうと、トラブル解析が困難になる場合があります。逆に、必要以上に多くのログが残るとディスク容量を逼迫し、端末全体のパフォーマンスに悪影響を与える恐れがあります。
そこでグループポリシーやIntuneなどを活用し、「Teamsのバージョン管理」「ログ保存日数のルール策定」「ディスク容量不足時の通知設定」などを一元的に管理する方法が推奨されます。具体的には、ログ削除スクリプトを社員全員のPCに配布する形や、サードパーティ製のクライアント管理ソフトを用いて一括制御する手法が考えられます。

社内ドキュメントでの取り扱い推奨例

社内ヘルプデスクや情報システム部門がTeamsに関するFAQや運用マニュアルを整備する際、「Performance Profile .json」などのログファイルについて以下のような情報を盛り込むと、よりトラブル対応がスムーズになります。

  • ファイルの場所・名称と生成のタイミング
  • ログの用途(パフォーマンス解析やサポート用)
  • 削除可否と推奨される削除タイミング
  • 異常発生時に取るべきログ保全の手順

こうした運用ルールを事前に周知しておくことで、問題発生時の初動対応が格段に早くなります。

まとめ

Microsoft Teamsの「Performance Profile .json」ファイルは、Teamsのパフォーマンスを可視化・分析するために自動的に作成されるログです。一般的に機密情報は含まれず、外部に勝手に送信されるリスクも低いため、セキュリティ上の重大な懸念はそれほど必要ありません。
一方で、ディスク容量を圧迫するほど大量に生成されるケースは稀ですが、万一そういった事態が発生した場合は、Teamsの再インストールやアップデート確認、環境全体のエラーチェックなどを行うことで対策が可能です。
また、トラブルシューティング時にはこれらのログを活用することで、問題の原因を特定しやすくなるため、運用方針としては「普段は放置でOK、トラブル発生時に活用する」というスタンスが基本です。大規模な組織では自動削除や保管ルールを定め、必要に応じてサポートへの提示やマスク処理などを行うと安心でしょう。
ログファイルの存在を把握し、上手に運用することで、Microsoft Teamsをより快適に活用できるはずです。今後もTeamsに限らず、さまざまなアプリケーションがJSON形式でログを出力することが増えていく中、ファイル内容を正しく理解しておくことは、IT活用の一助となるでしょう。

コメント

コメントする