Microsoft Teamsを使って大人数の会議を行うとき、誰がどんな表情をしているのかを一目で把握したいですよね。しかし共有コンテンツをポップアウトするとギャラリーの最大表示人数が9人に制限されてしまい、「もっと多くの参加者を画面に映しておきたいのに…」という不満を持たれる方も多いようです。そこで本記事では、このポップアウト時に発生する表示制限の背景や対処法、さらに今後の対策について詳しく解説します。Microsoft Teamsを使いこなしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Teams会議における「最大ギャラリー表示人数」の仕組み
Microsoft Teamsでは、通話や会議時に参加者の映像を表示する「ギャラリー」が用意されています。基本的には「ギャラリー表示」「ラージギャラリー表示」など、参加者の数や目的に応じて表示モードを切り替えられます。たとえばラージギャラリーを有効にすると最大49人まで一覧できるので、大人数のオンラインミーティングやオンライン授業などに役立ちます。
通常のメインウィンドウでの表示上限
16人または49人表示が可能
Teamsのメインウィンドウをフル活用すれば、標準的には16人のサムネイルが表示されます。そして要件を満たした環境(PCスペックやネットワーク帯域が一定以上)と設定によっては、最大49人の映像を同時に並べることができます。これはZoomなど他のオンライン会議ツールにも対抗しうる大人数表示といえます。
ラージギャラリーの活用
Teamsのラージギャラリー機能は、大人数の会議で非常に便利です。例えば研修やセミナー形式の会議では、多くの受講者を一度に確認できるため、講師としても受講者の反応をすばやく察知できるメリットがあります。いちいち画面を切り替えずに全体を把握できるため、スムーズな進行をサポートしてくれます。
ポップアウト共有時に起こる表示人数制限の背景
最大9人に固定される理由
Teamsでファイル共有(PowerPoint Liveなど)や画面共有を行うとき、最近のバージョンでは「ポップアウト表示」が利用できるようになりました。ポップアウト機能を使うと、共有コンテンツを新しいウィンドウで独立して表示できるので、メインの会議ウィンドウと分離できる利点があります。
しかし、このポップアウトウィンドウでギャラリーを表示すると、なぜか9人までしか映りません。通常のメインウィンドウなら16人や49人が映せるのに、別ウィンドウでは9人までに固定されているというわけです。Microsoftの公式ドキュメントでも「メインウィンドウ以外でのギャラリー表示は最大9人まで」という趣旨が明記されており、いわゆる“by design”の仕様となっています。
「不具合ではなく仕様」だと明示されている
多くのユーザーが「不具合ではないのか」「バグ修正でなんとかならないのか」と疑問をもったようですが、Microsoftは公式に「これは想定どおりの挙動(by design)」と説明しています。裏を返せば、現段階ではポップアウト表示をした場合に9人以上を一覧できる機能は実装されておらず、将来的なアップデートを待たなければいけないという状況です。
なぜポップアウト時に制限が設けられているのか
Teamsの画面描画の負荷と設計方針
Microsoftが正式に詳細を公開しているわけではありませんが、推測される要因のひとつとしては「画面描画の負荷」が挙げられます。別ウィンドウで共有コンテンツを表示しながら、同時にビデオ会議の映像を多数描画するのは、クライアントPCに大きな負荷をかけます。
- メインウィンドウのみ: Teamsのアプリ本体で配信・描画処理を行う
- ポップアウトウィンドウ: 別プロセスまたは別スレッドとして描画処理を分割している可能性がある
一般的に、メインウィンドウ以外での描画はリソース管理が難しく、さらにビデオストリームも複数同時に扱う必要があるため、クライアント側のパフォーマンスを考慮して制限がかけられていると考えられます。
Teamsの内部アーキテクチャ
TeamsはElectronベース(Web技術をデスクトップアプリにラッピング)で開発されています。つまり、1つのウィンドウが増えると、その分だけプロセス数やメモリ使用量も増加する仕組みです。このため、安定動作のためにポップアウト時のギャラリー表示は9人に制限しているのかもしれません。
ユーザーの声と現場での困りごと
Zoomとの比較による不満
よく比較対象になるZoomでは、共有画面をポップアウトしていても、それなりに大人数のサムネイルを表示できます。そのため「Zoomではできるのに、なぜTeamsではできないのか?」というユーザーからの声が上がっているのも事実です。特に外部パートナーや取引先とのオンラインミーティングを頻繁に行う場合、ツールごとの機能差は大きなストレスになることがあります。
大人数の会議や研修、オンラインセミナーでの課題
大人数の会議では、下記のようなニーズが高まります。
- 一度に参加者全員の映像を見たい
- 参加者の表情や反応をすぐに確認したい
- 発言の機会を把握しやすい環境を整えたい
しかし、共有コンテンツをポップアウトさせて発表内容を大きく映しておくと、ギャラリー表示が9人に制限されてしまい、参加者全体を把握しにくくなります。結果として「せっかくのTeamsの大人数表示のメリットが半減してしまう」という不満が続出しています。
現時点で考えられる回避策
ポップアウトをしないでメインウィンドウを活用する
最もシンプルな回避策は、ポップアウト機能を使わずにメインウィンドウ上で共有コンテンツと参加者の映像を同時表示することです。これにより16人または49人まで映せるラージギャラリー機能を有効にできます。
ただし、ポップアウトせずに共有コンテンツと参加者を同画面にまとめると、画面分割が小さくなり、資料閲覧やチャット・リアクションの操作が多少煩雑になるデメリットがあります。
コンテンツと参加者表示を一画面で管理する
Teamsのメインウィンドウでは「コンテンツ共有部分+参加者の映像」というレイアウトが基本です。大画面のモニターを使用している場合は、ある程度快適に両方を表示できます。逆に画面サイズの小さいノートPCやタブレット端末では、それぞれの領域が狭くなる点には注意が必要です。
サブモニターを使ってウィンドウを拡大する
もしサブモニターを用意できるなら、Teamsのメインウィンドウを広げ、表示領域を増やすことで、ギャラリー表示と共有コンテンツを見やすくする方法もあります。ポップアウトを使わなくても、サブモニターにTeamsのウィンドウをドラッグして大きく表示すれば、多人数の参加者を表示しながら、共有資料にもアクセスできます。
回避策 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ポップアウトを使わない | ラージギャラリーで最大49人表示可能 | 資料表示領域が狭くなる場合がある |
サブモニターでメインウィンドウを拡大 | 参加者とコンテンツを見やすく表示できる | 追加のモニターが必要 |
ポップアウトで妥協する | 表示ウィンドウを自由に配置できる | ギャラリー表示が9人までに制限 |
Microsoft公式の対応とアップデート情報
公表されていない改善予定
執筆時点では、Microsoftは「ポップアウトウィンドウにおけるギャラリー表示人数の上限を拡大する」という具体的なアップデート計画を公表していません。Teamsは頻繁にアップデートされ、ユーザーの要望が強い機能は比較的優先度高く改善される傾向がありますが、この機能制限がすぐに撤廃されるかどうかは未知数です。
公式フィードバックページへの要望提出
MicrosoftはTeamsユーザーからのフィードバックを受け付けており、コミュニティサイトや公式フィードバックページでの投票システムを採用しています。多くのユーザーから同様の要望が寄せられ、票が集まれば優先的に開発チームが動く可能性があります。
企業全体でTeamsを利用している場合は、管理者やIT担当者がマイクロソフトとのパートナーシップ経由で要望を出すケースもありますので、声を上げてみるのも一つの手でしょう。
大人数の会議を成功させるための工夫
組み合わせて使いたい機能
Teamsには、表示人数のほかにも複数の表示モードや便利機能があります。以下は一例です。
- Togetherモード
バーチャル背景のように参加者全員を同じ仮想空間に配置する機能で、一体感を生み出しやすい。 - スポットライト機能
プレゼンターや司会者など、特定のユーザーにフォーカスした表示を強制できる。 - 画面共有の最適化
音声や動画を共有するときは「コンピューターの音声を含める」オプションや「ビデオクリップ向け最適化」など、使用シーンに合わせた調整が可能。
これらをうまく組み合わせることで、必ずしも「すべての参加者の映像を常時表示」しなくても、会議を効果的に運営できる場合があります。「複数の人の様子を重点的にチェックしたい」「スムーズに議事進行したい」など、目的に応じて機能を選択してみてください。
実際の運用例: 大人数トレーニングセッション
例えば、トレーニングセッションをオンラインで行う際、Teamsのメインウィンドウを最大化し、ギャラリーで16人もしくは49人を表示します。講師は、重要なタイミングで画面共有を切り替えたり、スポットライトで特定の発言者を目立たせたりして、進行をスムーズに行います。
このとき、どうしても受講者全員を常に表示したい場合は、ポップアウトではなくメインウィンドウで資料共有を行い、サブモニターなどにTeamsの画面をフルスクリーンにすることで回避可能です。
プチテクニック: 開発者視点から見るTeamsの連携
Teams APIやGraph APIとの連携
Microsoft 365全体をカバーする「Microsoft Graph API」を活用すれば、Teamsのチャンネルやユーザーデータを取得・操作できます。会議映像の直接制御などは難しいものの、カスタマイズボットを作成したり、Teamsのステータス管理を自動化したりといった拡張が可能です。
以下はPythonでMicrosoft Graph APIを利用し、Teamsのユーザー一覧を取得するコード例です。あくまでイメージサンプルですが、社内ポータルと連携させたいときの参考になれば幸いです。
import requests
import json
tenant_id = 'xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx'
client_id = 'xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx'
client_secret = 'your_client_secret'
scope = ['https://graph.microsoft.com/.default']
grant_type = 'client_credentials'
# Azure ADからトークンを取得
url_token = f'https://login.microsoftonline.com/{tenant_id}/oauth2/v2.0/token'
payload = {
'client_id': client_id,
'client_secret': client_secret,
'grant_type': grant_type,
'scope': ' '.join(scope)
}
response = requests.post(url_token, data=payload)
access_token = response.json().get('access_token')
# Teamsのユーザーリストを取得 (例として/directoryObjects参照)
url_graph = 'https://graph.microsoft.com/v1.0/users'
headers = {
'Authorization': f'Bearer {access_token}'
}
res = requests.get(url_graph, headers=headers)
users_data = res.json()
print(json.dumps(users_data, indent=2, ensure_ascii=False))
このようにGraph APIなどを駆使すれば、参加者のデータ管理やスケジュール連携などを自社システムと統合し、Teams体験を高めることが可能です。直接ギャラリー表示数を変更することはできませんが、周辺機能を拡張することでコミュニケーションが円滑に進むシーンも増えるかもしれません。
将来的な展望: 仕様改善の期待はあるのか
バージョンアップで改善される可能性
Teamsはリリース以降、数か月おきに大きなアップデートが行われています。共同編集機能の拡充やバーチャル背景の強化、ブレイクアウトルームなど、多くの要望が段階的に実装されてきました。ポップアウト時のギャラリー表示人数の拡大も、ユーザーからの要望が強ければいずれ対応される可能性は十分にあります。
代替策としての外部連携ツール
企業や教育機関によっては、Teams単独ではなく、ZoomやWebexなど複数のツールを用途によって使い分けるパターンもあります。例えば「大人数向けにはZoomを使って講義を行い、グループワークなど細かいチームコミュニケーションはTeamsで行う」といったハイブリッド運用も考えられます。
ただし、ライセンスや管理コストが増えるので、一概におすすめとはいえません。ツールを集約する方がメリットが大きい場合もあります。
まとめ: 現在は「仕様」に留意しつつベストプラクティスを探ろう
- ポップアウトでギャラリーが9人までに制限されるのは仕様
- 回避するにはメインウィンドウでのラージギャラリー活用
- サブモニターなどで表示領域を拡張する工夫
- 今後のアップデートに期待しながら、公式フィードバックへ要望を送るのも大切
一度に大人数の映像を表示できるオンライン会議ツールは限られていますが、Teamsは急速に改良が進んでいるサービスの一つです。現時点でのベストプラクティスは「ポップアウトをしないか、サブモニターを用意してメインウィンドウで大人数表示を行う」ことでしょう。将来的にMicrosoftが仕様を拡張すれば、より柔軟で快適な会議運用ができるかもしれません。
ぜひ、今回ご紹介したポイントを踏まえて、Teams会議をより快適に運用してみてください。
コメント