Microsoft Teamsはリモートワークやオンライン会議に欠かせないツールとして、多くの企業や組織で活用されています。とりわけ会議の録画機能は、参加できなかったメンバーへの情報共有や復習に非常に便利です。しかし、外部参加者への録画公開可否や設定方法について疑問を感じた経験はありませんか?本記事では、Teams会議の録画に関する基本的な仕組みと、外部参加者からのアクセスを制御するための具体的な方法をわかりやすくご紹介します。
Teams会議の録画が保存される場所
Teams会議を録画すると、録画データは主催者あるいは録画を開始した人のOneDriveまたはSharePointに保存されます。以前はMicrosoft Streamに保存される仕様でしたが、現在はより一般的なOneDriveやSharePointのストレージを利用するケースが増えています。ここではそれぞれの保存先における特徴と、外部参加者に対するアクセス設定の考え方を詳しく解説します。
OneDriveに保存される場合
- 会議を録画したユーザーの個人用OneDriveに保存される
- 録画ファイルの所有者は録画を開始したユーザー
- デフォルトでは所有者以外のユーザーは視聴権限を持たない
OneDriveに保存されたファイルは、あくまで個人用のスペースに置かれます。そのため、外部参加者どころか同じ組織内のメンバーであっても、録画をした本人から明示的に共有設定を行わない限りアクセスはできません。共有を行う際、公開範囲を指定することが可能です。たとえば「リンクを知っている人は閲覧可」「組織内のユーザーのみ」「特定のユーザーのみ」など、共有範囲の選択肢があります。
もし外部参加者に録画を見せたくない場合は、OneDrive上で録画ファイルを共有しない、もしくは共有リンクを「特定のユーザーのみ」に限定するといった方法が考えられます。いずれにしても、デフォルトでは外部ユーザーに権限が付与されていないことを念頭に置きましょう。
SharePointに保存される場合
- 会議がチャネルを通じて開催される場合などに、SharePointのチームサイトに保存される
- 録画ファイルの所有者は会議の主催者か、録画開始者
- チームまたはチャネルに参加しているユーザーには、自動で閲覧権限が付与されることがある
SharePointに保存されるケースでは、主に「チャネル会議」で録画を行った場合が典型例です。チーム(Microsoft Teamsのチーム)に紐づいたSharePointサイトに保存されるため、該当のチームやチャネルに属している内部ユーザーには一定の閲覧権限が自動的に与えられます。
ただし、外部参加者の場合はゲストアカウントとしてチームに招待されていない限り、自動的に録画ファイルを見ることはできません。もし外部のゲストがチャネルに参加していたとしても、録画のアクセスは通常のファイル共有と同様に権限設定が必要です。不要な閲覧をさせたくない場合は、録画ファイルが保存されているSharePointライブラリのアクセス設定を見直し、外部ユーザーを含む不要な権限が付与されていないかを確認しましょう。
外部参加者が録画を視聴可能になる仕組み
Teams会議に外部参加者を招待すること自体は比較的容易ですが、録画ファイルへのアクセスは別の仕組みで制御されています。ここでは、なぜ外部参加者が自動では録画を見られないのか、そして閲覧可能にするための手順を説明します。
デフォルト設定:外部への自動共有はない
Microsoft Teamsの録画機能では、録画終了後にファイルが自動生成され、所有者のOneDriveまたはSharePointに保存されると同時に、会議参加者に通知が送られることがあります。しかし、この通知はあくまで「録画が完了した」という情報であり、外部参加者を含めたすべてのユーザーが視聴できるわけではありません。
内部ユーザー(同じ組織に属するユーザー)の場合は、自動的に閲覧権限が付与される設定も存在しますが、外部参加者やゲストアカウントには通常、初期状態で閲覧権限が与えられません。つまり、録画の所有者(または管理者)が明示的に権限を付与しない限り、外部ユーザーは録画を開こうとしてもアクセス権限エラーが出ることが多いです。
外部参加者に視聴権限を付与する手順
外部参加者が会議録画を視聴できるようにするには、以下のような手順で共有設定を行います。
- OneDriveまたはSharePointにアクセス
Teamsの会議後に表示される録画ファイルのリンクをクリックすると、OneDriveかSharePointの録画ファイル格納フォルダへ移動できます。 - ファイルの共有オプションを選択
録画ファイルを選択し、「共有」をクリックします。ここで、アクセス許可の種類を指定できます。 - 外部ユーザーに対してメールアドレスまたはリンクを共有
外部の相手を明示的に指定する場合は、そのユーザーのメールアドレスを入力して招待します。あるいは「リンクを知っている全員が閲覧可能」といったオプションを選択すると、リンクを持つ外部ユーザーは誰でも視聴できるようになります。 - 閲覧のみ、編集不可に設定する
録画の場合は通常、閲覧だけさせたいケースが多いでしょう。その場合、編集権限は付与せずに「閲覧のみ」に設定するのが望ましいです。
以上の手順で外部ユーザーが録画にアクセス可能になります。ただし、セキュリティを意識するなら「リンクを知っている全員が閲覧可」という設定は避け、必ず対象ユーザーを限定するか、パスワード付きリンクを設定するなどの方法を検討するとよいでしょう。
外部参加者に録画を見せたくない場合の具体策
会議によっては情報保護の観点から、外部参加者に録画を見られたくないケースも多々あります。実際に外部ユーザーを会議に参加させる必要はあるが、録画の閲覧は社内だけに留めておきたい。そんなときに役立つ具体的な方法をいくつか紹介します。
録画の共有を行わない
最も簡単で確実な方法は、録画の共有リンクを発行しないことです。録画データは自動的にOneDriveやSharePointに保存されますが、外部参加者に共有するような操作をしなければ、外部ユーザーには一切アクセス権限が付与されないままです。録画ファイルの存在を知られても、実際には閲覧ができない状態を維持できます。
不要なリンクや権限を削除する
うっかり外部参加者に共有権限を付けてしまった場合でも、後から権限を取り消すことが可能です。OneDriveやSharePointの「共有管理画面」に移動し、共有リンクを発行しているユーザーや外部向けリンクを削除する、あるいは閲覧権限を無効化すれば、外部ユーザーが録画を開けないようになります。
特にTeamsやSharePointでは、プロジェクトや部署を横断するメンバーの追加・削除が頻繁に行われることがあるため、不要なユーザーが誤って権限を持ち続けていないか定期的に確認することが大切です。
組織ポリシーで制御する
大規模な組織やセキュリティを徹底したい場合、管理者権限でポリシーを設定する方法があります。たとえば、以下のような管理策が考えられます。
- 録画の自動共有を無効化
録画が完了した際に、自動で組織内のメンバーに共有リンクが作成される機能を無効にし、必要な場合のみ手動で共有するように徹底します。 - ゲストアクセスや外部共有の範囲を制限
SharePoint管理センターやOneDrive管理センターから外部共有ポリシーを制御し、特定のドメイン以外の外部共有を禁じる、または厳格な承認プロセスを挟むなどの設定が可能です。 - 従業員向けのセキュリティ教育
結局のところ、ポリシーを設定していても、利用者が誤った共有設定を行えば意味がありません。従業員向けに録画のアクセス権限やファイル共有の適切な運用を教育し、不要な情報漏えいを防ぎましょう。
Teams管理者が行うべきモニタリングとベストプラクティス
外部参加者のアクセスを管理するとき、IT管理者やTeams管理者は常に最新のポリシーや設定状況を把握し、適切なモニタリングを行う必要があります。ここでは、録画にまつわるアクセス権設定の運用を円滑に進めるためのベストプラクティスをまとめます。
監査ログを活用する
Microsoft 365の監査ログ機能を使うことで、録画ファイルがいつ、誰によって共有されたのかを確認できます。外部参加者へのアクセスが許可されたタイミングや、承認者、操作を行ったユーザーのアカウント情報などを追跡できるため、万が一情報漏えいが疑われる際にも原因特定が容易です。
定期的な権限レビュー
OneDriveやSharePointの管理画面から、定期的に権限状況をレビューすることをおすすめします。特に外部共有リンクは、有効期限を設定しないと必要のない間もずっとアクセスが可能な状態になってしまいがちです。期限切れになるよう設定する、または定期的に不要リンクを削除することで、リスクを最小化しましょう。
ポリシーテンプレートの活用
組織全体で一貫した運用をするためには、ポリシーテンプレートを策定し、従業員に徹底することが効果的です。以下のような項目をテンプレート化して共有すると、運用ルールがわかりやすくなります。
- 会議録画の保存先と命名規則
- 録画の共有範囲(内部/外部)
- 外部共有時の承認フロー
- 有効期限付きリンクの活用指針
このようなテンプレートを導入することで、管理者だけでなく一般のユーザーがTeams録画を扱う際のルールを理解しやすくなり、結果的に外部参加者への不要なアクセスを防止できます。
Teams会議録画のよくある質問と対策
録画に関する外部参加者のアクセス権をめぐって、利用者からよく寄せられる質問と対策を以下にまとめます。実務に即した視点でQ&A形式にすることで、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。
質問 | 回答・対策 |
---|---|
外部参加者がいる会議を録画したら、自動で外部ユーザーにも共有されますか? | いいえ、自動では共有されません。録画を開始した人がOneDriveやSharePointで明示的に外部ユーザーに共有権を付与しない限り、閲覧できない設定になっています。 |
外部参加者を含む全員が録画を視聴できるようにするには? | 録画ファイルの「共有」オプションから「リンクを知っている全員が閲覧可能」を選択すると、リンクを受け取った外部ユーザーも視聴可能です。ただしセキュリティ上のリスクが大きいので、特定ユーザーやパスワード保護の設定を検討しましょう。 |
一度外部に共有してしまった録画へのアクセスを後から停止できますか? | はい、可能です。OneDriveやSharePointの共有設定画面で、その外部ユーザーを削除するか、共有リンクを無効にすることでアクセスを停止できます。共有先が多い場合、定期的な見直しを行うと安心です。 |
チャネル会議で録画した場合、ゲストユーザーも自動的に録画を見られますか? | ゲストとしてチームに招待されている場合、チームやチャネルの設定次第で自動的に閲覧権限を持つ場合があります。ただし、ゲストを含めた外部ユーザー全員に自動付与する設定になっているわけではないため、念のため権限をチェックするのがおすすめです。 |
実務で役立つTipsと注意点
録画の共有管理は、一見シンプルに思えても多くの利用者が関わると複雑さを増します。ここでは、実際の現場で役立つ細かなコツや注意点をご紹介します。
録画は必要最小限にとどめる
会議によっては重要情報を含むことも多く、録画データが長期的に残ることで情報漏えいリスクが高まります。必要な会議だけを録画し、不要になった録画は定期的に削除しておく運用が望ましいです。社内ポリシーに「録画ファイルの保持期間」を設定し、機密度に応じた管理を行うとさらに安心です。
録画前に「録画が開始される」旨を周知する
Teamsでは録画を開始すると、参加者全員に対して「録画が開始されました」という通知が表示されます。外部参加者にも録画されていることをきちんと周知し、機密情報を含む場合には録画前に改めて議題を精査することが大切です。外部参加者から「録画はしないでほしい」といった要望があれば、都度対応を検討しましょう。
アクセス制御の確認を共同で行う
複数の担当者が録画を行う大規模プロジェクトでは、「誰がどの会議を録画し、どのように共有しているか」が把握しにくくなります。そこで、プロジェクトチームやIT部門が共同で権限状況をチェックする仕組みを導入すると安心です。例えば、プロジェクトごとに週次や月次で共有リンクの一覧を確認し、不要なリンクを削除するなどの運用が考えられます。
Microsoft 365管理センターを活用する
より高度な管理やポリシー適用を行いたい場合、Microsoft 365管理センターやTeams管理センター、SharePoint管理センターなどを活用して詳細な制御を行えます。具体的には以下のような設定が可能です。
- 外部共有の制限:許可されるドメインをホワイトリスト化する
- 共有リンクの設定:有効期限付きリンクの最大期限を指定
- 配布グループ単位のアクセス制御:特定グループにだけ録画閲覧権を与える
これらの機能を使いこなすことで、企業ポリシーに合わせた緻密なセキュリティ運用が実現します。
録画ファイルのライフサイクル管理
録画ファイルは、保存された後も共有ポリシーの変更や組織再編などによって状況が変わる可能性があります。ここでは、録画ファイルのライフサイクル管理における具体的なステップを紹介します。
作成(録画開始)
会議の録画が開始され、OneDriveまたはSharePointにファイルが生成されます。ここで録画を行う担当者は、あらかじめ組織のポリシーや外部共有ルールを把握しておくことが必要です。録画前に、外部参加者がいる場合は特に議題の内容に注意を払う必要があります。
保存と初期権限設定
録画ファイルは自動で保存されますが、初期状態では外部参加者には権限が付与されないことが多いです。必要に応じて担当者が手動で権限を設定することになるため、誰にどのような権限を与えるかを慎重に判断しましょう。
利用(共有や視聴)
録画が完了すると、プロジェクトメンバーや会議参加者内でファイルを閲覧・共有するフェーズが始まります。ここで外部参加者へのアクセスが不要であれば、共有設定を「組織内部限定」にしておくなどの運用が可能です。外部参加者が閲覧できる状態にする場合は、共有リンクの範囲や有効期限設定を細かく管理すると安心です。
更新(権限変更・ポリシー変更)
会議後に人事異動や組織の変更があった際は、不要な権限がついたままになっていないかを見直すチャンスです。また、プロジェクトが進むうちに外部参加者が新たに加わる場合もあります。その際には改めて録画の共有ポリシーを設定し直すかどうかを検討しましょう。
アーカイブまたは削除
プロジェクトが完了し、録画ファイルの保持が不要になれば、削除もしくはアーカイブフォルダへ移動するなどの対策をとります。ここでのポイントは、外部参加者がまだアクセスできる状態になっていないかを最終的に確認することです。不要な共有リンクが残っていると、後で漏えいにつながるリスクがあります。
まとめ:適切な権限設定で安全に録画を活用する
Teams会議の録画は非常に便利な機能ですが、その便利さゆえに情報漏えいリスクも抱えています。特に外部参加者へのアクセス可否は、以下の点をしっかり理解しておきましょう。
- 録画ファイルの保存先はOneDriveまたはSharePointで、デフォルトで外部参加者には閲覧権限がない
- 外部参加者に録画を見せる場合は、共有設定で明示的に権限を付与する必要がある
- 意図せず外部ユーザーに録画が閲覧されないように、管理者レベルのポリシー設定や運用ルールの徹底が重要
- 誤って共有してしまった場合でも、リンクやユーザー権限を後から削除・無効化できる
結局のところ、会議録画に限らず、組織の機密情報を外部と共有する際は常に十分な注意が必要です。外部参加者が録画を視聴できるようになるのは、所有者や管理者がわざわざアクセス権を付与している場合だけだと認識しておけば、安心してTeamsを活用できるでしょう。
また、セキュリティを高めたい場合は、Microsoft 365管理センターやSharePoint管理センターの外部共有ポリシーを活用しながら、組織内ポリシーとして「録画の取扱い」「共有リンクの運用方法」を徹底していくことが大切です。最初は少し複雑に思えるかもしれませんが、一度しっかりと運用フローを確立しておけば、その後の会議録画管理が格段にスムーズになります。
ぜひ本記事の内容を活かして、Teams会議録画の外部共有リスクを最小限に抑え、安全かつ効果的なオンラインコミュニケーションを実現してください。
コメント