多忙な日々を送る中でも、オンライン会議の録画は業務効率化に欠かせない要素のひとつです。特に、後から内容を確認したり資料化する際に便利なのが「トランスクリプション(文字起こし)」ですが、Teams会議中に設定を忘れた場合の扱いに戸惑う方も多いようです。ここでは、録画後にスムーズな文字起こしを実現するための具体的な方法や注意点を詳しく解説します。
Teams会議録画のトランスクリプションは後から生成できる?
会議参加者への情報共有や不参加者へのフォローアップなど、オンライン会議の利便性を最大限に活かすためには、録画だけでなく内容をテキスト化することが有用です。しかし、肝心のTeamsで会議中に自動トランスクリプションを有効にするのを忘れてしまった場合、「後からその動画ファイルを使って、Teams上で文字起こしができるのか」という疑問をお持ちの方も少なくありません。
結論としては、Teamsアプリ内で直接後からトランスクリプションを生成する機能は提供されていないというのが現在の仕様です。会議中にトランスクリプションを開始していなかった場合、Teamsの標準機能だけでは文字起こしを作成できません。では、どのようにすれば後から字幕やテキスト化ができるのでしょうか。
背景にあるMicrosoft 365環境の変化
かつてはMicrosoft Stream(クラシック)を利用して、自動トランスクリプション機能を後追いで活用できるケースが多くありました。ですが、Microsoft 365のアップデートにより録画データの保存先が変わり、Teamsの録画はOneDrive for BusinessやSharePointに保存されるようになっています。
そのため「Microsoft Stream(クラシック)ではできたのに今はどうなの?」といった声が上がっているのが現状です。現在は「Microsoft Stream(on SharePoint)」あるいはOneDriveに録画ファイルをアップロードすると、そこに用意されている機能で動画のトランスクリプトを生成することが可能になっています。
Microsoft Stream(またはOneDrive)を活用するメリット
Teams上で直接トランスクリプションを生成する手段はないものの、Microsoft Stream(on SharePoint)やOneDriveを使えば実質的に同じような結果を得ることができます。具体的には下記の手順を踏むことで、録画ファイルから自動的にトランスクリプトを作成可能です。
基本的な手順の流れ
- 録画ファイルをOneDriveまたはSharePointにアップロード(または既にTeamsの録画先として保存されているファイルにアクセス)。
- 該当の動画を再生し、「ビデオ設定」や「詳細設定」を開く。
- 「Generate」などの生成ボタンから言語を選択し、トランスクリプトを作成。
- 生成が完了すると、CC(字幕)ボタンをオンにして字幕を確認できる。
OneDrive上での具体的な操作例
- OneDriveにTeams会議の録画ファイルをアップロードします。
- アップロードが完了したら、動画のサムネイルをクリックして再生画面を開きます。
- 動画右上などに表示される設定アイコンをクリックして、「字幕/キャプションの生成」や「動画のオプション」を選択するメニューを開きます。
- 利用したい言語を指定して生成を開始すると、自動的に音声認識によるトランスクリプトが作られ、再生画面右側や画面下部などに字幕として表示されます。
Microsoft Stream(on SharePoint)の場合
Microsoft Stream(クラシック)とは画面が異なりますが、基本の考え方は同じです。SharePoint内に録画ファイルを格納していれば、その動画を開いた際に「字幕の生成」を行うメニューが表示されます。許可されたユーザー(アップロード者、または編集権限を与えられたユーザー)がこの操作を実行すると、動画再生中に字幕としてテキストを表示できるようになります。
編集権限がないと生成はできない
OneDriveやSharePoint(Microsoft Stream on SharePoint)でトランスクリプトを生成するためには、「動画をアップロードしたアカウント」または「編集権限のあるアカウント」で操作する必要があります。
多くの場合、録画を行ったユーザーと視聴者が異なることがあります。特にTeams会議で他の人が録画を開始した場合、その録画の所有者は録画開始者となります。その所有者が編集権限を付与していないと、第三者がトランスクリプションの生成を行うことはできません。
権限がない場合の対処法
録画ファイルに対して権限がないユーザーが後から字幕を作りたい場合は、録画所有者に「編集権限を付与してほしい」と依頼するのが第一歩です。具体的には以下のような流れになります。
- 動画所有者に連絡し、権限設定を変更してもらうようお願いする。
- 権限が付与されたら、上記の手順に従って字幕の自動生成を行う。
- 自分が生成した字幕やトランスクリプト内容は、他のメンバーも編集可能かどうかも所有者側で設定できる。
Teamsの録画先デフォルト設定
Microsoft 365のプランや組織ポリシーによっては、Teams会議の録画が自動的にOneDrive for Business内の特定のフォルダ(例:レコーディング用フォルダ)に保存される設定になっていることもあります。権限管理が複雑になりがちなので、利用者同士で録画先や所有者を把握しておくのが重要です。
自動トランスクリプション機能を活用するメリット
自動トランスクリプションを得ることで、オンライン会議の内容をテキストベースで確認したり、議事録作成の参考にしたりといったメリットが得られます。特に以下のような場面で活躍します。
- 会議の参加者が後から重要なポイントを素早く再確認したい場合
- 会議に参加できなかったメンバーが録画内容を把握する際の補足資料として
- 聴覚障がいを持つ方やノイズ環境にいるメンバーへのアクセシビリティ対応
- 議事録作成やスクリプト作成作業の時間短縮
ただし、完璧に文字起こしをしてくれるわけではないため、専門用語や社内独自の単語が誤変換されることがあります。機械学習の精度向上に伴い以前よりは精度が高まっていますが、最終チェックは人手で行うのが望ましいでしょう。
認識精度に影響する要素
トランスクリプションの精度はさまざまな要素によって左右されます。たとえば、録音環境(マイクの質や話者同士の距離、周囲のノイズ)、話者の発音・イントネーション、使用する言語の特性、ネットワーク状況などが代表的な例です。
また、専門用語や人名、プロジェクト名のように一般的な辞書にない単語は誤変換されやすいため、Teamsで事前に用語を共有しておくなどの工夫が必要な場合もあります。
今後のTeamsやMicrosoft 365のアップデートに期待
Microsoft 365は日々アップデートされており、Teamsの機能も継続的に改善されています。ユーザーから寄せられる要望に応じて、新機能の追加や既存機能の利便性向上が図られることが多いです。
現在は「会議中にトランスクリプション設定をし忘れてしまった録画を、後からTeams上で簡単に文字起こしできる機能」が用意されていませんが、将来的に実装される可能性もあります。要望や改善のアイデアがある場合は、Microsoft Teamsのフィードバックポータルなどに投稿しておくとよいでしょう。
後からトランスクリプションを生成したい場合のチェックリスト
ここでは、実際に後からトランスクリプションを生成する際に確認しておきたい要点をリスト化してみます。
項目 | 確認内容 | 備考 |
---|---|---|
録画ファイルの保存先 | OneDriveなのかSharePointなのか、またはMicrosoft Streamなのか | 保存場所により操作画面が多少異なる |
録画の所有者 | 自分がアップロードしたものか、他者がアップロードしたものか | 編集権限がなければトランスクリプション生成不可 |
権限設定 | 動画所有者から編集権限を付与されているか | トランスクリプションの設定ボタンが表示されない原因になる |
使用言語 | 日本語以外の場合は対象言語に対応しているか | 言語対応は拡大傾向だが詳細は公式ドキュメント要確認 |
会議の内容 | 専門用語や外来語が頻出するか | 誤変換が多い場合は手動修正が必要 |
トランスクリプトの再編集やダウンロード
生成されたトランスクリプトは、字幕として表示するだけでなく、テキストファイルとしてダウンロードできる場合もあります。ダウンロード機能が利用可能であれば、必要に応じて内容を修正・整形し、自社のフォーマットに合わせて議事録として展開することも容易になります。
編集作業や共有が多いチームであれば、ファイル管理やバージョン管理の観点から、SharePointやTeamsのチャンネルにまとめて保管しておくと便利です。
会議中にトランスクリプションを設定しておく利点
ここまで「後からトランスクリプションを生成する方法」にフォーカスしてきましたが、最もトラブルが少ないのはやはり会議中にトランスクリプションを有効化しておくことです。以下のメリットが挙げられます。
- 会議終了直後にトランスクリプトがすでに完成しているため、関係者への共有がスムーズ
- 会議中にリアルタイム字幕を活用することで、聴覚面のバリアフリーを実現
- 録画とトランスクリプトが一体化して保存されるので、後日の作業の手間を削減
一方で、会議前にトランスクリプションの設定を思い出す必要があり、ネットワーク状況によってはリアルタイム字幕が遅延するリスクも考えられます。それでも「後から作業をする手間」を大幅に削減できるため、忘れない限りは会議中に有効化しておくことを強くおすすめします。
会議中の自動トランスクリプションの有効化手順
- 会議が始まったら、会議コントロールバーの「・・・」メニューを開く。
- 「トランスクリプトの開始(Start transcription)」といった文言が表示される場合は、それを選択。
- 自動字幕やトランスクリプトが開始される。
- 会議を録画するときに自動的に字幕の生成もされるようになるので、後からのテキスト化の手間が省ける。
この手順はTeamsのバージョンや管理者設定により多少異なる場合があるため、自組織のIT管理者に確認したり、公式ドキュメントを参照すると安心です。
まとめ:後からのトランスクリプション生成は可能だが工夫が必要
現時点(Microsoft 365の最新仕様)では、Teams会議中にトランスクリプションを開始していない録画ファイルを、後からTeams上の機能だけで自動文字起こしすることは難しいです。しかし、Microsoft Stream(on SharePoint)やOneDriveにファイルをアップロードし、適切な権限を持ったユーザーであればトランスクリプトを生成できます。
また、誤変換や専門用語の扱いなど課題はあるものの、手動で最初から文字起こしを行う手間と比較すると大幅に作業時間を短縮できるのも事実です。今後のTeamsやMicrosoft 365のアップデートにより、よりシームレスな文字起こし機能が追加される可能性もあるため、最新の情報をチェックしながら運用を続けるとよいでしょう。
なお、会議内容が重要であればあるほど、録画開始のタイミングでトランスクリプションを同時に有効化しておくのがベストプラクティスです。「録画はできているのに文字起こしがない」という事態を防ぐためにも、普段から会議前の設定確認を習慣づけておくと安心ですね。
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