日々の業務でMicrosoft TeamsとSharePointを活用していると、チームやチャネルごとにファイルが増えすぎて、どこに何があるのか分からなくなることはありませんか。実はTeamsで新しいチャネルを作成しても、既にSharePointに存在するフォルダーをそのまま利用することができます。わざわざファイルをコピーしたり、移動したりする必要がないこの方法をマスターすれば、情報共有を効率的に進められるようになります。ここではその具体的な手順から運用のコツまで、さまざまな観点から詳しく解説していきます。
TeamsとSharePointの連携が重要な理由
Microsoft TeamsとSharePointは、Microsoft 365の中核となるコラボレーションツールです。Teamsではチャットやビデオ会議などのコミュニケーションを円滑にする機能が中心となり、SharePointではドキュメント管理や情報の蓄積・共有に優れています。両者は背後で連携しており、Teamsの「ファイル」タブで扱うデータはSharePointドキュメントライブラリに格納されます。ここで大切なのは、Teamsのチャネルが一つ作られると、SharePoint側には自動で同名のフォルダーが作成されるという点です。
チャネルとSharePointのフォルダー構造
Teamsで新しいチャネルを作ると、自動的にSharePointドキュメントライブラリ内に対応するフォルダーが生成されます。たとえば「営業部門」というチームの下に「プロジェクトA」というチャネルを作成すると、SharePointサイトのドキュメントライブラリには「プロジェクトA」フォルダーが自動追加されます。この仕組みにより、Teams上でファイルをアップロードしたり編集したりすれば、すぐにSharePoint上の同フォルダーにも反映されるわけです。
既存フォルダーを流用したい場面
しかし、すでにSharePoint上で複雑なフォルダー構造を運用している組織にとっては、「新しいチャネルを作るたびにフォルダーが乱立してしまう」「既存のフォルダーをそのまま活用したいのに新フォルダーができてしまう」という悩みが出てきます。その解決策として、Teamsの新規チャネルと既存フォルダーを同名にするだけで自動的にリンクされる仕組みが有効となります。
新しいチャネルを既存のSharePointフォルダーにリンクする基本手順
ここからは、具体的にTeamsの新規チャネルとSharePointにすでに存在するフォルダーをリンクする手順を解説します。驚くほど簡単なので、ぜひ試してみてください。
1. SharePointでフォルダーの名前を確認する
まずはSharePoint側で、既に存在しているフォルダー名を正確に把握しましょう。たとえば「test2」というフォルダーがある場合は、そのフォルダー名が「test2」であることを確認します。スペルや大文字・小文字の区別など、Teamsで作るチャネル名と完全に一致させる必要があります。
2. Teamsで新規チャネル作成時に同名をつける
TeamsのアプリもしくはWeb版のTeamsで目的のチームを開き、「チャネルを追加」操作を行います。このときのチャネル名に、SharePointの既存フォルダーと全く同じ名前を入力してください。すると、自動的にそのフォルダーとリンクされる形でチャネルが作成されます。
3. ファイルタブから動作を確認
新しく作成したチャネルを開き、「ファイル」タブを選択します。もし問題なくリンクができていれば、既存のフォルダーに入っていたファイル一覧がそのまま表示されるはずです。この時点でTeamsからファイルを閲覧・編集すると、SharePoint側のフォルダー内容が更新されます。
同名チャネル作成時の注意点
実際に運用してみると、いくつか注意すべき点があります。ここでミスをすると意図しない挙動をすることもあるので、ぜひ以下を参考にしてください。
フォルダー名とチャネル名の完全一致が必須
Teams側ではフォルダー名の大文字・小文字やスペース、記号の取り扱いなど、細かい文字列の不一致があると、新しいフォルダーが自動生成されてしまいます。英数字だけならまだしも、全角文字や特殊文字が混ざる場合は注意が必要です。見た目が同じでも、実は全角半角や大文字小文字が異なるとフォルダーが分かれてしまうケースもあります。
既に同名のチャネルが存在していないか確認
同一チーム内で同じチャネル名は基本的に作れません。よって、SharePointにあるフォルダーと同名のチャネルが既に存在していないか、先にチェックしておきましょう。もし同名のチャネルがアーカイブ状態などで残っているときには、名称の重複によって意図しない動作になる場合があります。
特殊文字の扱いとリネーム
SharePointでは使用可能だがTeamsのチャネル名では使えない文字が含まれる場合、チャネル作成時にエラーが出ることがあります。また、SharePointでは「_」や「-」などのアンダースコアやハイフンをフォルダー名に含められますが、Teamsのチャネル名においては推奨されない場合もあります。もしTeamsの作成画面でエラーが出るときは、一度SharePointのフォルダー名を変更するか、Teamsのチャネル名を調整する必要があるでしょう。
既存データの移動やコピーが不要になるメリット
この方法の最大の魅力は、既にSharePointに保存されている膨大なファイルを移動やコピーせずに、Teamsの新規チャネル上から利用できる点です。大人数のプロジェクトや過去データを活用したいケースでは、移動作業に大きなコストがかかります。さらに、移動やコピーを繰り返すとどれが最新データなのか分からなくなるリスクもあります。既存フォルダーにそのままアクセスできる形にしておけば、常に同じ場所にあるファイルを参照でき、情報の一元管理がしやすくなります。
運用をスムーズにするための応用テクニック
単に同名にするだけでも大変便利ですが、さらに運用効率を高めるためのテクニックを紹介します。
ドキュメントライブラリの整合性を保つ
Teamsの新規チャネルを追加するときだけでなく、既に運用中のフォルダー階層が多段化している場合には、ドキュメントライブラリの整合性を定期的に確認しましょう。階層が深くなるほどユーザーは迷いがちになります。フォルダー構造自体を見直すことで、Teamsのチャネル設計もスッキリまとめられます。
おすすめの階層設計例
以下のように、部署やプロジェクトごとにわかりやすい階層を作ると混乱を防ぎやすいです。
階層レベル | フォルダー名・チャネル名例 | 説明 |
---|---|---|
レベル1 | 部署名 (例: 営業部, 開発部 等) | 各部門でチームを作成し、部署名をチーム名に。 |
レベル2 | プロジェクト・活動名 (例: A事業 等) | 部署内の具体的なプロジェクトや活動に対応。 |
レベル3 | 詳細トピック (例: 会議資料 等) | レベル2のプロジェクトに紐づく小テーマを設定。 |
このように、SharePoint上で階層を整理しておけば、Teams側のチャネル名やタブ構成も自然と整理しやすくなります。
フォルダーをURLリンクで追加する
もし既に作成してしまったチャネルがあり、名前変更だけでは解決できない場合には、TeamsのファイルタブからSharePoint上のフォルダーへのリンクを追加する方法も有効です。これはTeamsの「+(プラス)」ボタンで新しいタブを追加し、「ドキュメントライブラリ」を選択してURLを指定するやり方です。直接フォルダーを表示しなくても、ワンクリックでSharePointの該当フォルダーにアクセスできます。
リンクタブの追加手順
- Teamsの対象チャネルを開く
- 上部の「+」ボタンをクリックし、追加するタブの種類から「ドキュメントライブラリ」を選択
- フォルダーのURLを入力し、表示名を設定
- 登録すれば、そのタブから直接SharePointフォルダーにアクセス可能
ただしこの方法は、ファイルタブから直接扱うというよりは「別タブとして参照する」ことになるため、あくまでも暫定的な対策として考えておくと良いでしょう。
トラブルシューティング:リンクがうまくいかない場合
同名にしてチャネルを作成したにもかかわらず、うまく連携されないケースもあります。主な原因と対策を整理しておきましょう。
原因1:フォルダー名のミスマッチ
先述のとおり、全角半角や大文字小文字、スペースなどのわずかな違いで別フォルダー扱いになる可能性があります。まずはSharePointに存在するフォルダー名が正確にTeamsのチャネル名と一致しているかを再度確認してみてください。
対策:徹底的な確認とフォルダー名のリネーム
- SharePointとTeams両方でフォルダー名/チャネル名を同一にする
- どうしてもフォルダー名に特殊文字が必要な場合は、Teamsのチャネル名も合わせるか、リンクタブ方式を検討する
原因2:すでに同名のチャネルが作成されていた
Teamsの仕様として、一度削除したチャネルがチームの「非表示」リストに残っているケースがあります。完全削除ができていないときに同名で新規作成をしようとすると不具合を起こす場合があります。
対策:不要チャネルの完全削除またはリネーム
- 古いチャネルをアーカイブまたは削除して、Teamsの管理画面から確認する
- 必要であればリネームし、新規作成に邪魔にならないようにする
原因3:SharePoint側の権限設定
Teamsを利用しているユーザーがSharePointの該当フォルダーへのアクセス権限を持っていない場合、チャネルからはファイルが確認できなかったりエラーが表示されたりすることがあります。
対策:権限の整合性を保つ
- SharePointの該当フォルダーに対する閲覧・編集権限を、Teamsのメンバーと同等に設定する
- チームに招待されているユーザーが、SharePointサイト全体の最低限の閲覧権限を持っているか確認する
活用事例:ファイル管理効率化の成功パターン
実際に、TeamsとSharePointを組み合わせた運用の中で、既存フォルダーをリンクさせることでファイル管理が劇的に楽になったケースがあります。
事例1:プロジェクトごとのフォルダーを流用
ある企業では、既にSharePointに「2025年プロジェクトA」「2026年プロジェクトB」というフォルダーが蓄積されていました。ところが新たにTeamsを導入した際、プロジェクトごとにチャネルを作成すると、SharePoint上に同名フォルダーが重複生成されて混乱してしまったのです。
そこで、以下の方法がとられました。
- 既存フォルダーの名前を「ProjectA_2025」「ProjectB_2026」として整備
- Teamsで同名のチャネルを作成
- それぞれのチャネルのファイルタブから既存ファイルを参照
結果として、移行作業やファイルのコピーなしでスムーズな連携が実現。さらに、Teamsのメッセージ内から簡単にプロジェクトファイルを呼び出せるようになり、コミュニケーションが格段に向上しました。
事例2:部門横断のナレッジ共有
総務部・経理部・人事部など複数の部署で共通資料を扱う場合、SharePoint上では「共通資料」というフォルダー配下に各部署で利用するファイルをまとめていました。Teams導入後、部署ごとのチームとチャネルを作る中で「共通資料」という新規チャネルを設け、SharePointの「共通資料」フォルダーと同名に設定。これにより、各部署チャネルから「共通資料」にアクセスしやすくなり、チーム間の情報共有がスムーズになりました。
テクニカルなQ&A:よくある質問
最後に、既存フォルダー連携によく寄せられる質問をピックアップし、簡単に回答しておきます。
Q1. 既存チャネルの名前を変えたらSharePointフォルダー名も変わるの?
A. チャネルのリネームをしても、SharePoint側のフォルダー名には自動反映されません。もともとのフォルダー名が残り、リンクが切れるわけではありませんが、表示名が一致しないため混乱する場合があります。本格的に名前を合わせたい場合は、SharePoint側のフォルダー名も手動で変更し、Teamsから再リンクを確認する必要があります。
Q2. チャネル名が日本語の場合、SharePoint側のフォルダー名はどうなる?
A. 通常、Teamsで日本語チャネルを作成すると、SharePointでも同じ日本語名のフォルダーが作成されます。ただし、内部的なURLにはエンコードされた文字列が使われるため、ブラウザでフォルダーURLを直接見ると「%E6%A4%9C%E8%A8%BC」など文字化けに近い表現になることがあります。基本的には運用に支障はありませんが、URLを直接扱う際は注意しましょう。
Q3. すでに大量に作られてしまった重複フォルダーを整理するには?
A. 混乱を避けるには、不要なチャネルを削除・アーカイブしてSharePoint側のフォルダーを削除し、必要なフォルダーとチャネルだけ残すのがシンプルです。ただし、中身のファイルを移動する際は誤削除やバージョン履歴の損失に注意してください。どれが正確な最新データなのか、運用チーム内で確認し合いながら作業を進めましょう。
まとめ
Microsoft Teamsで新しくチャネルを作成するとき、既存のSharePointフォルダーをそのまま活用したい場合は、シンプルに「フォルダー名と全く同じ名前を持つチャネルを作る」方法が最も簡単かつ効率的です。データをコピーや移動せず、これまでのファイルストラクチャを維持できるため、多くの組織で実務上のメリットが大きいでしょう。
ただし、チャネル名とフォルダー名の整合性やTeams側で使える文字列の制限など、いくつかの注意点を押さえておかなければなりません。また、すでに作成してしまったチャネルと既存フォルダー名が異なる場合には、リンクタブの追加などで対処できるケースもあります。
チームメンバーが多く、複数プロジェクトが並行して進む組織ほど、「どのファイルがどこにあるのか」が煩雑になりがちです。TeamsとSharePointの連携を適切に整え、同名フォルダー運用などを駆使することで、コラボレーションを大幅にスピードアップできるでしょう。ぜひ試してみてください。
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