新しいTeamsのスペルチェックが機能しない原因と徹底対策

新しいMicrosoft Teamsを使い始めたは良いものの、これまで問題なく表示されていた赤い波線のスペルチェックが突然機能せず、誤字の見落としに困っている方も多いのではないでしょうか。今回の内容では、実際に起こりがちな原因や対処法、そして役立つ回避策をまとめてご紹介します。

新しいTeamsでのスペルチェック不具合とは

新しいMicrosoft Teams(プレビュー版や2024年以降に提供されるバージョン)では、旧Teams(クラシックTeams)で問題なく機能していたスペルチェックが動作しない例が多数報告されています。具体的には、以下のような症状が代表的です。

  • 誤字を入力しても赤い波線が表示されない
  • 修正候補リストや自動修正がまったく作動しない
  • 言語設定を英語(米国)・英語(英国)などに切り替えても改善しない
  • 多言語を混在して使うと一部の言語のみしか反応しない、あるいはまったく動かない

こうした症状は、旧Teamsでは問題なく利用できたにもかかわらず、新しいTeamsに移行してから急に起こるケースが多いのが特徴です。組織のポリシーで強制的に新しいTeamsへ移行された場合などは、ユーザーにとって大きなストレスとなっています。

原因として考えられる背景

新しいTeamsでのスペルチェック不具合には、いくつかの要因が絡んでいると見られています。Microsoftの公式ドキュメントでも「新Teamsのスペルチェック機能に既知の問題がある」ことが明示されており、対応に追われている状況がうかがえます。

1. 新しいTeams特有のバグ

新しいTeamsは従来のElectronベースから高速化やUI刷新などを目指した実装へと切り替えられつつあり、その過程で従来のスペルチェック機能との互換性が十分に考慮されていないのではないかと考えられています。また、Teamsが最新のWindows環境と連動しながら動作する際にキャッシュや設定ファイル周辺で不整合が起こり、スペルチェック関連の機能が正しく読まれないケースもあります。

2. 旧Teamsとの競合

旧Teams(クラシックTeams)をアンインストールせずに、新しいTeamsを同じPC上で並行してインストールしている環境では、各種データの競合が生じる可能性があります。とくにキャッシュや一部のレジストリ情報が混在することで、言語設定やスペルチェックの動作制御が正しく行われていないとの報告が多々寄せられています。

3. 言語設定の不具合

英語(米国)をメインとする環境では比較的動く場合があるものの、英語(英国)や日本語、あるいはその他の多言語を同時に使っている場合にエラーが発生しやすいです。Teams内蔵のスペルチェックがWindows OS側の言語設定を正しく取得できずに、「該当言語なし」と判断してしまうのではないかと推測されます。

主な対処法とワークアラウンド

不具合の根本的な解決は、Microsoft側の公式アップデートによる修正が必須とされています。しかし、実際には長期間にわたり修正が追いついていない状況が続いています。そこで多くのユーザーが利用している暫定的な対処法やワークアラウンドを詳しく解説します。

1. キャッシュのクリアやアプリのリセットを試す

もっともシンプルなアプローチとして、新しいTeamsのキャッシュクリアを行い、アプリをリセットしてみる方法があります。具体的な手順は以下のとおりです。

  1. Windowsの「設定」→「アプリ」→「インストールされたアプリ」(または「アプリと機能」)を開く
  2. 一覧から新しいTeams(名称は「Microsoft Teams (work or school)」など)を探し、「詳細オプション(Advanced options)」を選択
  3. 「リセット(Reset)」ボタンを押してアプリをリセット

さらに、任意で下記のフォルダを手動で削除する方法も試すと効果が出る場合があります。

%userprofile%\appdata\local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams

上記フォルダを削除後にTeamsを再起動すると、スペルチェックが一時的に復活することが報告されています。ただし、これもTeams本体がアップデートされたタイミングで不具合が再発する可能性が高いです。

2. 旧Teamsに戻して使用する

旧Teams(クラシックTeams)がまだアンインストールされずに残っている場合は、切り替えて使うことでスペルチェック問題が解消されるケースが多く見受けられます。実際、旧Teamsでは新しいバージョンで発生している不具合が確認されず、従来どおり赤線と修正候補が表示されるようです。

ただし、組織によっては新しいTeamsへの移行を必須としており、旧Teamsを起動できない・削除してしまったという方にはこの方法が使えません。今後は旧Teams自体が廃止に向かうと予想されるため、長期的には別の手段を検討する必要があるでしょう。

3. 言語設定の見直し・切り替え

Windows OS側の言語設定を新しいTeamsで使う言語に合わせて整合性を取ると、改善が期待できる場合があります。具体的には、「表示言語」「キーボード入力言語」「地域(フォーマット)」などを同一の英語(米国)または英語(英国)にするなど、できるだけ単一化してからTeamsを再起動すると改善例が報告されています。

また、新Teamsの設定画面にある「スペルチェックを有効にする」オプションを一度OFFにして再起動し、再度ONにするといった手順で復活することもあるようです。ただし、多言語を使い分ける必要がある環境では、別の言語に切り替えた瞬間に再び問題が発生する可能性があります。

英語(英国)でうまくいくケース

一部のユーザーからは、英語(米国)設定では赤線が出ないのに、英語(英国)に切り替えたら正常に機能したという報告もあります。同じ「英語」でも地域差があるため、そのあたりでの内部処理に差異があるのかもしれません。もし作業に支障がなければ、英語(英国)設定を試すのも一つの手段です。

4. 新しいTeamsと旧Teamsを完全アンインストールして再インストール

より根本的な対処として、新旧Teams双方をPCから完全にアンインストールし、必要なバージョンのTeamsだけを改めて入れ直す方法があります。以下は一般的な手順例です。

  1. コントロールパネルや「設定」→「アプリ」から、新Teams・旧Teamsの両方をアンインストール
  2. PCを再起動し、キャッシュや関連ファイルがクリアされた状態にする
  3. Microsoft公式サイトから新しいTeamsまたは旧Teamsのインストーラをダウンロードしてインストール

こうしてクリーンな状態で入れ直すと、一時的にスペルチェックが正常動作する可能性があります。しかし、アップデートが自動で行われると、再び不具合が再現するケースも報告されているため、完全な解決には至らないかもしれません。

5. Web版Teamsやサードパーティツールを利用

どうしても誤字脱字を防ぎたい場合、ブラウザ版のTeamsにログインし、ブラウザ側の拡張機能(例: Grammarlyなど)を利用するという方法も挙げられます。EdgeやChromeなど、多くのブラウザには拡張機能を通じて強力なスペルチェック・文法チェック機能が備わっており、新Teamsアプリ単体の不具合を回避できるメリットがあります。

ただし、Web版Teamsには以下のような制限や注意点があります。

  • デスクトップアプリ版に比べて一部機能が制限される可能性がある(例: オフライン通知や細かい通知設定)
  • 会社のセキュリティポリシーでブラウザ版が使用禁止になっている場合がある
  • 拡張機能の利用を制限するポリシーが存在する組織では使えない場合がある

6. 多言語運用をする際の注意点

新しいTeamsで複数言語を併用するシーンでは、特定の言語しか赤線が出ず他の言語ではまったく反応しない、といった事例が多発しています。このような場合、以下のような代替策を検討しているユーザーが多いです。

  • WordやOutlookなど、別のMicrosoftアプリで文章を作成し、完成後にTeamsにコピーペーストする
  • Web版TeamsとクラシックTeamsを併用し、必要に応じてスペルチェック可能なほうで文章を作成する
  • Windowsの言語設定を頻繁に切り替えるか、レイアウトを複数用意して英語専用環境と日本語環境を使い分ける

どれも根本的な解決ではありませんが、業務の継続性を重視する上では有効な手段です。

7. 設定ファイルの直接編集(上級者向け)

ユーザーフォーラムなどでは、下記のようなフォルダ配下にある設定ファイル(PreferencesやJSONファイル)を直接編集してスペルチェックを有効にしようと試みる報告も散見されます。

%userprofile%\appdata\local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams\EBWebView\WV2Profile_tfw\Preferences

しかし、これはMicrosoft公式のサポート対象外であり、場合によってはアプリ自体が起動しなくなるリスクも伴います。あくまで自己責任の範囲となるため、ビジネス用途で安定を求めるのであれば、リスクの高い手法は避けるほうが無難です。

ワークアラウンドの比較表

実際に試されている対処法を、メリット・デメリットの視点から簡単な表にまとめます。状況に応じて自身の環境で最適な選択を行ってください。

対処法メリットデメリット
キャッシュクリア・リセット短時間で試せる。簡単な操作だけで一時復旧する事例あり。Teamsを再起動・アップデートするたび再度不具合が発生する可能性大。
旧Teamsに戻す旧Teamsは比較的安定。スペルチェックが通常通り動作する。組織によっては新Teamsへの移行が必須で戻せない。旧Teamsは将来的に廃止方向。
言語設定切り替え英語(英国)などで復活するケースも。多言語を使わない環境なら比較的維持可能。多言語利用だと再発しやすい。頻繁に変更する手間が大きい。
アプリの再インストール一度はクリーンな状態に戻り、しばらく正常動作する場合あり。アップデートが走ると再度壊れるリスク。時間と労力がかかる。
Web版Teams+拡張機能ブラウザ側のスペルチェック・文法チェック機能を利用できる。Web版に機能制限やポリシー制約がある場合も。拡張機能が使えない環境もある。
設定ファイルの直接編集細かな調整ができ、特定環境ではスペルチェックを強引に有効化できる可能性。公式サポート外で自己責任。アプリが動作不良になるリスク大。

今後の展望とまとめ

Microsoft側も新しいTeamsのスペルチェック問題を認識しており、公式ドキュメントやコミュニティフォーラムで「優先度を上げて対応中」とされています。しかし、アップデート予定時期が何度か延期されるなど、現段階では明確な解決スケジュールが発表されていません。

いま最善とされる対処法は、次のような組み合わせです。

  • キャッシュの削除やアプリのリセットをこまめに行い、一時的な復活を狙う
  • 旧Teamsが使用できるなら、そちらで作業する
  • Web版Teamsや外部のスペルチェックツール(Grammarlyなど)を併用する
  • 頻繁にアップデートが走ることを前提に、重要な文章はWord・Outlookなどで作成してから貼り付ける

企業や組織によっては、セキュリティポリシーや運用形態の都合でこれらの対策が一部しか使えない場合もあるでしょう。とはいえ、誤字脱字を頻繁にチェックする必要がある職場や、海外とのやり取りが多いグローバルな環境ではスペルチェックの重要性が高く、ユーザーにとっては切実な問題となっています。

最後に

スペルチェックは些細に見える機能ですが、業務効率やコミュニケーションの正確性に直結する重要なポイントです。現時点では、Teamsのバージョンアップを待ちつつ、状況に応じたワークアラウンドを組み合わせるしかありません。もしも周囲のユーザーや自社のIT担当者が同様の不具合に悩んでいるようであれば、本記事でご紹介した方法を試してみるとともに、定期的にMicrosoftの公式アナウンスやコミュニティ情報を確認することをおすすめします。

根本解決が待ち遠しいところではありますが、これらの暫定策を駆使することでスペルチェックをある程度カバーしつつ、新Teamsが正式に安定するのを待つというのが現実的な選択肢と言えるでしょう。

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