まるで会場に集まっているかのような一体感をオンラインで生み出せるのが、新しいMicrosoft TeamsによるTown Hallイベントです。社内全体へ重要なアナウンスを行うときなどに非常に便利ですが、初めて配信に挑戦する場合はRTMP URLやストリームキーの取得に戸惑う方もいるかもしれません。本記事では、新しいTeamsの「Town Hall」やイベント配信で役立つRTMP-In機能の具体的な設定方法と運用のコツを詳しく解説します。ぜひ、円滑なライブ配信の実現にお役立てください。
新しいTeamsでのTown Hallイベント配信の魅力と特徴
新しいMicrosoft Teamsを活用すると、管理者やホストが手軽に大規模イベントを開催できるようになっています。Town Hallやウェビナーに近い形式のイベントを実施するときは、社内外の多くの参加者へ一斉に情報を共有することが可能です。特に、以下のようなメリットが挙げられます。
大規模開催に対応した配信
新しいTeamsのTown Hall機能は、数百人から数千人規模の参加者が想定される場合にも対応可能です。従来のTeamsライブイベントよりも開催しやすい設計になっているため、多人数に対するストレスの少ない配信を行う際にとても便利です。
直感的なUIによる簡易操作
新しいTeamsのUIは、イベントホストの操作が分かりやすく整理されています。配信者が「どこをクリックして何を設定すればよいか」がパッと見てわかるようになっており、初めての方でも比較的スムーズに配信の準備を進められます。
シンプルなRTMP-In連携
高品質の映像や音声を取り込みたい場合、もしくはOBSや他の配信ソフトを用いて高度な演出を加えたいときに役立つのが「RTMP-In」機能です。TeamsにRTMPでデータを送り込むことで、外部機器を駆使したプロフェッショナルな配信にも対応しやすくなります。
Town Hallイベント用RTMP URL・ストリームキーの取得方法
ここからは、実際にRTMP URLやストリームキーを入手するための手順を具体的に解説します。Microsoft公式ドキュメントにも関連情報が掲載されていますが、この記事では日本語での流れをまとめました。環境によって多少画面表示が異なる可能性がありますが、原則として次の流れを押さえれば問題ありません。
1. ミーティングの作成
まずは通常のTeamsミーティングを設定する方法とほぼ同様に、カレンダーからミーティングを作成します。Town Hallイベントとして扱う場合も、基盤としてはTeamsミーティングをベースにします。
- Teams画面左の「カレンダー」を開きます。
- 画面右上あたりにある「新しい会議 (New meeting)」ボタンをクリックします。
- 会議名や日時、出席者など必要な情報を入力します。
- 招待先の相手にイベント情報を共有したい場合は、参加者を追加し、会議の詳細を調整します。
- 会議の招待を送信して作成を完了します。
この時点では、まだRTMPの設定は行っていません。ただし、後ほどRTMP-Inのトグルをオンにするためにも、まずは通常のミーティングが存在している必要があります。
2. RTMP-In機能の有効化
Teams上でのイベントに外部配信ツールから映像や音声を流し込みたい場合は、RTMP-Inをオンにする設定が必要です。これはミーティング詳細のオプションで設定できます。
- 作成したミーティングをカレンダーから開きます。
- ミーティングの詳細画面で「設定 (Settings)」や「詳細オプション (More options)」という項目を探します。
- 「RTMP-In」のトグルをオンにします。
- 設定を保存してミーティング詳細画面を一度閉じるか、再読み込みします。
もし「RTMP-In」の項目自体が見当たらない場合は、あなたの組織のIT管理者に確認してください。企業や団体のポリシーによっては機能が無効化されている可能性があります。管理コンソールで「RTMP-In機能を有効化」する必要があるかもしれません。
3. RTMP URLとストリームキーの確認
RTMP-Inをオンにしたあと、再度ミーティングの詳細画面やオプションを確認すると、RTMP-Inの欄に「サーバーURL (Server Ingest URL)」と「ストリームキー (Stream key)」が表示されます。外部ツールから映像を送るためには、この2つの情報が必須です。
- ミーティング詳細画面の「設定 (Settings)」→「詳細オプション (More options)」を開きます。
- RTMP-Inセクションを探し、「サーバーURL」と「ストリームキー」が記載されている部分を確認します。
- これらの情報を必要に応じてコピーし、OBSやXSplitなどの配信ソフトに貼り付けます。
ストリームキーは非常に重要な情報であり、セキュリティ上の観点から厳重に取り扱う必要があります。万が一、第三者に漏れてしまうと、不正な配信を行われる可能性もありますので注意しましょう。
RTMP-In設定のポイントと注意事項
RTMP-Inを活用することで多彩な演出ができる反面、いくつか留意しておくべき点もあります。特にイベント当日にトラブルが発生しないよう、事前に以下のポイントをチェックしておきましょう。
IT管理者に確認すべき事項
- 組織のポリシーでRTMP-Inが許可されているか
新しいTeamsの管理画面でRTMP-In機能を無効化している場合は、ユーザーがトグルを見つけられません。事前に管理者と相談し、機能が有効化されていることを確認しておきましょう。 - 外部配信ツールとの連携を想定したネットワーク設定
RTMPを用いて外部へ映像や音声を送信する場合、ファイアウォール設定やネットワークポートの解放が必要になるケースもあります。事前にネットワーク管理者と連携しておきましょう。
画質・音質の最適化
特に社外向けの重要イベントや、社内でも重役クラスが視聴するような大きなミーティングの場合は、画質や音質の質が重要です。以下の点を考慮しましょう。
- ビットレートの設定
OBSなどの配信ソフトでビットレートを高く設定しすぎると、ネットワーク環境によっては映像が途切れたり遅延が発生しやすくなります。逆に低すぎると映像が粗くなってしまうため、最適なビットレートをテスト配信で探ってください。 - 解像度の選択
一般的にはフルHD (1920×1080) が推奨されますが、ネットワーク負荷や参加者の視聴環境を考慮し、720p (1280×720) に抑えるなどの選択肢もあります。
配信前のリハーサル
最も大切なのは、イベント当日に機材トラブルや設定ミスが起きないよう、事前にテストしておくことです。少人数でリハーサルミーティングを立ち上げ、実際にRTMP-Inで外部配信ソフトを接続し、問題なく映像と音声がTeams上に取り込まれるかをチェックしておきましょう。
RTMPで接続する配信ソフトの例
RTMP URLとストリームキーを入手したら、あとは外部配信ソフトに設定を行うだけです。代表的なソフトやツールの例をいくつか紹介します。
OBS (Open Broadcaster Software)
OBSはフリーソフトでありながら高機能で、世界中のライブ配信者に愛用されています。シーンの切り替えや、ウィンドウキャプチャ・画像の挿入など幅広い表現が可能です。
- OBSの「設定」→「配信 (Stream)」タブを開きます。
- サービスの種類として「カスタム (Custom)」を選択します。
- 先ほどTeamsで取得したRTMPサーバーURLとストリームキーをそれぞれ入力します。
- 設定を保存して、配信開始ボタンを押せばTeamsのミーティングへ映像が流れ込みます。
XSplit
XSplitもOBS同様にゲーム配信やイベント配信など幅広く利用されているツールです。有料版と無料版があり、無料版でも基本機能は使えます。設定手順はOBSと類似しており、カスタムRTMPを選択してURLとキーを入力するだけでOKです。
Wirecast
放送局やプロの現場でも使われる高機能ツールで、安定した配信が望めます。操作はOBSほどシンプルではありませんが、大規模なイベントや複数カメラの切り替えなどに強みがあります。こちらもRTMP接続に対応しているため、Teams側のURLとキーをコピー&ペーストすれば簡単に連携が可能です。
表で見る:RTMP-In設定手順 まとめ
複数のステップを分かりやすく一覧にした表を参考にすると、設定ミスが防ぎやすくなります。以下の表を活用して、手順を確認してください。
手順 | 操作内容 | ポイント |
---|---|---|
1 | Teamsカレンダーから新しい会議を作成 | 会議名や時間を指定して保存 |
2 | ミーティング詳細で「RTMP-In」をオン | 管理者に機能が許可されているか要確認 |
3 | サーバーURLとストリームキーをコピー | 漏洩に注意しつつ安全に保管 |
4 | OBSなどの配信ソフトにURLとキーを入力 | ビットレート・解像度の最適化を忘れずに |
5 | テスト配信で映像と音声を確認 | トラブルを当日までに洗い出す |
よくある質問と対処法
配信を始めようとした際によく発生するトラブルや疑問点、対策法をまとめました。
RTMP-Inの設定が見つからない
これは組織レベルで機能がオフになっている場合がほとんどです。Office 365管理コンソールやTeams管理センターでRTMP-Inの機能が有効になっているか、IT管理者に問い合わせるのが確実です。
ストリームキーを間違って入力してしまった
配信ソフト側の入力ミスによる接続不良が多いです。一度ストリームキーを再発行してコピーし直すか、Teams側のキーを正確にコピーして再度入力しましょう。メモリやクリップボード管理ソフトを使っている場合、上書きに注意が必要です。
映像・音声が途切れる、または遅延が大きい
ネットワーク帯域の問題か、ビットレートの設定が高すぎる可能性があります。まずはビットレートを下げてテストし、改善が見られるか確認してください。また、会社内のネットワークを利用している場合は、同時に大容量データをダウンロードしているユーザーがいないかもチェックしましょう。
配信画面が真っ暗になる
OBSなどの配信ソフトで映像ソースが正しく設定されていないか、Teams側でRTMP-Inが受信状態になっていない可能性があります。OBSでソースにカメラやディスプレイキャプチャなどが登録されているか再度確認し、適切なシーンを選択して配信しましょう。
さらなる活用のアイデア
Town Hallイベントや大規模ウェビナーでRTMP-Inを使うメリットはたくさんありますが、その先にどのような発展形があるのかを知っておくと、企業や組織内でのコミュニケーションがさらに充実します。
リアルタイム投票システムとの連携
イベント中に視聴者の意見を瞬時に集めたい場合、外部の投票プラットフォームやアプリとの連携も検討できます。Teams内でもMicrosoft Formsを使ったアンケート機能がありますが、さらに高度なシステムを組み合わせると双方向のインタラクティブ性が高まります。
複数拠点からの中継合成
コロナ禍以降、拠点を分散させて同時に中継を行いたいというニーズが増えました。RTMP-Inで映像を集約し、Teams上で一つの配信としてまとめることで、地域や部署を超えた情報共有がスムーズになります。複数のスピーカーが遠隔地から参加する場合などにも重宝します。
動画素材やプレゼン資料の事前挿入
OBSなどのソフトを介すれば、事前に作成しておいたビデオクリップやアニメーション入りのスライドショーを流すことも容易です。単なるカメラ配信だけではなく、多彩なメディアを駆使したイベント運営を目指すと、視聴者の満足度を高められます。
運用の成功事例とアフターフォロー
実際にRTMP-Inを活用してTown Hallやウェビナーを成功させている企業は数多くあります。多拠点と連携した同時中継はもちろんのこと、収録映像を交えながら研修や製品発表会を行ったケースもあります。大切なのは、イベント終了後のアフターフォローです。
- 録画データの共有
TeamsのTown Hallは録画機能が備わっており、配信後に録画リンクを参加者や欠席者へ共有できます。これを社内ポータルに掲載しておけば、後日参照したい人も簡単にアクセスできます。 - アンケートやQ&Aの活用
イベント後にアンケートを実施し、改善点をフィードバックとして集めておくと、次回以降の配信クオリティ向上に役立ちます。Q&Aセッションの内容をまとめ、よくある質問として社内Wikiなどに掲載すると、社内ナレッジが蓄積されます。 - 社内啓発
RTMP-Inを使うと、クオリティの高い映像配信が実現できるという認知を広げるために、技術担当者から社内で勉強会を行うのも良い方法です。より多くの部署がこの機能を活用できれば、会社全体のコミュニケーションが円滑になるでしょう。
まとめと参考リンク
新しいMicrosoft TeamsでのTown Hallイベントは、従来のライブイベントよりも柔軟性が高く、気軽に大規模配信を運営できるのが特徴です。特にRTMP-In機能を使うことで、OBSなどの外部配信ソフトの豊富な演出効果を取り込むことができるため、視聴者を飽きさせない魅力的なオンラインイベントを実現できます。
イベント前に注意するべきポイントは主に以下の通りです。
- RTMP-Inが組織で有効になっているかを確認
- ミーティング詳細画面からRTMP-Inをオンにする
- サーバーURLとストリームキーの安全な管理
- 外部配信ソフトとの設定確認と事前テスト
なお、Microsoft公式のサポートページにも英語ではありますが詳細な手順やトラブルシュートが掲載されています。必要に応じて以下のリンクも参照してみてください。
円滑に配信を進められるよう、事前準備をしっかり行い、快適なTown Hallイベントを成功させましょう。
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