Microsoft Teamsで超ワイドモニター共有を快適にする5つの方法

最近はリモートワークやオンライン会議が広く普及し、Microsoft Teamsなどのツールを活用する機会が一段と増えています。こうした中で、超ワイド(曲面)モニターを使っている方が画面共有を行う際、相手側の画面に表示された共有ウィンドウが小さく見づらくなる問題に悩まされるケースも少なくありません。そこで本記事では、モニターそのものを交換しなくても、より見やすく共有するための具体策やコツを詳しくご紹介していきます。

Teamsで超ワイドモニター共有における問題の背景

超ワイド(曲面)モニターは、一般的な16:9よりも横長のアスペクト比を持つため、作業効率や没入感の向上を狙って導入する企業や個人が増えています。しかし、同じ会議に参加している相手が通常の16:9や4:3のディスプレイを使っている場合、共有された超ワイド画面は縮小され、結果的に文字やアイコンが極端に小さくなってしまいます。これはTeamsの画面共有機能が、ホスト(画面共有をする側)の解像度や表示領域をそのままストリーミングする仕組みを採用しているからです。

リモートワークの定着と超ワイドモニターの普及

近年、在宅勤務やハイブリッド勤務が当たり前のように浸透し、職場ではなく自宅環境で作業する人が増えています。これに伴い、一度に複数のウィンドウを並べて効率よく作業ができる超ワイドモニターが注目を浴びています。例えば「21:9」「32:9」といった非常に横長のモニターは、複数ディスプレイを接続する手間を省きつつも、広大な作業領域を確保できる利点があります。一方で、画面共有となると、標準的なディスプレイに合わせて縮小されてしまうため、「せっかくの大画面がうまく伝わらない」という課題が発生するわけです。

Teamsの画面共有機能の仕組み

Teamsの画面共有は「デスクトップ全体の共有」「特定のウィンドウの共有」「PowerPointライブの共有」「ホワイトボードの共有」といった複数の方法があります。このうち、モニター全体を共有する“デスクトップ共有”は最も簡単ではあるものの、解像度がそのまま配信されるため、視聴者のディスプレイ環境によっては映像が小さくなったり不自然に圧縮されたりしがちです。逆に、ウィンドウのみや特定の領域を指定する共有は視認性を向上させる可能性が高いですが、共有する前にどのウィンドウを選ぶのかを明確にしておく必要があります。ここからは実際に使える具体策をいくつかご紹介します。

解決策1: アプリケーションウィンドウのみを共有する

最初の方法として、Teamsの「画面全体」ではなく「アプリケーションウィンドウのみ」を共有するやり方が挙げられます。特定のアプリケーション、例えばWebブラウザ、Excelなどのオフィスアプリ、あるいは自社開発のソフトなど1つのウィンドウだけを共有することで、超ワイド画面全体ではなく、必要な部分だけを相手に見せることができます。

  • メリット
  • 不要な部分が映らず、参加者にとって見やすくなる
  • 共有ウィンドウ以外の作業が相手に見えないため、プライバシーやセキュリティの面でも安心
  • デメリット
  • 別のウィンドウを切り替えたい場合、再度共有し直す必要がある
  • 複数のアプリを同時に見せたい場合には不向き

実際にTeams上でウィンドウ共有を行う手順は以下のようになります。

  1. Teamsの会議画面下部にある「共有」アイコン(四角に上矢印)をクリック
  2. 「ウィンドウ」というセクションから共有したいアプリケーションウィンドウを選択
  3. 共有が開始され、選択したウィンドウのみが相手に配信される

この方法を使うだけでも、通常より大幅に見やすい状態を作れる可能性があります。特にExcelなどの細かい文字を扱うアプリケーションでは効果的でしょう。

解決策2: ウィンドウのスナップ機能を活用

Windows PCを使っている場合、ウィンドウのスナップ機能を使うと簡単にアプリケーションウィンドウを左半分や右半分に配置できます。キーボードの「Win + ←」や「Win + →」ショートカットを押すことで、選択中のウィンドウを画面の左右どちらかにピッタリはめ込むことが可能です。超ワイドモニターを使っている場合でも、あえて共有したいウィンドウを画面の半分程度に抑えることで、視聴者側にはより見やすいサイズで配信されます。

  • 具体的な設定例
手順操作結果
1Winキー + ←現在アクティブなウィンドウが左半分にスナップされる
2Winキー + →現在アクティブなウィンドウが右半分にスナップされる
3Winキー + ↑スナップされた状態から上半分に表示される(上下分割の応用)
4Winキー + ↓スナップされた状態から下半分に表示される(上下分割の応用)

半分または一部に表示されたウィンドウだけをTeamsの「ウィンドウ共有」で指定すれば、参加者側にはある程度縮尺がコントロールされた状態で映し出されるのです。

解決策3: 特定の領域だけを共有できるツールを使う

Teamsの標準機能には「特定の領域を切り取って共有する」というものはありません。しかし、サードパーティツールや画面キャプチャ系のソフトウェアを併用すれば、物理的に超ワイド画面全体ではなく、一部分だけをキャプチャして配信することが可能です。たとえば「Region to Share」といった名称のツールを使うと、以下のような流れで画面共有ができます。

  1. 自分の超ワイドモニター上で、共有したい範囲をドラッグや数値指定で選ぶ
  2. ツールがその領域だけを仮想的に別ウィンドウとして出力
  3. Teamsではその仮想ウィンドウを「アプリケーションウィンドウ」として認識し、共有する

こうしたツールを活用すると、より自由度の高いカスタマイズが可能になります。ただし、サードパーティ製のため動作が不安定な場合もあるので、導入前に試験的に使ってみることをおすすめします。

解決策4: ディスプレイ設定を「複製」にする

マルチディスプレイ環境で、超ワイドモニターと通常の16:9モニターを同時に使っている場合は、「拡張」設定ではなく「複製」設定を試すという手段もあります。Windowsの設定でディスプレイを「複製」モードにすると、両方のモニターに同じ映像が表示されるため、Teamsが共有する画面も一般的な解像度(通常のモニターの方)に固定される可能性があります。

  • メリット
  • 超ワイドをそのままではなく、標準的な解像度で共有できる
  • 接続されているモニターの解像度に合わせて映像を固定できる
  • デメリット
  • 超ワイドモニター側では解像度が引き伸ばされてしまう場合がある
  • 本来のウルトラワイドの利点を最大限には活かせない

もし超ワイドと通常モニターを使い分けているのであれば、必要に応じて一時的に「複製」モードに切り替えるのも視野に入れてみるとよいでしょう。

解決策5: 参加者への案内・コミュニケーション

意外と見落とされがちですが、単純に「こちらは超ワイド画面を利用しています。もし見づらい場合は全画面表示や拡大表示をお試しください」とアナウンスするだけでも、一定の効果があります。特にTeamsで受信側の画面をフルスクリーンモードやズーム機能で拡大することができるといった基本操作を知らない参加者も多いものです。

  • 伝えるべきポイント
  • Teamsの画面共有をフルスクリーン表示にする方法
  • Ctrlやマウスホイールなどを使ってズームする方法
  • 不鮮明な場合は解像度を調整してもらう(端末によっては設定可能な場合もある)

職場やプロジェクトチームのメンバーが固定されている場合、あらかじめ「超ワイドユーザー向けの画面共有対策マニュアル」を共有しておけば、会議中に混乱せずに済むでしょう。

快適に活用するための追加Tips

ここまで紹介した5つの解決策をうまく使うだけでも、超ワイドモニターの画面共有はかなり改善されます。さらに快適に活用するため、いくつかの追加Tipsをまとめました。

Teamsの拡大表示/全画面表示の使い方

視聴側で、Teamsの画面共有をダブルクリックするとフルスクリーン表示できることをご存知でしょうか。フルスクリーン表示にすると、端が切れずに広く映像を見ることが可能です。また、映像が小さいと感じる場合は、Ctrlキーを押しながらマウスホイールを回して拡大・縮小できる機能があるクライアントも存在します。受信側の設定やTeamsのバージョンによっては拡大機能の可否が異なる場合がありますが、基本的に「フルスクリーンにするだけでも大幅に見やすくなる」ことを相手に伝えましょう。

マルチディスプレイ時の最適な構成

もしマルチディスプレイ環境を構築しているなら、メインモニターをあえて通常の16:9モニターに設定し、会議中はそこを共有用として割り切る方法もあります。以下に例を挙げます。

  • メインモニター:16:9 1920×1080の一般的なモニター(共有用)
  • サブモニター:32:9 3840×1080のウルトラワイドモニター(自分の作業用)

こうすると、Teamsはメインモニターの解像度で画面共有を行うため、参加者には過度に横長の表示が送られにくくなります。一方で、自分はサブモニターで大量のウィンドウを並べて作業が続けられるため、一石二鳥です。会議の場面ではメインモニターに表示したアプリだけを共有し、必要に応じてサブモニターと行き来すれば、効率よく仕事ができます。

モニターの解像度とスケーリングの調整

ウルトラワイドモニターを使っている場合、OS側のディスプレイ設定でスケーリング(拡大率)を調整している方もいるでしょう。例えば125%や150%といったスケーリングをかけていると、表示自体は見やすくなりますが、Teamsで共有するときに若干のズレや文字のぼやけが生じる可能性があります。会議の直前だけスケーリングを100%に戻しておくと、よりクリアな共有画面になることがあります。

また、極端に高解像度(例:5120×1440など)を使っている場合、共有を行う前にあらかじめ解像度を下げておくことで、参加者側が見やすいサイズに落ち着く場合もあります。解像度を下げると画面全体の表示領域は減りますが、その分文字やアイコンが大きく表示されるため、視認性が向上します。

キーボードショートカットを覚える

TeamsだけでなくWindowsやMacのキーボードショートカットを覚えておくと、会議中に慌てずに操作を行うことができます。特に以下のショートカットは、ウィンドウの移動や画面の切り替えに役立ちます。

  • Windows
  • Win + D:デスクトップの表示・非表示を切り替え
  • Alt + Tab:開いているアプリケーションの切り替え
  • Win + P:ディスプレイの投影モード(拡張/複製)の切り替え
  • Ctrl + Shift + M(Teams):マイクのミュート/解除
  • Mac
  • Command + Tab:アプリケーションの切り替え
  • Control + Up:Mission Controlの表示(仮想デスクトップの切り替え)
  • Command + Shift + 4:スクリーンショットの範囲指定
  • Command + Shift + F(Teams):全画面表示の切り替え

こうした操作をスムーズにできるようになると、超ワイドモニターであれ通常モニターであれ、自分の見せたい情報を瞬時に相手に提示できるようになるでしょう。

よくある質問とトラブルシューティング

ここでは、超ワイドモニターとTeamsの画面共有に関してよく寄せられる質問と、それに対する対処法をまとめてみます。

  1. 超ワイド画面を共有すると、相手に黒い余白が多く見える
  • → 画面のアスペクト比が異なるためです。ウィンドウ共有や解像度変更など、上記で紹介した方法を検討すると解消される場合があります。
  1. 細かい文字が潰れて読めないと言われる
  • → Teamsの受信側で拡大表示にしてもらうか、共有側で解像度を下げる、またはスケーリングを調整してみると改善します。
  1. Teamsの画面共有がカクカクしてしまう
  • → 超高解像度モニターの場合、帯域幅が大きくなるため通信環境に負荷がかかります。画面共有するウィンドウの大きさをある程度絞る、ネットワーク環境を整えるなどの対策が必要です。
  1. 複数のアプリを見せたいのにウィンドウ共有だと切り替えが面倒
  • → 全体共有ではなく、必要アプリだけを順次切り替えて共有するか、仮想デスクトップを活用する方法があります。WindowsならWin + Ctrl + Dで新しいデスクトップを作り、そこに見せたいアプリをまとめる手もあります。
  1. Macで複製機能を使いたいが、Windowsのように簡単に切り替えができない
  • → macOSの場合、「システム環境設定 > ディスプレイ」で設定を調整する必要がありますが、ウィンドウ共有を中心に使う方が多いので、そちらを検討するとスムーズです。

まとめ

超ワイド(曲面)モニターでMicrosoft Teamsの画面共有を行う際、参加者側から「画面が小さくて見えない」「横長すぎて文字がつぶれる」といった声が上がるのは、アスペクト比や解像度が標準的なディスプレイとは大きく違うことに起因しています。モニターを買い換えるのは現実的でない場合でも、以下のポイントを押さえて対処すれば、快適にオンラインミーティングを進めることが可能です。

  • ウィンドウ共有やスナップ機能を駆使し、必要最低限の領域だけを映す
  • サードパーティツールで特定領域のみを切り取って共有する
  • マルチディスプレイの場合は「複製」設定を活用する
  • 参加者へ拡大表示やフルスクリーン表示を案内し、コミュニケーションを重視
  • モニター解像度やスケーリングを工夫し、相手が見やすいサイズに調整する

これらを組み合わせることで、大切な会議の場面でも資料の細部がしっかり伝わり、誤解やストレスを最小限に抑えることができます。超ワイドの没入感は作業効率アップに大きく貢献しますが、画面共有の際には少しだけ工夫をすることで、参加者全員にとってスムーズで見やすいオンラインコミュニケーションを実現できるでしょう。

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