Windows 11の複数アカウント環境で新しいTeamsを確実にインストールする方法

Windows 11 で複数の管理者アカウントを使っている方の中には、新しい Microsoft Teams がうまくインストールできずに困っている方が多いのではないでしょうか。この記事では、具体的な対処法や回避策を分かりやすく解説します。

Windows 11環境で発生するTeamsインストールエラーの概要

Windows 11は、機能面やセキュリティが強化された最新のOSとして多くのユーザーから注目を集めています。一方で、管理者アカウントを複数用いて運用している環境では、新しいMicrosoft Teamsをインストールした際に「The package is either corrupt or invalid(パッケージが破損または無効です)」というエラーが出る、あるいはインストール中に予期せぬ停止やアンインストールが正常に行えないといった問題が報告されています。特に、あるアカウントでは問題なくTeamsが動作するのに、別のアカウントではエラーが起こるという症状が顕著です。

このような状況に直面すると、Teamsを活用したオンライン会議やチャットが滞ってしまい、業務効率が大きく低下してしまいます。そこで本記事では、複数アカウント環境でTeamsをスムーズにインストール・アンインストールするための具体的なアプローチを詳しく解説していきます。Registryキーの設定からグループポリシー、TeamsBootstrapper.exeを利用する方法、SquirrelTempフォルダへの対処など、実践的なトラブルシューティングを網羅します。

エラーが起こる主な原因

Windows 11環境で複数アカウントを利用している場合、Teamsが片方のアカウントでうまくインストールできても、もう一方では失敗してしまうという現象にはいくつかの原因が考えられます。代表的な要因を以下にまとめました。

インストーラーの競合や残留ファイル

新しいTeamsクライアントを導入する際、旧バージョンのTeamsや関連ファイルが残っていると競合が発生し、インストールプロセスが正常に完了しない場合があります。また、一度失敗したインストールプロセスが中途半端に残り、アンインストーラーも正しく動作しなくなるケースも報告されています。

レジストリキーやグループポリシーの影響

企業や組織で利用されるPCの場合、グループポリシーで「非管理者によるアプリのインストールを禁止」するなどの設定が行われている可能性があります。また、Windowsのレジストリキーで、アプリのサイドロードや開発者モードに関する設定が制限されていると、Teamsのインストールを妨害する場合があります。

ユーザープロファイルのアクセス権やフォルダの問題

Windows 11では、ユーザープロファイルが厳密に管理されており、C:\Users[ユーザー名]\AppData 以下に格納されるフォルダのアクセス権が不適切な場合、インストール時に十分な書き込みが行われずエラーが発生することがあります。特にSquirrelTempフォルダが破損していると、Teamsのインストール時に問題を引き起こしやすいです。

セキュリティソフトやWindows Defenderの干渉

ウイルス対策ソフトやWindows Defenderのリアルタイム保護の設定によっては、インストールファイルが「不審な実行ファイル」としてブロックされる場合もあります。特に、新しいアプリバージョンやアップデート直後のファイルは、ウイルス定義ファイルでまだ正しく認識されておらず、誤検知されることもあります。

具体的なトラブルシューティングの手順

ここからは、複数アカウント環境でTeamsを正常にインストール・アンインストールするための具体的な方法を詳しく見ていきましょう。状況に応じて手順を組み合わせ、問題の根本原因を特定することが大切です。

1. Teamsbootstrapper.exeを使用したインストール

新しいMicrosoft Teamsを導入する際、従来のインストーラー(.msiや.exe)を使ってインストールを行うと、マルチアカウント環境で問題が起こるケースがあります。これを回避する手段として、Microsoftが提供する「Teamsbootstrapper.exe」の活用が推奨されています。

  • メリット
  • 複数のユーザーアカウントに対し、一貫性のあるインストールを実現しやすい
  • インストール完了後、アップデートまで自動的に対応する設計になっている
  • 公式ドキュメント「Bulk deploy the new Microsoft Teams desktop client – Microsoft Teams」を参照することで詳細な導入手順を確認できる
  • 手順の概要
  1. Microsoft公式サイトから「Teamsbootstrapper.exe」を入手する
  2. 管理者権限でコマンドプロンプト、もしくはPowerShellを起動する
  3. Teamsbootstrapper.exeを実行し、インストールパラメータを指定する
  4. インストール後、各ユーザーアカウントでTeamsを起動して動作確認を行う

Teamsbootstrapper.exeでは、端末全体にわたって必要ファイルやレジストリ登録が行われるため、ユーザー切り替えを行ってもTeamsが起動できないという問題が起きにくいという特徴があります。

2. レジストリキーの確認と修正

もしTeamsbootstrapper.exeを使ってもインストールがうまくいかない場合は、レジストリ設定をチェックすることをおすすめします。特に以下のレジストリキーが原因になることが多いです。

キー名または値パスの例役割
BlockNonAdminUserInstallHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Appx非管理者によるインストールを禁止する設定
AllowAllTrustedAppsHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModelUnlockストア外アプリのインストールを許可するかどうか
AllowDevelopmentWithoutDevLicenseHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModelUnlock開発者モードでのアプリインストール許可
  • 確認・修正手順
  1. Windowsキー+R で「regedit」と入力し、レジストリエディターを起動する
  2. 上記のパスを順番に開き、該当するキーや値が存在するか確認する
  3. 「BlockNonAdminUserInstall」などが有効(1)になっていれば、0 に設定して無効化する(組織のポリシーで禁止されている場合は要確認)
  4. レジストリエディターを閉じ、PCを再起動して設定を反映させる

これらのキーの設定によっては、ユーザーアカウントが管理者権限を持っていたとしても、インストールが制限されているケースがあります。特に、組織のグループポリシーが上書きしている場合は、ポリシー管理者と相談して解決策を探ることが重要です。

3. グループポリシーのチェック

企業や学校などの組織で利用しているWindows 11では、グループポリシーによりソフトウェアのインストールや更新に制限がかかっている場合があります。ローカルグループポリシーを確認したい場合は以下の手順を踏んでください。

  1. Windowsキー+R で「gpedit.msc」と入力し、ローカルグループポリシーエディターを開く
  2. 「コンピューターの構成」や「ユーザーの構成」から「管理用テンプレート」「Windowsコンポーネント」などを順に開き、Teamsのインストールに影響しそうなポリシーを探す
  3. 「アプリのインストールを許可しない」や「Microsoft Storeアプリのインストールを禁止する」などの項目が有効になっていないか確認する
  4. 必要に応じて無効にし、設定を適用のうえPCを再起動する

組織内でActive Directoryを使っている場合は、ドメインレベルのグループポリシーで一括管理されている可能性が高いです。ローカルの設定を変更してもドメインポリシーで上書きされる場合があるため、ポリシー管理者に相談しながら進めることが大切です。

4. SquirrelTempフォルダをリネームまたは削除する

Teamsインストールプロセスでよく登場する「SquirrelTemp」フォルダは、エラーが出やすいポイントの一つです。SquirrelTemp内に古いインストール情報や破損したファイルが残っていると、新たにインストールを行おうとする際に衝突が起こり、エラーを引き起こすケースがあります。

フォルダに対処する手順

  1. 該当アカウントでサインインし、Teamsを終了させる(タスクマネージャーでバックグラウンドプロセスも終了)
  2. 「C:\Users[ユーザー名]\AppData\Local\SquirrelTemp」に移動する
  3. 「SquirrelTemp」フォルダをリネーム(例:SquirrelTemp_old)するか、あるいは問題なければ削除する
  4. 再度Teamsのインストールを実行する

万が一、再インストール後に問題が解決しない場合は、同様にAppData内のTeams関連フォルダ(Teams、Microsoft、Packagesなど)を確認し、不要なキャッシュファイルなどをクリーンアップしてみましょう。

その他の対処・確認事項

上記の方法を試しても問題が解決しない場合は、以下の追加対処策も検討してみてください。

セキュリティソフトやWindows Defenderの設定

ウイルス対策ソフトが厳重に設定されている場合、未知の実行ファイルをブロックすることがあります。新しいTeamsのインストールファイルがその対象になっている可能性があるため、インストール前にセキュリティソフトのリアルタイムスキャンを一時的に無効にするか、インストールファイルをホワイトリストに登録してみると良いでしょう。Windows Defenderを使用している場合も同様に、除外設定やクラウド提供の保護機能を一時的にオフにして問題が改善するか確認します。

旧バージョンのTeamsを完全にアンインストールする

新しいTeamsをインストールする前に、既存のTeamsが不完全な形で残っていないかを確かめることが重要です。コントロールパネルの「プログラムと機能」や「アプリと機能」でTeamsが表示される場合は、通常のアンインストール操作を行い、さらに以下のフォルダやファイルも手動で削除することを推奨します。

  • C:\Users[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Teams
  • C:\Users[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Teams

完全にアンインストールできない場合は、「Program Files」配下などに残留しているTeams関連フォルダを探し出して削除を試みるか、Microsoft公式のアンインストールツールを利用して削除を行う方法もあります。

Windows Updateの適用状況を確認する

Windows 11のバージョンやビルドが古いと、最新のTeamsインストーラーと互換性がないケースがあります。Windows Updateを未適用のまま長期間放置している場合や、アップデートの途中でPCが再起動して中断された場合に予期せぬ不具合が発生することもあるため、以下の手順で更新プログラムを適用してからインストールを試みてください。

  1. 「設定」→「Windows Update」→「更新プログラムのチェック」をクリック
  2. 入手可能な更新プログラムをすべてインストール
  3. PCを再起動後、再度Teamsのインストールを実行する

Teamsのバージョンを統一する

組織内で複数のバージョンのTeamsクライアントが混在していると、ユーザー間でエラー報告や不具合の再現性が異なる場合があります。特にプレビュー版やベータ版を利用していた環境では、通常版に戻す際に正しくアンインストールが行われず問題を起こすこともあります。運用上、全ユーザーが同一バージョンを利用するようポリシーを策定することで、トラブルが減少するケースが多いです。

トラブルシューティング一覧表

複数の対処法をまとめて把握し、効率的にチェックを進めたい方向けに一覧表を用意しました。下記の表を参照して、問題の状況に応じた手順を素早く試してみてください。

手順内容注意点
Teamsbootstrapper.exeインストールMicrosoft公式ツールで新しいTeamsを一括導入管理者権限で実行。公式ドキュメントの手順を確認。
レジストリキーの確認BlockNonAdminUserInstallなどを無効化誤ったレジストリ編集はシステムトラブルの原因になるため注意。
グループポリシーの確認ローカルまたはドメインの設定でインストールが制限されていないか調べる組織ポリシーを変更する場合は管理者権限や権限者の承認が必要。
SquirrelTempフォルダの対処リネームまたは削除して再インストールインストール時に作成されるフォルダなので、削除前にTeamsを終了させる。
セキュリティソフトの確認一時的にリアルタイム保護を無効化して再試行インターネットからの脅威に注意。動作確認後は必ず再有効化する。
旧バージョンのアンインストールコントロールパネルや手動削除で完全削除フォルダやレジストリの残留物を確認。再起動後に新規インストールを実施。
Windows UpdateOSを最新の状態にアップデート再起動を忘れずに行い、途中でアップデートを中断しない。

まとめ

Windows 11のマルチアカウント環境下で、新しいMicrosoft Teamsのインストールがうまくいかず「The package is either corrupt or invalid」などのエラーが発生する場合は、さまざまな原因が複雑に絡み合っています。特にレジストリキーの設定やグループポリシー、残留しているフォルダ(SquirrelTempなど)の問題が多い傾向にあります。これらの項目を一つひとつ丁寧にチェックし、適切な修正やクリーンアップを行うことで、Teamsのインストールやアップデート、アンインストールの失敗を回避できる可能性が高まります。

もし上記の対処法をすべて試しても問題が解決しない場合は、Windows Event ViewerのログやTeamsのインストールログを確認することで詳細なエラーコードや原因を特定できるケースもあります。また、組織内であればドメインポリシーやウイルス対策ソフトの設定、ネットワーク構成など、より包括的な観点から見直すことも大切です。
しっかりと環境を整備し、複数アカウント下でも快適にTeamsを利用できるようにしておくことで、日々の業務効率やコミュニケーション品質を向上させることができるでしょう。

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