Windows 10やWindows 11に標準搭載されているGame Barは、ゲームの録画やスクリーンショット、音声の調整など便利な機能が多数集約されたツールです。手軽に使える反面、解像度の変更ができるのかどうか、なかなか分かりづらいという声も多いようです。ここでは、Game Barによる録画解像度の仕組みや設定方法、そして別解像度で録画したい場合の代替策などを詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
Game Barの基本概要
Game BarはWindowsのアクセサリ機能として提供されており、ゲーム画面のキャプチャはもちろん、音声コントロールやパフォーマンスモニタリングなど多彩な用途で利用できます。ゲーマーだけでなく、仕事や学習用に画面収録を行いたい方にも役立つ機能が揃っています。ここでは、基本的な使い方と特徴をおさらいしましょう。
Game Barとは
Game Barは、Windowsキー+Gキーで起動できるオーバーレイ型の操作パネルです。表示されるUIから、画面の録画開始/停止、マイクや音声のオン/オフなどを直感的に操作できます。
- ショートカットキー:Windowsキー+G
- 音声コントロールパネルの呼び出し
- パフォーマンスやフレームレートの表示
通常はゲームを起動しているときに活用されますが、ゲーム以外のウィンドウでも利用可能です。ただし、アプリによっては制限がある場合もあるため、事前に対応状況を確認することをおすすめします。
主な機能一覧
Game Barはただ録画するだけでなく、以下のような機能が用意されています。
- 画面録画:デスクトップやゲームウィンドウを録画
- スクリーンショット:一瞬の画面を画像として保存
- 音声調整:システム音やマイク音声のボリュームを個別に管理
- パフォーマンスモニター:CPUやGPUの使用率、フレームレートを表示
- Xbox連携:Xboxネットワークと連携して、フレンドとやりとり
これらの機能により、わざわざサードパーティ製ソフトをインストールしなくても、ある程度の録画や配信準備が手軽にできるようになっています。
録画機能の概要
Game Barでの録画機能は、基本的には次のステップで行います。
- Windowsキー+Gキーを押してGame Barを起動
- 録画メニュー(キャプチャウィジェットなど)を開く
- 赤い録画ボタンを押して録画開始
録画したファイルは、通常「PC → 動画 → キャプチャ」フォルダに保存されます(Windowsの設定によって変わる場合もあります)。ファイル形式はMP4が一般的で、編集ソフトとの相性も良く、そのままSNSにアップロードすることも容易です。
キャプチャの保存先と運用
録画した動画はデフォルトでCドライブのユーザーフォルダ配下に保存されます。動画やスクリーンショットを頻繁に撮る方は、ドライブの容量に気をつけましょう。
- ドライブ容量が逼迫している場合、[設定] → [ゲーム] → [キャプチャ]から保存先を変更可能
- OneDriveや外付けHDD/SSDを保存先に設定して容量を確保するのも有効
容量確保の工夫をすることで、録画を長時間行ってもディスクスペースを圧迫しにくくなります。
Game Barの録画解像度設定の仕組み
本題となる「Game Barで別解像度で録画できるのか」という疑問を紐解くには、まず現在のGame Barがどのように録画解像度を扱っているかを知る必要があります。結論としては、Game Barにはカスタム解像度での録画を行う設定項目がありません。具体的には、下記のようなルールで録画解像度が決定されます。
通常モードでの録画解像度
Game Barでは、使用しているディスプレイやアプリケーションの解像度が1920×1080以下の場合、基本的にそのままの解像度で録画が行われます。たとえば、ディスプレイが1280×720であれば1280×720、1600×900であれば1600×900のサイズでの録画です。
高解像度ディスプレイでの動作
ディスプレイが1920×1080を超える解像度、たとえば2560×1440(WQHD)や3840×2160(4K)などの場合、Game Barが自動的に1080p(1920×1080)にスケールダウンして録画します。そのため、4K画質をフル活用した録画をしたい場合には、Game Barだけでは対応が難しくなっています。
変更可能なパラメータ
Game Barの設定画面([設定] → [ゲーム] → [キャプチャ])では、録画品質やフレームレートなどを変更できます。しかし、これらは具体的な解像度の数値を直接指定できるものではなく、「標準」「高」などの品質プリセットやフレームレート(30fpsまたは60fps)を選択する程度です。
フレームレートとビットレート
- フレームレートは30fpsまたは60fpsが選択可能
- ビットレートは品質を「標準」「高」などで設定する形になり、実際の数値は非表示
このように、解像度自体のコントロールは現状用意されていないのがGame Barの仕様です。
別解像度での録画の現状
結論から言えば、Game Bar単体で任意の解像度を設定して録画する手段はありません。ではどうしてこのような要望が多いのか、理由を探ってみましょう。
なぜカスタム解像度が必要なのか
- ファイルサイズを抑えたい:高解像度の録画はファイルサイズが大きくなり、ストレージを圧迫します。720pや480pなど低めの解像度で録画したいケースがあります。
- パフォーマンス最適化:高解像度のまま録画するとPCへの負荷が大きく、ゲームやアプリケーションが重くなることがあります。低解像度での録画はCPU・GPUへの負荷を軽減でき、快適なプレイや操作を維持するために有効です。
- 動画編集の利便性:プロジェクトごとに特定の解像度で素材を揃えたい場面があるため、任意の解像度で録画できると編集工程がスムーズになります。
こうした需要は確かに存在しますが、Game Barに関しては公式からカスタム解像度についての明確なサポート情報が示されていません。
Microsoftの公式情報
Microsoftの公式ドキュメントでは、解像度変更に関する項目は見当たりません。現状、Game Barはあくまで汎用的・簡易的な録画機能として位置づけられており、ハイクオリティな録画や映像制作向けの機能はオプション外という印象です。将来的にアップデートされる可能性はゼロではありませんが、現時点では期待せずに他の手段を検討するほうが良いでしょう。
別解像度で録画するための代替策
「どうしても別解像度で録画したい」「Game Barでは物足りない」という方には、いくつか代わりのアプローチがあります。ここでは主に3つの方法をご紹介します。
1. 代替の録画ソフトウェアを使う
OBS StudioやBandicam、NVIDIA ShadowPlay(GeForce Experience)など、様々な録画ソフトがあります。これらのツールの多くは録画する解像度を自由に指定できます。以下は代表的なソフトの例です。
ソフト名 | 特徴 | カスタム解像度 |
---|---|---|
OBS Studio | 無料・オープンソース、配信機能が豊富 | 可能 |
Bandicam | 軽量で操作がシンプル、有料版は多機能 | 可能 |
NVIDIA ShadowPlay | NVIDIA GPUが必要、ゲーム向けに最適化 | 可能 |
AMD Adrenalin | AMD GPUが必要、同様にゲーム向けの機能あり | 可能 |
こうしたサードパーティ製ソフトを利用する場合は、インストールや初期設定が必要ですが、Game Barよりも細かなカスタマイズが可能になります。
2. Windowsの解像度を切り替えてから録画する
Game Barは表示されているディスプレイやウィンドウの解像度に合わせて録画を行います。したがって、一時的にWindowsのディスプレイ解像度自体を変更し、その状態で録画するという方法もあります。
Windows 10/11で解像度を変更する手順
- デスクトップ上で右クリックし、「ディスプレイ設定」を開く
- 「ディスプレイの解像度」から希望の解像度を選ぶ
- 「変更の維持」を選択して確定
このやり方は、ディスプレイ全体が低解像度表示になるため、文字が大きくなったり表示領域が狭くなったりします。しかし、Game Bar自体に解像度変更機能がない以上、手軽に720pや900pで録画したいのであれば有効な回避策と言えるでしょう。
3. GPUドライバの機能を利用する
グラフィックボード(GPU)によっては、ドライバ設定からカスタム解像度を作成し、その解像度でディスプレイを表示することができます。これもWindowsの解像度切り替えと考え方は似ていますが、より細かいパラメータを設定できる場合があります。
NVIDIAの場合
NVIDIAコントロールパネルを開き、「ディスプレイ」→「解像度の変更」→「カスタマイズ」から解像度を追加します。自分の望む解像度がリストにない場合でも、手動で幅・高さ・リフレッシュレートなどを指定して登録できます。
AMDの場合
AMD Radeonソフトウェア(Adrenalin)を起動し、「ディスプレイ」→「カスタム解像度」で手動設定を行います。実際に有効になるかはディスプレイやGPUの仕様によりますが、成功すればGame Barでその解像度を使用して録画することも可能です。
Game Barでのトラブルシューティング
解像度以外にも、Game Barを使って録画する際に発生しやすいトラブルをいくつかピックアップし、対処方法をまとめました。
音声が入らない場合
- マイクがミュートになっていないか:Game Barのオーディオパネルでマイク欄をオンにする
- サウンド設定の見直し:Windowsの「サウンド設定」で既定の録音デバイスが正しく設定されているか確認
- ヘッドセットの接続:USBヘッドセットやBluetoothデバイスの場合、Game Barの録音設定と競合する可能性あり
フレームレートが低下する場合
- PC負荷の確認:CPUやGPUの使用率が高すぎるときは、他のタスクを終了して負荷を下げる
- 画面の解像度を下げる:録画時に解像度を下げるとPC負荷を軽減できる(Windows設定またはGPU設定から行う)
- 外部ストレージの速度:外付けHDDやUSBメモリなど、書き込み速度が遅い場所に直接録画しているとフレームレートが不安定になる場合がある
録画が開始できない場合
- 対応外アプリの可能性:特定のアプリやゲームではGame Barでの録画がブロックされていることがある
- アップデートの確認:Windows UpdateやMicrosoft Storeの更新を行い、Game Barを最新バージョンに保つ
- Xbox Game Barのリセット:設定→アプリ→Xbox Game Bar→詳細オプション→リセットを実行すると不具合が解消される場合がある
将来の展望とまとめ
Game BarはWindows標準機能でありながら、録画や音声管理、Xboxネットワークとの連携など幅広い機能を持つツールです。しかし、現状では解像度を自由に設定して録画する機能は実装されておらず、別解像度が必要な場合はWindows自体の解像度変更、GPUドライバのカスタム解像度設定、あるいはOBSやBandicamなど外部ソフトを利用するのが近道です。
Microsoftが今後のアップデートでGame Barにカスタム解像度録画機能を追加するかどうかは明言されていません。性能や利便性を重視する場合は、あらかじめ代替ツールを検討しておくと安心です。
自分にとって最適な方法を選びながら、快適にゲームやPC画面の録画を楽しんでみてください。Game Barは操作が簡単なので、まずは標準解像度で問題ないか試してみるのもおすすめです。解像度を優先する場合は、今回ご紹介した他のアプローチをぜひ活用して、理想のキャプチャ環境を整えていきましょう。
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