Surface Go 2を愛用している方々にとって、マイクが正常に機能しない状況はオンライン会議や録音のクオリティを大きく左右するため、なかなか無視できない問題です。マイクアレイがきちんと認識されているにもかかわらず音声を拾わない、あるいは「接続されていない」と表示されてしまう場合、原因は設定やドライバー、あるいはUEFIなどの多岐にわたります。本記事では、こうしたマイクアレイの不具合を解消するために具体的なチェックポイントから最終手段としての再インストールまでを丁寧に解説していきます。
Surface Go 2のマイクアレイ問題の主な原因
Surface Go 2のマイクアレイが利用できなくなる原因は、単純な設定ミスからWindowsの大型アップデート後にドライバーが適切に反映されないケースなど、さまざまです。以下では想定される主な原因をいくつか挙げ、それぞれを掘り下げながら確認していきます。
1. Windowsアップデートによるドライバー不整合
Windowsアップデートが実施されると、従来正常に機能していたドライバーとの互換性が崩れることがあります。特にSurfaceのように専用ドライバーやファームウェアが頻繁に更新されるデバイスでは、アップデートのタイミングで古いドライバーが残ってしまい、新しいOSバージョンと噛み合わない可能性が高いです。
2. UEFI設定の変更や初期設定の乱れ
Surface Go 2のUEFI(旧BIOSに相当する機能)では、オンボードオーディオの設定を有効・無効に切り替えることができます。何らかの拍子にオフになっていたり、UEFIの設定が乱れたことでマイクアレイを正しく検出できない場合があります。
3. マイクのプライバシー設定の誤り
Windowsには、アプリがマイクにアクセスできるかどうかを制御するプライバシー設定が存在します。ここが無効になっていると、ZoomやTeamsなどのビデオ会議アプリやサウンドレコーダーがマイク情報を利用できません。気づかないうちに設定が変わっているケースもあるため、見落としがちです。
4. 物理的な不調や接触不良
Surface Go 2のマイクアレイは内蔵であるため、接触不良という概念は少ないものの、落下や衝撃、あるいは水濡れなどによって実際にハードウェアが損傷している可能性もゼロではありません。ソフトウェア面の対策ではどうにもならない物理的トラブルであれば、修理や交換を検討する必要があります。
チェックリストでマイクトラブルを一気に把握
マイクアレイのトラブルは原因が多岐にわたるため、段階的に対処していくのがおすすめです。以下の表では、代表的なチェック項目と具体的な対処方法をまとめました。
チェック項目 | 具体的な対処方法 |
---|---|
Windowsのプライバシー設定 | 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「マイク」から、アプリがマイクにアクセスできることを確認 |
ドライバーの更新状況 | 「デバイス マネージャー」でマイクアレイを選択→「ドライバーの更新」を実行、または最新のSurfaceファームウェアをインストール |
UEFI設定 | Surfaceの電源ボタン+音量アップボタンを押して起動→「Devices」からオンボードオーディオの有効/無効を確認 |
Windowsのトラブルシューティング | 「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティング」から「オーディオの録音」を実行 |
物理的な不具合 | ヘッドセットや外部マイクで問題が再現しない場合、内蔵マイクの故障を疑いサポートへ連絡 |
上記のチェックリストを順番に試していくことで、大多数のマイクアレイ関連の問題は解消するはずです。ここからは、より詳細な手順をステップごとに解説していきます。
ステップ1:Surface専用ドライバー・ファームウェアの再インストール
多くの場合、最新のドライバーやファームウェアを適用することでマイクアレイが再び正常に動作するようになります。手動で公式サイトからダウンロードする手順を押さえておきましょう。
1-1. Microsoft公式サイトからドライバーを入手
- ブラウザで「Surface Go 2 Drivers and Firmware」と検索
- Microsoft公式ダウンロードページにアクセス
- ご使用のWindowsバージョン(例:Windows 10、Windows 11)に合ったドライバーパッケージをダウンロード
1-2. ダウンロードファイルのインストール手順
- ダウンロードしたMSIファイルをダブルクリックしてインストーラーを起動
- 画面の指示に従ってインストールを完了
- 完了後、必ず再起動を実施
再起動後にマイクアレイが正常に動作するかどうかを確認してください。特に大規模なWindowsアップデート直後に不具合が発生した場合は、この手動インストールで解決するケースが多いです。
ステップ2:UEFI (Surface UEFI) の設定確認
Surface Go 2は、電源を入れる際に「電源ボタン+音量アップボタン」を長押しすることでUEFI画面にアクセスできます。ここでの設定がオフになっていると、Windows上からマイクアレイを認識できなくなることがあります。
2-1. UEFI画面へのアクセス方法
- Surfaceの電源を完全に切る
- 音量アップボタンを押しながら、電源ボタンを押して離さず、Surfaceロゴが表示されるまで待機
- UEFI画面が表示されたら、音量アップボタンを離す
2-2. 「Devices」メニューでオーディオをチェック
UEFI画面上で「Devices」などのタブを開くと、オンボードオーディオの設定項目があります。
- Enabled(有効)になっている場合:一度Disabled(無効)に変更して、もう一度Enabledに戻す
- Disabled(無効)になっている場合:Enabledに変更
設定を変更したら保存してUEFIを終了し、Windowsを起動した後にマイクアレイが認識されるか確認しましょう。
ステップ3:Windowsの設定やトラブルシューティングを再度実施
すでにトラブルシューティングを行ったという方でも、設定変更やドライバーの再更新後に改めて実施すると改善する場合があります。プライバシー設定やアプリのアクセス許可などもポイントです。
3-1. Windowsのトラブルシューティングを活用
- スタートメニュー → 設定 → システム → トラブルシューティング
- その他のトラブルシューティングから「オーディオの録音」を選択
- 画面の指示に沿って診断・修復を進める
この手順によって、Windows側でマイクを誤って無効化していないかやドライバーの問題を自動検出してくれることがあります。
3-2. マイクのプライバシーとアプリのアクセス権
- 設定 → プライバシーとセキュリティ → マイク
- 「アプリがマイクにアクセスできるようにする」がオンになっているか確認
- 「デスクトップアプリがマイクにアクセスできるようにする」もオンになっているか確認
もし特定のアプリ(ZoomやTeamsなど)だけがマイクを認識しない場合は、アプリレベルのアクセス権設定をチェックしてください。
ステップ4:Windowsシステムファイルの修復を試す
Windowsアップデートやドライバーのインストール時に、システムファイルに破損や不整合が生じるとマイクアレイが正常動作しなくなることがあります。以下のコマンドを用いてシステムファイルを修復してみてください。
4-1. SFCおよびDISMコマンド
- スタートメニューから「Windowsターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を開く
- 以下のコマンドを順番に実行
sfc /scannow
SFC(システムファイルチェッカー)が破損したファイルを検出し、自動的に修復を試みます。完了したら再起動してください。
次に、DISMコマンドを実行してWindowsイメージの整合性を確認し、修復します。
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
こちらも完了まで時間がかかる場合があります。修復が完了したらシステムを再起動し、マイクアレイが機能するかを確認してください。
ステップ5:最終的にMicrosoftサポートへの連絡や修理を検討
ドライバー更新やUEFI設定、トラブルシューティングを行っても改善しない場合は、実際にデバイスのハードウェア側に問題がある可能性が高まります。
5-1. Microsoftサポートへの問い合わせ
- Microsoft公式サイトのサポートページからチャットもしくは電話で連絡
- エラーの詳細や実施した対処法を伝える
- 追加の指示や、修理・交換の判断について確認
サポート窓口ではリモート診断や詳細なログを確認できる場合もあるため、自己判断で見落としていた問題点が特定されるケースも少なくありません。
5-2. 修理や交換の判断
ハードウェア自体が故障している場合、修理より交換の方がコストや時間面で効率が良いこともあります。Surfaceの製品保証期間内であれば、無償での修理や交換が可能な場合もあるので、保証期間を確認しておきましょう。
ステップ6:Windowsの再インストール(またはリセット)
上記の手順をすべて試してもマイクアレイの不具合が解決しない場合は、Windows自体を再インストールする、あるいはリセット機能を使うのも有効な方法です。これによってシステム関連のファイルやレジストリ設定が正常な状態に戻るため、ソフトウェア的な問題は一掃されることが期待できます。
6-1. 再インストールまたはリセットの準備
- 必要なデータのバックアップを取得(OneDriveや外付けHDDを利用)
- インストールメディアが必要な場合は、Microsoft公式の「メディア作成ツール」などを利用
- 製品キーやライセンス情報が必要になる場合に備えてメモを残す
6-2. Windowsリセットの実行手順
- 設定 → システム → 回復
- 「このPCをリセットする」を選択
- 「個人用ファイルを保持する」「すべて削除する」を選択できるので、まずは「個人用ファイルを保持する」を推奨
- 指示に従って再インストールを進める
再インストール後、WindowsアップデートやSurfaceドライバーのインストールを順番に行い、マイクアレイが問題なく使えるか確認してください。
再発を防ぐためのポイント
ここまで紹介した対処法でマイクアレイの不具合が解消したとしても、またすぐに同じ問題が起こってしまっては本末転倒です。再発を防ぐために、以下のポイントを意識して運用を行いましょう。
1. 定期的なドライバー更新のチェック
Windowsアップデートに任せきりにせず、Surface用のドライバー更新を公式サイトで定期的に確認するのが重要です。最新ドライバーの更新情報は自動的に適用されない場合もあるため、手動での確認が安心につながります。
2. Windowsアップデート前後の動作確認
大型アップデートや機能アップデートが実施されるたびに、マイクが正常に動作するかを確認しておくと、不具合発生時に原因を特定しやすくなります。アップデート直後であれば、アップデートとの関連性を疑いやすいので早めの対処が可能です。
3. アプリごとのマイク設定も怠らない
Zoom、Teams、Skypeなどのビデオ会議アプリや音声録音アプリは、それぞれアプリ内にも音声設定があります。アプリのアップデートや再インストールの際、環境設定が初期化されていることもあるため、改めてマイクが選択されているかどうかをチェックしましょう。
まとめ:根気強いチェックでSurface Go 2のマイクアレイを復旧させよう
Surface Go 2のマイクアレイが検出されているのに音が拾えない、もしくは「接続されていない」と表示される問題は、Windows側の設定やドライバーの不整合からUEFIの設定不備、ハードウェア的な故障まで原因はさまざまです。しかし、段階的に対処していくことで大抵のケースは解決へと導くことができます。
- Surface専用ドライバーの再インストール
- UEFI設定の確認・オンボードオーディオの有効化
- Windowsのトラブルシューティング・プライバシー設定の見直し
- システムファイル修復(SFC / DISM)
- Microsoftサポートへの連絡・修理検討
- Windowsの再インストール(リセット)
これらの手順を踏むことで、ソフトウェア面の問題であればほぼ確実に解消できます。万が一ハードウェアに問題がある場合は修理や交換が必要となりますが、公式サポートに問い合わせることで迅速に対応してもらえるでしょう。オンライン会議や在宅ワークでの使用機会が増える現代では、マイクアレイの安定稼働は欠かせません。定期的なメンテナンスやアップデートチェックを行い、快適な音声環境を維持していきましょう。
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