パソコン作業をするうえで、外部モニターの利用は生産性や視認性を大きく高めてくれます。特にSurface Pro 6をお使いの方は、ノートPCのように使える利便性と高解像度のディスプレイを活かしながらも、さらに大型モニターを接続することで作業効率を一気に向上させられます。ただし、外部モニターへの出力設定やケーブルの仕様によっては思わぬ接続トラブルが起こる場合があります。ここでは、LG 27MQ450に交換した際に「Out of Range」と表示されて接続できなくなった問題を中心に、解像度やリフレッシュレートの調整方法、アダプターの選定基準など、具体的な対策をご紹介します。
Surface Pro 6とモニターを接続する際の基本チェック
Surface Pro 6で外部モニターを使う場合、最初に注目すべきは接続ポートとアダプター、そして解像度設定です。初期状態ではSurface Pro 6はMini DisplayPort(ミニ)を搭載しており、HDMI接続をするためにはMini DisplayPort(ミニ)-HDMIアダプターが必要です。ここを正しく理解しておかないと、ケーブルの不一致や規格違いによって映像が出力されないことが多々あります。
Mini DisplayPort(ミニ) – HDMIアダプターの基本
Mini DisplayPort(ミニ)端子はApple製品や一部のWindowsノートPC、Surfaceシリーズで採用されているコンパクトなディスプレイ出力端子です。外部モニターがHDMIのみ対応という場合、以下のような点に注意が必要です。
- アダプターが4Kや高リフレッシュレートに対応しているか
- HDCPなどの著作権保護技術に対応しているか
- ケーブルの不具合や断線がないか
LG 27MQ450はフルHD(1920×1080)での利用が前提となりますが、仮に4K出力用のアダプターを利用していても、解像度設定が合わないまま接続すると「Out of Range」エラーが表示されるケースがあります。
アダプターの選定ポイント
接続トラブルを回避するには、以下の点を考慮してアダプターを選ぶと安心です。
- 最大対応解像度:1920×1080(フルHD)以上
- 対応リフレッシュレート:60Hz以上を推奨
- 信頼性のあるブランドやメーカーの製品
特に海外製の安価なアダプターを利用すると、正常に表示されない・すぐに映らなくなるといった不具合に見舞われやすいので注意しましょう。
「Out of Range」エラーが出る原因と解決策
LG 27MQ450をSurface Pro 6に接続したとき、モニター側で「Out of Range」と表示されるのは、主に映像信号がモニターの対応範囲を超えているためです。解像度やリフレッシュレート、周波数の設定が高すぎたり、互換性のない信号が出力されていたりすることが主な要因となります。解決策としては、事前にSurface Pro 6側の設定を適切に変更することが重要です。
事前に解像度を下げる方法
Surface Pro 6は標準で2736×1824といった高解像度を使用していますが、外部モニターによっては対応できないことがあります。特にフルHD(1920×1080)に対応しているモニターであれば、以下の手順で設定しておくとスムーズです。
- 外部モニターを外した状態で、Surface Pro 6の「設定」→「システム」→「ディスプレイ」を開きます。
- 「拡張ディスプレイの表示設定」などから解像度を1920×1080に変更します。
- リフレッシュレートが高く設定されている場合は60Hzに調整します。
- 設定を適用してから外部モニターを接続すると、LGモニターが「Out of Range」とならず表示される可能性が高まります。
Windows + Pキーの活用
モニター接続後にSurface側の画面が真っ暗になり、操作できなくなることがあります。その場合、キーボードの「Windowsキー + P」を押すことで、表示モードの切り替えメニューを表示できます。ここで以下のモードを選択することで、状況に応じたトラブルシューティングが可能です。
- PC画面のみ:外部モニターには表示されず、Surfaceの画面だけで作業
- 複製:Surfaceの画面と外部モニターで同じ映像
- 拡張:Surfaceの画面と外部モニターで別々に作業領域を確保
- セカンドスクリーンのみ:外部モニターだけで表示
この切り替えを行うことで、一時的にSurface側の画面表示を確保して解像度設定を変更できる可能性があります。
外部モニターが正常に映らないときの追加対処法
解像度やリフレッシュレートを合わせても映らない場合、Surface Pro 6自体のドライバー問題やモニター側の設定ミスが原因となっている可能性があります。以下では、より詳細なトラブルシューティングの方法について解説します。
ドライバーやWindows Updateの確認
Surface Pro 6は専用のファームウェアやグラフィックスドライバーが提供されています。次のような手順でドライバーが最新かどうかチェックしましょう。
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」を開く。
- 利用可能な更新プログラムがあれば、すべてインストールする。
- 必要に応じて「オプションの更新プログラム」からデバイスドライバーも更新。
Surface用のドライバーが古いと、外部モニターが認識されにくかったり、解像度が正しく設定できないケースが増えます。
PowerShellで更新状態を確認する例
Windows PowerShellでシステム情報を確認したり、更新プログラムのインストール状況をチェックすることができます。以下は簡単な例です。
# システム情報を表示
Get-ComputerInfo | Select-Object WindowsProductName, WindowsVersion, OsHardwareAbstractionLayer
# インストール済みの更新プログラムを一覧表示
Get-HotFix
上記コマンドを実行することで、Windowsのバージョンやパッチの適用状況を把握できます。もし最新の更新プログラムが当たっていない場合は、アップデートを行ったうえで再度モニターを接続してみましょう。
モニター側の設定の見直し
LG 27MQ450などの最新モニターは、メニューから入力ソースの設定やリフレッシュレート、カラー設定などを調整できる機能を備えています。HDMIポートが複数ある場合は、異なるポートに接続してみるのも1つの手です。また、モニターの設定で「自動入力選択」がオフになっている場合は、手動でHDMI入力を選択する必要があります。
モニターのリセット
モニターの設定を大幅に変更している場合は、モニターのOSD(On Screen Display)メニューから「工場出荷時設定にリセット」などを行うと、デフォルト設定に戻るため映像が正しく認識されることがあります。
ケーブルやアダプターにまつわるトラブルシューティング
外部モニターが映らない場合、最も多い原因は物理的なケーブルやコネクターの問題とも言われます。Mini DisplayPort(ミニ)-HDMIアダプターはコンパクトながら故障や断線が起こりやすく、特に毎回抜き差しを頻繁に行うと接触不良を起こすことが少なくありません。
別のアダプター・ケーブルを試す
同じMini DisplayPort(ミニ)-HDMIアダプターを使い続けている場合、他のPCや他のモニターでも同様に問題が出るかを試すことで、アダプターの故障かどうかを切り分けることができます。もし他のPCで問題なく映る場合はSurface Pro 6の設定やドライバーに問題があり、他のPCでも映らない場合はアダプターやケーブルが原因と考えられます。
HDMIケーブルのバージョン
HDMIケーブルには1.4、2.0、2.1といったバージョンが存在し、それによって対応できる解像度やリフレッシュレートが異なります。フルHD(1920×1080)で60Hzの表示が目的なら、HDMI1.4対応のケーブルでも概ね問題ありませんが、4K出力や高リフレッシュレートを想定している場合は少なくともHDMI2.0以上に対応しているケーブルが望ましいです。
モニター利用時の設定をさらにカスタマイズする方法
単純に解像度やリフレッシュレートを合わせるだけでなく、Surface Pro 6の設定を細かく調整して外部モニター利用の快適性を高めることもできます。
拡張モードでの配置設定
拡張モードを使用する場合、Windowsの「ディスプレイ設定」画面でモニターの配置を左右や上下などに変更できます。視線移動を最小限にするためにも、自分の好みの配置にドラッグ&ドロップで調整しておきましょう。
スケーリング設定
Surface Pro 6は高解像度を搭載しているため、Windowsの表示スケーリングが既定で200%程度に設定されていることがあります。外部モニターに表示がぼやけたりテキストが大きすぎたりする場合は、スケーリング割合を変更してみるとクリアな映像と最適な文字サイズを得られることがあります。
解像度選択の早見表
下記はSurface Pro 6とLG 27MQ450を接続する際に、主な解像度・リフレッシュレートのおすすめ設定をまとめた表です。実際にはモニターの対応範囲や個々の好みによりますが、参考としてご確認ください。
解像度 | リフレッシュレート | 表示の目安 |
---|---|---|
1920×1080 (FHD) | 60Hz | LG 27MQ450の標準的な設定。文字もくっきり表示されやすい |
1280×720 (HD) | 60Hz | より低解像度だが、エラー回避や動作テスト時に有効 |
2560×1440 (WQHD) | 60Hz | モニターによっては非対応の場合もあり、Out of Rangeの原因になりやすい |
3840×2160 (4K) | 30Hz/60Hz | LG 27MQ450が4Kに非対応なら、この設定は選択しない方が無難 |
Surface Pro 6とLGモニターを快適に使うためのヒント
上記の設定方法を行っても「Out of Range」や表示不良が改善しない場合、さらに下記のポイントをチェックしてみてください。
Windowsのクリーンブートを試す
外部モニターとSurfaceの組み合わせによる不具合は、他の常駐ソフトやドライバーとの競合が原因の場合もあります。クリーンブート(不要なサービスを停止してWindowsを起動)を行うことで問題が解決するケースも少なくありません。
クリーンブート手順(概要)
- 「ファイル名を指定して実行」(Win+R)で「msconfig」と入力し、「システム構成」を開く。
- 「サービス」タブで「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェックを入れ、「すべて無効」をクリック。
- 「スタートアップ」タブで「タスク マネージャーを開く」をクリックし、不要なスタートアップを無効化。
- 再起動後、外部モニター接続をテスト。
クリーンブートで解決したら、原因のサービスやドライバーを特定して常駐を止めるかアップデートを行うことで再発を防ぎやすくなります。
カラープロファイルやHDR設定の見直し
LG 27MQ450など近年のモニターはカラープロファイルやHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応している場合があります。Surface Pro 6の設定でHDRをオンにしてもモニターがHDR非対応だとトラブルの原因になることがあります。モニターの仕様を確認し、HDRを無効化してみるのも一つの手段です。
まとめ:まずは解像度とリフレッシュレートを合わせよう
Surface Pro 6とLG 27MQ450の接続で「Out of Range」エラーを回避するためには、事前にSurface Pro 6側で解像度を1920×1080などモニターの推奨解像度に合わせ、リフレッシュレートを60Hz程度に設定しておくことが最も重要なポイントです。さらに、アダプターやHDMIケーブルの規格を確認し、故障の可能性を排除することで、より快適なマルチディスプレイ環境を構築できます。
接続に問題があるときは、Windows + Pキーで表示モードを切り替えてみる、ドライバーを更新する、モニターの入力ソース設定を見直すなど、基本的なトラブルシューティングを進めましょう。それでもうまくいかない場合は、クリーンブートや外部デバイスの取り外しを行ってソフトウェア面の衝突を排除するといった手段も検討してください。最終的にどうしても映らない場合は、別のモニターで問題が再現するかどうかを確かめ、Surface側・モニター側・アダプター側、いずれが原因なのかを切り分けることが欠かせません。
環境が整えば、Surface Pro 6とLG 27MQ450の組み合わせは、大画面で作業できる利便性と、モバイル的な持ち運びの自由度を両立させる理想的なワークスタイルを実現します。適切な設定さえ行えば、手軽に快適なマルチディスプレイ環境を作り出せるはずです。
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