Surface Studio 2+を利用している方の中には、内蔵カメラの映像が突然90度回転して表示されてしまい、思わぬ戸惑いを感じている方もいるでしょう。本記事では、このカメラ回転問題の原因や具体的な解決策、ドライバーの扱い方などを分かりやすく解説していきます。快適な作業環境を取り戻すためのヒントが満載なので、ぜひ最後までご覧ください。
Surface Studio 2+の内蔵カメラが90度回転する問題とは
Surface Studio 2+は、高性能なオールインワン型PCとして多くのクリエイターやビジネスパーソンに愛用されています。しかし、Windows Updateによる自動配信でNVIDIAの新しいドライバーが適用された際、内蔵カメラ映像が通常の横向き(ランドスケープ)ではなく、縦方向(ポートレート)に90度回転して映ってしまう不具合が報告されています。
この問題は、WindowsのカメラアプリやWindows Helloなど、カメラを使用する機能全般で発生し、プライバシーや顔認証の利便性にも影響を及ぼす可能性があります。そこでまずは、問題が起きた際に試すべき対処法を順を追って見ていきましょう。
原因の背景
通常、Webカメラの向きはデバイスの物理的な配置情報やドライバーの設定情報によって管理されます。Surface Studio 2+のディスプレイが回転する設計ではないにもかかわらず、カメラ映像が回転してしまうのは、以下のような要因が複合的に絡んでいる可能性があります。
- Windows Updateの配信で誤ったカメラの向き設定を含んだ新しいNVIDIAディスプレイドライバーが導入された
- カメラドライバーとディスプレイドライバーの設定ファイルに互換性の問題が生じた
- WindowsのカメラAPIで回転情報を正しく認識できなくなっている
このようなソフトウェアの不整合により、本来ランドスケープであるはずの映像が90度回転してしまう現象が発生します。
Windows Updateの自動配信について
Windows環境では、OSやドライバーの更新は基本的にWindows Updateを通じて自動的に行われます。安全性や最新機能を利用できるメリットがある一方、意図しない不具合を引き起こす可能性も否定できません。今回のSurface Studio 2+カメラ回転問題は、Windows Updateで誤った回転設定を含むドライバーが配信されたことが原因と考えられています。
カメラの不具合に対する基本的なトラブルシューティング
まずは、一般的なカメラのトラブルシューティングを行い、不具合の切り分けをしましょう。以下の手順を実施して改善が見られない場合は、さらに詳細な対策に進むことをおすすめします。
[Get Help]アプリの自動診断ツールを利用
Windows 11を含む最近のWindows環境では、[Get Help]というサポート向けアプリが標準インストールされています。
- 検索バーに「Get Help」と入力してアプリを起動
- カメラに関する問題を選択し、指示に従って診断を進める
この自動診断ツールがシステムの設定不具合を検知し、修正してくれる場合があります。特に簡単に試せる方法なので、まず最初に試みる価値があります。
プライバシー設定の確認
Windowsでは、アプリごとにカメラへのアクセス許可が設定されています。もし何らかの理由でアクセスがブロックされていれば、映像が正しく取得できない可能性もあります。
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「カメラ」を開く
- 目的のアプリがカメラへのアクセスを「オン」に設定されているか確認
この基本的な設定がオフになっていると、映像のプレビューが回転以前にそもそも表示されないなど、他の問題を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
ドライバー周りの対策:ロールバックやブロックの手順
カメラやディスプレイに関わるドライバーに問題があると見られる場合、もっとも効果的なアプローチは「ドライバーのバージョンを戻す(ロールバック)」ことです。今回の事象では、特定バージョンのNVIDIAドライバーによってカメラ回転の不具合が生じているとの報告が複数確認されています。
ドライバーのロールバック手順
- キー操作で「Windows + X」を押し、「デバイスマネージャー」を選択
- 「カメラ」または「ディスプレイアダプター」内の該当デバイス(NVIDIA GPUなど)を右クリック
- 「プロパティ」を選び、「ドライバー」タブを開く
- 「ドライバーのロールバック」ボタンが有効になっていればクリックして、以前のバージョンに戻す
ロールバックが完了したらPCを再起動し、カメラアプリやWindows Helloで問題が解消されているか確認します。もしこれで改善しない場合は、別の古いドライバーを公式サイトから入手してインストールする方法も検討するとよいでしょう。
問題ドライバーの自動インストールをブロック:wushowhide.diagcab
ドライバーをロールバックしても、再びWindows Updateが同じ問題のあるドライバーを自動的にインストールしてしまう場合があります。その場合、Microsoftが提供している「wushowhide.diagcab」ツールを使用して、問題のドライバーを一時的に非表示にする方法があります。
- Microsoftの公式サポートページから「wushowhide.diagcab」を入手
- ツールを起動し、ドライバー更新の一覧が表示されたら問題のドライバーを選択して「非表示」に設定
これにより、自動インストールを回避し、安定したドライバー環境を保つことが可能です。ただし、新しいバージョンのドライバーが公開されると再度更新が実行される可能性があるため、定期的に手動で更新をチェックし、不具合の修正が含まれているドライバーを見極める必要があります。
非表示にするメリットとデメリット
- メリット: 問題のあるドライバーが再度導入されず、安定した状態を維持しやすい
- デメリット: 必要なセキュリティアップデートやパフォーマンス向上が含まれる場合にもアップデートを受け取りづらい
そのため、更新の非表示はあくまで「一時的な回避策」として捉え、定期的に最新ドライバーの情報を収集し、問題が解決したバージョンに切り替えていくことが望ましいです。
リカバリイメージによる再セットアップとその限界
万策尽きて、いっそのことシステムを初期化したいというケースもあるかもしれません。Surface Studio 2+にはリカバリイメージを用いた初期化機能が用意されていますが、この方法でもWindows Updateが自動的に問題のあるドライバーを再度インストールしてしまう可能性があります。
再セットアップの流れ
- 重要なデータをバックアップ
- Microsoft公式のSurfaceリカバリイメージをダウンロード
- USBメディアなどから起動してシステムを初期化
この手順を踏むことで、一時的に工場出荷時に近い状態へ戻すことができます。しかし、Windows Updateの自動インストールを許可している限り、問題のドライバーがまた導入される可能性が高いです。したがって、初期化後も「wushowhide.diagcab」などでドライバーをブロックする方法が有効となります。
2024年7月23日配信の更新における最終的な修正
Microsoftの「Surface Studio 2+ Update History」によると、2024年7月23日に配信されたドライバーアップデートで、本問題(カメラの90度回転不具合)が修正されたとアナウンスされています。したがって、現時点で最新版のWindows Updateを適用し、更新プログラムをすべてインストールすることで問題が解決する可能性が非常に高いです。
最新アップデートの確認手順
- 「設定」→「Windows Update」を開く
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- 利用可能な更新プログラムがあれば、すべてダウンロードとインストールを実行
- 再起動後、カメラアプリなどで現象が改善しているかを確認
実際にアップデートが反映されても、すぐにカメラが正常な向きに戻る場合と、ドライバーの適用タイミングで1回~2回の再起動が必要な場合があります。最新バージョンで同じ現象が続くようであれば、ドライバーのバージョンを再度確認し、改めてMicrosoftの公式情報を参照してください。
具体的なドライバー状況を比較:表による一覧
以下のように、表を用いて問題のあるドライバーと改善版ドライバーを比較してみましょう。
ドライバー名 | バージョン | 配信元 | 不具合の有無 |
---|---|---|---|
NVIDIA ディスプレイドライバー | 31.0.15.3713 | Windows Update | カメラ映像が90度回転する可能性 |
NVIDIA ディスプレイドライバー | 31.x.x.x (改善版) | Windows Update / Microsoft Update Catalog | 修正済み |
Surface カメラドライバー | バージョン不定 | Microsoft | 回転不具合への影響は少ない |
現在のところ、NVIDIAディスプレイドライバーが主な原因とされていますが、カメラドライバーだけでなく、ほかのWindowsコンポーネントとの関連で再現する事例も報告されています。そのため、上記のようにドライバーのバージョンをきちんと押さえておくと問題解決がスムーズになります。
長期的な視点からの対策と注意点
一度は問題が解消しても、長期的な運用では新しいドライバーアップデートが繰り返し配信される可能性があります。Surface Studio 2+を長く使ううえで、以下の点も考慮しておくと安心です。
ドライバー更新のタイミングを手動に切り替える
Windows Updateの設定で、ドライバー更新を自動的に適用しないように調整する方法もあります。ただし、セキュリティアップデートは常に最新に保つことが推奨されるため、ドライバーのみに限定して手動更新へ切り替えるのがベターです。グループポリシーエディターやレジストリ設定を用いることで、より詳細な制御が可能になります。
Microsoft Update Catalogからの手動ダウンロード
どうしても特定バージョンのドライバーを必要とする場合、Microsoft Update Catalogを活用するのもひとつの手です。検索バーで「NVIDIA ドライバー Surface Studio 2+」などと入力すれば、該当ドライバーがリストに表示されます。そこから必要なバージョンのみをダウンロード・インストールすれば、問題のあるバージョンを避けられます。
フィードバックハブへの報告
Surface製品の不具合に遭遇した場合は、Windows標準搭載の「フィードバックハブ」で問題を報告し、Microsoftに直接フィードバックを送ることができます。多くのユーザーの報告が集まることで、修正が早まったり、正確な情報が共有されたりするメリットがあります。
FAQ:よくある質問と回答
Q1. カメラアプリだけでなく、Zoomなどのビデオ会議でも回転してしまう?
A. はい。カメラの向きはシステム全体で管理されているため、ZoomやTeamsなどのビデオ会議ソフトでも同様に90度回転した映像が送信されてしまいます。ドライバーの問題が解決しない限り、どのアプリケーションでも回転現象が起こる可能性が高いです。
Q2. 外付けWebカメラなら回転しないの?
A. 通常、外付けWebカメラは別のデバイスとして認識され、独自のドライバーを使用します。したがって、Surface Studio 2+本体の内蔵カメラが90度回転する不具合に影響を受けることはありません。急場しのぎに外付けカメラを利用するのもひとつの方法ですが、本体カメラの利便性を考えると根本的な解決策を探る方が望ましいでしょう。
Q3. ロールバックしても問題が直らないのだけど?
A. デバイスマネージャーの「ドライバーのロールバック」ボタンが無効になっている、あるいはロールバック後も問題が続く場合は、さらに古いバージョンのドライバーを探すか、Surface用の公式ドライバーを手動でインストールする手段を検討してください。また、ロールバック後に再起動を行わないと変更内容が反映されないこともあるため、手順をよく確認する必要があります。
Q4. 新しいドライバーへのアップデートが再び配信された場合は?
A. 問題が修正されたバージョンなのかを公式情報(MicrosoftまたはNVIDIA)でチェックしてください。修正報告がない場合には、wushowhide.diagcabなどで非表示にし、安定版を維持することをおすすめします。修正報告があった場合は、そのバージョンに更新することで問題が解決するはずです。
まとめ:回転問題の早期解決と安定運用を目指そう
ここまで、Surface Studio 2+で発生している内蔵カメラの90度回転不具合について、原因や具体的な対処法、Microsoftが提供する更新プログラムに至るまで詳しく解説してきました。ポイントを整理すると、以下のようになります。
- NVIDIAディスプレイドライバーの不具合が主原因: 特定バージョン(例:31.0.15.3713)に問題がある可能性が高い
- 基本対処: [Get Help]アプリやプライバシー設定の確認などの一般的な方法
- ドライバーを元に戻す / wushowhide.diagcabでブロック: ロールバックで改善を図り、自動更新を一時回避
- リカバリイメージによる初期化でも回避できない可能性: Updateが自動的に問題のドライバーを再度導入する恐れ
- 2024年7月23日配信の更新で修正: Microsoft公式のUpdate Historyを確認し、最新のドライバーを適用
最終的には、2024年7月23日以降に配信された修正ドライバーを適用することで解決が期待できます。一時的に回避策を取る場合でも、セキュリティを考慮しつつ、適切なドライバーアップデートを逃さないようにしましょう。もし不具合が長引くようであれば、フィードバックハブへの報告やMicrosoftサポートへの問い合わせを行い、常に最新の情報を収集して対策をアップデートしていくことが肝心です。
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