最新のWindows機能を試すためにInsider Previewを導入したものの、通常のUSBメディアから再インストールができないという問題に直面する方は多いかもしれません。今回はSurface Laptop 7 Copilot+で以前のWindowsに戻す具体的な方法を、わかりやすく解説していきます。
Surface Laptopで通常のUSBインストールメディアが起動しない理由
Surfaceシリーズは独自のUEFI(BIOSに相当するファームウェア)やドライバ構成があり、一般的なWindowsインストールメディアでは正常にブートしないことがあります。特にSurface Laptop 7 Copilot+のように最新の機能が搭載されたデバイスでは、標準的なインストールイメージに含まれていない専用ドライバが必要になるケースが多いのです。
また、Surfaceはセキュリティ保護を重視しており、Secure BootやTPMなどの機能が有効化されています。これらの機能はリカバリ時にも影響を与えるため、一般的なUSBメディアだと起動フローで弾かれてしまう場合があります。実際にInsider Preview版をインストールしているデバイスでは、ブート設定や署名されていないドライバの扱いが通常と異なる可能性もあり、そのままではUSBブートできません。
Surface専用リカバリイメージを使った解決策
専用イメージが必要な理由
Surfaceデバイスをクリーンインストールするには、Microsoftが提供している「Surface専用のリカバリイメージ」を使う方法が最も確実です。このリカバリイメージには、Surfaceに必要なすべてのドライバや構成情報があらかじめ含まれています。
通常のWindowsメディア(Windows Media Creation ToolやRufusを使って作成したUSB)を使うと、ブートセクタやデバイスドライバが合わず、ブートエラーやインストール途中の不具合が発生するリスクがあります。
リカバリイメージのダウンロード手順
- Microsoft公式サイトへアクセス
Surfaceの製品サポートページに移動し、リカバリイメージをダウンロードできるセクションを探します。 - シリアル番号の入力
Surface Laptop 7 Copilot+の裏面や設定画面からシリアル番号を確認し、サイト上の入力欄に入力します。シリアル番号を使うことで、適合するリカバリイメージが選択可能になります。 - 該当するOSバージョンとモデルを選択
Insider Preview版などでバージョンに混乱が生じがちですが、基本的には元々出荷時に搭載されていたバージョン、あるいは最新の正式リリース版Windowsが提示されるので、それを選択しダウンロードします。ファイルサイズが大きい場合があるため、時間に余裕を持って行いましょう。
USBリカバリドライブの作成方法
ここではSurface専用リカバリイメージを展開するための、USBメディア作成手順を例示します。
- USBフラッシュドライブを準備
最低でも16GB以上の容量が推奨されます。64GBなど大きめのUSBを使うと安心ですが、形式は基本的にFAT32でフォーマットしておくと安全です。 - リカバリイメージの展開
ダウンロードしたZipファイル(Surfaceのリカバリイメージ)を解凍し、その中のファイルをUSBドライブにコピーします。展開後はフォルダ構成が正しく保たれていることを確認してください。 - USBドライブの内容確認
\Recoveryフォルダやrecovery.cmdなどのファイルがUSB直下に正しく配置されていることを確認します。万が一フォルダ階層が深くなっている場合は、正しい階層へファイルを移動する必要があります。
FAT32でフォーマットする理由
SurfaceのUEFIではFAT32形式のUSBメディアを好みます。NTFSでフォーマットするとブートができない場合があります。以下はWindows標準のディスク管理やコマンドプロンプトでFAT32フォーマットを行う例です。
# ディスクの一覧を取得
diskpart
list disk
# 対象ディスクを選択 (例: Disk 1)
select disk 1
# パーティションをクリーン
clean
# GPT形式に変換 (必要に応じて)
convert gpt
# パーティションを作成
create partition primary
select partition 1
format fs=fat32 quick
assign
exit
この後、エクスプローラーから先ほど解凍したリカバリファイルをUSBにそのままコピーしてください。
UEFI設定でのブート優先順位変更
UEFIへの入り方
Surface Laptopの場合、電源オフの状態から「音量アップボタン」を押しながら電源ボタンを押す方法でUEFI設定画面に入れます。Copilot+モデルでも同様の方法が適用できますが、最新のファームウェアでは手順が変わる可能性があるため、Microsoft公式ドキュメントで最新情報を確認してください。
起動デバイスの優先順位をUSBに
UEFIに入ったら、次のポイントをチェックしましょう。
- Boot Configuration:USBがブートオプションとして有効になっていることを確認
- Secure Boot:場合によっては無効化が必要。ただし、Surface専用イメージは署名済みであるため、通常は有効のままでも問題ありません。
- USB Storage Boot:有効になっていないとUSBからの起動がブロックされます
設定を変更した場合は「Save and Exit」で保存して再起動してください。
USBリカバリドライブを使った再インストール手順
ブート開始からインストール画面まで
- 電源を切る
正常にWindowsが起動している場合でも、一旦電源を完全にオフにしましょう。 - USBフラッシュドライブを接続
作成したSurface専用リカバリイメージが入ったUSBをSurfaceのUSBポートに挿入します。 - UEFIブートを開始
再度電源をオンにし、UEFIのブートオプション設定が適切に行われていれば、自動でUSBからの起動が始まります。もし起動しない場合は、再度UEFI画面を開きブート順を確認してください。 - リカバリメニューの選択
USBメディアが正しく読み込まれると、Surface専用リカバリメニューが表示されます。そこで「トラブルシューティング」や「このPCを初期化する(リカバリ)」などのオプションが選択できるので、案内に従って進んでください。
インストールプロセス上のポイント
- 初期化と個人ファイルの削除
クリーンインストールを行うため、すべてのファイルが消去されます。Insider Previewで使っていたアプリやデータも復元できなくなるので、必ずバックアップを取っておきましょう。 - ドライバの導入
Surface専用のリカバリイメージには主要なドライバが含まれていますが、セットアップ後にWindows Updateを実行して最新のドライバを入手することをおすすめします。 - Microsoftアカウントとライセンス認証
インストール後にMicrosoftアカウントでサインインすると、ライセンス認証が自動的に行われる場合が多いです。もし認証されない場合はライセンスキーの入力を求められるので、手持ちのプロダクトキーを用意してください。
Insider Previewからの復元で気を付けたい点
バージョン差異による問題
Insider Preview版は未公開の機能やドライバが含まれていることがあります。そのため、正式リリース版に戻すときにデバイスのファームウェアや一部の設定が合わずに、再起動ループやドライバの不具合が発生する可能性があります。Surfaceの専用イメージはこうした問題を極力回避するよう作られていますが、戻す前に必ず最新のUEFIやドライバ更新が提供されているか確認しておくと安心です。
回復ドライブの作成は早めに
Insider Preview版を導入する前、あるいは導入直後に「Windowsの回復ドライブ」を作っておくと、復元の手順がスムーズです。Windows標準の回復ドライブ作成機能でUSBを準備しておけば、もしInsider Previewで不測の事態が起こっても早期に復元を試みることができます。
リセット機能との違い
Windowsに搭載されている「このPCをリセットする」機能は手軽ですが、Insider Preview版においてはリカバリ領域やドライバの混在が生じる可能性があり、必ずしも正常に動作するとは限りません。Surface専用リカバリイメージを使った方法が確実性が高く、安全です。
トラブルシューティング:USBブートができない場合
Secure Bootの設定確認
UEFIメニューでSecure Bootが有効な状態でも通常はSurface公式のリカバリイメージを使えば問題なく起動できますが、何らかの原因で起動しない場合は、一時的にSecure Bootを無効化して試してみる価値があります。
- UEFI画面でSecure Bootを「Disabled」に設定
- 再起動してUSBを起動
- リカバリ後に安全のため再度Secure Bootを有効化
USBドライブが認識されない場合
ブート順序以外にも、USBドライブ自体の相性やフォーマットに問題があるケースがあります。
- 他のUSBポートを試す
- 別のUSBメモリを使う
- 再度FAT32でフォーマットし直す
USBインジケータが点灯しない・読み込まれていないとき
- USBハブや拡張ドックを使用しているとブートがうまくいかない場合があるので、直接本体ポートに接続しましょう。
- UEFIがUSBメモリを認識しない際は、USBメモリ自体が壊れている可能性や、リカバリイメージのコピーが不完全ということも考えられます。
よくある質問と対策
Q1. 以前のWindowsに戻す前にデータを移行したいが、すでにInsider Previewで不具合が多発している
A. まずはセーフモードやWindows回復環境(Windows RE)でOSが立ち上がらないか試しましょう。最悪の場合、外部のLinuxライブメディアなどを用いてデータをレスキューする方法もありますが、Surfaceでは通常のUSBブートが難しいので、事前にリカバリドライブを作っておくのがベストです。
Q2. リカバリ後、Windows Updateでエラーが多発する
A. リカバリしたばかりのSurfaceは古いドライバやWindows Updateの前提条件がインストールされていない場合があります。以下のステップで解消を試みてください。
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」から更新プログラムをチェック
- ドライバ更新が複数ある場合は、一度にまとめてではなく、段階的に適用
- 再起動を繰り返しつつ、すべての更新を完了させる
Q3. Surface専用リカバリイメージはどこで入手できる?
A. Microsoft公式のSurfaceサポートページからダウンロードできます。アクセス後、モデル名とシリアル番号を入力する画面があるため、Surface本体のシリアル番号をあらかじめ確認しておきましょう。
Surfaceをクリーンインストールするメリット
軽快な動作の回復
Insider Preview版など、テスト機能の多い環境を使用しているとシステムが不安定になったり、不要なファイルが蓄積して動作が重くなることがあります。クリーンインストールすることで、Windowsのシステムファイルは最新かつ初期の状態に戻り、Surface本来のパフォーマンスを取り戻せるでしょう。
不要なソフトウェアの一掃
Insider Preview向けに追加インストールした開発ツールや検証用アプリケーションが不要となった場合、クリーンインストールが最も確実にそれらを削除できます。Windowsの「アプリのアンインストール」からは完全に削除できない断片ファイルなども消去できます。
セキュリティ面の強化
テスト中のOSビルドを使い続けると、未知の脆弱性にさらされる可能性があります。正式リリース版の安定したWindowsに戻すことで、セキュリティアップデートやパッチが適用された状態を維持しやすくなります。
まとめ
Surface Laptop 7 Copilot+を含むSurfaceシリーズでは、通常のWindowsインストールメディア(Media Creation ToolやRufusなど)ではドライバの互換性やブート関連で問題が生じ、USBからの再インストールがうまくいかない場合があります。Insider Preview版から以前のWindowsに戻す場合は、Microsoft公式から入手できるSurface専用のリカバリイメージを用意し、UEFI設定でUSBブートを有効化することがポイントです。
リカバリイメージを使った手順なら、Surfaceに必要なドライバや設定がすべてそろっているため、起動トラブルやインストール不具合を回避できます。Insider Previewで不調を感じている方や、開発検証を終えて元の環境に戻したい方は、ぜひ今回紹介した手順に従ってクリーンインストールに挑戦してみてください。
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