Microsoft Surface Pro 9を使っていると、起動後にカメラやタッチスクリーンが突然反応しなくなる不具合に遭遇した方も多いのではないでしょうか。ここでは、実際に報告の多い症状と、具体的な解決策をわかりやすく解説していきます。
Surface Pro 9で発生するカメラとタッチスクリーンの不具合とは
Microsoft Surface Pro 9は軽量かつ高性能で、タブレットとPCのハイブリッドとして多くのユーザーに愛されています。しかしながら、カメラやタッチスクリーンという重要な機能が突如動作しなくなるという事例もいくつか報告されています。UEFIレベルではタッチスクリーンが動作するのに、Windowsが起動した途端に反応しなくなるケースや、カメラアプリを起動してもグレー画面のままエラーコード(例: 0xA00F4240)が表示されるケースが代表的です。
こうした不具合が起こる原因は、多岐にわたります。Windows上のドライバーが正しくインストールされていない、あるいはOSとドライバーの互換性が崩れている場合もあれば、ハードウェア面の故障の可能性も否定できません。特にSurface Pro 9は専用のファームウェアやドライバーが多く用意されているため、OS側のアップデートとファームウェアのバージョンが一致していないと、正常な動作を阻害することがあります。
よくある不具合の症状
- タッチスクリーンがWindows上で全く反応しない
- カメラアプリを起動してもグレー画面のまま
- カメラ使用を試みるとエラーコード「0xA00F4240」などが表示される
- デバイスマネージャーの「Intel(R) Quick SPI Host Controller – 51D0」がコード10エラー(STATUS_DEVICE_POWER_FAILURE)を起こしている
- ドライバーを再インストールしても、状況が変わらない
これらの症状が同時多発的に出る場合には、単一のドライバーやサービスに起因している可能性だけでなく、複数の要因が絡み合っていることも考慮しなければなりません。
原因の概観
- ドライバーの破損またはインストールミス
- Windows Updateやソフトウェアアップデートの不具合
- Surface専用ファームウェアとのバージョン競合
- ハードウェア面の故障または接触不良
- そのほか、システム構成ファイルの破損やレジストリエラー
症状が深刻な場合には、通常のトラブルシューティング手順で改善しないケースも少なくありません。ここからは、比較的試しやすい順に解決策を紹介していきます。
解決策1:デバイスマネージャーの問題デバイスをアンインストール
Surface Pro 9のカメラやタッチスクリーンに関わるドライバーに問題が生じている際、最も手軽に試せて効果的な方法の一つが、「デバイスマネージャーからのアンインストール→再起動→再インストール」です。これにより、ドライバーが正常に再構成される可能性が高まります。
デバイスマネージャーの起動手順
- スタートボタンを右クリック
- 表示されたメニューから「デバイス マネージャー」をクリック
- 「ヒューマン インターフェイス デバイス(HID)」や「システム デバイス」などのカテゴリを開く
- 「Intel(R) Quick SPI Host Controller – 51D0」を探す
もしカメラデバイスやタッチパネル関連デバイスが別途表示されていたら、そちらもチェックするようにしましょう。
アンインストール手順
- 問題のデバイス(例: Intel(R) Quick SPI Host Controller – 51D0)を右クリック
- 「デバイスのアンインストール」を選択
- 「デバイスドライバーを削除する」というチェックボックスが表示された場合は、チェックを入れてから実行
- アンインストールが完了したらPCを再起動
再起動後、Windowsが自動的に必要なドライバーを検出し再インストールを行います。ここで重要なのは、関連デバイスをまとめてアンインストールすることです。タッチパネル用のHID準拠デバイスやカメラドライバーなどに問題があれば、そちらもまとめてアンインストールを試してみると良いでしょう。
トラブルシューティングのポイント
- アンインストール後に再起動を怠ると、正しくドライバーが再構成されず、不具合が解消されにくい
- システムの動作に直接関連しているドライバーをアンインストールすると、場合によってはキーボードやマウス操作が一時的に効かなくなるケースもあるため、必要なら別の操作手段(USBマウスや外付けキーボードなど)を準備する
解決策2:Windows Updateと公式ドライバーの確認
アンインストール後の再起動で症状が改善しない場合、WindowsやSurface専用ドライバーの更新状況を改めて確認しましょう。SurfaceシリーズはMicrosoftから専用のドライバーおよびファームウェアが定期的に配信されますが、Windows Updateで自動的に取得できることもあれば、手動でインストールが必要なケースもあります。
Windows Updateの実施
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「Windows Update」を選択
- 更新プログラムがある場合はすべてインストールする
- インストール後、再起動して問題が解決しているか確認
Windows Updateでは、セキュリティパッチだけでなく、デバイスドライバーやファームウェアのアップデートも含まれることがあります。特にSurface Pro 9用に配信される更新プログラムは、カメラやタッチスクリーンの不具合改善に直結している可能性が高いので、見逃さないようにしましょう。
Surface Pro 9の公式ドライバーとファームウェア
場合によっては、Windows Updateにまだ反映されていない最新のドライバーやファームウェアが公開されていることがあります。Microsoftの公式サイトでSurface Pro 9用のドライバーをダウンロードし、インストールする手順は以下のとおりです。
- Microsoft公式サイトのSurfaceダウンロードページへアクセス
- 該当機種(Surface Pro 9)を選択
- 表示されるドライバーおよびファームウェアのセットをダウンロード
- ダウンロードした実行ファイル(.msiなど)を実行して指示に従う
- インストール完了後にPCを再起動
Surfaceシリーズではファームウェアのバージョンが合わないとカメラやタッチパネルが正しく動作しないケースもあるため、この手順はとても有効です。
解決策3:他のドライバーやサービスとの競合調査
デバイスマネージャーによるアンインストールやWindows Updateを試しても改善しない場合、他のドライバーや常駐サービスが競合している可能性があります。また、セキュリティソフトウェアや外部デバイスが干渉しているケースもあり得ます。以下のような追加調査を行ってみましょう。
クリーンブートによる切り分け
Windowsの「クリーンブート」を行うことで、不要なサービスが起動していない状態でシステムを立ち上げ、問題が解消されるかを確認できます。
- Windowsキー+Rを押して「msconfig」と入力
- 「システム構成」が開いたら「サービス」タブを選択
- 「Microsoftのサービスを隠す」にチェックを入れ、「すべて無効」をクリック
- 「スタートアップ」タブ(Windows 10/11では「タスクマネージャーを開く」が表示される)から不要なスタートアップを無効化
- 再起動
これで極力最小限のサービスのみ起動している状態になります。もしこの状態でカメラやタッチパネルが正常に動作するのであれば、元々起動していたサービスやドライバーが原因となっている可能性が高いです。
セキュリティソフトや外部デバイスの影響
- サードパーティ製ウイルス対策ソフトを一時的に無効化してみる
- 外部USB機器(カメラやゲームコントローラーなど)をすべて取り外す
- Bluetoothデバイスも含め、不要な機器を接続していない状態でテスト
これらの手順で改善する場合には、競合している可能性のあるソフトウェアやデバイスの特定が必要になります。
解決策4:システムの修復・クリーンインストール
ドライバーのアンインストールやアップデート、競合調査を行っても問題が解決しない場合には、Windowsの修復インストールまたはクリーンインストールを検討しましょう。OS自体が破損していたり、何らかのレジストリの問題がある可能性もあります。
Windowsの修復インストール(上書きインストール)
修復インストールでは、個人用ファイルやアプリを保持したままWindowsのシステムファイルを再インストールできます。具体的には以下の手順を行います。
- Microsoftの公式サイトからWindowsのインストールメディアをダウンロードし、USBインストールメディアを作成
- 作成したUSBメディアからセットアップを起動
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択してインストールを実行
- インストール完了後に再起動して動作を確認
この方法でシステムファイルの破損が修復され、カメラやタッチスクリーンが復旧するケースがあります。
クリーンインストールの注意点
クリーンインストールは、PCを初期化した状態に戻すため、データのバックアップが必須です。すべてのファイルやインストール済みアプリケーションが消去されるため、次の点に注意しましょう。
- 事前にOneDriveや外付けストレージに重要ファイルをバックアップ
- ライセンス認証が必要なアプリケーションのキーをメモしておく
- クリーンインストール後はWindows UpdateとSurface用ドライバーの再インストールを忘れずに行う
解決策5:ハードウェア故障の可能性を疑う
上記のソフトウェア的な対策をすべて試してもまったく改善しない場合は、ハードウェアの故障を疑う必要があります。特にSurface Pro 9のように本体が薄いデバイスの場合、物理的な衝撃や水没、長期間使用によるケーブルの断線など、内部ハードウェアに問題が発生しているかもしれません。
Microsoftサポートへの問い合わせ
- Microsoftアカウントで登録したデバイスの保証状況を確認
- 保証期間内であれば修理・交換などのサポートを受けられる可能性がある
- 保証が切れていても、有償での修理サポートを提供している場合が多い
Surfaceシリーズはユーザー自身での部品交換が困難な構造になっているため、疑わしい箇所があっても自己修理はほぼ不可能です。専門家による診断・修理を依頼するほうがリスクが少なく、結果的に安全といえます。
具体的なトラブルシューティング手順の例
下記は、Intel(R) Quick SPI Host Controller – 51D0のコード10エラーを起こしているケースを想定した簡易手順例です。あくまで一例なので、実際の状況に応じて適宜アレンジしてください。
手順 | 内容 | 目的/ポイント |
---|---|---|
1 | 重要データのバックアップ | 万が一に備える |
2 | デバイスマネージャーで問題のデバイスをアンインストール | ドライバー構成の再構築 |
3 | PCを再起動 | Windowsによるドライバーの再検出を促す |
4 | Windows Updateを実施 | 最新のドライバーやファームウェアを反映 |
5 | Surface公式ドライバーの再インストール | 専用ドライバーの不整合を解消 |
6 | クリーンブートで他のサービス・ドライバーを無効化して確認 | 競合原因を切り分け |
7 | システムの修復インストールまたはクリーンインストール | OS全体の破損を修復 |
8 | ハードウェア診断(サポートへの問い合わせ) | 物理故障や内部不具合をチェック |
このフローを順番に踏むことで、多くの不具合は解消可能です。特にデバイスマネージャーでのアンインストールとドライバーの再インストールは、最初に試してみるべき優先度の高い対策となります。
PowerShellでドライバー状態を確認する方法
問題の切り分けに役立つテクニックとして、PowerShellを用いてインストールされているドライバーを一覧表示し、状態をチェックする方法があります。以下に簡単な例を示します。
# PowerShellを管理者権限で起動して以下のコマンドを実行
# ドライバーの一覧を表示
Get-WindowsDriver -Online | Select-Object PublishedName, OriginalFileName, ProviderName, ClassName
# 特定のキーワードを含むドライバーのみを表示
Get-WindowsDriver -Online | Where-Object { $_.PublishedName -like "*Intel*" } | Format-Table
ここでIntel
などのキーワードを利用すれば、カメラやタッチパネルに関連するドライバーが引っかかる場合があります。異常があるドライバーを特定しやすくなるので、競合を調査する際などに便利です。
まとめ:早期対処がトラブルを最小限に抑える
Surface Pro 9はモバイルワークにも最適な素晴らしいデバイスですが、カメラやタッチスクリーンといった主要機能が使えなくなると生産性が一気に低下してしまいます。こうした不具合に遭遇した際は、まずはドライバーのアンインストールと再起動を試し、Windows Updateや専用ドライバーの更新をしっかりと行いましょう。それでも改善しない場合には、クリーンブートや修復インストール、最終的にはハードウェア故障の可能性も念頭に置いて、Microsoftサポートの助けを得ることが重要です。
トラブルが起きたときこそ焦らず対処し、原因を丁寧に切り分けていくことで、最終的に不具合を解消できる確率が高まります。自力で解決が難しい場合は、無理をせず専門家や公式サポートを頼りましょう。
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