ご家庭やオフィスのネットワークに接続しているWindows PCが、なぜか「メディアデバイス」として表示され、クリックするとエラーが出たり、そもそもほかのPCには同様の表示がなかったりして戸惑うケースがあるようです。本記事では、そんな「メディアデバイス」としての表示を非表示にする具体的な対策や設定方法を、実例を交えながら分かりやすくご紹介します。
Windows PCが「メディアデバイス」として表示される理由
Windows 10やWindows 11など、近年のWindows OSにはメディアストリーミング機能が標準搭載されています。これは、Windows Media Playerなどを用いて、同一ネットワーク上の他デバイスに対して音楽や動画をストリーミング配信できる仕組みです。
この機能がオンになっている場合、ネットワーク上で「メディアデバイス」と認識される可能性があります。自分のPCがメディアサーバーのような役割を果たしている状態なので、他の端末から見ると「○○のPC (メディアデバイス)」と表示されるわけです。
一方、Windows 10以降には「プロジェクトをこのPCへ」という機能も存在します。これは、別のデバイスからMiracastなどを使ってワイヤレスで画面を投影する際に活用される機能ですが、これが有効化されていることで、同じネットワークにいる他の機器からメディア関連の機能として検出されるケースも考えられます。
メディアストリーミング機能とDLNAの関係
Windowsのメディアストリーミング機能は、DLNA(Digital Living Network Alliance)という規格に準拠した仕組みのひとつです。DLNA対応の機器(テレビ、Blu-rayプレーヤー、スマホなど)は、ネットワーク上で互いにコンテンツを検索・閲覧できます。このため、設定が有効になっているPCはテレビなどからも見つかることがあるのです。
想定される場面
- ファイル共有やホームグループ(古いWindowsでの機能)だけしか利用したくないのに、意図せずPCがメディアサーバーとして機能してしまっている。
- 共有フォルダを使おうとエクスプローラーの「ネットワーク」から確認したら、予期せず「メディアデバイス」としてPCが表示されている。
- PCをクリックすると「アクセスできない」「エラーが出る」などのメッセージが表示され、何も操作できない。
メディアデバイスの表示を非表示にするための基本対処法
「メディアストリーミング」と「プロジェクトをこのPCへ」の機能をオフにすると、ほとんどの場合は不要な「メディアデバイス」の表示を消すことができます。まずは最初にこの2点の設定を確認し、問題が解決するか試してみてください。
1. メディアストリーミングをオフにする
Windows 10/11共通でほぼ同じ手順です。操作手順は次の通りです。
- コントロール パネルを開く
- Windows 10の場合、スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選び、
Control
と入力してOKをクリックします。 - Windows 11の場合も同様です。スタートメニューから「Windowsツール」→「コントロール パネル」と辿る方法もあります。
- ネットワークとインターネットをクリック
- ネットワークと共有センターをクリック
- 左メニュー、またはウィンドウ内で「メディアストリーミング オプション」を開く
- 「メディアストリーミング オプションが無効です」などと表示されることもありますが、リンクが表示されていればクリックしてください。
- 「メディアストリーミングを許可する」画面が表示されたら、必要に応じてメディアストリーミングを無効にするまたは「許可しない」設定にする
メディアストリーミングをオフにすることで、DLNAサーバーとしての機能を停止させるため、同じネットワークにいる他の端末からの認識が解除されます。
2. 「プロジェクトをこのPCへ」をオフにする
Windows 10/11では、Miracastなどを使い、他の端末の画面を自分のPCへ投影する機能が搭載されています。この機能を無効にする手順は以下です。
- 設定を開く
- システムをクリック
- 「プロジェクション(またはプロジェクト)をこのPCへ」を選択
- 「常にオフ(推奨)」を選択して設定を保存
この機能は企業や学校の会議室などでは便利ですが、自宅で使う予定がなければオフにすることで、余計な通信やPCの誤認識を防げます。
さらに踏み込んだ対処法:サービスやレジストリを確認する
上記2点の設定を見直したにもかかわらず、どうしても「メディアデバイス」表示が消えない場合があります。そうしたケースでは、Windowsがバックグラウンドで動かしているサービスやレジストリの値を確認してみましょう。
Windows Media Player Network Sharing Serviceを停止する
Windows Media Playerのネットワーク共有サービスが常時動作していると、PCがDLNAサーバーとして認識される可能性があります。不要な場合は停止または無効化してみましょう。
項目 | 操作 |
---|---|
サービス名 | Windows Media Player Network Sharing Service |
停止手順 | タスクバーの検索ボックスに「サービス」と入力し、「サービス」アプリを起動 一覧から「Windows Media Player Network Sharing Service」を探してダブルクリック 「スタートアップの種類」を「無効」にする サービスの状態を「停止」にする |
こうすることでWindows Media Playerがネットワーク共有機能を利用できなくなるため、メディアデバイスとして表示されにくくなります。ただし、Windows Media Playerでのホームネットワークストリーミング機能が使えなくなるため、必要な場合はオンに戻してください。
レジストリでの無効化を検討する
Windowsのレジストリエディタを使えば、詳細な設定変更が可能です。誤操作によってシステムを不安定にするリスクもあるため、よく分からない場合はレジストリのバックアップを行ってから作業を行うのがおすすめです。
レジストリは「Win + R」キーで「ファイル名を指定して実行」を呼び出し、regedit
と入力して起動します。例えば、下記のキーを探して該当するサービスが自動起動しないよう設定を変更することがあります。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\WMPNetworkSvc
- StartというDWORD値を探し、
- 4 = 無効
- 3 = 手動
- 2 = 自動
というように設定します。
ここで4(無効)にすれば起動しなくなりますが、Windows Updateなどで設定が戻る場合もあるため注意が必要です。
実際のトラブルシューティング例
ここでは、具体的な事例をいくつか紹介します。
事例1:コントロール パネルでの設定のみで解決
あるユーザーが、Windows PCが常にメディアデバイスとして表示されるという悩みを抱えていました。調べたところ、メディアストリーミングがオンになっていたため、コントロール パネルからメディアストリーミングを無効に設定。結果として、問題の「メディアデバイス」表示が一切表示されなくなったというケースです。
事例2:「プロジェクトをこのPCへ」をオフにして解決
別のユーザーは、「メディアストリーミングはオフなのにメディアデバイスが表示される」という現象に直面していました。調べてみると、Windows 10の「プロジェクトをこのPCへ」が有効になっており、Miracast関連の設定が他の端末から認識されてしまっていたようです。この機能をオフにすることで、無事にメディアデバイス表示が消えました。
事例3:Windows Media Playerを無効化して一切表示しない
家庭内でストリーミングやメディア共有は全く使わないため、Windows Media Player自体をオフにしたという例です。Windowsの機能の有効/無効は「設定」→「アプリ」→「オプション機能の管理」からも行えます。Windows Media Playerをアンインストールまたは無効化すれば、そもそものメディア共有機能も削除されるため、不要な表示もなくなるといった解決策が取られました。
対策後も表示される場合の確認ポイント
まれに、上記の設定をすべて試してもなおメディアデバイスとして表示され続ける場合があります。その際は、以下のポイントをチェックしてみてください。
- ルーターのUPnP設定
- ルーター側でUPnP(Universal Plug and Play)が有効になっていると、ネットワーク内の機器を自動検出する仕組みが働いていることがあります。PCの設定をオフにしていても、何らかの形でルーターに登録が残るケースがあるため、再起動やUPnPの設定を見直すのも一手です。
- 他のデバイスやNASのDLNA機能
- 家庭内でNAS(Network Attached Storage)やメディアプレーヤーがDLNAサーバーとして稼働している場合、誤ってPCを認識している可能性があります。NASやテレビ側での機能設定を確認してみると良いでしょう。
- グループポリシー(企業環境の場合)
- 会社のネットワーク内で、グループポリシーによりWindows Media Playerやプロジェクト機能が強制的にオンになっている場合があります。システム管理者に確認する必要があります。
- サードパーティソフトの存在
- PlexやKodiなど、DLNA対応のサードパーティメディアサーバーソフトをインストールしている場合、そのソフトの設定が原因でPCがメディアデバイス扱いされることがあります。
設定変更の効果をすぐに確認する方法
設定を変更した後に、「本当にメディアデバイスとして表示されなくなったか」を確認するには、以下の方法を試すと手っ取り早くチェックできます。
- エクスプローラーの「ネットワーク」を開く
- エクスプローラー左側のナビゲーションから「ネットワーク」をクリックすると、ネットワーク内のPC、メディアデバイス、その他デバイスが一覧表示されます。
- コマンドプロンプトやPowerShellでpingテスト
- pingコマンド自体ではメディアデバイスかどうかを判別できませんが、該当のホスト名やIPアドレスが変わっていないか、そもそも通信可能かどうかを確認できます。
- 再起動やしばらく待つ
- ネットワーク機器やWindows側のデバイス認識情報はリアルタイムで即座に反映されることもあれば、数分かかる場合もあります。設定を変更してからPCやルーターを再起動してみると、反映されることが多いです。
トラブルを未然に防ぐためのポイント
ここまで紹介した対策は、一度実行すればその場しのぎにはなりますが、Windowsの大型アップデートや新機能のリリースで設定がリセットされてしまう可能性も否定できません。定期的に設定を確認したり、アップデート後に不要な機能が復活していないかを見直すクセをつけておきましょう。
- 定期的にコントロール パネルの「メディアストリーミング」設定を確認
- 「プロジェクトをこのPCへ」の再確認
- サービス一覧で「Windows Media Player Network Sharing Service」をチェック
- 不要なWindows機能はオフにする
- Windows Media Playerをほとんど使わないなら、オプション機能から無効化も検討
- ネットワーク機器のファームウェアアップデートも定期的に行う
表やコード例:サービス停止のコマンド操作
GUI操作ではなく、コマンドプロンプトやPowerShellからサービスを停止する例を挙げます。サービス名を正しく指定する必要があるため、作業前にサービス一覧を十分確認してください。
PowerShellでの停止例
# 管理者権限でPowerShellを起動後に実行
Stop-Service -Name "WMPNetworkSvc"
Set-Service -Name "WMPNetworkSvc" -StartupType Disabled
Stop-Service -Name "WMPNetworkSvc"
でサービスを停止Set-Service -Name "WMPNetworkSvc" -StartupType Disabled
でサービスのスタートアップを無効に設定
コマンドプロンプトでの停止例
net stop WMPNetworkSvc
sc config WMPNetworkSvc start= disabled
net stop WMPNetworkSvc
でサービス停止sc config WMPNetworkSvc start= disabled
で起動を無効に
上記コマンドは、誤ったサービス名を入力すると「サービス名が正しくありません」といったエラーが表示されるため、細心の注意を払ってください。
まとめ:必要な機能だけをオンにして快適に使おう
Windows PCがネットワーク上で「メディアデバイス」として表示されるのは、意図せずメディアストリーミング機能やプロジェクション機能が有効化されているからです。お使いのPC環境に合わせて必要な機能だけオンにし、不要ならオフにすることで、ネットワークをすっきり快適に保てます。
特に、家庭のネットワークで「別にPCから映像や音楽を他のデバイスに配信しない」「Miracastで投影もしない」といった場合は、メディアストリーミング機能や「プロジェクトをこのPCへ」をオフにするのがおすすめです。また、Windowsのアップデートやルーターの設定によって思わぬタイミングで表示が復活することもあるため、定期的な見直しも大切です。
ぜひ本記事を参考に、不要なメディアデバイスの表示を抑制して快適なPCライフを送ってください。
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