Xbox Game Barの録画でFPSが低下する原因と効果的な対処法

ゲームをプレイしている最中にさっと録画を始めたいとき、標準搭載のXbox Game Barはとても便利です。しかし、いざ録画を開始するとフレームレートが激しく落ち込み、快適さが損なわれてしまうといった声も多く聞かれます。今回は、このFPS低下が起こる原因と対処法を詳しくご紹介します。

Xbox Game Barで起こるFPS低下の概要

Xbox Game BarはWindowsに標準で備わっているキャプチャ機能の一部であり、手軽にゲーム画面を録画・配信できるツールです。しかし、それゆえにPCのリソース管理が複雑になり、とくに録画を始めるとCPUやGPUなどの負荷が一気に高まってしまうことがあります。結果としてゲームのフレームレートが下がり、快適なプレイに支障をきたす原因となります。

GamebarPresenceWriter.exeが与える影響

Xbox Game Barの録画に深く関与しているプロセスの一つが「GamebarPresenceWriter.exe」です。録画を開始するとこのプロセスが動作し、ゲームやシステム全体に対し追加の処理を行います。具体的にはゲーム映像のキャプチャ処理や、クリップを保存するための準備作業などを担っていると考えられます。これによりCPUやGPUへの負荷が上乗せされ、プレイ中のFPSが大幅に低下する原因となります。

プロセスを終了するリスク

タスクマネージャーなどから手動でGamebarPresenceWriter.exeを終了すれば、一時的にFPS低下の問題を回避できる可能性はありますが、同時に録画機能自体が機能しなくなるリスクも伴います。一度強制終了してしまうと、再度録画を行う際にはXbox Game Barアプリを再起動する必要があるなど、かえって手間が増えることが多いです。そのため、根本的な解決策としては推奨できません。

FPS低下の原因と考えられるメカニズム

Xbox Game Barの録画によるFPS低下には、さまざまな要因が関わっています。以下では主な原因と、その背景にあるメカニズムを見ていきましょう。

1. CPU・GPUなどのハードウェア負荷の増大

録画を行うためには、ゲームの映像をキャプチャしてエンコードする処理が必要です。エンコードはCPUやGPUを多用するため、とくにグラフィック設定を高めにしているゲームでは、録画開始と同時にフレームレートが下がりやすくなります。

  • 高解像度・高リフレッシュレートでプレイしている
  • 高品質なビデオエンコード設定を使っている
  • ゲーム自体が要求するPCスペックが高い

上記に当てはまるほど、録画処理での負荷増大は顕著になります。

2. メモリ使用量の増加

ゲームプレイ中はただでさえメモリを大量に消費します。そこに録画のためのフレームバッファや一時保存用のバッファが追加されるため、メモリ不足に陥る可能性が高まります。特に8GB程度のメモリを搭載したPCや、バックグラウンドで複数のアプリを起動している環境では顕著にパフォーマンスが低下します。

3. ディスクへの書き込み負荷

録画中の動画データはストレージ(SSDやHDD)に書き込まれます。HDDの場合、書き込み速度がボトルネックとなり、処理が詰まりやすくなります。最近はSSDが主流ですが、SSDでも大量のデータを書き込む環境ではパフォーマンスへの影響がゼロとは言えません。とくにシステムドライブ(Cドライブ)が圧迫されている場合や、容量不足による書き込み速度低下が発生しているケースでは、FPSが低下しやすくなります。

4. ソフトウェアの競合

Xbox Game Bar以外にも、同時に動作するオーバーレイ系のソフトウェア(DiscordやSteam Overlayなど)が走っていると、画面キャプチャやオーバーレイ機能の制御が複雑になります。キャプチャ対象が増えたり、複数のアプリがGPUリソースを共有したりすると、結果的にFPSが落ちる原因となります。

Xbox Game BarでFPS低下を最小限に抑える方法

FPS低下を完全に防ぐことは難しいものの、いくつかの対策を講じることである程度の軽減が可能です。以下では具体的な対策をまとめました。

1. Game Barの録画設定を見直す

Xbox Game Barの設定画面を開き、録画に関する画質や解像度、ビットレートを確認してみましょう。初期設定ではフルHD (1920×1080)や高ビットレートに設定されているケースが多く、PCのスペックによっては負荷が大きいです。解像度を1280×720に落とすだけでも、録画時のパフォーマンスを向上できる可能性があります。

バックグラウンド録画の無効化

Windowsの「設定」→「ゲーム」→「キャプチャ」でバックグラウンド録画をオフにすることで、常時録画による負荷が下がり、状況によってはFPS低下が緩和されることもあります。ただし、バックグラウンド録画を無効にするとプレイ中の突然のハイライトを後から保存する、といった機能は使えなくなります。

2. ゲーム内設定の最適化

ゲーム側のグラフィック設定を少し妥協するだけでも、録画時のパフォーマンスは大きく変わります。たとえばシャドウやテクスチャの品質を一段階下げてみるだけでも、CPU・GPUの余力が増えてFPSが安定しやすくなります。さらに、垂直同期(VSync)をオフにする、あるいはリフレッシュレートを固定するなどの調整も有効です。

3. バックグラウンドアプリの整理

録画を行う際には、不要な常駐アプリやブラウザタブなどを閉じ、CPUやメモリをできるだけ解放しましょう。たとえばウイルス対策ソフトやクラウド同期ソフトが頻繁に動作していると、ディスクアクセスやネットワーク帯域を占有し、FPSに影響を及ぼすことがあります。録画を開始する前にタスクマネージャーをチェックし、不要なプロセスを停止するなどしておくと効果的です。

4. ストレージの最適化

録画データを保存する先のストレージ空き容量を十分に確保しておきましょう。SSDを利用している場合は、書き込み速度が落ちないように空き容量に余裕を持たせるのがポイントです。また、動画の保存先をシステムドライブ(Cドライブ)ではなく、別の物理ドライブに設定するとディスクI/Oの競合が減り、録画時のFPS低下を軽減できる場合があります。

他の録画ソフトを試すことのメリット

Xbox Game Bar以外にも、さまざまな録画ソフトウェアが存在します。特にハードウェアエンコードを効率よく利用できるソフトを選択すれば、PCへの負荷を抑えながら高品質な録画が可能です。

1. GeForce Experience (NVIDIA ShadowPlay)

NVIDIA製のGPUを搭載している場合、GeForce Experienceに含まれる「ShadowPlay」を使うことで、GPUのハードウェアエンコード(NVENC)機能をフル活用できます。これによりCPUの負荷を最小限に抑えつつ、ほぼリアルタイムで録画が可能です。以下は設定例です。

設定項目推奨設定説明
画質高画質NVENCによりFPS低下を抑えながら高品質録画
フレームレート60fps多くのゲームで快適なフレーム数
解像度ゲームの解像度に合わせるフルスクリーンでもウィンドウでも同一
インスタントリプレイオフ(必要に応じてオン)オフにすると負荷をさらに軽減できる

2. AMD Radeon ReLive

AMDのGPUを使用している場合は「Radeon Software Adrenalin Edition」に搭載されているReLive機能が選択肢になります。こちらもハードウェアエンコードをサポートしており、GeForce Experienceと同様に負荷が低めです。録画の設定画面でビットレートや解像度を調整し、自身のPCスペックに合わせて最適なバランスを探すとよいでしょう。

3. OBS Studio

配信ソフトとして有名なOBS Studioですが、録画用途でも非常に優秀です。OBS Studioではエンコード方式を「x264(CPU)」「NVENC(NVIDIA)」「AMF(AMD)」「QuickSync(Intel)」などから選択できます。ハードウェアエンコードを使えば、ゲームプレイ中のCPU負荷を大きく減らすことが期待できます。

パフォーマンス向上のための更なるテクニック

録画ソフトの選択以外にも、Windowsやハードウェアの設定を見直すことで、FPS低下をさらに抑えられる場合があります。

1. ゲームモードの有効化

Windowsには「ゲームモード」が搭載されており、対応するゲームをプレイしている間はバックグラウンドでのWindows Updateやタスクの割り当てなどが制限されるようになっています。Windowsの「設定」→「ゲーム」→「ゲーム モード」でオンになっていることを確認してみましょう。ただし、一部の環境ではゲームモードをオフにした方が安定するケースもあるので、オンとオフ両方を試してみると良いです。

2. GPUドライバの更新

古いGPUドライバだと、ハードウェアエンコード機能の最適化が不十分な場合があります。NVIDIAやAMD、Intelの公式サイトから最新ドライバを入手し、適用しておくと性能や互換性の改善が期待できます。特に新作ゲームや最新のWindowsアップデートに合わせてドライバが更新されることが多いため、定期的にチェックするのがおすすめです。

3. BIOSやWindowsの電源設定調整

電源設定やBIOSの省電力設定が厳しすぎると、CPUやGPUのパフォーマンスが制限される場合があります。Windowsの電源設定を「高パフォーマンス」に切り替えたり、BIOS設定でCPUのターボブースト機能が有効になっているか確認するなどの調整を行いましょう。ただし、発熱や消費電力が増大するリスクもあるため、CPUクーラーの冷却性能や電源ユニットの容量にも注意が必要です。

コマンドラインによる電源設定の切り替え例

Windowsのコマンドプロンプト(管理者権限)で以下のように入力すると、電源プランを「高パフォーマンス」に簡単に変更できます。

powercfg /setactive SCHEME_MIN

上記コマンドのSCHEME_MINは「高パフォーマンス」のGUIDに置き換えられます。PCによってGUIDが異なるため、事前に以下を入力して一覧を確認しておきましょう。

powercfg /list

一覧に表示された「高パフォーマンス」のGUIDをコピーし、SCHEME_MINの代わりに貼り付けることで設定を切り替えられます。

GamebarPresenceWriter.exeを終了させる際の注意点

前述のとおり、GamebarPresenceWriter.exeを手動で終了する方法は推奨されません。強制終了すると録画機能が停止するだけでなく、Xbox Game Barの安定性を損なう可能性があります。どうしても終了させたい場合は以下の点に留意しましょう。

  • 録画中の場合、録画ファイルが正常に保存されないリスクがある
  • 終了後に再度録画したい場合は、Xbox Game Barを再起動しなければならない
  • システムによってはXbox Game Bar全体の設定がリセットされる可能性がある

このように副作用が大きいため、FPSの改善策としては最終手段と考えておくのが無難です。

具体的な構成例:最適化された録画環境を作る

最後に、Xbox Game Barを利用しつつなるべくFPS低下を抑えるための具体的な構成例を紹介します。以下は一例ですが、これらを参考にしながらご自身のPCスペックやプレイスタイルに合わせて調整してみてください。

構成例: ゲームを快適に録画するためのセットアップ

  1. ハードウェア構成
  • CPU: Intel Core i5 以上 or AMD Ryzen 5 以上
  • GPU: NVIDIA GeForce GTX 1660 以上 or AMD Radeon RX 5600 以上
  • メモリ: 16GB以上推奨
  • ストレージ: 256GB以上のSSD(システム用) + 追加のSSDまたはHDD(録画用)
  1. Windows設定
  • 「ゲームモード」をオンにする
  • バックグラウンド録画はオフ(必要時のみオン)
  • 電源プランを「高パフォーマンス」に設定
  • ドライバは最新のバージョンに更新
  1. Xbox Game Bar設定
  • 画質: 標準またはやや低め
  • 解像度: 必要に応じて1280×720や1600×900など、FHDより少し低め
  • ビットレート: 初期設定より少し下げる(例: 10Mbps程度)
  • ショートカットキーを設定し、素早く録画開始/停止できるようにする
  1. ゲーム内設定
  • グラフィック品質: 中〜高設定(最高設定は避ける)
  • 影、エフェクト、アンチエイリアスなどを少し抑えてフレームレートを確保
  • リフレッシュレートまたはVSyncの調整(必要に応じてオンオフを試す)
  1. 録画後の編集やストレージ管理
  • 編集作業はゲームプレイとは別のタイミングで行う
  • 録画データはすぐに別のドライブやクラウドへ移動してSSDの空き容量を確保する

まとめ: 必要に応じて最適なツールや設定を選択しよう

Xbox Game Barを使った録画は、ゲーム中にワンタッチでクリップを保存できる手軽さが魅力です。しかし、ゲームプレイと録画を同時に行う以上、ある程度のパフォーマンス低下は避けられないのも事実です。高解像度・高品質の録画にこだわるほど、CPUやGPUの負荷は増大し、FPSの低下につながります。

負荷軽減のためにはまず、Game Barの録画解像度やビットレートを下げる、バックグラウンドアプリの整理を徹底するなどの対策を行い、それでも厳しい場合はハードウェアエンコードを得意とするソフトウェア(GeForce ExperienceやOBS Studioなど)の利用も検討してください。また、PCのスペックを見直すことも重要です。メモリを増設したり、GPUをグレードアップするなどのハードウェア的なアプローチは、長期的に見て録画だけでなくゲーム体験全体の向上にも寄与します。

最終的には「どのレベルの画質で録画したいか」と「どれだけFPSを維持したいか」という両立が難しい問題となります。自分の用途に合わせてバランスを取ることが重要です。Windows標準の録画機能を活用したい場合でも、細かな設定調整やバックグラウンドアプリの管理を意識すれば、ある程度のFPS改善が期待できるでしょう。

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