Mac版Wordの動作遅延・フリーズ問題を解決する手順【最新版対応】

MacでMicrosoft 365版のWordを使っていると、文章を入力するたびに動作が重くなったり、突然フリーズしてしまったりと、作業効率が落ちてしまって困っていませんか? その原因は、Wordのバージョンや特定のフォント、キャッシュファイルなど、さまざまな要素が絡み合っていることが多いです。本記事では、そんなMac版Word特有の遅延・フリーズ問題を解決するための方法をまとめました。スムーズな文章編集を取り戻すためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

Mac版Wordが遅くなる・フリーズする主な原因

まずはWordの動作が重くなる典型的な原因を把握しておきましょう。これを知っておくだけでも対策が立てやすくなります。

Wordのバージョン由来の不具合

Microsoft 365版のWordは頻繁にアップデートが行われていますが、特定のバージョン(たとえば16.85や16.86など)で不具合が起きやすいと報告されています。新たな機能追加や修正が行われる一方で、思わぬバグが混入してしまうこともあるため、動作の安定性にはバージョンが大きく影響します。

フォントや特殊文字の問題

Cambria Mathのような数学用フォントや、一部の特殊文字を含む文書を扱うと描画処理に負荷がかかったり、互換性の問題が発生することがあります。Wordはフォントのレンダリングが複雑なので、互換性やライセンス状況、OSとの組み合わせによって不安定になりがちです。

キャッシュや一時ファイルの影響

長期間Wordを使っていると、必要以上にキャッシュや一時ファイルが蓄積され、それが原因でアプリの動作が不安定になるケースがあります。特にアップデートを繰り返した環境や、大きなサイズのファイルを多用する方は注意が必要です。

macOSのバージョンやユーザー環境の相性

macOS側のアップデート(VenturaやSonomaなど)に伴い、Wordの動作が不安定になることもあります。また、ユーザーアカウント固有の設定や、常駐アプリケーションとの競合が原因で、フリーズや動作遅延を引き起こす場合もあります。

解決策1:Wordのバージョンを最新にアップデート

もっとも基本的でありながら効果的なのが、Wordを最新バージョンにアップデートすることです。

最新バージョンの確認方法

  1. Wordを起動し、メニューから「Word > ヘルプ > アップデートの確認」を選択します。
  2. 自動更新がオフになっている場合はオンにし、アップデートの実行を行います。

Microsoft 365版の場合、更新チャネル(Current ChannelやCurrent Channel (Preview)、Beta Channelなど)を切り替えることで、先行して修正を適用できる可能性があります。特に16.85.526.2や16.90.2以降のバージョンで不具合が解決したという報告が多いので、検討してみましょう。

アップデート後の注意点

アップデートによって不具合が解消したかどうか必ず確認しましょう。問題が解消していれば、そのまま使い続けて問題ありません。万が一、アップデート後にも症状が改善しない場合は、後述のロールバック(バージョンを下げる方法)やその他の対策を試してみると良いでしょう。

解決策2:バージョンを下げる(ロールバック)

最新バージョンで改善しない場合、あえて過去の安定バージョンに戻すという手段があります。ただしセキュリティパッチや新機能の利用が制限される点に注意してください。

ロールバックの手順例

  1. Microsoftの公式サイトやOffice関連のサポートページから、過去のWordバージョンが入手できるかを確認します。
  2. 必要に応じて「パッケージインストーラ(.pkg)」や「ディスクイメージ(.dmg)」をダウンロードします。
  3. インストール前に現在のバージョンをアンインストールするか、Time Machineなどでバックアップを取っておきます。
  4. 旧バージョンをインストールし、Wordが安定して動作するかどうか確認します。

一部のユーザーからは、16.84に戻すことで問題が解消されたという報告もあります。ただしMicrosoft公式としては、できるだけ最新バージョンの使用が推奨されている点を忘れないようにしましょう。

解決策3:フォント設定の見直し

Cambria Mathや特殊文字によるフリーズや動作遅延が報告されています。特定のフォントを使用すると重くなる場合は、別のフォントへの切り替えを検討してください。

数式フォントを変更する

  • メニューから「書式 > 数式オプション」などを開き、数式フォントの設定を行います。
  • Cambria Mathの代わりに、STIX Two Mathなどのより軽量・互換性の高いフォントを試してみてください。

フォントキャッシュのクリア

フォントキャッシュが破損していると、フォントレンダリングの際に不具合が生じることがあります。以下のようにターミナルでキャッシュをクリアしてから再起動すると改善するケースもあります。

# フォントキャッシュを削除して再読み込みを実行
sudo atsutil databases -remove
sudo atsutil server -shutdown
sudo atsutil server -ping

実行後、Macを再起動し、Wordを開いて問題が解決しているか確認してみてください。

解決策4:キャッシュや一時ファイルの削除

キャッシュや一時ファイルが原因となっている場合、これらを削除して環境をリフレッシュすることが効果的です。

Containersフォルダのリセット手順

  1. まずWordを終了させます。
  2. Finderで~/Library/Containersフォルダを開きます(「移動 > フォルダへ移動」でパスを入力)。
  3. 「Microsoft Word」という名前がついたフォルダを、デスクトップなどに一時的に移動します。
  4. Macを再起動し、Wordを再び起動して問題が解消されたか確認します。

この操作によってWordの初期設定が再生成されるため、不具合の原因になっていたキャッシュファイルがリセットされます。必要であれば、「Normal.dotm」の初期化や再設定も合わせて行いましょう。

解決策5:Macをセーフモードで起動して確認

セーフモードはmacOSの起動時に最小限の機能のみを有効にするモードです。Wordをセーフモードで起動してフリーズが起こらないのであれば、他の常駐アプリや拡張機能との競合が原因かもしれません。

セーフモードでの起動方法

  1. Macの電源を切り、電源ボタンを押したらすぐにShiftキーを押し続けます。
  2. Appleロゴが表示され、起動が進むまでShiftキーを離さないようにします。
  3. ログイン画面が表示されたらShiftキーを離し、通常通りログインしてください。

この状態でWordを起動し、同じ文書を開いて問題が再現するかをチェックしましょう。セーフモード下で問題が起きない場合は、サードパーティソフトや拡張機能を一つずつオフにして原因を絞り込むことが可能です。

解決策6:別のユーザーアカウントを利用してみる

既存のユーザー環境が何らかの形でWordの動作を妨げている場合があります。そこで、新しいユーザーアカウントを作成してWordを試し、問題が解消されるか確認してみましょう。

新規ユーザーアカウントの作成手順

  1. システム設定(macOS VenturaやSonomaの場合は「システム設定 > ユーザとグループ」)を開きます。
  2. 左下の「アカウントの追加」ボタンをクリックし、新しい標準アカウントを作成します。
  3. 新アカウントにログインし、WordをインストールまたはOffice 365のサインインを行います。
  4. 同じドキュメントを開いてフリーズや遅延が起きるかどうかを確認します。

もし新規アカウントでは問題が発生しないようであれば、旧アカウントの環境設定やライブラリ内のファイルが原因の可能性が高いと考えられます。

表で見る:よくある原因と対策

原因対策備考
Wordのバージョンの不具合最新バージョンにアップデート
または安定バージョンにロールバック
公式リリースノートをチェック
フォント問題 (Cambria Mathなど)別の数式フォントに切り替える
フォントキャッシュのクリア
特殊文字の使用を控える
キャッシュファイルの蓄積Containersフォルダのリセット
「Normal.dotm」の初期化
初期設定が再生成される
macOSとの相性・競合セーフモードで起動して確認
OSの最新アップデートを適用
ドライバや常駐アプリの競合を疑う
ユーザーアカウント固有の設定新規ユーザーでの動作チェック
設定ファイルの再構築
権限やライブラリの問題

メリット・デメリットを踏まえた判断

アップデートを優先的に試すことで、セキュリティリスクを回避しつつ最新の修正を取り込むことができます。もし改善しなければロールバックを検討する、という流れが妥当です。

アップデートのメリット

  • 新しい機能が利用できる
  • セキュリティの強化
  • 既知のバグが修正されている可能性が高い

アップデートのデメリット

  • 新たに発生するバグがあるかもしれない
  • 更新時に時間や容量を要する

バージョンを下げる(ロールバック)のメリット

  • 過去の安定バージョンを再び利用できる
  • 急ぎのプロジェクトで不具合対応が必要なときに有効

バージョンを下げる(ロールバック)のデメリット

  • セキュリティパッチを逃し、リスクが増す可能性
  • 旧バージョンの入手やインストール手順が手間になる

事前のバックアップと環境構築がカギ

Wordに限らず、アプリケーションの不具合対応をする際は「バックアップを取ってから作業をする」ことが大切です。Time Machineやクラウドストレージなどを活用して、万が一データが消失しても復元できるように準備しましょう。また、複数のMac端末を使える場合はテスト環境を用意して問題再現を確認するなど、柔軟な対応が可能になります。

バックアップのポイント

  • 重要なWordファイルはOneDriveやiCloud Driveなどに保存する
  • Time Machineでシステム全体を定期バックアップする
  • Wordのテンプレートやフォントも含めてバックアップすると安心

まとめ:根本原因を特定して解決しよう

Mac版Wordの遅延・フリーズ問題は、一つの原因というより複数の要因が絡み合っていることが多いです。まずは簡単に取り組めるアップデートやフォント変更などを試し、効果がなければロールバックやセーフモード、ユーザーアカウントを変えての検証を行ってみてください。少し手間はかかりますが、原因を一つひとつ排除することで、最終的にはスムーズにWordを使える環境を取り戻せるはずです。

快適な執筆環境を取り戻すために、上記の対策をぜひ試してみてください。作業のストレスを減らし、創造的な仕事に集中できるようになるでしょう。

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