WordのAuthorとLast Modified Byを正しく管理する方法と活用術

こんにちは。Wordで文書を作成していると、ファイルの作成者や最終更新者の情報が気になったり、必要に応じて変更したくなることはありませんか。実は私も以前、仕事の共同作業で意図せず違う名前が残ってしまい焦った経験があります。そんな失敗を防ぐためにも、これから詳しく解説していきますね。ぜひ、読み進めてみてください。

Wordで管理されるAuthorとLast Modified Byとは

WordをはじめとするOffice製品では、文書そのものに埋め込まれるプロパティにAuthor(作成者)やLast Modified By(最終更新者)などの情報が記録されます。これらの情報は単に名前の表示だけでなく、内部で追跡やバージョン管理に利用されることも多いのです。たとえばチームで共有しているファイルの場合、最後に上書き保存した人がわかるため「誰が何を修正したのか」を把握する手掛かりにもなります。

AuthorとLast Modified Byの違い

Author(作成者)は、文書を最初に作成した人(あるいはソフトウェアに設定されているユーザー名)を示すものです。新規ファイルを作成した時点で、Officeのユーザー設定にある名前が自動的に記録されます。一方でLast Modified By(最終更新者)は、そのファイルを最後に編集・保存したユーザー名が記録されるものです。文書を開き上書き保存を行うたびに、最終更新者が更新されます。

Author情報が変わらないケース

ファイルが複数人の手に渡っても、初期設定のままだとAuthorは最初に作成したユーザー名がずっと残るケースがあります。チーム内で複数人が編集したとしても「本当の作成者」の名前が表示され続けるため、混乱を引き起こすこともあります。一方、Last Modified Byは保存する人が変わるたびに上書きされていくため、現在の編集者を確認するにはこちらをチェックするとよいでしょう。

以前、部署内の回覧用ファイルを作った際、Authorに入っていた古い名前が残っていて、プロジェクト名との整合性が取れなくなってしまい、「このファイルは誰がいつ作ったの?」と混乱を招いたことがありました。社内でファイルを共有するなら注意したいですね。

既存ドキュメントのAuthorやLast Modified Byを変更する方法

既存のドキュメントを開いて編集したい場合、ファイル単位で作成者や最終更新者情報を修正する必要があります。この作業は、一括変更ではなく手動で行うのが一般的です。

ステップ1: ファイルを開いて情報タブにアクセス

まずは対象のWordドキュメントを開きます。上部メニューから「ファイル」を選択し、「情報」をクリックすることで詳細プロパティにアクセスできます。

操作イメージ

操作 画面のイメージ
1. Wordでドキュメントを開く ファイルをダブルクリックなどで開く
2. [ファイル] → [情報] をクリック 左側にメニューが並んでいるので「情報」を選択
3. [プロパティ] → [詳細プロパティ] 文書プロパティが一覧表示される。さらに詳細を開く

ステップ2: Author(作成者)を任意の名前に変更

詳細プロパティのダイアログを開くと、「作成者」として登録されている名前を確認できます。ここをクリックして、任意の名前に書き換えることで修正が可能です。ただし変更後に文書を保存しないと反映されないので注意してください。

Author名を空欄にするのではなく、チーム名や部署名など使いやすい統一名を設定すると管理しやすくなります。

ステップ3: ドキュメント検査で個人情報をクリアする

Last Modified Byを完全にクリアしたい場合は、「問題のチェック」→「ドキュメント検査」を利用すると便利です。ドキュメント内からコメント履歴や最後に編集したユーザー名などをまとめて削除できます。
手順としては、再度「ファイル」→「情報」→「問題のチェック」→「ドキュメント検査」と進み、表示されたチェックボックスの中から「ドキュメントのプロパティと個人情報」にチェックを入れて検査を実行します。
結果に「最終更新者」情報が含まれていれば「すべて削除」ボタンをクリックすることで、個人名が文書から取り除かれます。

ドキュメント検査を実行すると、必要な情報まで消してしまう場合があります。必要なデータを事前にバックアップしておくか、削除内容をしっかり確認してから行いましょう。

個別ファイルごとに行う必要がある

既存のWordファイルが複数あり、それぞれで同様にAuthorやLast Modified Byを修正したい場合は、同じ手順をファイルごとに繰り返す必要があります。テンプレートを後から変更しても、すでに作成済みの文書には影響しません。

私自身、プロジェクト移管時に大量の文書を受け取ったとき、まとめて作成者名を変えたいと思ったのですが、結局一つずつ開いて変更するしかなくて、地味に時間を取られました。ただ、その作業中に「こんなファイルもあったのか」と再発見もあったので悪いことばかりではないですね。

新規ドキュメントのAuthorやLast Modified Byを自動設定する

新たに文書を作成するとき、いちいちAuthorを修正したり、最終更新者が望まない名前にならないようにするためには、WordやOfficeの設定を見直しておくと効率的です。

Officeオプションでユーザー名を変更

Word(もしくは他のOfficeアプリ)を起動し、「ファイル」→「オプション」を選択します。表示される設定画面の「ユーザー設定」や「全般」タブの中に、自分の名前やイニシャルを設定する項目があります。ここを必要な名前に変更しておけば、以降に作成される新規文書ではAuthorが自動的に更新されます。

ユーザー設定の例

1. Wordを起動
2. [ファイル] → [オプション]
3. [全般] タブを開き、ユーザー名やイニシャルを編集
4. [OK]ボタンで確定

ここで設定されている名前がAuthorに反映されるため、個人名を出したくない場合は会社名やプロジェクト名にすることも可能です。ただし、共同作業が多い環境ではどういった名前を使うのか事前にチームで話し合うと混乱を避けられます。

テンプレートを更新する

Wordでは新しい文書を作る際のひな形として「Normal.dotm」などのテンプレートが利用されます。このテンプレート自体のプロパティを更新しておけば、今後作られる文書には初期状態でその設定が反映されます。

Normal.dotmの編集手順

1. まずWordを起動し、テンプレート「Normal.dotm」を開きます。
2. 通常のファイルと同様に「ファイル」→「情報」でプロパティを開き、作成者名を更新。
3. ドキュメント検査などで不要な情報を削除したい場合は同じように実行。
4. 上書き保存してWordを終了。

これで、新規文書を作成するたびにAuthorの欄が常に最新の名前(もしくはプロジェクト名など)で始まるようになります。

チーム全体で使うPCの場合、共有アカウントにしておいてテンプレートも部門名などにしておくと、誰が作っても同じAuthorが表示され便利です。

Last Modified Byの扱いと注意点

Last Modified Byはあくまでも「最後に上書き保存した人」の情報です。そのため、特定の名前を固定することは原則できません。実際に保存操作を行ったユーザー名(Officeの設定やWindowsのログイン名)がそのまま反映されます。

ドキュメントを人に渡すと名前が変わる

社内で同僚や上司にファイルを渡すと、相手がファイルを開いて編集・保存した時点でLast Modified Byはその人に更新されます。共同作業を円滑にするためには、チーム全員が同じユーザー名設定で作業するか、最終更新者が切り替わるのを理解して使うか決めておくとよいでしょう。

「自分が最終的にリリースしたことになっているはずなのに、他の人の名前になってしまった」というような混乱が起きることがあります。書式設定や微調整レベルの修正だけでも保存すれば最終更新者が変わるので、事前に周知しておくと安心です。

最終更新者情報を削除してから送付する

顧客や取引先など社外にファイルを送る場合は、Last Modified Byを消したいという要望もよく耳にします。先述のドキュメント検査機能で個人情報を削除しておけば、受け取った相手には特定の個人名が残らない形でファイルを渡すことが可能です。
ただし、一度削除してしまうと復元は簡単ではありません。履歴管理が重要なプロジェクトでは安易な削除は避けるか、必ずバックアップを取ってから行うようにしましょう。

AuthorやLast Modified Byを正しく管理するメリット

AuthorやLast Modified Byを整えておくと、誰がいつ文書を作成し、最後に修正を加えたのかが一目でわかるようになります。また、個人名を含めない設定にしておけば、機密情報漏洩やプライバシーリスクを最小化できるメリットもあります。

情報漏洩のリスクを軽減できる。ファイルが外部に出て行っても、個人名を特定しづらくなる。

統一ルールを設けると、突然メンバーが増えたときも「Authorは常に部署名にする」といった簡単なガイドラインを示すだけで済むので、運用管理がスムーズになります。

運用や実務でよくある質問と対策

Q1. 大量の既存ファイルのAuthorを一括変更したい

A1. 残念ながら、標準のWord機能では一度にすべてのファイルを変更する方法はありません。VBAやPowerShellなどのスクリプトを活用し、フォルダ内のファイルを一括で操作する方法はありますが、そこそこの知識と事前テストが必要です。

サンプルコード例(PowerShell)

# Word COMオブジェクトを使ってAuthorを一括変更するサンプル
Add-Type -AssemblyName Microsoft.Office.Interop.Word

$folderPath = "C:\Docs\WordFiles"
$word = New-Object -ComObject Word.Application
$word.Visible = $false

Get-ChildItem $folderPath -Filter *.docx | ForEach-Object {
    $docPath = $_.FullName
    $doc = $word.Documents.Open($docPath)
    $doc.BuiltInDocumentProperties("Author").Value = "New Author Name"
    $doc.Save()
    $doc.Close()
}

$word.Quit()

ただし、環境によってはマクロやスクリプトの実行が制限されていることもあるので、実行権限やセキュリティポリシーの確認は必須です。

Q2. OneDriveやSharePoint上で共同編集した場合はどうなる?

A2. SharePointやOneDriveでの共同編集(リアルタイム共同作業)では、Word上の変更履歴に基づいて最終更新者が記録されます。複数人が同時に編集している場合でも、保存を行ったタイミングや編集箇所によって最終更新者が割り振られます。テナントやユーザーアカウント名をそのまま表示するケースが多いため、個人を特定したくない場合は共有する際の管理者設定を確認する必要があります。

Q3. PDFに変換するとAuthorやLast Modified Byはどうなる?

A3. 通常、PDFを出力するときに「プロパティを含めない」設定にしておくと、Wordの文書プロパティはPDF側には引き継がれません。逆にPDFのプロパティを残したい場合は、変換オプションで詳細設定を確認しておきましょう。ただし、PDFのメタ情報にも作成ソフトや作成日時、改変日時といった情報が別途書き込まれます。

まとめと今後の活用ポイント

AuthorやLast Modified Byといったメタ情報の管理は、普段あまり意識されないかもしれません。しかし、いざ共同作業や社外への提出など状況が変わると、思わぬところでトラブルを引き起こします。あらかじめWordやテンプレートの設定を整えておくことで、不要な個人名が記録され続ける心配を減らせますし、あとから悩む時間も削減できます。

「Authorを個人名ではなく部署名にする」「Last Modified Byを削除してから社外に提出する」といったルールを定めておけば、よりスムーズに運用できます。私自身、最初は面倒と思っていましたが、運用ルールができてからは、誰がいつ編集したかの確認漏れも減りましたし、社外から「作者はどなたですか?」と聞かれたときにスマートに対応できるようになりました。

私が一番助かったと思うのは、後から文書の作成者を探し回る手間が減ったことです。外部調整が必要な場合も「文書内のAuthor欄を見ればいい」となったので、「誰が責任者だっけ?」という時間のロスを抑えられました。

もし「どうしても自動化したい!」という場合には、先ほどのPowerShellやVBAなどの手法も検討してみるといいでしょう。Word文書のプロパティは想像以上に柔軟に扱えます。組織の情報セキュリティポリシーと相談しながら、カスタマイズしてみてください。きっと作業効率も上がり、チーム間のやりとりもスムーズになりますよ。

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