Mac版Wordで自動生成されるバックアップフォルダの対処法を徹底解説

Wordで書類を作成すると、いつの間にかバックアップ用フォルダが大量にできてしまう…そんな問題に悩まされていませんか?本記事では、Mac版Word独自の挙動と対策について、わかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

バックアップフォルダが作成される原因

Mac版Wordでは、文書を編集する際の保護機能として「バックアップコピーを自動作成する」設定が存在します。Windows版ではバックアップファイルは同じフォルダ内に生成されることが多いのですが、Mac版の一部バージョンではフォルダ自体が個別に作られるケースが散見されます。このため、作業ごとに新しいバックアップ用フォルダが積み重なり、気づいたときにはデスクトップに同名のフォルダが大量に…という状態になりがちです。

さらに、iCloudの「デスクトップと書類フォルダ」の同期をオンにしている場合、意図的に削除しても再度復元されてしまうことがあります。こうした仕組みを十分に理解していないと、いつまで経ってもバックアップ用フォルダが増え続けてしまうのです。

想定される主な原因

  • 「常にバックアップ コピーを作成する」設定がオンになっている
  • Mac版Wordのバージョン特有の仕様(フォルダとして作成される)
  • iCloudのデスクトップ・書類フォルダ同期による再生成
  • OneDrive等のクラウド同期を利用している環境の影響

バージョンによる挙動の違い

WordはWindows版とMac版で設定画面のデザインや動作仕様が異なる場合があります。以下はあくまでも一般的な例ですが、参考になるように表形式でまとめてみました。

プラットフォームバックアップファイルの生成場所フォルダの扱い
Windows版Word通常は同一フォルダ内に生成ファイル形式として「.wbk」が作られることが多い
Mac版Word(旧バージョン)同一フォルダ内もしくは指定フォルダバックアップファイルのみ。フォルダ乱立は比較的少ない
Mac版Word(2023年頃以降)バックアップ時に個別のフォルダを作成フォルダ名が「Backup of 〇〇」のような形式で作られるケースが多い

バックアップコピーが不要な場合の対処法

「万が一に備えてバックアップファイルを残しておきたい」というニーズがなければ、もっともシンプルなのはバックアップコピー機能をオフにしてしまう方法です。以下の手順を試してみてください。

Wordの環境設定でバックアップを無効化する

  1. Wordを起動し、画面左上の「Word」メニューから「環境設定(Preferences)」を選択しましょう。
  2. 表示された設定ウィンドウで「保存(Save)」または「ファイル操作」に相当する項目を見つけてクリックします。
  3. 「常にバックアップ コピーを作成する(Always create backup copy)」のチェックボックスをオフにします。
  4. 設定内容を保存し、Wordを再起動する場合は再起動して反映を確認します。

iCloud同期の見直し

特にデスクトップに大量のフォルダが生成される場合、iCloudの「デスクトップと書類フォルダの同期機能」により、一度削除しても再登場するケースがあります。このときは以下の手順も確認してみてください。

  1. 画面左上のAppleメニューから「システム設定」(または「システム環境設定」)を選択します。
  2. Apple ID(iCloud)の項目を開き、「iCloudドライブのオプション」または「デスクトップと書類フォルダ」のチェックをオフにするか、不要であればまるごとオフにします。
  3. 変更後にフォルダを削除して、再度同じ現象が起きないか確認します。

こうした対策によって、バックアップコピーが完全に必要ない環境なら、余計なフォルダ生成はストップするでしょう。

バックアップ機能を維持したい場合の対処法

「バックアップは欲しいけれど、フォルダが乱立するのは困る」という場合は、少々工夫が必要です。残念ながら、Mac版Wordの標準設定だけで「フォルダを作らずバックアップファイルのみを生成する」という挙動には切り替えられないとされています。そこで、以下のようなワークアラウンドを検討してみてください。

バックアップ先フォルダを明確に指定する

Wordの保存先をデフォルトから変更して、バックアップを集中管理するというアイデアです。たとえば「~/Documents/WordBackups」のような専用フォルダを作り、そこにすべてのバックアップを格納する形にすると、デスクトップが散らかるのを避けられます。

  • 保存ダイアログで「保存先」を指定し、普段からバックアップ専用フォルダを選択
  • ショートカットを利用して、作業効率を落とさずにバックアップフォルダへアクセス

ただし、Mac版Wordのバージョンによっては、「バックアップファイルの保存先を細かく指定できない」という問題が報告されています。もし設定メニューで指定できない場合は、次の方法も視野に入れましょう。

AppleScriptやAutomatorで定期的に整理する

バックアップフォルダが自動的に作成されるなら、作成されるのを止められない代わりに「できた後にまとめる」という方法です。自動化を活用してフォルダを整理することで、手動で大量のフォルダを削除する手間を省けます。

AppleScriptのサンプル

以下は、デスクトップ上にある「Backup of ~」という名前のフォルダを一括で「WordBackups」フォルダに移動する例です。Macのスクリプトエディタで作成・保存し、Automatorなどから定期実行すると便利です。

set backupFolderPath to (POSIX path of (path to documents folder)) & "WordBackups"

tell application "Finder"
    -- WordBackupsフォルダが存在しなければ作成
    if not (exists folder backupFolderPath) then
        make new folder at (path to documents folder) with properties {name:"WordBackups"}
    end if

    -- デスクトップ上のフォルダを取得
    set desktopFolder to (path to desktop folder) as alias
    set folderList to every folder of desktopFolder

    repeat with f in folderList
        set folderName to name of f
        -- 「Backup of 」で始まるフォルダなら移動
        if folderName starts with "Backup of " then
            move f to folder backupFolderPath
        end if
    end repeat
end tell

このスクリプトを使えば、デスクトップ上に散らばるバックアップフォルダを定期的に1か所へ移動できます。必要に応じてタイムスタンプなどを付け加えて管理をしやすくする工夫も可能です。

クラウドストレージを活用する

OneDriveやDropboxなどのクラウドストレージを使ってバックアップを管理するのもひとつの選択肢です。ローカル環境をクリーンな状態に保ちつつ、自動的にバックアップをオンラインに保存する形が実現できれば、作業端末が複数ある場合でも同じバックアップファイルにアクセスできるメリットがあります。

  • Wordの保存ダイアログで「OneDrive」や「Dropbox」フォルダを選択する
  • 自動で同期されるので、外出先からでもバックアップファイルを確認できる

ただし、Mac版Wordではバックアップフォルダそのものをクラウドに逃がす設定が意図どおりに動作しないケースも報告されています。ファイルの競合や同期のタイミングによってフォルダ名が重複するなどのリスクも考えられるため、環境に合わせて検証してください。

バックアップフォルダの整理・削除時の注意点

バックアップフォルダを削除する際、下記の点に注意しましょう。

iCloudやOneDriveの同期

既に触れましたが、同期がオンになっていると、ファイルをローカルから削除してもクラウド上のデータが再度ダウンロードされて「復活」する場合があります。同期対象から外したり、一時的に同期を停止するなどの対策を講じない限り、問題が続くことがあるので要注意です。

誤って必要なバックアップを削除しない

フォルダが大量にあると管理がおろそかになり、必要なバックアップをうっかり消してしまうリスクがあります。一度削除してしまうと復元が困難になる場合もあるので、大事なバックアップは事前に別の場所へ退避しておきましょう。

Spotlight検索のリフレッシュ

Macではバックアップフォルダを削除してもしばらくSpotlightのインデックスに残ることがあります。気になる場合は「システム設定」→「Spotlight」からインデックスの再作成を行うと、無駄な検索結果が出にくくなります。

具体的な運用例

ここでは、実際の運用イメージを示すために、例をいくつか挙げます。自分の作業スタイルに合わせてカスタマイズすると、日々の業務が格段に楽になるでしょう。

例1:バックアップ不要なケース

Wordでの作業は常にOneDrive上のファイルを直接編集しており、バージョン管理もクラウド側に任せる形をとっている場合には、ローカルに余計なバックアップフォルダを作る必要性は低いでしょう。このときはWordの「常にバックアップ コピーを作成する」をオフにしてしまえばスッキリします。

例2:週単位でバックアップを取得したいケース

プロジェクトごとに誤操作やファイル破損のリスクがあり、念のためバックアップを残しておきたいときは、バックアップの自動作成はオンにしておきます。ただし、フォルダが乱立しないよう、AppleScriptやAutomatorで週一回、デスクトップのフォルダを「WordBackups」に移動し、さらに古いバックアップを自動削除する仕組みを組むと良いでしょう。

例3:クライアント別にバックアップを管理したいケース

Freelanceや個人事業主の方で、クライアントごとに書類フォルダを整理したい場合は、クライアント名を冠したバックアップフォルダを作り、そこにだけバックアップが保存されるように工夫します。実際にはWordの設定でバックアップ先を細かく指定できるわけではありませんが、新規で文書を作成するときに、あらかじめクライアントフォルダを指定して保存を行うことで、バックアップも連動して当該フォルダに格納されます。その後、定期的にバックアップだけをまとめて見直すと混乱を防げます。

よくある質問とトラブルシューティング

ここでは、バックアップフォルダ問題に関連してよくある疑問点と解決策をQ&A形式で紹介します。

Q1: バックアップを完全に無効化したのにフォルダがまだ作られます

A1: 無効化設定後も、一度保存されているドキュメントが自動的にバックアップを作る可能性があります。いったんWordを再起動してから新規ドキュメントで試してみてください。既存ドキュメントには過去の設定が引き継がれているケースもあります。またiCloud同期が有効だと、古いバックアップフォルダが復活する場合があります。

Q2: iCloud同期は続けたいが、バックアップフォルダだけを同期させたくありません

A2: 部分的な同期除外は標準機能では難しいです。iCloudドライブのオプションで「デスクトップと書類フォルダ」の同期をオフにするか、バックアップフォルダ自体をデスクトップではなく別のフォルダに移動して手動で管理する方法が考えられます。

Q3: フォルダではなく、一つのバックアップファイルに上書き保存していく設定はありませんか?

A3: 残念ながら標準のMac版Wordでは、そのような「単一ファイルを上書き更新する形のバックアップ」はサポートされていません。どうしても必要なら、マクロやスクリプトで自動化処理を組むか、別途のバックアップソフトを導入する方法を検討しましょう。

Q4: Windows版で作成したWordファイルをMacで開いたらフォルダが生成されてしまいます

A4: WindowsとMacのWord間でのファイル移動に伴う設定差異が原因と考えられます。Macに移した直後に「Word環境設定」→「保存」からバックアップ関連の設定を見直し、意図しない挙動が起きないように設定してください。

まとめ

Mac版Wordで自動生成されるバックアップフォルダは、使い方によっては非常に便利な保険となる一方、大量のフォルダが乱立してしまうと管理が煩雑になる厄介な面もあります。デスクトップがバックアップだらけになるとSpotlight検索が散らかり、必要なファイルを見つけにくくなって作業効率も下がりかねません。

そんな状況に陥らないためには、まずは「常にバックアップ コピーを作成する」の設定をオフにするかオンにするかを明確に決め、iCloudやOneDriveの同期状況を把握することが大切です。さらに、バックアップが必要な場合は、作成されたフォルダを定期的に整理・移動するスクリプトを活用したり、クラウドストレージを意識的に利用したりと、フォルダ管理を徹底すれば問題の大半は解決できます。

今後のWordアップデートにより、このフォルダ生成問題が改善される可能性もありますが、現段階では公式設定で「フォルダではなく単一ファイルでバックアップする」手段はありません。必要に応じて、ここで紹介したワークアラウンドを取り入れながら、自分の作業環境に合った最適解を見つけてみてください。

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